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レトロな雰囲気たっぷりの暮らしができるということで人気の古民家。今はおしゃれにリノベーションした平屋やペット可の物件などもあるので、ライフスタイルに合った一軒家での暮らしが実現できます。まずは、気軽に賃貸で古民家での暮らしをスタートしてみるのもおすすめ。そこで、古民家のメリット・デメリット、賃貸の古民家物件の探し方や使える制度、住む際の注意点など、古民家暮らしの魅力について、全国に古民家のネットワークがある一般社団法人全国古民家再生協会の河野公宏さんに伺いました。
古民家とは、一般的に木造軸組工法(在来工法)と呼ばれる日本を代表する伝統構法で建てられた日本家屋のこと。1973年(昭和48年)以前に建てられた築50年以上のものを指します。現在、全国各地に古民家物件があり、分譲だけでなく賃貸物件や、無料譲渡の物件も。古いものを大切にしたいという方に、古民家は人気があります。
古民家は、土壁などの自然素材を使い、木のぬくもりあふれる開放的な間取りが特徴です。当時のライフスタイルとして、地域とのつながりとコミュニケーションを大事にしていたことから、住宅に来客をもてなすための応接間を設けるなど「お客様第一」に考えられていました。古民家は平屋も多く、それぞれの居室は襖で区切られていているので、普段は閉めた状態で生活し、来客時は襖を開けて大空間として使うなどフレキシブルな使い方ができる間取りになっています。
「以前は、老後にのどかな暮らしを求めて古民家に住むというシニア層が多かったのですが、コロナ禍をきっかけにリモートワークなど働き方に大きな変化があったことで、地方への移住という選択肢が増えてきました。その中で、古民家での暮らしを検討する人が増えてきています」(河野さん、以下同)

古民家は地域の人とのつながりを重視した開放的な間取りであることから、コミュニケーションが取りやすいというのが魅力のひとつ。襖などで緩やかに空間をつなぐことで、家族の気配を感じることができます。家族で空間を共有したいというタイプには向いている間取りと言えます。来客時などは襖を開けて2部屋をつなぐなど、用途に応じてフレキシブルに空間を使えるのもメリット。
古民家に使われている柱や梁には丈夫な木材が使われていることが多いので、躯体がしっかりしています。
「また、古民家は緑が多くのどかな「田舎」に建っていることが多いので、ゆったりとした暮らしを好む人にとって理想の暮らしを実現できるかもしれません」
一方、古民家のデメリットとしてまず挙げられるのが、「寒さ」、「暗さ」という点です。これには、昔の住宅は夏を快適に過ごすという観点で家づくりをしていたことが関係しています。エアコンがない時代に風通しが良くなるよう開口部を大きく取っているため気密性が低くなり、更に長い軒先で太陽の光を遮るなどの工夫をしていることから日当たりが悪くなるため、特に冬場は「寒さ」と「暗さ」を感じやすくなります。
「また、先述したように来客前提の開放的な間取りであることから、核家族化が進んだ現代のライフスタイルと合わないと感じる人もいるかもしれません」
古民家は全国各地にあるものの、賃貸物件を借りようとしたときに条件を満たしている物件を探すのは容易ではありません。家賃は、通常の賃貸物件と同様に築浅のほうが高い傾向はありますが、リノベーションの有無など建物の状態によっても変動します。
「リノベーションをして付加価値を付けた物件は家賃が高くなりますが、リノベーションをせずに家賃を抑えて、借主が内装等のDIYをする前提で貸し出す物件も。DIYなど手を加える場合は、必ず確認を取る必要があります。住みながら自分たちに合った住まいにしていきたいという人には、後者の物件がおすすめです」
また、ペット可物件を探す場合は、物件によって契約条件はさまざまですが、リノベーションをしていない物件の方がペットの飼育ができる可能性が高いかもしれません。
古民家賃貸物件のなかには、一定年数賃貸をした後に譲渡する「贈与型賃貸物件」もあります。子育て世代で、教育費などお金がかかる時期に家賃を抑えて、暮らしそのものを豊かにすることができます」

自治体によっては、古民家賃貸において移住支援制度を利用できる場合もあるので、各自治体の制度を確認しておきましょう。自治体によって支援制度の有無、支援内容は異なりますが、移住先の建物の修繕費用の助成をしてくれる場合も。特に、リノベーションをしていない物件を借りる際に助成金の有無は非常に大きいので、各自治体や古民家再生協会のHPのチェックを。
より詳しく移住支援制度をチェックしたい方はこちら
賃貸物件に適用される家賃補助制度とは? 種類と対象条件、申請について解説
古民家に住む場合、地方への移住を伴うケースがほとんど。生まれ育ったエリアであれば問題ないでしょうが、移住を機にその地域に住むという場合は、なるべく事前にその地域に足を運んで地域のコミュニティや文化、風習などに触れる機会をつくりましょう。
「以前と比べて、伝統行事なども減ってきている地域も増えていますが、その地域が大切にしている風習や暮らしを知ることは、今後その地域で暮らしていく上でとても重要な要素になります」
自治体によっては、移住イベントを開催していたり、その地域での民泊を推進していたりと、地域の魅力を体験できる機会を設けているので、ぜひ利用してみましょう。実際に数日間その地域に滞在して、町を歩いたり地域住民と触れ合って、自分たちの志向性やライフスタイルとその地域特性とがマッチするかどうかを判断すれば、住んでから「やっぱりこの地域の暮らしは合わない」ということも防ぐことができます。
古民家は築50年以上の日本家屋のため、長い年月を経て老朽化していたり、損傷を受けているところがあることも。借りる際には、床や屋根、配管部分の劣化などなるべく目視できるところはチェックしましょう。
特に、リノベーション済みの古民家を借りる場合は、内装だけをきれいにリノベーションしているケースもあるので、施工会社や耐震補強や断熱補強など工事内容を確認しましょう。
「リノベーション前後の写真や図面があれば見せてもらうと安心です。古民家鑑定士によって古民家再生総合調査をして建物のコンディションを調査し、その結果を受けて修繕工事を実施している物件は、安全性が担保されているので安心でしょう」

このように、古民家の賃貸物件に住むためには、まずどの地域でどのような暮らしを実現したいかをイメージすることが重要です。憧れていた田舎暮らしと現実とのギャップが生まれないように、事前に移住する地域に滞在するなどコンタクトを取り、地域のコミュニティに馴染めるかどうか確認を。その上で、その地域の古民家再生協会に相談して、自分たちの理想の暮らしを手に入れましょう。
古民家とは、一般的に木造軸組工法(在来工法)で建てられた日本家屋。1973年(昭和48年)以前に建てられたものを指す
古民家のメリットは、開放的な間取りでコミュニケーションが取りやすいことや、緩やかな間仕切りでTPOに合わせて空間を調整できる
古民家は、夏の暑さを凌ぐプランのため、冬は暗くて寒いのがデメリット。また、現代の間取りがライフスタイルに合わないことも
古民家賃貸には、借主が内装等のDIYをする前提で貸し出す物件も。また、一定年数賃貸をした後に譲渡する「贈与型賃貸物件」もある