賃貸の退去費用の相場は? 入居者負担で妥当? 高額にならないためには?

賃貸の退去費用の相場は? 入居者負担で妥当? 高額にならないためには?

住んでいた賃貸住宅を出るとき、心配になるのが費用のこと。テレビの裏の壁が黒くなっちゃったけど、原状回復の費用って入居者と大家さんのどちらが負担するの? なんとか高額にならないようにするには?・・・気になる退去費用のあれこれについて、賃貸物件の管理業務に詳しいハウスメイトパートナーズの伊部尚子さんに聞きました。

退去費用とは? どうやって決まる?

賃貸住宅を出るときにかかる「退去費用」とは、その部屋を次の入居者が住める状態にするための原状回復やクリーニングなどの費用のこと。

これを誰がいくら支払うかについては、「基本的には、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によって細かく決められています。それぞれの物件の賃貸借契約書にも、これに基づいた具体的なルールが明記されていることがほとんどです」とハウスメイトパートナーズの伊部さん。

ところが、明確なルールはあるものの、実際に退去する際は「え? これは入居者の負担になるの?」などといったトラブルも少なからずあるよう。

ちなみに入居者へのアンケート調査で、退去時のトラブルの経験について聞いたところ、半数近くが「ある」と回答しており、その内容を見ると、金銭的な負担に関するものが多く挙げられています(画像1)。

こうしたトラブルを防ぐためには、知っておきたい基本的なルールが。どんなケースが入居者の負担になると決められているのか、次の章で見ていきましょう。

●賃貸住宅を退去する際、どんなトラブルが?
「ひとり暮らしの賃貸住宅から引っ越すとき、失敗したと感じた経験や、トラブルになった(なりそうだった)経験」が「ある」と答えた31%の人に聞いた、その具体的な内容(出典/ハウスメイトパートナーズ「『引っ越し時のトラブル経験』に関する実態調査」より)
「ひとり暮らしの賃貸住宅から引っ越すとき、失敗したと感じた経験や、トラブルになった(なりそうだった)経験」が「ある」と答えた31%の人に聞いた、その具体的な内容(出典/ハウスメイトパートナーズ「『引っ越し時のトラブル経験』に関する実態調査」より)

原状回復のみ費用、負担するのは入居者? 貸主? その判断基準は?

壁紙、床のフローリング、システムキッチンやユニットバスなどの設備機器・・・どの部分がどうなったら、入居者の負担になるのでしょうか。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では基本的に
●経年劣化・自然損傷:大家さんの負担
●入居者の故意・過失:入居者の負担
と決まっています。

「具体的な例を挙げると、入居者の不注意による壁の損傷は入居者の負担ですが、テレビの裏の壁が黒く電気やけしてしまうのは、経年劣化で大家さんが暮らしていても自然に起こりうることなので、大家さんの負担となります」

また、壁紙などには「減価償却」の考え方が適用されることも覚えておきたいもの。「例えば壁紙は6年で償却するという考え方。仮に3年住んだ部屋を出るとして、壁紙の張り替えの材料や工事に10万円かかったとすると、壁紙の張り替えとなった理由に入居者の故意・過失があった場合には、残存価値の5万円を入居者が弁償することになります」

一人暮らし
画像/PIXTA

ガイドラインにはない「特約」が付く場合も?

国土交通省のガイドラインのほかに、物件ごとに特約がつくケースも。
「よくあるのがクリーニング費用。ほとんどの契約書には『故意・過失にかかわらず、クリーニング費用をいただきます』と書かれています」

となると、きれいに掃除をして退去した人も、汚れたまま退去した人も、いずれにしてもクリーニング費用はかかってしまうことに。

それなら掃除をせずに出ても同じなのでは?と考える人もいるようですが、「きれいな状態で出るほうがお得です。退去の際に立ち会いをするのは人間なので、きれいに暮らしていた人の部屋を見ると感謝の念が湧き、他の精算についても少し寛容になったり、反対に全く掃除せず汚したままで退去しようとしている人の部屋を見ると、他の精算が厳しくなることもあると思います。人からの借り物ですから、きれいにして返そうという意識で退去して欲しいですね」

さらに、和室のある物件では「畳と襖に関する特約が付いていないかチェックしてみてください」と伊部さん。

和室のある物件が一般的だった時代の名残で、退去時に畳の表替えや襖の張り替えを入居者が負担するというルールが残っている地域もまだ多くあるよう。

和室賃貸
画像/PIXTA

「地域差もありますが、畳も襖も1枚数千円かかるので、例えば和室が2間ある部屋では、畳・襖の枚数が多くなり、もしそれが『入居者負担』という特約が付いていた場合、結構な金額になり、敷金を超えるケースも出てきます。現在はその特約が無い契約や、半額入居者負担などの契約も増えてきていますが、和室のある物件を借りるときは、契約の段階でチェックしてください」

知らずにうっかりやってしまう「過失」にはどんなケースは?

本人は普通に暮らしているつもりでも、知らずにうっかり「過失」による損傷を起こしていて、退去のときに発覚するといったケースもあるようです。

知らずに「過失」による損傷が発生する例

・ユニットバスにジェルのシールを貼り、剥がしたら色が移っていた
・洗面台にヘアピンを放置し、錆びが移ってしまった
・車のタイヤを床に直接置いていて、どかしたら黒い跡が残っていた
・観葉植物、冷蔵庫、エアコン、ウォーターサーバーなどから水が漏れ、床が傷んでいた
・タバコ、ペット、線香、アロマオイルのにおいが強く残っていた
・ユニットバスや洗面台にヘアカラー材をこぼし、色素が沈着した など

「例えば、使っているうちにエアコンが水漏れするようになったというケースは、エアコンの修理は大家さんの負担ですが、それを放置して傷んだ床の修理は、入居者の負担となります」。ほかにも、扉がギシギシときしんできたのを放置していたら扉にひびが入ったり歪んだりして閉まりにくくなってしまったというケースもあります。

発覚した時点で連絡していれば簡単な修繕で済んだものを、大家さんに部屋に入られたくない、生活にさほど困らないなどの理由で放置していると、後々大きな損失につながることも。「異変があったら報告するのが入居者の義務で、契約書にも書いてあります。報告を怠ったことで拡大した被害は、故意・過失にあたってしまうので、注意しましょう」

また、自分の過失があった場合、火災保険に付帯している借家人賠償責任保険が使えるケースも。「火災保険は入居者が自分のお金で契約しているものなので、どんなときに使えるかチェックしましょう。◯万円を超えた分のみ使える、ということもあるので、少額の場合は使えないこともあるけれど、高額の場合は頼りになることも多いと思います」

イラスト
居室の壁紙は簡単に張り替えられるが、ユニットバスやシステムキッチン、洗面台など住宅設備の落ちない汚れは高額になることも(イラスト/もり谷ゆみ)

金額に納得できないときは? 無視したらどうなる?

これって本当に自分の負担? 金額が高すぎない? と疑問に思ったときは、「不動産会社に聞いてみましょう」と伊部さん。

「ガイドラインや契約書の特約などを理解せずに『高い』と主張するだけでは通用しませんが、例えば年数的に減価償却されているはずなのに満額請求されているなど、おかしいと感じることがあった場合は、『ガイドラインではこうではないですか?』と担当者に尋ねてみてください」

退去費用をできるだけ抑えるためだけでなく、快適に暮らすためにも、部屋をきれいに掃除をし、設備機器や建具なども丁寧に扱うことが基本。また、退去時に「こんなはずでは!」とならないよう、契約時にはガイドラインと特約の内容をしっかりチェックしましょう。

まとめ

退去時にかかる原状回復費用は、自然損耗は大家さん、故意・過失は入居者が負担

知らないうちに「過失」による損傷を引き起こさないよう注意

きれいに掃除をし、設備機器機や建具などは丁寧に扱って暮らすことが基本

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取材・文/前川ミチコ イラスト/もり谷ゆみ
公開日 2020年03月31日
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