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一人暮らしの初期費用は50万円が目安といわれていますが、本当にそれで足りるのかな?と気になっている人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、一人暮らしの初期費用の内訳や相場の目安について、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに詳しく伺い解説します。コストを抑える方法や、費用が不足しそうな場合の対処法なども紹介します。
一人暮らしの初期費用とは、一人暮らしを始める際にかかる費用のことです。一般的には以下の3つが含まれます。
初期費用が50万円で足りるかは、この3つの合計をいかに抑えられるかがポイントです。まずは、初期費用50万円が何にかかるのか、それぞれの内訳をみていきましょう。
SUUMOでみると、東京23区内におけるワンルームの家賃相場は5.9万〜11.2万円となっています(2025年4月現在)。これをふまえ、家賃6万円、8万円、10万円のそれぞれのケースで、賃貸契約時にかかる初期費用をシミュレーションしてみました。
| 費用の種類 | 初期費用の目安 | ||
|---|---|---|---|
| 家賃6万円の場合 | 家賃8万円の場合 | 家賃10万円の場合 | |
| 敷金(家賃の1カ月分の場合) | 6万円 | 8万円 | 10万円 |
| 礼金(家賃の1カ月分の場合) | 6万円 | 8万円 | 10万円 |
| 仲介手数料(上限) | 6.6万円 | 8.8万円 | 11万円 |
| 保証会社利用料 | 3万〜6万円 | 4万〜8万円 | 5万〜10万円 |
| 火災保険料 | 0.4万〜1万円 | 0.4万〜1万円 | 0.4万〜1万円 |
| 鍵交換費用 | 1万〜2万円 | 1万〜2万円 | 1万〜2万円 |
| 日割り家賃(30日までの月の16日に入居の場合) | 3万円 | 4万円 | 5万円 |
| 初月の前家賃 | 6万円 | 8万円 | 10万円 |
| 合計 | 32万〜36.6万円 | 42.2万〜47.8万円 | 52.4万〜59万円 |

賃貸契約時の初期費用の総額は、家賃が高くなるほど上がっていくことが分かります。同じ東京23区内でも、中心に近くなるほど家賃相場は高いため、賃貸契約時の初期費用だけで50万円を超えることもあるでしょう。駅ごとの家賃相場は下のリンクからご確認ください。
詳しくない地域に引越す人や、「どこに住もうかな?」と迷っている一人暮らし初心者さんは、ランキングをチェックしてみるのもおすすめです。きっと「住んでみたい」と思える魅力的な街が見つかるでしょう
住み続けたい街・住みたい街についてもっと詳しく
→住み続けたい街ランキング
→住みたい街ランキング
賃貸契約時には、敷金や礼金、仲介手数料、保証会社利用料、火災保険料、鍵交換費用、日割り家賃、初月の前家賃などの費用がかかると分かりました。これらがそれぞれどのような費用なのか、詳しい内容を知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
賃貸の初期費用についてもっと詳しく→
賃貸契約に必要な初期費用(敷金礼金など)の相場はどのくらい? 安くする方法は?引越し費用は?
引越しの際に発生する主な費用は、引越し業者への依頼費用、梱包材費、運搬費などです。業者を利用する費用は、運送距離や荷物の量、引越し時期によって決まります。
荷物が少ない単身世帯が引越す場合の、費用の目安(平均)は以下のとおりです。
| 繁忙期(2月〜4月) | 通常期(5月〜1月) | |
|---|---|---|
| 全平均 | 61,131円 | 47,878円 |
| ~15km未満 (同市区町村程度) |
45,893円 | 38,853円 |
| ~50km未満 (同都道府県程度) |
51,626円 | 41,679円 |
| ~200km未満 (同一地方程度) |
66,981円 | 52,739円 |
| ~500km未満 (近隣地方程度) |
82,848円 | 65,933円 |
| 500km以上 (遠距離地方程度) |
99,820円 | 81,359円 |
「同じ繁忙期でも3月上旬や4月中旬以降だと、一番費用が高い時期を避けられます。時期をずらせられるのであれば、できるだけ通常期に引越すことをおすすめします」(鈴木さん/以下同)

一人暮らしの新生活に必要な家具・家電の費用相場は、すべて新品で揃える場合、以下のようになります。
| 家具・家電 | 費用の目安 |
|---|---|
| 照明器具 | 5000~8000円 |
| 冷蔵庫 | 3万~4万円 |
| 洗濯機 | 3万~4万円 |
| エアコン(6畳用) | 5万~7万円 |
| 炊飯器 | ~1万円 |
| 電子レンジ | 9000~1万5000円 |
| 掃除機 | 3000~1万円 |
| カーテン | 2000~6000円 |
| 布団やベッド | 布団:1万円 ベッド:1万5000~3万円 |
| テーブル、デスク | 8000~1万5000円 |
| ドライヤー | 4000~6000円 |
| 収納家具 | 3000~1万円 |
「最近は、照明やエアコンが初めから備わっている物件もあります。また、炊飯器やトースターは不要な人もいるので、ライフスタイルに応じて後回しにしてもよいかもしれません。まず最低限揃えて、あとから必要なものを買い足すとムダにならずにすむでしょう」

一人暮らしの家具・家電についてもっと詳しく→
一人暮らしに必要なもの「家具」「家電」はこれ! 一人暮らしを始める前にリストで要チェック
一人暮らしの初期費用は、工夫次第で大きく節約が可能です。ここでは、家賃や引越し費用を抑える方法について紹介します。
初期費用の中で、もっとも大きな割合を占めるのが家賃関連の費用です。家賃が安ければ、それにともなう敷金・礼金、仲介手数料なども低く抑えられます。
「例えば、急行が止まらない駅や、最寄駅から少し離れたエリアでは家賃が低い傾向があり、コスト削減になります。ただし、駅から遠すぎると通勤・通学が大変になり、結果的に交通費がかさんでしまう可能性もあるので注意が必要です。
また、オートロックがない物件は家賃が低い傾向にありますが、セキュリティー性は下がるため、とくに女性の場合は周辺環境も含めてよく検討が必要です」
「不動産会社に支払う仲介手数料は家賃1カ月分と消費税が法定上限ですが、あくまで最大値です。不動産会社によっては、貸主から手数料を受け取り、借主の負担をゼロとしているケースもあります。入居者がなかなか決まらず、早く物件を貸したい場合などは、交渉の余地があるかもしれません」
「一般的に、2月〜4月の繁忙期は賃貸物件の動きが活発で、競争が激しいため価格が上がりがちです。逆に、閑散期であれば交渉しやすく、敷金・礼金の割引に応じてもらえる可能性があります。閑散期は、引越しにかかる費用を抑えられるのもメリットです」

「月の途中で入居すると、その月の家賃を日割りで支払う必要があります。例えば15日に入居すると家賃の半額が発生するため、入居日を月初めに設定するのも一つの節約方法です」
最近は敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」も増えています。ただし、その分家賃が高めに設定されていたり、退去時にクリーニング費用がかかったりすることがあるため、契約内容をよく確認することが重要です。
「設備が古かったり、駅から遠かったり、借り手がなかなか見つからないためゼロゼロにしていることもあります。そのため、事情をよく確認しておきましょう。
また、ゼロゼロだと確かに契約時の負担は減りますが、家賃が相場より高いケースでは長期的には高くつくことも。そのため、どれだけの期間住むかも含め、長期的な視野で検討する必要があります」
ゼロゼロ物件についてもっと詳しく→
賃貸のゼロゼロ物件とは? 何がゼロで初期費用はかかるの? デメリットや注意点はある?
フリーレント物件とは、一定期間の家賃が無料になる契約形態のことです。家賃が無料になる期間は日割り家賃分、前家賃分、入居から3カ月分などさまざまですが、その分初期費用を抑えられます。
「フリーレントでは、一定期間の家賃を無料にする一方、契約期間内に解約すると違約金が発生するケースがあります。入居後に不満があって短期間で引越ししたい場合でも、違約金が気になり我慢することになりかねない点は理解しておきましょう」
フリーレントについてもっと詳しく→
フリーレントとは?1カ月無料?落とし穴や隠れたデメリットに気をつけよう
家具・家電付き物件を選ぶと、初期費用を大幅に削減できます。ただし、家賃が割高になる可能性が高いため、長期間住む場合は購入したほうがコストを抑えられる可能性があります。家具・家電付き物件は、「短期大学を卒業するまでの2年間しか住まない」など、そこに住むのが短期間だと分かっている場合におすすめです。

家具家電付き物件についてもっと詳しく→
家具家電付きマンション:アパートは初期費用が安い?
「引越し費用は時期や距離だけでなく、業者によっても大きく異なります。私の経験では、同じ距離・同じ荷物でも見積もりで4倍以上の差があったことがあります」
引越しの見積もりは、一括で複数社に見積もり依頼を出せるサービスを利用すると便利です。
すべて新品で揃えると費用がかさむため、中古品やリサイクルショップを活用するとコストを抑えられます。
「どうしても新品で揃えたい場合は、最近は家電のサブスクサービスもあり、短期間の利用と分かっているなら選択肢になるでしょう。もしくは、家電量販店の『一人暮らし向け家電セット』を選ぶのもおすすめです」
一部の不動産会社では、敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用をクレジットカードで支払える場合があります。クレジット払いにすると、引き落とし日まで支払いを先延ばしできます。事前にカード払いに対応しているかを不動産会社に確認してみましょう。
「もし使える場合でも、分割払いにすると利息が発生するため、長期的な負担が増えることを考慮して利用するようにしてください」

家賃のクレジットカード払いについてもっと詳しく→
家賃のクレジットカード払いやスマホ決済はできる?
親から資金援助を受けるのもひとつの方法です。年間110万円以内であれば贈与税がかからず、返済の義務なく資金を受け取れます。
「援助ではなく、借りることを相談するのもよいでしょう。ただし、返済の約束をしっかり決めておくことが重要です」
支援を受ける際には、金額や返済の有無を明確にし、必要に応じて借用書を作成するとトラブルを防げます。
一人暮らしを始めると、毎月の生活費が継続的にかかります。収入と支出のバランスを考えながら、無理なく暮らしていくためには、あらかじめシミュレーションしておくことが大切です。
「生活費の目安は、住宅費に手取りの25~30%、光熱費、食費、通信費、日用品などの生活費用に25〜30%程度。残りの40〜50%は、貯蓄や交際費、趣味、緊急時の支出に充てるのが理想と考えます。物件を探すときも、手取りの25%を家賃の目安にすると、無理なく暮らしやすくなります。
とはいえ、都心では家賃が手取りの25%以内に収まらず、実際にはもう少し高くなることも少なくありません。そのときには、固定費と変動費のバランスをみながら調整するとよいでしょう。
また、新居に引越すときには財布のヒモが緩みがちですが、初期費用を払ったあとでも、2〜3カ月分の生活費が手元に残る資金計画を立てるようにしてください」

一人暮らしの生活費についてもっと詳しく
→一人暮らしの生活費、いくらかかる? 食費や電気代の平均は? 収入別に内訳をシミュレーション
→手取り25万円の生活費の相場は?
最後にあらためて鈴木さんに、これから一人暮らしを検討している人に向けてのアドバイスを伺いました。
「家賃の予算を決めずに物件を探し始めると、つい素敵な物件に目移りし、結果的に思ったよりも高くなってしまいがちです。新生活に余裕を持たせるならば、手取りの25%を家賃の目安としておくとよいでしょう。
一人暮らしの初期費用については、家族以外からの借金をしないことも重要です。今回ご紹介した工夫をすべて試し、まずはあらかじめ決めた50万円という予算内に収めるようにしてみてください」
家賃が10万円を超えると、賃貸契約時の初期費用だけで50万円を超える可能性がある
50万円の予算内に収めるには、ゼロゼロ物件を探す、閑散期に引越すなど工夫が必要
手取り月収の25%を家賃上限に定め物件を探すと、新生活に余裕を持てる