一人暮らしの初期費用は50万円で足りる?内訳と節約術を詳しく解説

公開日 2025年06月20日

一人暮らしの初期費用は50万円で足りる?内訳と節約術を詳しく解説

一人暮らしの初期費用は50万円が目安といわれていますが、本当にそれで足りるのかな?と気になっている人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、一人暮らしの初期費用の内訳や相場の目安について、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに詳しく伺い解説します。コストを抑える方法や、費用が不足しそうな場合の対処法なども紹介します。

一人暮らしの初期費用とは? 50万円で本当に足りる?

一人暮らしの初期費用とは、一人暮らしを始める際にかかる費用のことです。一般的には以下の3つが含まれます。

  • 賃貸契約時にかかる費用
  • 引越し費用
  • 家具・家電の購入費

初期費用が50万円で足りるかは、この3つの合計をいかに抑えられるかがポイントです。まずは、初期費用50万円が何にかかるのか、それぞれの内訳をみていきましょう。

一人暮らしの賃貸契約時にかかる初期費用の内訳と相場は?

賃貸契約時の初期費用をシミュレーション

SUUMOでみると、東京23区内におけるワンルームの家賃相場は5.9万〜11.2万円となっています(2025年4月現在)。これをふまえ、家賃6万円、8万円、10万円のそれぞれのケースで、賃貸契約時にかかる初期費用をシミュレーションしてみました。

費用の種類 初期費用の目安
家賃6万円の場合 家賃8万円の場合 家賃10万円の場合
敷金(家賃の1カ月分の場合) 6万円 8万円 10万円
礼金(家賃の1カ月分の場合) 6万円 8万円 10万円
仲介手数料(上限) 6.6万円 8.8万円 11万円
保証会社利用料 3万〜6万円 4万〜8万円 5万〜10万円
火災保険料 0.4万〜1万円 0.4万〜1万円 0.4万〜1万円
鍵交換費用 1万〜2万円 1万〜2万円 1万〜2万円
日割り家賃(30日までの月の16日に入居の場合) 3万円 4万円 5万円
初月の前家賃 6万円 8万円 10万円
合計 32万〜36.6万円 42.2万〜47.8万円 52.4万〜59万円
※ファイナンシャルプランナー監修のもと編集部にて試算
※各費用は契約の内容などにより幅があります
この表の場合、初期費用における敷金・礼金・仲介手数料の割合は約50〜60%、日割り家賃・前家賃の割合は約25〜30%になる(図表/SUUMO編集部作成)
家賃と賃貸契約時の初期費用の関係
賃貸契約時の初期費用は、家賃がいくらなのかによって大きく変動する(イラスト/あべさん)

住みたい街の家賃相場を知ろう!

駅から家賃相場をチェックする

賃貸契約時の初期費用の総額は、家賃が高くなるほど上がっていくことが分かります。同じ東京23区内でも、中心に近くなるほど家賃相場は高いため、賃貸契約時の初期費用だけで50万円を超えることもあるでしょう。駅ごとの家賃相場は下のリンクからご確認ください。

住みたい街が決まっていないなら、ランキングも参考に

詳しくない地域に引越す人や、「どこに住もうかな?」と迷っている一人暮らし初心者さんは、ランキングをチェックしてみるのもおすすめです。きっと「住んでみたい」と思える魅力的な街が見つかるでしょう

住み続けたい街・住みたい街についてもっと詳しく
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住みたい街ランキング

一人暮らしの賃貸契約時にかかる初期費用の内容とは

賃貸契約時には、敷金や礼金、仲介手数料、保証会社利用料、火災保険料、鍵交換費用、日割り家賃、初月の前家賃などの費用がかかると分かりました。これらがそれぞれどのような費用なのか、詳しい内容を知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

一人暮らしの引越し費用の内訳と相場は?

引越しの際に発生する主な費用は、引越し業者への依頼費用、梱包材費、運搬費などです。業者を利用する費用は、運送距離や荷物の量、引越し時期によって決まります。

荷物が少ない単身世帯が引越す場合の、費用の目安(平均)は以下のとおりです。

繁忙期(2月〜4月) 通常期(5月〜1月)
全平均 61,131円 47,878円
~15km未満
(同市区町村程度)
45,893円 38,853円
~50km未満
(同都道府県程度)
51,626円 41,679円
~200km未満
(同一地方程度)
66,981円 52,739円
~500km未満
(近隣地方程度)
82,848円 65,933円
500km以上
(遠距離地方程度)
99,820円 81,359円
※SUUMO引越し見積もりの「引越し費用・料金の相場」を参考に編集部が作成

「同じ繁忙期でも3月上旬や4月中旬以降だと、一番費用が高い時期を避けられます。時期をずらせられるのであれば、できるだけ通常期に引越すことをおすすめします」(鈴木さん/以下同)

引越し風景
引越し費用は、荷物の量と距離だけでなく、繁忙期かどうかによっても変わる(画像/PIXTA)

一人暮らしの家具・家電購入にかかる費用の目安は?

一人暮らしの新生活に必要な家具・家電の費用相場は、すべて新品で揃える場合、以下のようになります。

家具・家電 費用の目安
照明器具 5000~8000円
冷蔵庫 3万~4万円
洗濯機 3万~4万円
エアコン(6畳用) 5万~7万円
炊飯器 ~1万円
電子レンジ 9000~1万5000円
掃除機 3000~1万円
カーテン 2000~6000円
布団やベッド 布団:1万円
ベッド:1万5000~3万円
テーブル、デスク 8000~1万5000円
ドライヤー 4000~6000円
収納家具 3000~1万円
出典/SUUMO編集部調べ(2024年9月)

「最近は、照明やエアコンが初めから備わっている物件もあります。また、炊飯器やトースターは不要な人もいるので、ライフスタイルに応じて後回しにしてもよいかもしれません。まず最低限揃えて、あとから必要なものを買い足すとムダにならずにすむでしょう」

一人暮らしで買うものを考える人
「買ったけれどもほとんど使わない」ものは意外と多い(イラスト/あべさん)

一人暮らしの初期費用が50万円を超える! コストを抑える方法は?

一人暮らしの初期費用は、工夫次第で大きく節約が可能です。ここでは、家賃や引越し費用を抑える方法について紹介します。

家賃が低い物件を探す

初期費用の中で、もっとも大きな割合を占めるのが家賃関連の費用です。家賃が安ければ、それにともなう敷金・礼金、仲介手数料なども低く抑えられます。

「例えば、急行が止まらない駅や、最寄駅から少し離れたエリアでは家賃が低い傾向があり、コスト削減になります。ただし、駅から遠すぎると通勤・通学が大変になり、結果的に交通費がかさんでしまう可能性もあるので注意が必要です。

また、オートロックがない物件は家賃が低い傾向にありますが、セキュリティー性は下がるため、とくに女性の場合は周辺環境も含めてよく検討が必要です」

仲介手数料がかからない物件を見つける

「不動産会社に支払う仲介手数料は家賃1カ月分と消費税が法定上限ですが、あくまで最大値です。不動産会社によっては、貸主から手数料を受け取り、借主の負担をゼロとしているケースもあります。入居者がなかなか決まらず、早く物件を貸したい場合などは、交渉の余地があるかもしれません」

閑散期に探す

「一般的に、2月〜4月の繁忙期は賃貸物件の動きが活発で、競争が激しいため価格が上がりがちです。逆に、閑散期であれば交渉しやすく、敷金・礼金の割引に応じてもらえる可能性があります。閑散期は、引越しにかかる費用を抑えられるのもメリットです」

12月の引越し
単身者の引越しは8月、11月、12月が比較的安い(画像/PIXTA)

日割り家賃がかからないようにする

「月の途中で入居すると、その月の家賃を日割りで支払う必要があります。例えば15日に入居すると家賃の半額が発生するため、入居日を月初めに設定するのも一つの節約方法です」

敷金・礼金なしの物件(ゼロゼロ物件)を探す

最近は敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」も増えています。ただし、その分家賃が高めに設定されていたり、退去時にクリーニング費用がかかったりすることがあるため、契約内容をよく確認することが重要です。

「設備が古かったり、駅から遠かったり、借り手がなかなか見つからないためゼロゼロにしていることもあります。そのため、事情をよく確認しておきましょう。

また、ゼロゼロだと確かに契約時の負担は減りますが、家賃が相場より高いケースでは長期的には高くつくことも。そのため、どれだけの期間住むかも含め、長期的な視野で検討する必要があります」

フリーレント物件を利用する

フリーレント物件とは、一定期間の家賃が無料になる契約形態のことです。家賃が無料になる期間は日割り家賃分、前家賃分、入居から3カ月分などさまざまですが、その分初期費用を抑えられます。

「フリーレントでは、一定期間の家賃を無料にする一方、契約期間内に解約すると違約金が発生するケースがあります。入居後に不満があって短期間で引越ししたい場合でも、違約金が気になり我慢することになりかねない点は理解しておきましょう」

家具家電付き物件を探す

家具・家電付き物件を選ぶと、初期費用を大幅に削減できます。ただし、家賃が割高になる可能性が高いため、長期間住む場合は購入したほうがコストを抑えられる可能性があります。家具・家電付き物件は、「短期大学を卒業するまでの2年間しか住まない」など、そこに住むのが短期間だと分かっている場合におすすめです。

家具・家電付きの部屋
家具・家電付きの物件を選べば、初期費用を大きく抑えられる(画像/PIXTA)

家具家電付き物件についてもっと詳しく→
家具家電付きマンション:アパートは初期費用が安い?

引越し業者は相見積もりを取る

「引越し費用は時期や距離だけでなく、業者によっても大きく異なります。私の経験では、同じ距離・同じ荷物でも見積もりで4倍以上の差があったことがあります」

引越しの見積もりは、一括で複数社に見積もり依頼を出せるサービスを利用すると便利です。

家具や家電は中古品を検討する

すべて新品で揃えると費用がかさむため、中古品やリサイクルショップを活用するとコストを抑えられます。

「どうしても新品で揃えたい場合は、最近は家電のサブスクサービスもあり、短期間の利用と分かっているなら選択肢になるでしょう。もしくは、家電量販店の『一人暮らし向け家電セット』を選ぶのもおすすめです」

一人暮らしの初期費用が足りない場合の対処法は?

クレジットカードで払う

一部の不動産会社では、敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用をクレジットカードで支払える場合があります。クレジット払いにすると、引き落とし日まで支払いを先延ばしできます。事前にカード払いに対応しているかを不動産会社に確認してみましょう。

「もし使える場合でも、分割払いにすると利息が発生するため、長期的な負担が増えることを考慮して利用するようにしてください」

カード払い
クレジットカードで支払うと、賃貸契約時の出費を先送りできる(画像/PIXTA)

家賃のクレジットカード払いについてもっと詳しく→
家賃のクレジットカード払いやスマホ決済はできる?

家族の支援を受ける

親から資金援助を受けるのもひとつの方法です。年間110万円以内であれば贈与税がかからず、返済の義務なく資金を受け取れます。

「援助ではなく、借りることを相談するのもよいでしょう。ただし、返済の約束をしっかり決めておくことが重要です」

支援を受ける際には、金額や返済の有無を明確にし、必要に応じて借用書を作成するとトラブルを防げます。

毎月の生活費もシミュレーションしておこう!

一人暮らしを始めると、毎月の生活費が継続的にかかります。収入と支出のバランスを考えながら、無理なく暮らしていくためには、あらかじめシミュレーションしておくことが大切です。

「生活費の目安は、住宅費に手取りの25~30%、光熱費、食費、通信費、日用品などの生活費用に25〜30%程度。残りの40〜50%は、貯蓄や交際費、趣味、緊急時の支出に充てるのが理想と考えます。物件を探すときも、手取りの25%を家賃の目安にすると、無理なく暮らしやすくなります。

とはいえ、都心では家賃が手取りの25%以内に収まらず、実際にはもう少し高くなることも少なくありません。そのときには、固定費と変動費のバランスをみながら調整するとよいでしょう。

また、新居に引越すときには財布のヒモが緩みがちですが、初期費用を払ったあとでも、2〜3カ月分の生活費が手元に残る資金計画を立てるようにしてください」

一人暮らしの生活費
まずは自分のライフスタイルにあわせ、割合を調整してみよう(イラスト/あべさん)

家賃は手取りの25%を目安に! 余裕のある資金計画を立てよう

最後にあらためて鈴木さんに、これから一人暮らしを検討している人に向けてのアドバイスを伺いました。

「家賃の予算を決めずに物件を探し始めると、つい素敵な物件に目移りし、結果的に思ったよりも高くなってしまいがちです。新生活に余裕を持たせるならば、手取りの25%を家賃の目安としておくとよいでしょう。

一人暮らしの初期費用については、家族以外からの借金をしないことも重要です。今回ご紹介した工夫をすべて試し、まずはあらかじめ決めた50万円という予算内に収めるようにしてみてください」

まとめ

家賃が10万円を超えると、賃貸契約時の初期費用だけで50万円を超える可能性がある

50万円の予算内に収めるには、ゼロゼロ物件を探す、閑散期に引越すなど工夫が必要

手取り月収の25%を家賃上限に定め物件を探すと、新生活に余裕を持てる

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