賃貸の保証金とは?返ってくるもの? 敷金・礼金との違いは?

最終更新日 2023年08月29日
賃貸の保証金とは?返ってくるもの? 敷金・礼金との違いは?

賃貸契約時に支払うことになる敷金・礼金ですが、関西などでは「保証金」の場合があります。
賃貸の保証金とは何か、償却せずに返ってくるものなのか、敷金・礼金とは何が違うのか、今回は賃貸の保証金について関西の住宅事情に詳しい、一般社団法人住まいる総合研究所の井口さんに教えてもらいました。

賃貸の保証金とは?償却されるもの?

契約時に貸主に預けるお金

西日本以外で家探しをする場合にはあまり聞かない“保証金”ですが、関西や九州の一部地域では、賃貸物件を契約する際に貸主に預けるお金として、保証金というものがあります。保証金は敷金・礼金とは異なる商習慣で、敷金・礼金に加えて支払うものではありません。

賃貸の場合、借り手には原状回復義務がありますが、保証金はその原状回復費用などに用いられるほか、家賃を滞納していた場合はその補てんにも使われます。そして、それらの費用を差し引いた保証金の一部は、退去時に返還されます。

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原状回復とは、借りていた住宅を退去するときに、入居時の状態に部屋を戻すことを指します。経年劣化などではなく、借り手の不注意や故意による汚れや破損は、修理費を請求されるのが一般的です(画像/PIXTA)

「保証金はもともと関西の商習慣ではありますが、最近ではあまり見かけなくなり、関西でも、全国的に浸透している、敷金・礼金を採用している物件の方が増えてきました。保証金をとる物件が減ってきた理由としては、賃貸物件を探す際、インターネットなどでの分かりやすさや、全国展開の不動仲介業者などが首都圏のルールを関西でも採用するようになったことで、商習慣に地域差がなくなってきたということが考えられます」(井口さん、以下同)

敷金・礼金との違いは?賃貸の保証金に消費税はかかるの?

保証金と敷金の目的は同じ

では、賃貸物件を借りるときに通常支払う敷金・礼金と、保証金は何が違うのでしょうか。

「保証金は原状回復費用などに充てられ、残った分は返還されるものなので、敷金とほぼ同じ目的で貸主に預けるお金です。ただし、敷金の場合、補修費用などを差し引いた残金は全額返還されるのに対し、保証金は、契約時に“敷引き“という特約がついていることが多く、敷引きとして取り決めた一定額は返還されません」

もともと関西圏では礼金の文化がなかったという背景があり、敷引きで差し引かれる分は、礼金と同様に貸主の収入になります。つまり、敷引きと礼金はほぼ同じ意味合いだと考えておけばいいでしょう。

保証金は非課税対象

保証金は敷金・礼金とほぼ同義ということで、敷金・礼金同様、居住用の賃貸住宅の場合、消費税はかかりません。ただし、事業用の場合は退去時に返還されない部分については消費税の対象となります。

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(画像/PIXTA)

保証金の目安は賃料の3~5カ月分?高い?

敷金・礼金を支払う場合、敷金や礼金の目安はそれぞれ賃料の1~2カ月分が相場。つまり、敷金・礼金の合計額としては大体2~4カ月程度ですが、保証金の目安は敷金・礼金のケースよりも少し高くなり、賃料の3~5カ月分程度だそうです。

「バブル景気のころは保証金が家賃の10カ月分などという物件もあり、関西は首都圏に比べて、賃貸物件を借りる際の初期費用が多くかかるというイメージを持っている人も少なくないかもしれません。しかし、現在では関西圏でも借り手がより借りやすいよう、初期費用を抑えた物件が以前よりも増えていると思います。

また、最近は関西でも敷金・礼金が主流になってきたため、保証金の場合も、全国的な敷金・礼金の金額と同程度のものがほとんどです。ただ、関西圏では更新時に更新料を徴収する習慣がないためか、その分首都圏の物件よりも、保証金、敷金・礼金共に費用相場は若干高めの傾向があると思います」

保証金のケースでも、敷金・礼金のケースでも、関西圏の方が少し首都圏よりも費用相場は高いそうですが、契約時にかかる費用が少し高くても、更新料がかからないということであれば、長く住むほど、総費用はその分抑えられるということになります。

賃貸の保証金はどの位返金される?

敷引きの金額を契約時にきちんと確認し、いくら返還されるのか計算しよう

保証金は敷金同様、退去時に返還されるお金ですが、敷引きがいくらに設定されているかによって、返還される金額が変わってきます。

「以前は、保証金のほとんどは敷引きで返還されないということも珍しくありませんでしたが、最近では、敷引きの相場は、礼金の相場と同程度の家賃の1~2カ月分という物件が多くなってきていると思います。また敷引きの場合は、“家賃の何カ月分”という設定のほかに、家賃にかかわらず“何万円”という風に具体的な金額で設定されていることも少なくありません」

例えば、「保証金40万円の内、敷引きとして20万円」という契約の場合、保証金40万円から敷引きとして20万円を差し引くと残りの金額は20万円。そこから、原状回復費用などを捻出し、残った分が借り手に返還されることになります。

敷引き特約の内容が返金される金額を左右するため、保証金の場合は、契約時に敷引きがいくらになるのかきちんと確認するようにしまししょう。

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(画像/PIXTA)

最近は関西でもあまり見かけなくなったという保証金ですが、住み慣れた街以外で家探しをする際は、その地域独自の商習慣について知っておくと、スムーズに物件探しを進められそうですね。

まとめ

賃貸の保証金とは賃貸物件を契約する際、担保として貸主に預けるお金のこと

敷金とほぼ同じ意味の言葉で、退去時に原則返還される

敷引きの特約が付く場合、取り決めた一定額は返還されない

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取材・文/島田美那子、SUUMO編集部 
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