賃貸物件を借りるには連帯保証人が必要、と思っている人も多いはず。ところが最近では、連帯保証人を立てる代わりに、保証料を支払って賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用するケースも増えている。ここでは賃貸保証会社(=保証会社)とはどのようなものなのか、その利用の仕方について詳しく解説していこう。
賃貸保証会社とは、そもそもどんな役割があるのだろう。賃貸物件の管理運営を手がけるハウスメイトマネジメントの伊部尚子さん、SIREの木津雄二さんに聞いてみた。
これまで賃貸物件を借りるには、入居者が家賃を支払えなくなった場合に、代わりに支払い義務を負う「連帯保証人」を立てることが一般的だった。
ところが「最近は親や親戚に連帯保証人を頼みづらい、親が高齢や無職などで頼めないなど、連帯保証人を立てることのハードルが高くなってきました。そこで、お金を支払うことで連帯保証人の代わりをしてくれる、保証会社を利用するケースが増えてきたんです」(伊部さん)
「賃貸保証料は最近では初年度で家賃の0.5カ月~1カ月分が目安。翌年以降は下がるのが一般的で、1年間、保証料を滞納せずに支払うことで保証会社から信用を得られるからなんですよ。また、保証会社やプランによっては、滞納などで退去となった場合に入居者から回収できなかった原状回復費用や鍵の交換代まで出してくれるものも(賃貸保証会社から入居者に請求)。大家さんや管理会社がなるべく保証内容の手厚いプランを利用しようと考えると、料金は高くなる傾向にあります」
賃貸保証会社に支払う費用を抑えたいと考える人もいるだろう。ただし「保証会社は仲介する不動産会社から指定されているケースがほとんどです」と木津さん。「保証会社によっては、というのが前提となりますが、次のような方法で安くできることもあります」
「保証会社によっては、連帯保証人がいる場合、初回の保証委託料が安くなるプランがあります」(木津さん)。連帯保証人を立てられるなら、そのようなプランを利用できるか確認しよう。ただし、連帯保証人がいても、保証会社を利用することが決まりとなっていることもあります。
「月額保証料を支払うことで、初回保証料が0円になるというプランのある保証会社もあります。地域や保証会社によって違うので、利用できるか不動産会社に聞いてみましょう」
「一部の企業の法人契約の場合は、保証会社なしで契約できるケースもあります。ただし、上場企業など、一部の企業に限られますが、該当するかもしれない場合は確認してみましょう」
「賃料を2年間分、一括払いにすることで、保証会社を外すことができるケースもあります」。ただし、もちろん初期費用は高額になります。
「保証料そのものが安くなるわけではありませんが、初期費用の支払いを後ろ倒しにでき、ポイントも貯まります。不動産会社によって可能なことがあるので、確認してみましょう」
用語解説 連帯保証人
保証会社を利用することで初期費用はかかるが、メリットも大きい。
「まず、入居審査が通りやすいというのが最大のメリットです。例えば親が退職している(※)、持ち家でない、収入が非常に低いなどの場合も、親戚に頭を下げて連帯保証人になってもらうなど、人を巻き込むことなく、お金だけで解決することができます」
契約するプランにより、家賃は大家さんや管理会社に支払うケースと、保証会社に支払うケースに分かれる。どちらに支払う場合も、滞納がないようにする必要があるが、もし何らかの事情で払えない場合は「それが分かった時点で相談を」と伊部さん。
「一番良くないのは、督促の電話に出ないこと。連絡が取れなくなると、親に連絡せざるを得なくなるなど、どんどん事態が大きくなっていきます。相談してもらえば、支払える方法を一緒に考えられるかもしれないので、支払い先に連絡を入れましょう」
※伊部さんのお話によると、親が退職していても過去に勤めていた会社名や年収、現居住地が持ち家かどうかなどで、連帯保証人として成立するケースもあるそう。ここの判断は大家さん次第とのことなので、一度相談してみてもいいだろう。
賃貸保証会社を利用すると、初期費用は増えるが、連帯保証人を立てる必要がなくなることで、気苦労や手続きの手間も少なくてすむ。ただし、連帯保証人を頼める人がいる場合、賃貸保証会社への支払いが不要なこともあるので、物件ごとにどんな決まりになっているのか確認しよう。
賃貸保証会社(家賃保証会社)はお金を払うことで連帯保証人の代わりをしてくれる
賃貸保証料は初年度で家賃の0.5カ月~1か月分が目安。翌年以降は下がるのが一般的
賃貸保証会社(家賃保証会社)利用の最大のメリットは入居審査に通りやすくなること
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