不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

土地の分筆登記とは? 相続した土地を分けるための手続き・注意点・費用・メリットデメリットを解説

土地の分筆登記とは? 相続した土地を分けるための手続き・注意点を解説

「分筆(ぶんぴつ)」とは、ひとつの土地を複数に分けることを意味します。分筆には、厳密な測量や製図、隣接地所有者との境界の確認、境界標の設置など、高度な専門性を要するため、通常は国家資格を有した専門家(土地家屋調査士)に依頼することになります。
ただし、専門家に依頼するからといって、すべてを任せきっていいわけではありません。ここでは
・分筆がどのような手順で進められるのか
・分筆によってどのような書類が作成されるのか
・分筆する際に踏まえておきたい注意点
などについて解説していきます。

記事の目次

そもそも分筆とは? なんのために分筆する?

「筆」とは、土地の数を表す単位です。そして「分筆」とは、もとは一筆だった土地を複数に分けることを意味します。
なお、不動産には「登記」といって、権利関係などを公に示す制度があります。よほど特殊なケースでない限り、分筆前の土地も登記されているはずですが、分筆した際には、法務局で土地の登記記録を分けることになります。これを「分筆登記」といいます。下図のように、分筆前の土地の所在地が「●●町3丁目6番」だった場合、分筆後は「●●町3丁目6番1」「●●町3丁目6番2」として別々に登記することになります。

土地の分筆の例

(画像/SUUMO編集部)

では、どのようなケースで分筆の必要性が生じるのでしょうか。以下で、よくある例をご紹介します。

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【分筆の目的例1】親が亡くなり、故人名義の土地を複数の子どもで分け合って相続する場合

上で示した図に当てはめると、分筆前の土地を所有していた親が亡くなり、その子ども二人で相続する場合などが該当します。土地を二筆に分筆することで、それぞれの所有権を明確にできます。
なお、このようなケースでは、土地を分筆せず、一筆の土地を子ども二人の共有名義にするという手法があります。ただし、兄は売却したいと思っている一方、弟は所有し続けたいと思っているなど、意見が割れてしまうと、兄の一存で売却することはできません。相続後、早期に売却してそのお金を分け合うなど、方針がはっきりしていて相続人の間で合意形成できている場合以外は、分筆したほうが無難でしょう。

複数の子どもが土地を相続したイメージ

【分筆の目的例2】土地の一部を売却したい場合

上で示した図に当てはめると、左側の土地を所有し続け、右側の土地を売却したいというケースなどが該当します。売却すると、売った土地の所有権を買主側に移すことになるため、前もって分筆しておく必要が生じるわけです。

【分筆の目的例3】親所有の土地の一角に、子どもが家を建てる場合

下図のように、親世帯の家がある敷地の一角に、子ども世帯が新たに家を建てるというケースです。

親所有の土地に子が家を建てる場合のイメージ図

(画像/SUUMO編集部)

建築基準法には「一敷地一建物」という原則があります。文字どおり、ひとつの敷地内に建てられる建物は原則ひとつだけという考え方です。実際に「一敷地」をどう設定するかは、特殊な場合を除いて建築主に委ねられていて、厳密な定義がありません。このため、必須ではありませんが、分筆によって土地を分けておくほうが、所有権・建築基準法の両側面で明快になります。
なお、このケースでは、分筆ではなく「敷地分割」という手法もあります。
既に触れたとおり、分筆では厳密に測量してから現地に境界標を設置しますが、敷地分割は図面上の線引きだけで済みます。新居の設計を担当する建築士などに建築基準法に沿った分け方を想定してもらえばいいので、分筆の費用を抑えられます。一方、敷地分割の場合は既存住宅についても建築基準法に適合するように敷地を分ける必要があります。このため、既存住宅についても建築士などに確認してもらう必要がありますが、法的確認作業については、基本的に別途費用がかかるものと思っておきましょう。
さらに、敷地分割した場合、土地の所有者は親のままになるという点にも注意が必要です。住宅ローンを借り入れて住まいを新築する場合、大半のケースで土地を担保にする必要があります。分筆せずに住宅ローンを組むと、机上で想定した親世帯部分も含めて土地全体を担保にすることになります。万一返済が滞ったりした場合、親世帯部分も含めて債権者が差し押さえてしまう恐れがあるわけです。

分筆とは逆の「合筆」もある

一筆の土地を複数に分ける分筆とは逆に、互いに接している複数の土地を一筆にまとめる「合筆(ごうひつ/がっぴつ)」という手続きもあります。
登記記録上、複数筆に分かれていると、登記名義人の住所が変わった際の住所変更登記や、売却時の所有権移転登記などの登記手続きは筆数分必要になります。つまり、余計な費用や手間がかかってしまうのです。特に分けておく必要がない場合は、合筆しておいたほうがいいでしょう。
また、土地は、方形に近いほうが使い勝手がいいので、売却時に有利になります。下図のように、不整形地の隣接地を買い取って整形地にすると、購入金額を差し引いてもトータルで利益を高められることがあります。この場合も、必要に応じて合筆登記しておくといいでしょう。

隣接地を買い取って整形地にするイメージ図

(画像/SUUMO編集部)

分筆したい場合、誰に依頼すればいい?

法律では、分筆業務に代理人として従事できるのは、国家資格「土地家屋調査士」の有資格者のみと定められています。また、分筆後の土地に建物を建てられる敷地面積の最低限度など、建築敷地に対して自治体が独自に制限を定めている場合もあります。このため、分筆したい場合は、対象の土地があるエリアに精通した土地家屋調査士に依頼するといいでしょう。全国各地域に「土地家屋調査士会」があるので、コンタクトを取って紹介してもらうことも可能です。
なお、不動産の登記には、「表示登記」「権利登記」の2種があります。表示登記は、登記事項証明書の「表題部」に該当します。「表題部」には、対象とする土地を特定できるように、土地の所在や地番、地目などが記載されます。また、権利登記は、「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」が該当します。甲区には所有権に関する情報が、乙区には抵当権など、所有権以外の権利に関する情報が記載されます。
分筆の前後で所有権に変更がない場合、分筆登記は土地家屋調査士に依頼するだけで済みます。一方、相続や生前贈与などで、所有者が変わる場合は、表示登記に関する部分は土地家屋調査士に、権利登記に関する部分は司法書士に手続きを依頼することになります。
もちろん、それぞれを自身で探し出して依頼することも可能ですが、まったく当てがなくてどこに声をかければいいのか分からないという人も少なくないでしょう。土地家屋調査士と司法書士は、業務上密接な連携をとることが多いので、互いに懇意にしている事務所があるものです。このため、どちらか一方から他方を紹介してもらうのも手です。
例えば、土地の一部を売却するためや、遺産分割のために分筆するような場合は、土地家屋調査士に依頼し、司法書士は必要に応じて土地家屋調査士から紹介してもらうといいでしょう。一方、相続にともなって分筆したいものの、相続人の間でスムーズに話がまとまらないという場合などは、分筆前の遺産分割協議から司法書士や弁護士の力を借りることになります。こうしたケースでは、司法書士や弁護士から土地家屋調査士を紹介してもらうといいでしょう。

登記事項証明書の見本

(出典/法務局)

分筆のメリットとデメリット

分筆にかかる費用や所要期間は諸条件で変わる

隣接地との境界標の有無や、土地そのものの広さ、分ける筆数など、分筆にかかる費用や所要期間は諸条件で変わってきますが、基本的に40万円~50万円(場合によってはそれ以上)の費用を要し、完了まで数カ月単位で時間がかかります。これだけのお金と時間を費やして分筆するからには、それに見合うだけの目的が不可欠。また、目的が適切でなければ、分筆したことでかえって不利益につながってしまうことさえあります。ここでは、分筆のメリットとデメリットについて解説していきます。

【分筆のメリット1】遺産分割が明快になる

分筆の目的例1でも触れましたが、複数の相続人が分筆せずに一筆の土地を共有名義にして相続すると、名義人全員が合意しない限り、売却や建物の新築ができません。「売却して現金化したい」「自身の住まいを建てたい」など、土地の活用法に関する考え方が相続人によって異なる場合は、権利関係を明確にできる分筆が有効です。

【分筆のメリット2】農地に住まいを建てられるようになることも

不動産登記法では、土地の用途を意味する「地目」を登記記録に記載することになっています。地目は「宅地」「山林」「原野」など20種類以上ありますが、基本的に建築基準法を順守していれば、地目が「宅地」以外の土地にも住まいを建てられます。ただし、建築後は地目を宅地に変更することが義務付けられています。
しかし、地目が「田」「畑」だった場合、注意が必要です。農地法によって売却や農地以外の用途で活用することが制限されているからです。つまり、地目が「田」「畑」になっている土地では、所有者の一存で住まいを建て、後から地目を「宅地」に変更するというわけにはいかないのです。
「田」「畑」に建物を建てたい場合は、地域の農業委員会に届け出て、転用の許可を取る必要があります。地域によって難易度は変わりますが、土地が広大な場合はすべてを転用の対象とするより、一部を分筆した上で宅地にしたいという申し出のほうが、比較的許可を取り付けやすくなるようです。

農地イメージ

(写真/PIXTA)※写真はイメージです

【分筆のデメリット1】分筆で売却が難しくなることもある

詳しくは注意点として後述しますが、建物を建てる場合、対象となる土地は一定以上道路に接している必要があります。これを「接道義務」といいますが、接道義務をクリアしながら一筆の土地を複数に分けると、使い勝手が悪い形状の土地ができて、売却したくても買い手がつかないといった事態に陥る恐れがあります。また、分筆によって地域の需要に見合わないような面積にしてしまう場合も、同様のリスクがあります。
相続にともなう場合でも、明らかに上記のようなデメリットが生じるなら、無理に分筆せずに一筆のまま売却し、売却代金を分け合うほうが賢い選択になるということも覚えておきましょう。

【分筆のデメリット2】税負担が増えてしまうことも

不動産を所有していると固定資産税という税金が課せられます。土地の場合、住宅が建っていると「住宅用地の軽減措置特例」を適用できるため、何もない更地より税額を抑えられます。
この点を踏まえ、下図のように分筆する場合で考えてみましょう。分筆前の土地なら、全体に軽減措置を適用できます。ところが、分筆すると、建物が立っていないほうの土地は更地と見なされ、更地部分には軽減措置を適用できなくなります。つまり、分筆によって固定資産税の総額が増えてしまう可能性もあるわけです。
分筆によって税負担がどのように変わりそうなのかは、土地家屋調査士や税理士に相談してみるといいでしょう。

分筆したために税負担が増える例

(画像/SUUMO編集部)

【分筆のデメリット3】思うような建物を建てられなくなる恐れも

土地の広さや地域によって、土地の上に建設できる建物の大きさには制限が設定されています。これらは「建ぺい率」や「容積率」として示されますが、いずれも算出には敷地面積が用いられます。簡単に言えば、土地が広いほど大きな建物を建てられるわけですが、当然、分筆すれば各土地の面積は分筆前より小さくなります。分筆後の土地の面積によっては、自分が求める大きさの家を新築できなくなったり、既存住宅の増改築が不可能になったりという恐れがあるのです。
分筆後に住まいの新築や既存住宅の増改築などを想定している場合は、ハウスメーカーや建築士などに相談して、どのように土地を分けるべきか確認しておきましょう。また、先に触れた敷地分割の話題と同様、分筆後の既存住宅が適法になるかどうかの確認には、別途費用がかかることがあるという点も覚えておきましょう。

分筆を進める手順は?

本記事冒頭に記しましたが、分筆を土地家屋調査士に依頼したからといって、すべて任せきりで済むわけではありません。必要書類の有無の確認や境界確認の立ち会いなど、要所要所で依頼者自身も動く必要が出てきます。以下で紹介する手順を参考に、どのようなタイミングで何が必要になるのかを踏まえ、できるだけ効率的に進めましょう。

【STEP1】委託する土地家屋調査士を選定する(依頼者)

候補選びでは、インターネットで、対象の土地があるエリア名と「土地家屋調査士」をキーワード入力して探すのが手っ取り早い方法です。また、先にも触れましたが、全国各地域には「土地家屋調査士会」という組織があります。対象地域の土地家屋調査士会に相談して紹介してもらうのも手です。
いずれの場合も、複数の土地家屋調査士(事務所)とコンタクトを取り、概算見積もりを出してもらいましょう。この際、分筆したいと思っている土地について、以下のような情報を提供できれば、見積もりの精度が高くなります。ただし、境界確認書以外は第三者でも管轄法務局で調べられるので、必須ではありません。

・土地の登記情報(法務局が保管)
・地積測量図や公図(土地の所在地や形状、面積などについて記した図面。法務局が保管)
・隣接地の所有者と境界について交わした境界確認書(関係者個々で保管)

【STEP2】土地に関する情報を法務局などで収集(土地家屋調査士)

これから分筆する土地に関する情報が必要になります。依頼者の手元に登記情報や地積測量図などがない場合は、分筆業務を委託された土地家屋調査士が、法務局などで公的な資料を確認・収集します。

【STEP3】隣接地の所有者に挨拶(土地家屋調査士・依頼者)

分筆するには、隣接地との境界にある既存の境界標の再確認や、新たな境界標の設置などの作業が生じます。これらには、隣接地の所有者の立ち会いや承諾、押印なども必要になります。このため、土地家屋調査士は、実作業に入る前に関係する土地所有者のもとを訪問して挨拶します。
挨拶の際は、相手にとって見ず知らずの土地家屋調査士が単独でまわるより、依頼者も同行して一緒に事情を説明するほうが、話をスムーズに進められるものです。必須ではありませんが、できるだけ土地家屋調査士と一緒にまわるようにしましょう。

訪問販売イメージ

(写真/PIXTA)

【STEP4】既存の境界標を確認し、分筆前の土地の現況を測量(土地家屋調査士)

土地家屋調査士は、隣接地や公道などの公共用地との境界に、下写真のような境界標があるかどうかを確認します。その上で、既存の境界標がある場所、新たな境界標の設置が必要となる場所などから、土地の現況を測量し、現況測量図を作成します。
分筆後の土地に家を新築したい、分筆後の土地を一部売却したいといった場合は、土地家屋調査士からもらった現況測量図をもとに、どのような分け方が適切なのか、ハウスメーカーや建築士、不動産仲介会社などに相談してみるといいでしょう。
ちなみに、分筆前の土地に関して地積測量図や境界確認書があり、図面上で示された場所に境界標が現存する場合、分筆のための作業は最低限で済みます。つまりコストを抑えられて、分筆登記完了までの所要期間を短くできるわけです。
逆に、地積測量図や境界確認書がなく、新たに隣接地との境界線を設定しなければならないような場合は、隣接地の所有者や隣接する公共用地の所有者である国・自治体との間で確認・合意形成する必要があります。こうしたケースではコストがかさみますし、所要期間も数カ月レベルに長期化します。

境界標イメージ

(写真/PIXTA)

【STEP5】関係者全員の立ち会いのもと、境界を確認する(土地家屋調査士・依頼者)

公図や地積測量図などの公的な資料や、STEP4で作成した現況測量図をもとに、関係者全員が立ち会って既存の境界標の位置や新たに設置する境界標の位置などを確認し合います。ここでいう関係者全員とは、分筆対象地の所有者、隣接地の所有者、役所の担当職員などです。境界確認の段取りや事前通知などは土地家屋調査士が代行してくれます。
また、当日の立ち会いも土地家屋調査士に委任することが可能ですが、後々の不要なトラブルを回避するためにも、可能な限り依頼者自身も立ち会うようにしたいところです。

【STEP6】必要に応じて新たな境界標を設置し、境界確定測量を実施(土地家屋調査士)

分筆前の土地の地積測量図がない場合や、地積測量図はあるものの、図面に記されている場所に境界標が見つからない場合などは、STEP5で実施した境界確認に基づいて、土地家屋調査士は新たな境界標を設置します。この際、土地家屋調査士は、新たに「土地境界図」を作成するとともに「境界確認書」を用意し、隣接地の所有者から、土地境界図で示した境界を認める旨の署名・押印をもらいます。
その上で改めて測量し、新たな測量図を作成します。境界線について全関係者が同意していることから、これを「境界確定測量」と呼びます。
ちなみに、分筆前の土地の地積測量図に基づいて境界確認書を取り交わしてあり、分筆時にも隣接地との境界標の位置が変わらない場合、新たに「境界確認書」を用意する必要はありません。

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●地積測量図の例

地積測量図の例

(出典/盛岡地方法務局)
●境界確認書の例

境界確認書の例

(画像提供/吉川登記測量事務所)

【STEP7】新たな確定測量図を基に、土地の分け方を決める(依頼者)

隣接地との境界線を確定させたところで、土地の分け方を決めます。将来、どのように土地を活用したいのかによって、どのような分け方が最適なのかは変わってきますから、建築士や不動産仲介会社などからアドバイスをもらいながら、ベストな分け方を考えましょう。
これまで触れてきたとおり、土地の分け方には建築基準法や地域の条例なども考慮に入れる必要があります。これらについては、後述の注意点で具体的にご紹介します。
土地の分け方が決まったら、その内容を土地家屋調査士に伝え、土地の分割点に境界標を設置してもらいます。

【STEP8】土地の分筆登記を実施(土地家屋調査士・司法書士)

隣接地との境界・土地の分け方が確定したら、土地家屋調査士は地積測量図を作成し、分筆登記を実施します。先に触れたとおり、土地家屋調査士の業務領域は登記記録の表題部分(表示登記)になりますから、相続や生前贈与などにともなう分筆で、分筆後の土地の所有者が変わる場合は、司法書士にも依頼することになります。

分筆する際の注意点とは?

分筆手続きのことだけを考えるなら、建築基準法や消防法などで定められている制限を問わず、依頼者の望む形で土地を分けることが可能です。しかし、将来的な売却や運用を視野に入れるなら、自身だけでなく他の人にとってもできるだけ望ましい形で分筆することが重要になります。ここでは、土地の分け方の注意点についてご紹介します。

建築基準法の接道義務を順守する

都市計画区域に指定されている地域では、家屋などの建物がある土地は、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があると建築基準法で定められています(下図例1)。これを「接道義務」といいますが、この点を守らずに分筆してしまうと(下図例2)、図内の赤い部分は、建物を建てられない(=市場では価値のない)土地になってしまいます。
地域によっては、接する道路の幅などの条件が、よりシビアに定められていることもあります。売却する、自宅を建てる、賃貸アパートなどの収益不動産を建てるなど、活用法はさまざまですが、法律や条例でどのような制約があるのかを踏まえた上で土地の分け方を考える必要があります。

接道義務のイメージ図

(画像/SUUMO編集部)

地域で定められた建築敷地面積の最低限度を守る

都市景観や火災時の対応などに配慮し、自治体によっては建物を建てることができる土地面積の最低限度を条例として定めているところもあります。分筆で、この条例に見合わないような狭い土地にしてしまうと、売却や建物新築などの検討時に、自身が困ることになります。このような観点からも、分筆時には、地域のルールに精通した土地家屋調査士に依頼したいところです。

できるだけ市場ニーズに見合った形状にする

土地は、公道に接している部分が広いほど、形状が四角形に近いほど有効活用しやすくなります。分筆で土地を分ける際にも、この点を踏まえ、三角形などの不整形地をつくらないようにしたいところです。ここまでに触れた接道義務や面積の最低限度との兼ね合いもあるので、建築士や不動産仲介会社にアドバイスをもらって、できるだけ価値を高く維持できる形で分けるようにしましょう。

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市場ニーズに見合った形状に分割するイメージ

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まとめ

  • 土地を複数に分けることを分筆という。目的や現況によって、分筆したほうがいい場合と、分筆するとむしろマイナスになる場合があるので要注意
  • 分筆したい場合、土地家屋調査士に依頼することになる。費用や所要期間は、土地の現況や希望する土地の分け方によって変わってくる。基本的な手順を踏まえた上で、まずは見積もりをとってみる
  • 基本的に、分筆の手続き上は土地の分け方に制限はないが、法律・条令や市場ニーズなども踏まえて分けないと、まったく価値のない土地になりかねないので注意が必要

●取材協力
吉川登記測量事務所 土地家屋調査士
吉川純一さん

イラスト/石山好宏

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構成・取材・文/竹内太郎
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