土地を相続したら税金はいくらかかる? 相続税の計算方法、控除や特例を解説

土地を相続したら税金はいくらかかる? 相続税の計算方法、控除や特例を解説

親から土地を相続すると、相続税がかかる場合があります。土地の相続税はいくらかかるのか。税額の計算方法や、負担が軽減される控除や特例を解説します。

土地にかかる相続税の基本知識

相続税とは

相続税は親などが死亡したときに財産を相続した人に課税される税金です。相続した財産が一定額を超えた場合は、超えた部分の財産に対して課税されます。

相続税の申告は、死亡した人(被相続人)が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内が期限です。

葬儀のイメージ
(写真/PIXTA)

相続手続きの流れ

相続税を申告するためには、いくつかの手続きが必要になります。

まず相続が発生したら、被相続人とその財産を相続する人(相続人)の戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。

被相続人が遺言書を残している場合は、開封する前に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。ただし公正証書による遺言の場合は検認は不要です。

被相続人の遺産と債務を調べ、目録や一覧表を作成します。葬式費用は遺産から差し引けるので、領収書などは保管しておきます。

土地や建物などの財産を、法律などで定められた方法によって評価します。

相続人が複数の場合は遺産を分割しますが、遺言書がない場合は、相続人全員で分割について協議をし、遺産分割協議書を作成します。
もし期限までに協議書が作成できなかった場合は、民法に規定する法定相続分に従って相続税を申告することになります。

これらの手続きが済んだら、期限までに相続税を申告し、納税します。
申告書の提出先は相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地を所轄する税務署になります。

相続手続きの流れ

相続人の確認

遺言書の有無の確認

遺産と債務の確認

遺産の評価

遺産の分割

申告と納税

相続税の計算方法

相続税の計算の流れ

遺産の分割が確定したら、相続税を計算して申告・納税します。
相続税を計算する場合は、以下の手順に沿って計算します。

相続税の計算の流れ

各相続人の課税価格の計算

課税価格から借入金や葬儀費用を差し引く

基礎控除額を差し引く

相続税の総額の計算

各相続人の相続税額の計算

それぞれの手順について解説しましょう。

各相続人の課税価格を計算する

相続税を計算するには、まず相続人ごとに相続税がかかる財産の額(課税価格)を計算します。

相続税がかかるのは、現金や預貯金、土地、建物、有価証券などのほか、貸付金や著作権など経済的な価値のあるものも含まれます。
また、被相続人の死亡退職金や死亡保険金、死亡する前3年以内に被相続人から贈与された財産、被相続人から生前に相続時精算課税の適用を受けて贈与された財産なども相続財産に加算されます。

逆に以下の財産は相続税がかからないので、相続財産には含まれません。

相続税がかからない主な財産

・墓地や墓石、仏壇など
・被相続人の生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数」までの部分
・被相続人の退職手当金等のうち「500万円×法定相続人の数」までの部分
・相続財産のうち申告期限までに国や自治体、特定の公益法人に寄付したもの

課税価格から借入金や葬儀費用を差し引く

相続財産の課税価格からは、被相続人が残した借入金や葬儀費用を差し引くことができます。

被相続人に課せられるはずだった所得税などの税金で、被相続人の死亡後に相続人などが納付することになったものについても、債務として遺産総額から差し引けます。

ただし被相続人が生前に購入したお墓の未払い代金など、課税対象でない財産についての債務は差し引くことができません。

なお葬儀費用には香典返しの費用や、墓地や墓石の購入費用、初七日や法事の費用などは含まれず、遺産相続から差し引くことはできません。

お墓のイメージ
(写真/PIXTA)

基礎控除額を差し引く

各相続人の課税価格が計算できたら、それらの合計額を計算します。
次に課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求めます。

課税価格の合計額−基礎控除=課税遺産総額

基礎控除額は以下の計算式で求めます。

相続税の基礎控除額の計算式
3000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人の場合、基礎控除額は「3000万円+(600万円×3人)」で4800万円になります。
この場合、相続する遺産の総額(課税価格の合計額)が4800万円以下であれば、相続税はかかりません。

相続税の総額を計算する

課税遺産総額が求められたら、各相続人が法定相続分どおりに取得したものとして、各相続人の取得金額を求めます。

課税遺産総額×各法定相続人の法定相続分=法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額(1000円未満切り捨て)

次に、各法定相続人の取得金額に税率をかけて算出税額を計算します。
税率は下記の表のとおりで、税率をかけてから控除額を差し引いた額が算出税額です。

法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額×税率=算出税額

相続税速算表(2015年1月1日以後の相続開始の場合)
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
~1000万円 10%
~3000万円 15% 50万円
~5000万円 20% 200万円
~1億円 30% 700万円
~2億円 40% 1700万円
~3億円 45% 2700万円
~6億円 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

各法定相続人の算出税額を求めたら、それを合計して相続税の総額を計算します。

各法定相続人の算出税額の合計=相続税の総額

各相続人の相続税額を計算する

相続税の総額を計算したら、相続人が実際に相続した財産の課税価格に応じて按分し、相続人ごとの税額を計算します。

相続税の総額×各相続人の課税価格÷課税価格の合計=各相続人の税額

実際に納税する額は、上記の税額からさらに配偶者の税額軽減など各種の税額控除を差し引いて計算します。
ただし相続人が被相続人の配偶者や父母、子ども(子どもが死亡している場合は孫)以外の場合は、税額控除を差し引く前の税額に2割を加算します。

各相続人の税額+相続税額の2割加算−各種の税額控除=各相続人の控除後の税額(赤字の場合は0)

さらに相続時精算課税分の贈与税相当額がある場合は控除後の税額から差し引き、赤字の場合は赤字分が還付されます。

各相続人の控除後の税額−相続時精算課税分の贈与税相当額=各相続人の納付税額(赤字分は還付)

土地の相続税評価額

相続税評価額とは

相続税の課税対象となるのは被相続人から相続した財産なので、土地や建物があればそれも含まれます。
相続税の財産評価の原則は時価です。しかし土地・建物については相続税を計算するときの金額が市場で付けられている取引相場の価格ではなく、実務上、公平性の確保、納税者の便宜のため定められた画一的な方法で評価します。
これが相続税評価額と呼ばれるものです。

不動産のうち建物(家屋)については固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。
固定資産税評価額とは固定資産税などを計算するために自治体が設定する土地・建物の評価額のことです。

土地については路線価方式と倍率方式のいずれかの方法で評価します。

相続税のイメージ
(写真/PIXTA)

路線価方式による評価額

国税庁により路線価が定められている地域(主に市街地)では、路線価方式で土地の評価額を求めます。
路線価とは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1m2当たりの価格のことで、千円単位で表示されています。

路線価方式では、路線価をその土地の形状などに応じた補正率で補正し、土地の面積をかけて計算します。
例えば土地の奥行きが極端に長いと住宅を建てたりしにくくなるため、奥行価格補正率で路線価が減額される仕組みです。

仮に間口が10m、奥行が16mの土地が路線価20万円の道路に面していたとしましょう。
この場合、奥行価格補正率は1.00になるので、路線価(正面路線価)に土地面積をかけた3200万円がこの土地の評価額になります。

路線価方式による評価額の計算例

倍率方式による評価額

路線価が定められていない地域では、土地の評価額は倍率方式によって計算されます。
これは、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算する方式です。

倍率は地域ごとに国税庁が定めており、路線価とともに国税庁のホームページに掲載されている路線価図で確認できます。

例えばある土地の固定資産税評価額が2000万円で倍率が1.1とすると、その土地の相続税評価額は「2000万円×1.1=2200万円」となります。

路線価のイメージ
(写真/PIXTA)

相続税が軽くなる控除と特例

贈与税額控除

相続人が被相続人から生前に贈与を受けた財産のうち、相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産は、相続税の課税価格に加算されます。

そのため、加算された贈与財産を贈与されたときに払った贈与税は、相続税を計算するときに控除されることになります。

加算される贈与財産は、贈与税がかかっていたかどうかは関係ありません。
したがって、基礎控除額110万円を下回る贈与財産や、被相続人が死亡したときに贈与された財産も加算の対象です。

ただし、以下の財産については加算する必要はありません。

相続税の対象に加算されない贈与財産

(1)贈与税の配偶者控除の特例(2000万円控除)の適用を受けた金額に相当する贈与額
(2)直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額
(3)直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額
(4)直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額

最大1億6000万円の配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者が実際に取得した遺産額については、以下の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。
これを配偶者の税額軽減と呼びます。

(1)1億6000万円
(2)配偶者の法定相続分相当額

この税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産が対象です。
相続税の申告期限までに分割されていない財産は軽減の対象になりません。

配偶者の軽減税率のイメージ
(写真/PIXTA)

未成年者控除

相続人が未成年者の場合は、相続税の額から一定金額が差し引かれます。
この「未成年者控除」が受けられるのは相続時の年齢が20歳未満で、法定相続人である人です。

未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数に10万円をかけた額です。
1年未満の期間は切り上げて1年として計算します。

例えば未成年者の年齢が14歳7カ月の場合は以下の金額になります。

未成年者控除の計算例(未成年者の年齢が14歳7カ月のケース)

(20歳−14歳7カ月)×10万円=5歳5カ月×10万円=6×10万円=60万円

なお、未成年者控除額がその未成年者の相続税額より大きい場合は、引ききれない金額をその未成年者の扶養義務者の相続税から差し引くことができます。

小規模宅地等の特例

被相続人が住んでいた自宅を相続する場合、一定の条件を満たすとその住宅の土地の課税価格が330m2の部分まで20%に減額される「小規模宅地等の特例」を受けられます。

この特例の主旨は、被相続人が住んでいた自宅を相続し、そこを自宅として住む人について相続税の負担を大幅に軽減するというものです。
したがって特例が受けられるのは被相続人の配偶者や、その自宅に同居していた親族であることが原則です。

被相続人に配偶者や同居親族がいなかった場合は、自宅を所有・居住していない親族、いわゆる「家なき子」も特例の対象になります。
家なき子とは、相続開始前3年以内に自分や配偶者の所有する家に住んだことがない親族のことです。
相続した家に住まなくても特例が適用されますが、相続税の申告期限(相続発生の翌日から10カ月以内)までその家を所有していなくてはなりません。

小規模宅地等の特例が受けられる人の条件(特定居住用宅地の場合)

(1) 被相続人の配偶者
(2) 被相続人と同居していた親族
(3) (1)、(2)のいずれもいない場合の主な条件は、相続開始前3年以内に自分や配偶者の所有する家に住んだことがない親族。ただし、以下の場合を除く
・相続開始前3年以内に、3親等内の親族または特別の関係のある法人が所有する家に居住したことがある人
・相続開始時に住んでいた家を過去に所有していたことがある人

なお、被相続人との二世帯住宅に住んでいた親族は「同居」と見なされます。
ただし、親世帯と子世帯の建物の名義が異なる「区分所有建物登記」となっている場合は特例の対象になりません。

また、被相続人が老人ホームなどに入居していた場合、要介護認定や要支援認定を受けていることなど一定の要件を満たせば、同居親族に特例が適用されます。

その他の控除

相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税額から一定の金額が差し引かれます。
この障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数に10万円(特別障害者の場合は20万円)をかけた額です。
1年未満の期間は切り上げて1年として計算します。

被相続人が死亡する10年以内に被相続人が相続などで財産を取得して相続税が課されていた場合は、その被相続人から相続などで財産を取得した人の相続税から一定金額が控除されます。
例えば祖父が死亡したときに父が財産を相続して相続税を支払い、その後10年以内に父が死亡して子に相続税がかかるケースなどが対象です。
この相次相続控除は相続税の負担が重すぎないよう、前回の相続税額のうち1年につき10%の割合で減額した金額を控除しようという制度です。

相続税の税額イメージ
(写真/PIXTA)

相続税申告の手続きと期限

納税の期限

相続などで取得した財産と、相続時精算課税により贈与を受けた財産の合計額が相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納税が必要です。
逆に、基礎控除額を超えなければ申告も納税も必要ありません。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行う必要があります。
例えば、1月10日に死亡した場合には、その年の11月10日が申告期限です。
期限が土曜、日曜、祝日などの場合は、その翌日が期限になります。

相続税の納税期限も、申告期限と同じです。
納税は税務署のほか、金融機関や郵便局の窓口でもできます。
また現金での一括納税だけでなく、所定の要件を満たせば、何年かに分けて納める延納や相続財産で納める物納を選ぶことも可能です。

相続税申告のイメージ
(写真/PIXTA)

相続した土地を売却する場合

親から相続した土地を売却する場合、売却益が出ると譲渡所得が課税の対象になります。
相続した土地を売却したときの譲渡所得を計算する際は、取得費については親がその土地を購入したときの購入代金や購入費用などから求めます。

この取得費を計算する際に、相続したときの相続税のうち一定額を取得費に加算できる特例があります。
これを「取得費加算の特例」と呼びます。

取得費加算の特例を利用できる要件は以下のとおりです。

取得費加算の特例を利用できる要件

・相続などにより財産を取得していること
・その財産を取得した際に相続税が課税されていること
・その財産を、相続開始の日の翌日から3年10カ月以内に売却していること

親から相続した土地を売却したときの取得費に加算できる相続税額は、以下の計算式で求めます。

取得費に加算できる相続税額の計算式

相続税額×売却した土地の課税価格÷(相続した財産の合計の課税価格+債務控除額)

※債務控除額とは死亡した被相続人が残した借入金など遺産総額から差し引ける債務額のこと

つまり、納めた相続税のうち売却した土地に対応する税額分を取得費に加算できるということになります。

なお、前述の小規模宅地等の特例を利用すると相続税を軽くすることができますが、取得費に加算できる相続税も少なくなる点に注意が必要です。
親から相続した土地を売却する予定があるなら、小規模宅地等の特例で相続税を減らすほうがトクか、小規模宅地等の特例を受けずに売却時に取得費加算の特例を受けたほうがトクか、比較して選ぶようにしましょう。

相続放棄をする場合

法定相続人の範囲は民法で定められており、死亡した人の配偶者は常に相続人となり、その子どもは第1順位の相続人となります。
さらに死亡した人の父母や祖父母は第2順位、兄弟姉妹は第3順位です。
第1順位の人やその子や孫がいなければ第2順位の人が、第2順位の人もいなければ第3順位の人が法定相続人になります。

ただし、相続を放棄した人は初めから相続人ではなかったものと見なされます。
相続を放棄するには、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
相続放棄の申述をせず、単に相続財産を取得しなかった人は相続を放棄したことにはなりません。

もし被相続人の財産に占める土地の比率が大きく、その土地の条件が悪いため利用したり売却したりすることが困難な場合、相続を放棄することを検討してもいいでしょう。
もし相続を放棄しなければ、その土地を保有しているだけで固定資産税などのコストが負担になることも考えられるからです。

相続放棄の申述の手続きには、申述書や被相続人の住民票除票などの書類が必要です。
3カ月の期限に間に合うよう、相続放棄をする場合は早めに準備をしましょう。

相続のイメージ
(写真/PIXTA)
まとめ

相続税は親などが死亡したときに遺産を相続した人に課せられる税金です。

相続財産の合計額から、法定相続人の人数に応じた基礎控除額を差し引いた金額に対して相続税がかかります。

土地の価格は路線価などによって計算された相続税評価額に基づいて相続税の税額が計算されます。

相続税には配偶者や未成年者、障害者などを対象とした控除があります。

親の自宅を相続した場合は、一定の要件を満たせば土地の課税価格が評価額の20%に減額される小規模宅地等の特例を利用できます。

相続税の申告と納税は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内が期限です。

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構成・取材・文/大森広司 監修/税理士法人タクトコンサルティング 情報企画部
公開日 2020年11月27日
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