【3000万円特別控除とは】マイホーム売却で知っておきたい制度と適用条件を解説

【3000万円特別控除とは】マイホーム売却で知っておきたい制度と適用条件を解説

マイホームを売却して売却益が出ると所得税などの課税対象になりますが、各種の控除や特例で税負担を軽減できます。
なかでも多くの人が利用する3000万円特別控除について、制度の内容や適用条件などを解説しましょう。

マイホームの売却益を計算する方法

譲渡所得とは

マイホームを売却したときに売却益が出ると、所得税の課税対象になります。
この所得税の課税対象となる売却益のことを「譲渡所得」と呼びます。

マイホームなどの不動産の譲渡所得に課税される所得税は、給与所得などほかの所得に課税される所得税とは別に計算されます。
これを「分離課税」と呼びます。

譲渡所得はマイホームの売却代金を元に計算されますが、売却代金そのものではありません。
売却代金からそのマイホームを買ったときの価格や諸費用、さらに売ったときの諸費用も差し引いて計算します。

これを税務上の用語で表すと、「譲渡所得は収入金額から取得費と譲渡費用を控除した金額」ということになります。
計算式にすると以下のとおりです。

譲渡所得の計算式

譲渡所得=収入金額(譲渡価額)−(取得費+譲渡費用)−特別控除額

収入金額とはマイホームを売却した金額のことで、譲渡価額ともいいます。
つまり売却した金額が収入であり、そこから仕入価格や費用を差し引いて所得を計算するわけです。

また、特別控除額とは、不動産の譲渡所得の場合、後述する3000万円特別控除などのことです。

取得費とは

譲渡所得を計算するために収入金額から差し引く費用は、取得費と譲渡費用です。
このうち取得費とは売却したマイホームを買ったときの費用を指します。

具体的には、マイホームの購入代金や建築代金です。
また仲介手数料や各種税金、リフォーム費用なども含まれます。

取得費になるもの

・売却した不動産の購入代金や建築代金
・購入時にかかった税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)
・仲介手数料
・リフォーム費用
・住宅ローンの借り入れから入居までにかかった利子

減価償却費の求め方

取得費のうち建物、たとえば住宅家屋の購入代金や建築代金については、買ったときの代金がそのまま取得費になるわけではありません。
建物は時間の経過によって価値が減少していくので、その減少分を減価償却費として差し引く必要があるのです。譲渡所得に対する課税は、売買等を機に、取得した資産の値上がり益を精算して課税する考え方です。このため価値の減少は、逆に差し引かないと適正な利益の計算ができないわけです。

減価償却費の計算方法は建物が事務所や賃貸住宅など事業用か、自宅など非事業用かで異なります。
非事業用であるマイホームの減価償却費は以下の計算式で求めます。

非事業用不動産の減価償却費の計算方法

減価償却費=(建物購入代金+建物購入費用)×90%×償却率×経過年数

計算式の中の償却率は建物の用途や構造で以下のように変わります。

建物種別の耐用年数と償却率
非事業用 事業用
種別 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率
木造 33年 0.031 22年 0.046
鉄筋コンクリート造 70年 0.015 47年 0.022

また経過年数は建物を取得してから売却するまでの年数で、6カ月以上であれば1年に切り上げ、6カ月未満であれば切り捨てます。

譲渡費用とは

譲渡費用とはマイホームを売却したときの費用です。
具体的には以下のような費用が挙げられます。

譲渡費用になるもの

・仲介手数料
・売買契約時の印紙税
・貸していた不動産を売るため、借家人に物件を明け渡してもらうために支払った立退料
・売買契約締結後、さらに有利な条件で売るために最初の契約者に支払った違約金
・借地上の不動産を売るときに地主の承諾を得るために支払った名義書換料など

譲渡費用は売却の際に直接支払った費用なので、修繕費や固定資産税など所有期間中にかかった費用は含まれません。
ただし、買主からの要請で行ったリフォーム費用は譲渡費用と認められるケースがあります。

【計算例】6000万円で売却した場合の譲渡所得

5000万円で買ったマンションを、10年後に6000万円で売った場合の譲渡所得を計算してみましょう。

まず収入金額は売った価格の6000万円です。
実際には固定資産税と都市計画税の精算金も含みますが、ここでは省略します。

取得費は購入価格に購入時費用を加え、建物の減価償却費を引いて計算します。
減価償却費は建物価格と建物分費用の合計の90%にマンション(鉄筋コンクリート造)の償却率0.015をかけた額です。
これらを計算すると、取得費は4638万4000円になります。

譲渡費用は売却時の仲介手数料と売買契約時の印紙税で合計207万6000円です。

譲渡所得は収入金額6000万円から取得費4638万4000円と譲渡費用207万6000円を引いた金額となり、計算すると1154万円になりました。

譲渡所得の計算例
<設定条件>

住宅の種別/マンション
購入価格/5000万円(建物価格4000万円、土地価格1000万円)
購入時費用/200万円(建物分160万円、土地分40万円)
経過年数/10年
売却価格/6000万円
譲渡費用/207万6000円

建物分の減価償却費=(建物価格4000万円+建物分費用160万円)×90%×償却率0.015×経過年数10年=561万6000円
建物分の取得費=建物価格4000万円+建物分費用160万円−減価償却費561万6000円=3598万4000円
土地分の取得費=土地価格1000万円+土地分費用40万円=1040万円
取得費の合計額=建物分の取得費3598万4000円+土地分の取得費1040万円=4638万4000円

譲渡所得=収入金額※(売却価格6000万円)−(取得費4638万4000円+譲渡費用207万6000円)=1154万円
※固定資産税精算金などは省略

マイホームの売却益にかかる税金

譲渡所得課税とは

譲渡所得課税とは不動産を売却したときの譲渡所得にかかる所得税などのことです。
税額は譲渡所得に税率をかけて計算します。

税率は売却したマイホームを所有していた期間によって変わります。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」と呼び、短期譲渡所得の税率は所得税と復興特別所得税、住民税を合わせて39.63%、長期譲渡所得は同じく20.315%です。

譲渡所得課税の税率
【短期譲渡所得】(所有期間5年以下)

譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

【長期譲渡所得】(所有期間5年超)

譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

なお、所有期間の数え方については「売却した年の1月1日時点」で判定されるので注意が必要です。
実際の所有期間が5年を超えていても、その年の1月1日時点では5年以下と判定されるのです。
長期譲渡所得として低い税率の適用を受けるには、5年経った年の翌年以降に売却する必要があります。

【計算例】短期譲渡所得の場合の税額

具体的に譲渡所得課税の税額がいくらになるのか計算してみましょう。
下記は5000万円で購入したマンションを3年後に6000万円で売却したケースについて、短期譲渡所得の税額を試算したものです。
それによると、760万8800円の譲渡所得に対し、税額は301万5300円となっています。

所有期間3年の短期譲渡所得のケース
<設定条件>

住宅の種別/マンション
購入価格/5000万円(建物価格4000万円、土地価格1000万円)
購入時費用/200万円(建物分160万円、土地分40万円)
所有期間(経過年数)/3年
売却価格(収入金額)/6000万円
譲渡費用(売却費用)/207万6000円

譲渡所得

収入金額(売却価格6000万円)-取得費(購入価格5000万円+購入費用200万円-減価償却費168万4800円※1)-譲渡費用(売却費用207万6000円)=760万8800円

税額

760万8800円×39.63%=301万5300円(100円未満切り捨て)

※1 減価償却費=(建物価格4000万円+建物分購入費用160万円)×90%×償却率0.015×経過年数3

【計算例】長期譲渡所得の場合の税額

長期譲渡所得の場合の税額も計算してみましょう。
下記は5000万円で購入したマンションを8年後に6000万円で売却したケースです。
試算の結果、1041万6800円の譲渡所得に対して211万6800円の税額になりました。

このように購入価格と売却価格が同じでも、所有期間が長いと減価償却費が大きくなり、譲渡所得の金額は大きくなります。
ただし長期譲渡所得は短期譲渡所得より税率が低いため、上記の試算では3年所有のケースのほうが税額が高くなる計算です。

所有期間8年の長期譲渡所得のケース
<設定条件>

住宅の種別/マンション
購入価格/5000万円(建物価格4000万円、土地価格1000万円)
購入時費用/200万円(建物分160万円、土地分40万円)
所有期間(経過年数)/8年
売却価格(収入金額)/6000万円
譲渡費用(売却費用)/207万6000円

譲渡所得

収入金額(売却価格6000万円)-取得費(購入価格5000万円+購入費用200万円-減価償却費449万2800円※1)-譲渡費用(売却費用207万6000円)=1041万6800円

税額

1041万6800円×20.315%=211万6100円(100円未満切り捨て)

※1 減価償却費=(建物価格4000万円+建物分購入費用160万円)×90%×償却率0.015×経過年数8

【計算例】所有期間10年以上の場合の税額

マイホームの売却では、所有期間が10年以上の場合に「マイホームの軽減税率の特例」が受けられます。
この特例は譲渡所得のうち6000万円以下の部分について税率が軽減されるというものです。

【所有期間が10年超の場合のマイホームを売ったときの軽減税率の特例】
・譲渡所得6000万円以下の部分

譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)

・譲渡所得6000万円超の部分

譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

特例を受けた場合の税額も試算してみましょう。
5000万円で買ったマンションを12年後に6000万円で売ったケースでは、以下のとおりです。

所有期間12年の長期譲渡所得(軽減税率適用)のケース
<設定条件>

住宅の種別/マンション
購入価格/5000万円(建物価格4000万円、土地価格1000万円)
購入時費用/200万円(建物分160万円、土地40万円)
所有期間(経過年数)/12年
売却価格(収入金額)/6000万円
譲渡費用(売却費用)/207万6000円

譲渡所得

収入金額(売却価格6000万円)-取得費(購入価格5000万円+購入費用200万円-減価償却費673万9200円※1)-譲渡費用(売却費用207万6000円)=1266万3200円

税額

1266万3200円×14.21%=179万9400円(100円未満切り捨て)

※1 減価償却費=(建物価格4000万円+建物分購入費用160万円)×90%×償却率0.015×経過年数12

所有期間8年のケースに比べて所有期間が長く減価償却費が大きくなりますが、税率が下がるので譲渡所得が小さくなり、税額は少なくなっています。

なお、この特例は以前住んでいたマイホームを売却したときにも適用されます。
その場合、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却するなど、一定の要件を満たす必要があります。

売却のタイミングは相場にも注意

このようにマイホームを売却したときの譲渡所得課税は、物件を所有していた期間によって税率や税額が変わります。
基本的には所有期間が長いほど税率が下がり、税額が軽くなるのです。

ただし所有期間が長いと建物の減価償却費が増えるので、上記の計算例のようなケースでは、譲渡所得が大きくなる点に注意が必要です(なお、常識的には建物自体の時価は、新築から年数がたてば通常下がると考えられ、取引の際に大幅な利益が出るほどの価格が付けられるとは考えにくいでしょう)。
所有期間の長さで税率が変わる仕組みを最大限に生かすには、所有期間の区分が変わった直後、つまり所有期間が5年または10年を超えた直後に売却するのがベストなタイミングです。

とはいえ譲渡所得は売却価格にも左右されるため、相場の動きにも注意する必要があります。
相場の先行きを正確に予測することは難しいのですが、理論的には相場が上がりきったタイミングで売却すれば売却益を最も大きくすることが可能です。

住宅の税金のイメージ
(写真/PIXTA)

3000万円特別控除とは

譲渡所得課税で使える特例・控除

これまで見てきたように、マイホームを売却したときの譲渡所得には所有期間に応じた税率で所得税などが課せられます。
ただし、一定の要件を満たせば、譲渡所得課税の特例により、冒頭で述べた特別控除額を譲渡所得から差し引くことができたり、課税そのものが繰り延べされたりします。

例えばマイホームを買い替えたときに、元の住宅の売却価格よりも高い価格の住宅に買い替えると、譲渡所得への課税が次回の売却時まで繰り延べられるのが「買換え特例」です。
また2009年か2010年に取得した土地を売却すると、譲渡所得から1000万円が差し引ける特別控除もあります。

なかでも多くのケースで利用されているのが、「3000万円特別控除」でしょう。
これは文字通り、マイホームを売却したときの譲渡所得から3000万円を控除できる制度です。

税金計算のイメージ
(写真/PIXTA)

3000万円特別控除の要件

3000万円特別控除を利用したときの税額の計算式は以下のようになります。

税額=(譲渡所得−3000万円)×税率

つまり譲渡所得が3000万円以下であれば税金がかからないというものです。

この3000万円特別控除を利用するための要件は以下のとおりです。

3000万円特別控除を利用するための要件

・住んでいる自宅を売却するか、住まなくなった日から3年目の年末までに自宅だった住宅を売却すること
・家屋を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内にその敷地の売買契約を締結し、住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること。かつ、売買契約を締結した日までその敷地を貸駐車場などに利用していないこと
・売却した年の前年または前々年に同じ3000万円特別控除、または買換え特例や譲渡損失の繰越控除を利用していないこと
・売却した家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
・災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること
・売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

要件の中でポイントになるのは、「売却した年の前年または前々年に同じ3000万円特別控除を利用していないこと」という点です。
つまりこの控除は一度利用したら2年以上経たないと再び利用できないということです。

夫婦共有なら3000万円控除も2人分

マイホームを売却したときの3000万円特別控除は、所有者1人1人が利用することができます。
したがってマイホームを夫婦で共有していた場合は、夫婦それぞれが控除を受けられるのです。

仮にマイホームを売却したときの譲渡所得が6000万円だったとしましょう。
夫婦がマンションを1対1の割合で共有していた場合、それぞれの譲渡所得は2分の1の3000万円ずつとなります。
そのため、夫婦ともに3000万円特別控除を利用すれば、2人とも税額がゼロになる計算です。

夫婦で1対1の共有にしていた場合の譲渡所得税
【設定条件】

譲渡所得:6000万円
夫婦の持分割合:1対1

夫の譲渡所得税:夫の譲渡所得(6000万円×1/2=3000万円)−特別控除(3000万円)×税率=0円
妻の譲渡所得税:妻の譲渡所得(6000万円×1/2=3000万円)−特別控除(3000万円)×税率=0円
税額合計:0円

譲渡所得が同じ6000万円でも、夫婦の持分割合によっては税金がかかるケースもあります。
例えば持分割合が夫2対妻1だとすると、夫の持分は4000万円となり、特別控除の3000万円を差し引いても1000万円の譲渡所得が残るからです。

夫婦で2対1の共有にしていた場合の譲渡所得課税
【設定条件】

譲渡所得:6000万円
夫婦の持分割合:夫2対妻1
所有期間:8年

夫の譲渡所得税:夫の譲渡所得(6000万円×2/3=4000万円)−特別控除(3000万円)×税率20.315%=203万1500円
妻の譲渡所得税:妻の譲渡所得(6000万円×1/3=2000万円)−特別控除(3000万円)×税率20.315%=0円
税額合計:203万1500円

このように持分割合に偏りがあると税額が大きくなる場合があります。
共有のマイホームを将来売却する可能性があるなら、なるべく1対1に近い持分割合にしておくほうがよさそうです。

とはいえ持分割合はマイホームを購入するときの自己資金や住宅ローンなどの出資比率に応じて決める必要があります。
夫婦それぞれの実際の出資比率と持分比率が異なっていると、贈与税が課税される可能性もあるので注意しましょう。

3000万円特別控除と住宅ローン控除は二者択一

マイホームを売却したときの譲渡所得への税金を減らすことができる3000万円特別控除ですが、自宅を買い替える際には注意が必要です。
というのも、マイホームの売却で3000万円特別控除を利用すると、買い替え先の新居で住宅ローン控除が使えなくなるからです。

具体的には、新居に入居した年と、その前の年の2年間に旧居の売却で3000万円特別控除の適用を受けていると、住宅ローン控除は使えません。
また新居に入居した年の翌年から3年以内に旧居を売却し、3000万円特別控除の適用を受けた場合も同様です。

マイホームを売却して譲渡所得が出た場合は、3000万円特別控除を利用するか、新居で住宅ローン控除を利用するか、どちらがトクかを比較して決める必要があります。

住宅ローン控除では、住宅ローンの年末残高の1%相当額を所得税や住民税から控除できます。
控除される額は新築の場合、年間で最大40万円、10年間の控除で最大400万円です。

仮に買い替え先のマイホームで住宅ローン控除を最大限利用できたとすると、400万円の税負担を減らせます。
一方、3000万円特別控除を使って400万円以上の譲渡所得課税を減らせるのは、下記のとおり短期譲渡所得では約1010万円以上、長期譲渡所得では約1969万円以上の場合です。

3000万円特別控除の方が住宅ローン控除よりトクするケース

(住宅ローン控除で400万円の減税が受けられる新築マンションに買い替える場合)

【短期譲渡所得の場合】

400万円÷税率39.63%=約1010万円
→約1010万円以上の譲渡所得があれば3000万円特別控除の方がトク

【長期譲渡所得の場合】

400万円÷税率20.315%=約1969万円
→約1969万円以上の譲渡所得があれば3000万円特別控除の方がトク

マイホームを売却したときの譲渡所得がこれらの金額以上であれば、住宅ローン控除を最大限利用できたとしても3000万円特別控除を選んだほうが税負担を減らせることになります。

住宅の税制のイメージ
(写真/PIXTA)

3000万円特別控除Q&A

3000万円特別控除に必要な手続きは?

3000万円特別控除を利用するには、売却した翌年に税務署へ申告が必要です。
申告時期は通常の所得税の確定申告と同様、2月16日~3月15日です。

申告の方法は、税務署に出向いて提出するほか、郵送で送付する方法、電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する方法などがあります。

控除を利用しても納税が必要な場合は、申告と同時期に税務署または金融機関で納付します。
あるいは申告時に振替納税の手続きをすると、指定の口座から自動引き落としとすることも可能です。

なお、住民税は特に申告をしなくても、所得税の申告書で普通徴収を選択すれば後ほど役所から納税通知書が送られてきます。
給与所得者の場合、税額が少額であれば特別徴収を選択して給与から天引きにすることも可能です。

税金を税務署に申請するイメージ
(写真/PIXTA)

手続きに必要な書類は?

3000万円特別控除の申告には所定の申告書のほか、譲渡所得の金額を計算するための「譲渡所得の内訳書」を提出する必要があります。
申告書や内訳書は税務署で配布しており、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

また添付書類として物件を取得したときと売却したときの売買契約書や仲介手数料の領収書などのコピーや、土地・建物の全部事項証明書が必要です。

このほか、売却したときに住んでいなかった物件の場合は、以前に住んでいたことを証明するための戸籍の附票などの書類も添付します。

3000万円特別控除の申告に必要な書類

・確定申告書
・譲渡所得の内訳書
・取得したときの書類(売買契約書、仲介手数料領収書など)
・売却したときの書類(売買契約書、仲介手数料領収書、増改築の請負契約書など)
・土地・建物の全部事項証明書(住まなくなってから売却した場合)

相続した不動産を売却した場合は?

親から相続した住宅を自宅として住んでいた場合、その住宅を売却したときにも3000万円特別控除を利用することができます。
しかし3000万円特別控除が利用できるのはあくまで居住用財産、つまりマイホームなので、子がその住宅に住んでいなければ控除の対象にはなりません。

不動産を売却したときの譲渡所得は、売却した価格(収入金額)からその不動産を買ったときの取得費と、売ったときの譲渡費用を差し引いた金額です。
親から相続した不動産を売却したときの取得費は、親がその不動産を取得したときの購入代金や仲介手数料などから計算することになります。

親がその不動産を取得したときの取得費が不明なときなどは、売った金額の5%を概算取得費として計算することができます。
この場合、子が相続したときに支払った登記費用や不動産取得税なども取得費に含めることができます。

譲渡所得への課税は売却した不動産を所有していた期間によって税率が異なります。
所有期間が5年以内なら短期譲渡、5年超なら長期譲渡となり、長期譲渡のほうが税率が低くなるのです。

親から相続した不動産の売却では、親が取得した時期から所有期間をカウントすることができます。
もし親がその不動産を所有していた期間が5年を超えていれば、子が相続してすぐに売却しても長期譲渡となるのです。

不動産相続のイメージ
(写真/PIXTA)

相続税を取得費に加算できる?

親から相続した不動産を売却した場合の取得費は、親がその不動産を取得したときの費用が基本ですが、さらに相続したときの相続税を加えることができます。
これを「取得費加算の特例」と呼びます。

取得費加算の特例を利用するための要件は以下のとおりです。

取得費加算の特例を利用できる不動産の要件

(1)相続などにより不動産を取得していること
(2)その不動産を取得した際に相続税が課税されていること
(3)その不動産を、相続開始の日の翌日から3年10カ月以内に売却していること

特例で取得費に加算できるのは、相続税のうち売却した不動産に対応する税額分です。
具体的には以下の計算式で求められます。

取得費に加算できる相続税額の計算式

相続税額×売却した不動産の課税価格÷(相続した財産の合計の課税価格+債務控除額)

※債務控除額とは死亡した被相続人が残した借入金など遺産総額から差し引ける債務額のこと

取得費が大きいほど不動産を売却したときの譲渡所得が小さくなり、課税額が軽くなるメリットがあります。
そのため、相続税の対策を考えるときには、相続した不動産を売却したときの譲渡所得課税についても考慮する必要があるでしょう。

相続した空き家を売却した場合は?

親のマイホームを相続して売却するときに3000万円特別控除を利用するには、相続した子がその住宅に自宅として住んでいたことが原則になります。
ただし、相続した住宅が空き家だった場合は、期間限定の特例として3000万円特別控除を受けることができます。

親のマイホームを相続した子がその土地や建物を売却し、一定の要件を満たせば譲渡所得から3000万円を控除できるのです。
これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(空き家の3000万円特別控除)と呼びます。

この特例が受けられる空き家は、以下の要件をすべて満たす必要があります。

3000万円特別控除が受けられる空き家の要件

(1)1981年5月31日以前に建築されたこと
(2)区分所有登記がされていないこと
(3)相続する直前まで親が一人暮らしをしていたこと(要介護認定等を受けて老人ホームなどに入居していた場合も含む)

また、空き家の3000万円特別控除を利用するための要件は以下のとおりです。
相続した空き家の売却で取得費加算の特例を受けている場合は、この3000万円特別控除を利用することはできません。

空き家の3000万円特別控除を受けるための要件

(1)親の住んでいた住宅と敷地を相続などにより取得し、売ったこと
(2)2016年4月1日から2023年12月31日までの間に売ったこと
(3)住宅を取り壊さずに売った場合、次の要件を満たすこと
  (イ)住宅・敷地を相続してから売却するまで事業用として使用したり、人に貸したりしていないこと
  (ロ)住宅が一定の耐震基準を満たすものであること
(4)住宅を取り壊してから売った場合、次の要件を満たすこと
  (ハ)住宅を相続してから取り壊すまで事業用として使用したり、人に貸したりしていないこと
  (ニ)敷地を相続してから売却するまで事業用として使用したり、人に貸したりしていないこと
  (ホ)取り壊してから売却するまで建物などを建てていないこと
(5)相続開始から3年目の年の12月31日までに売ること
(6)売却代金が1億円以下であること
(7)売った住宅や敷地について、相続財産を売却したときの取得費加算の特例などを受けていないこと
(8)同一の親から相続などで取得した自宅について、この特例を受けていないこと
(9)親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないこと。特別の関係がある人には、生計を一にする親族や、内縁関係にある人なども含まれる

まとめ

マイホームを売却したときの譲渡所得は、売却代金から取得したときの費用と売却したときの費用を差し引いて計算する。

譲渡所得にかかる税金は所有期間5年以下か5年超かで税率が変わり、所有期間5年以下の短期譲渡所得のほうが5年超の長期譲渡所得より税率が高くなる。

マイホームを売却したときは、譲渡所得から3000万円を差し引ける3000万円特別控除を利用できる。

夫婦共有のマイホームを売却した場合は、夫婦それぞれが3000万円特別控除を利用できる。

マイホームの買い替えでは旧居の3000万円特別控除か新居の住宅ローン控除か、どちらを利用するか選ばなければならない。

親の自宅を空き家の状態で相続した場合は、一定の要件を満たせば空き家の3000万円特別控除を利用できる。

売却査定する
中古マンションを探す
中古一戸建てを探す
賃貸物件を探す
土地を探す
新築一戸建てを探す
新築マンションを探す
リフォーム会社を探す
注文住宅の会社を探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
取材・文/大森広司 監修/税理士法人タクトコンサルティング 情報企画部
公開日 2020年11月27日
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る