マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額や売却手続きを解説

マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額や売却手続きを解説

親が亡くなり、実家の分譲マンションを子どもたちが相続するケースは多くあります。
相続することになった場合、手続きや税金などはどうなるのでしょうか。
また、現金と違って、分割がしにくい分譲マンションの相続では、残された遺族がもめないための対策も必要です。
相続に詳しい税理士、行政書士の清野直美さんに話を聞きました。

マンションを相続することになった。名義変更の手続きはどうすればいい?

相続発生後、名義変更や相続税納税までのダンドリ

親が亡くなると、遺された財産は相続人が引き継ぐことになります。

葬儀や生命保険の請求、携帯電話や公共料金などの解約や名義変更など、さまざま手続き関係で忙しいなか、遺産相続についても考えなくてはなりません。

なかには、相続放棄や準確定申告、相続税の納税など期限があるものも。

そこでまず、相続発生から相続税の申告・納付までのおおまかな流れを知っておきましょう。

相続が発生したときの手続きの流れと期限

分譲マンションの名義変更には相続登記が必要

相続人や相続財産の内容を確認し、遺産分割協議で遺産をどう分けるかを決めたら、次に、行うのは不動産などの相続財産の名義変更(相続登記)。故人が住んでいた家が賃貸ではなく、購入し、故人が所有していた分譲マンションだった場合、それを相続する人が自分の所有権を明らかにするということです。上の図の流れのうち「STEP3 相続財産の名義変更」という部分です。

マンションの相続登記で行うのは、土地と建物の所有権移転登記です。これによって、マンションの名義が亡くなった被相続人から、相続した人に移ることになります。

「一戸建ての場合、自宅建物と敷地はそれぞれ独立して所有権を設定できます。しかし、マンションは敷地権だけを分離できないので、まとめて相続し、名義変更することになります」(清野さん、以下同)

相続登記に必要な書類一覧表

相続手続きにはたくさんの書類が必要です。
被相続人にかかわる書類は出生から死亡時までの戸籍謄本が必要になるため、手間や時間がかかります。
本籍地が変更になっている場合、死亡したときの戸籍謄本(除籍謄本)を取得したら、そこからその前の本籍地を確認し、次はその本籍地の市区町村役場から戸籍謄本を取得することを繰り返して、出生時の本籍地まで取り寄せていきます。また、取得先も法務局や市区町村役場など複数箇所になりますから、早めに準備を始めましょう。必要な書類は相続の状況によって違いますから、詳しくは法務局や相続に詳しい税理士、行政書士などの専門家に相談するとスムーズです。

■相続登記に関係する主な書類と入手方法
書類 入手方法
登記申請書 法務局から入手(ダウンロードも可)
相続する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) 法務局から入手
被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの) 市区町村役場
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式 市区町村役場
相続人全員の現在の戸籍謄本と印鑑証明書 市区町村役場
相続する不動産を取得する相続人の住民票 市区町村役場
固定資産評価証明書 市区町村役場
遺産分割協議書または遺言 申請者が作成
相続関係説明図(相続人の関係をまとめたもの) 申請者が作成

相続登記の申請は法務局へ

マンションの相続で行う登記は法務局で手続きを行います。
どこの法務局に申請してもよいわけではなく、相続するマンションの所在地を管轄する法務局に提出します。

相続するマンションが遠隔地にあり、直接窓口まで行けない場合は、郵送やオンラインでの申請も可能です。

相続登記は自分で申請することも可能?

書類を集め、申告書を作成し、自分で所有権移転登記を申請することは可能です。

その際、申請までの流れは次のようになります。

不動産の相続登記の流れ

書類をそろえて、法務局へ申請することで相続登記の申請は完了します。しかし、書類に少しでも不備があったり、申請書の記載事項に誤りがあったりすると、書類を取得しなおしたり、申請書を修正したりしなければなりません。窓口では誤りがあった場合に、その場で対応できる場合もありますが、郵送やオンラインでは難しいことも(訂正が可能なように申請者全員の捨印を押しておくという手段もあります)。

忙しくて手続きをする時間がとれない人や、不動産の権利関係が複雑になっている場合、相続する不動産が複数ある場合などは、司法書士に相続登記の代行を依頼するのがスムーズでしょう。

所有権移転登記には登録免許税がかかる

相続手続きには登録免許税という税金がかかります。

「相続の場合、登録免許税は不動産価額の0.4%です。不動産取得税は非課税です」

この場合の不動産価額(評価額)は、固定資産評価証明書に記載されている金額です。

例えば、不動産価額が12,052,520円だった場合、
 登録免許税は
 12,052,000円(1000円未満を切り捨て)×0.4%=48,208円
 さらに100円未満をを切り捨てて
 4万8200円が登録免許税ということになります。1000円未満の場合は登録免許税は1000円となります。

登記申請を依頼する司法書士への報酬はいくら?

自分で相続登記を申請する場合は、登録免許税や各種書類を取得するための実費、交通費などが費用としてかかります。司法書士に代行を依頼する場合は、これらの費用に司法書士への報酬がかかります。

司法書士報酬は、不動産や相続人の数、権利関係の複雑さなどによって、また、司法書士によって金額が違ってきます。
相続登記申請だけを代行してもらうのか、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成まで依頼するのかなど、依頼内容によっても5万~15万円程度と金額に幅が出ます。
依頼の際、事前に見積もりを出してもらうといいでしょう。

相続が発生したときや、相続登記の際には専門家に相談すると安心

相続は誰に相談できる?司法書士、弁護士、税理士、行政書士?

相続に関する相談にのってもらうなら、司法書士、弁護士、税理士、行政書士といった専門家に依頼します。
士業によって専門分野や代行できる業務が違いますから、それぞれの特徴を知っておきましょう。

■相続に関する手続きを代行できる専門家
司法書士 不動産の名義変更手続きは司法書士の専門分野。税理士や行政書士が代行することはできない(弁護士は代行できるが、多くの場合、登記の実務は行っていない)。そのほか、司法書士は不動産の名義変更手続きや相続登記のための戸籍収集や相続人調査を代行することができる。後述する自筆証書遺言で相続手続きを進める場合に必要な検認も担当業務
弁護士 相続にかかわる相談やもめごとの解決は、他の専門家にものってもらえる。しかし、相続人の関係が悪化し、手続きが進められず遺産分割調停や遺産分割審判になったとき、相続人の代理人を務めることができるのは弁護士だけ。また、自筆証書遺言で相続手続きを進める場合に必要な検認も行うことができる
税理士 相続税の申告を代行できる。ただし、税理士によって得意分野が違うため、相続に詳しく経験豊富な税理士に依頼するのがオススメ
行政書士 遺産分割協議書や、預金、株式などの名義変更手続きを代行。戸籍収集や相続人調査も行うことができる

自分で手続きをする、専門家に依頼するそれぞれのメリット・デメリット

相続登記をはじめ、相続に関する手続きを自分で行う場合のメリット・デメリットは何でしょう。

メリット
・費用が実費だけで済む

デメリット
・書類を集めるなど手間と時間がかかる
・素人では作成するのが難しい書類がある
・遺産の分割の仕方を失敗する可能性が高まる

一方、司法書士や税理士などに相談や手続きを依頼する場合は、下のようなメリット・デメリットが考えられます。

メリット
・専門知識で、将来もトラブルにならない遺産の分割方法などを提案してもらえる
・手続きがスムーズに早く完了する
・税理士によっては、節税対策も考えてもらえる

デメリット
・複雑な案件の場合、専門家への報酬が高額になる場合がある

分譲マンションの相続にかかる税金とマンションの評価方法は?

相続した遺産すべてが相続税の対象になる

相続が発生した場合に重要なのは、すべての遺産を調べること。
「プラスの財産もマイナスの財産もすべて調べます。これを見落とすと、あとで遺産分割のやり直しなどがあり面倒なことに。
また、マイナスの財産のほうが多い場合は、相続を放棄することも視野に入れなくてはなりません。
相続の放棄は相続開始から3カ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です」

不動産については、被相続人が所有していた自宅マンションだけでなく、遺族も知らない土地などがある場合も。

「自宅や賃貸物件などについては、毎年固定資産税を納めていればはっきりしていますが、ほかに原野や山林をもっている可能性があります。

もしも、ほかに不動産を所有しているかもしれないと思う場合は、市町村役場で名寄せを行ってもらい、所有する不動産を調べてください」

分譲マンションを相続した場合、相続税を納める必要がありますが、そのほかにも相続した財産がある場合は、それらすべてを合計した評価額に課税されることになります。

マンションの価値は土地と建物に分けて評価する

不動産の相続税がいくらかかるかを算出するには、まず、その不動産がどれくらいの価値があるかを計算します。

一戸建ての土地の価値を知る方法

基本的には、土地と建物は別々に評価します。

土地の相続税を計算するための土地の価値は、国税庁が公表している道路ごとに設定された路線価が用いられます。計算式は下記です。

路線価(1m2当たり)×土地の面積(m2)=相続税を出すための土地の価値
※不整形な土地や袋小路など、土地の状況により調整があります。

一戸建ての建物の価値を知る方法

建物の場合は、固定資産税評価額が用いられます。
固定資産税評価額は、毎年市町村役場から送られてくる固定資産税課税明細書に記載されています。

分譲マンションの評価額の計算方法

さて、土地と建物の価値の出し方を説明しましたが、分譲マンションの場合は、建物と土地を共有しているため計算方法が違ってきます。

マンションの敷地は区分所有者で権利を共有しており、その権利の割合は「持分割合」で示されます。そのため、土地の価値は下の計算式にあてはめて算出します。

路線価(1m2当たり)×土地の面積(m2)×持分割合=相続税を出すための分譲マンションでの土地の価値

建物については一戸建てと同じで、固定資産税評価額で相続税が計算されることになります。

相続税に控除や節税の方法はある?

相続税には基礎控除がある

相続税は、財産を相続した人全員が納めるわけではありません。

「遺産の総額が基礎控除を超えない場合は相続税は課税されず、申告の必要もありません」

では、基礎控除とはいくらなのでしょう?基礎控除額は下の計算式で算出できます。

3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

つまり、夫が亡くなり、妻と子ども2人が遺された場合は、基礎控除額は4800万円ということになります。
下の図のように遺産額が基礎控除額以下の場合には、相続税はかかりません。

法定相続人が配偶者と子ども2人で合計3人の場合

相続税の配偶者控除は軽減額が大きい

被相続人の配偶者の場合は、基礎控除以外にも、配偶者控除(配偶者の税額軽減制度)によって相続税が軽減されます。この制度では、配偶者が相続した遺産額が

・1億6000万円
・配偶者の法定相続分

のどちらか大きい金額まで相続税が課税されません。

例えば、相続財産の合計が1億円で、法定相続人が配偶者と子ども2人だったとします。
一旦、法定相続分で分割したものと想定すると、配偶者は2分の1、子どもたちは残りの2分の1を均等に分けることになり、相続税を出すと以下のようになります。

法定相続人が配偶者と子ども2人で合計3人の場合

(1)課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定して各人の相続税額を計算し、相続税の合計を求める
遺産総額1億円―基礎控除額4800万円=5200万円に課税
 ▽
配偶者 2600万円×税率15%-控除額50万円=340万円
子供A 1300万円×税率15%-控除額50万円=145万円
子供B 1300万円×税率15%-控除額50万円=145万円
 ▽
相続税の総額は630万円となる

(2)この相続税の合計から各人が実際に取得した遺産の額を遺産総額で割って求める
各人の相続税は
配偶者 630万円×5000万円÷10000万円=315万円 配偶者控除で0円に
子供A 630万円×2500万円÷10000万円=157.5万円
子供B 630万円×2500万円÷10000万円=157.5万円

配偶者控除によって、315万円の相続税が課税されないということになります。

なお、配偶者控除を受けるためのポイントは4つです。

・戸籍上の配偶者であること
・相続財産を意図的に隠していないこと
・遺産分割が確定していること
・相続税の申告書を提出すること

おしどり贈与を使って相続財産を減らす

生前贈与を使って節税する方法もあります。
これが、おしどり贈与と呼ばれる贈与税の配偶者控除。
婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用住宅を生前贈与する場合2000万円まで贈与税の控除が受けられるという制度です。
これはマンションにも適用されます。
仮に将来、相続が発生しても相続財産として持ち戻しての課税の対象にならないため、相続財産を減らすことができます。

小規模宅地等の特例はマンションにも適用される

相続する土地の評価を下げることで、相続税が節税できる「小規模宅地等の特例」があります。
被相続人が住んでいたマンションの場合、原則として配偶者や同居人が引き継ぐのであれば特例を適用でき、土地面積330m2まで80%の減額が可能です。
ただし、同居していたこと、相続する人がそのまま住むことの両方を満たす必要があります。なお、配偶者の場合は要件なく80%減額となります。

そのほか、被相続人と同居していなかった親族でも、以下の6つの要件を満たせば小規模宅地等の特例が受けられます。
この特例を家なき子特例といいます。
・被相続人に配偶者も同居の親族もいない
・3年以内に自己所有の家に住んでいない
・3年以内に3親等以内の親族の家に住んでいない
・3年以内に特別な関係の法人(親族が経営する法人など)がもつ家に住んでいない
・相続開始時に住んでいる家を過去所有したことがない
・相続した土地を10カ月以内に売却しない

相続した分譲マンションはどうする?

相続したマンションの3つの活用法とメリット、デメリットを紹介

マンションは空き室のまま換気などをせずにいると、カビが生えたり、窓からの紫外線で床や畳が色あせたりなど、劣化が進みます。
相続後は、どう使うかを考えることが必要です。
主な方法と、考えられるメリット、デメリットを挙げてみましょう。

相続したマンションに住む

現在も住んでいたり、通勤や通学に便利な立地なのであれば、そのまま住むのがシンプルな選択です。

メリット
・近隣にどんな人が住んでいるか、管理状態はどうかなどが分かっている
・家族の思い出のマンションを手放さずにすむ

デメリット
・固定資産税や都市計画税が相続人の負担になる
・現在住んでいる家が持ち家の場合は売却しての住み替えになり手間がかかる

相続したマンションを貸す

相続したマンションが遠隔地にある場合や、当分は住む予定がない場合は賃貸に出すという選択もあります。

メリット
・家賃収入が得られる
・固定資産税などのランニングコストを家賃収入でまかなうことが可能

デメリット
・空き室状態が続くと管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費がかかる
・借り主の部屋の使い方が雑な場合は室内の汚れや傷みが心配

相続したマンションを売却する

すでに持ち家がある場合、マンションを相続すると管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費が2軒分かかることに。
維持することが難しい、負担になるという場合は、売却してしまうのも良い選択です。

メリット
・維持費がかからなくなる
・売却益が得られる

デメリット
・予想以上に高く売れた場合に他の相続人から不満が出る場合がある
・家族の思い出を手放すことになる

分譲マンションの相続でトラブルを防ぐための基礎知識

きょうだいで相続。分けられないマンションはどうする?

現金のようにスッキリと分けるのが難しい不動産。複数の相続人で、マンションを含む財産を相続する場合、どんな方法があるのでしょうか。

一人がマンションをそのまま相続する(現物相続)

シンプルなのは、一つの不動産を一人で相続する方法です。
例えば、相続人が二人兄弟の場合に、兄がマンションを、弟がそれと同等の価値がある現金を相続するなどです。
このように不動産以外にも遺産があり、相続人全員が遺産分割の方法に合意すればもめごとにもなりにくいでしょう。

現物相続

複数人でマンションを共有する(共有相続)

一つのマンションの権利を共有する方法です。
将来、売却する場合や賃貸に出す場合などトラブルのもと。
リスクの高い相続方法といえます。

「不動産を共有にすると、いざ売却しようという場合、共有者全員の同意が必要になり面倒です。
そして、共有者の誰かに相続が発生したら、その人の持分がどんどん細分化されていくことにもなりかねず、全員の同意が必要な場面でますます合意がとりにくくなります」

共有相続

相続分について同じ価値の現金でもらう(代償分割)

特定の相続人だけがマンションを相続し、残りの相続人に相続分の金銭を渡す方法です。
相続する財産は違いますが、金額的な価値では同じになります。

「遺産となった家に暮らしていた相続人が取得するケースが多いですが、金銭で渡すことができなければ、この方法をとることができません」

代償分割

マンションを売却して現金で相続する(換価分割)

マンションを売却し、その代金を法定相続で分ける方法です。

「マンションが売却できれば均等にお金が渡ることになりますが、被相続人と同居していた場合は暮らしていた家がなくなります。
また、相続人全員に譲渡所得税が課税されることになります」

換価分割

配偶者と子どもたちで相続するとき知っておきたい「配偶者居住権」とは?

配偶者居住権とは被相続人が死亡した後も、その配偶者が引き続き同じ持ち家に住み続けられるようになる権利で、2020年4月に施行されました。

配偶者居住権は、不動産の所有権を、住む権利とその他の権利に分けて、別々の人がそれぞれの権利を相続することを認める仕組みです。

遺産

例えば、上の図を見てみましょう。

配偶者と子ども1人が、被相続人が所有していた2000万円の価値のあるマンションと、2000万円の預貯金を相続することになったとします。
この場合の法定相続分は、配偶者も子どもも2000万円分です。
家も預貯金もそれぞれ2000万円ですから、分割するのは簡単なように感じます。
しかし、配偶者はCASE1のようにマンションだけを相続すると、現金が手もとに残りません。
CASE2のように現金だけを相続して子どもと同居できなかったり、または、家を売却して子どもと均等に分けると、配偶者の住む家がなくなります。

そこで家の所有権を住む権利の「配偶者居住権」と「その他の権利」に分離して相続。
配偶者は、その家については「住む権利だけ」を認められることになり、預貯金も手もとに残ることになります。

なお、配偶者居住権は相続発生時にその家に住んでいたことが条件。また、配偶者居住権の登記が必要です。

不動産相続のトラブルを防ぐには遺言が効果的

不動産相続のトラブルには、遺産分割が進まない、きょうだいなど親族が絶縁状態になる、などがあります。

「対処のポイントとしては、被相続人が遺言をすることが効果的です。遺言があると、遺言内容が優先されるため、相続人が遺産分割の方法を決める必要がありません。
ただし、遺言の中身についてのトラブルが多くありますので、他の相続人の遺留分を侵害せず、不平等にならず、不動産が共有にならないような遺言書を作成することがベストです」

では、3種類ある遺言書について、それぞれのポイントを説明しましょう。

公正証書遺言

法務大臣により任命された公証人が、本人の意思に基づいて公正証書として作成します。

「公証人役場に原本が保管されるので紛失の心配がなく、相続が発生した場合にスムーズに実行できます」

自筆証書遺言

自分で全部を書きあげた遺言書のことです。
2019年1月からは財産目録について内容をパソコンで打つことも認められました。
さらに、2020年7月1日からは自筆証書遺言を法務局で保管することができる制度が新設。

「自筆証書遺言は裁判所で検認(家庭裁判所に遺言書を提出して相続人などの立会いのもと、遺言書を開封し遺言書の内容を確認すること)すると不備があって遺言の内容が無効になったり、紛失のリスクがあったりと、せっかくの故人の遺志が反映されない危険がありました。
しかし、この制度で法務局に預ける際、形式をチェックしてもらえるので無効になるリスク、紛失のリスクがなくなります。
ただ、内容についてはチェックしないので、極端に不平等な遺産分割にならないよう、また自分がなぜそのようにしたいのかを伝えた形で遺言書を作成し、残された家族が争うことがないように気をつけたいですね」

秘密証書遺言

遺言の内容を公開せず、存在だけを公証人に証明してもらうもの。
死後、遺言書が発見されない事態を防ぐことができ、また、遺言内容を秘密にしておくことができます。
他の遺言の方法に比べて手間がかかり、記載に不備があると無効になるなどデメリットも多く、あまり利用されない方法です。

まとめ

マンションを相続すると名義変更や相続税のことなど、さまざまな手続きや対策が必要になります。
司法書士や税理士など、相続に詳しい専門家に相談したりアドバイスを受けたり、手続きの代行を依頼することで、相続発生から納税までを安心して進めることができるでしょう。
とはいえ、任せっぱなしにせず自分で相続の仕組みやダンドリを知っておくことは大切です。
トラブルのない、スムーズなマンション相続を実現しましょう。

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構成・取材・文/田方みき 
公開日 2020年04月16日
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