不動産売却に境界確定測量は必要? 土地家屋調査士、測量士に払う費用は?

不動産売却に境界確定測量は必要? 土地家屋調査士、測量士に払う費用は?

土地付きの一戸建て住宅を売却したい、あるいは遊休地を売却しようとするときには、正確な土地の面積が必要です。
言うまでもなく土地の面積は不動産価値を左右し、売却価格に反映されます。
取得した年月が古い土地、あるいは親の代から受け継いだ土地など、古い測量技術で測られた面積は、正確でない場合もあり、地積と呼ばれる登記簿の面積をそのまま実際の面積とすると、誤差が生まれることがあります。
土地の売却時に実際の面積と、書類の面積に差異があると、さまざまなトラブルの原因となります。
売却価格を決める場合、正確な土地の面積は必要不可欠な資料です。
どうやって実際の面積を確かめることができるのか?それには、測量が必要となります。
測量とは土地の面積を測って、図面に表すことです。
ではその測量は誰に頼めばいいのか、費用は?加えて、測量する場合に最も重要な土地の境界にかかわる知識まで、土地の売却に必要な知識を解説します。

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(写真/PIXTA)

土地の面積を測る測量とは?

土地の面積や高低差などを機械によって測り、図面によって表すのが測量です。
土地の面積は、言うまでもなくその起点となる境界点の位置によって決まります。
境界の決定の仕方により、測量の種類は異なります。
現代の測量技術では、境界点を座標点とした座標面積計算法によって、土地の面積が計算され、図面が作製されます。
いずれにせよ、測量によって出来上がった図面をもとに不動産の査定が行われます。
不動産売却においてはこの図面が重要な資料となります。

測量には現況測量と確定測量がある

測量には、2つあります。
ひとつは現況測量、あるいは仮測量と呼ばれるもので、もう一つは確定測量です。
その大きな違いは、測量する場合に起点となる土地の境界をどう決めるかです。
現況測量では、既存の杭や境界標、フェンスや現場で確認できる境界、あるいは所有者の指示をもとに仮に設定し測ります。
境界点が隣地所有者の同意を得たものであるかは問わず、所有者の依頼のみで作製されるのが、現況測量図面です。

一方、確定測量は、資格をもった土地家屋調査士と隣地の所有者の立会いの下、境界点の同意を得て行われます。
つまり、確定測量では隣地との同意を得た境界によって測られた測量図面が出来上がり、より正確でトラブルのリスクが少ない正式な測量図面となります。
新しく出来上がった確定測量図面をもとに境界点の同意を得た境界確定書面を付けることで、土地を分割登記する分筆や土地の登記をやり直すための地積更生登記が可能になります。

境界の同意書面 登記
現況測量 不要 不可
確定測量 必要

これだけはやっておきたい現況測量

現況測量は、確定測量と比べて費用や時間のかからない測量です。
杭や境界標、フェンスなどによって隣地との境界点が明確に分かっている場合は、所有者の指示のもと土地家屋調査士が機械を使用し、測ります。
費用も、確定測量に比べてかからず、一般的な宅地の面積では1日で作業は終了し、図面が作製されます。
土地の売却を考えるならば、まず、現況測量図面の作製を依頼しましょう。
これを資料とすることで、査定から買主との交渉まで、スムーズに進みます。

境界を明示し土地の面積を確定する確定測量

確定測量は、実際に土地の面積を測る技法としては、現況測量と変わりません。
違うのは、面積の起点となる境界点の決め方です。
現況測量では現場で確認できる既存の杭や境界標をもとに測りますが、確定測量では、実際に隣地所有者に立ち合いを求めて、同意を得た上で境界点を確定し、そこを起点に面積を測るものです。
土地の測量図面としては、正確、正式なものとされ、筆界確認書と呼ばれる隣地との境界点の同意書面を、付けることで、法務局に登記することもできる図面となります。

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(写真/PIXTA)

現況測量図、地積測量図、確定測量図の違い

■現況測量図
現場で確認できる土地境界点をもとに測量し作製された図面のこと。
境界点に関しては隣地所有者の同意を得ることはなく進められる。

■地積測量図
法務局に備えておく公的な測量図面のこと。確定測量で決まった境界点を起点に測量し、登記することによって、公的な図面として地積測量図となります。

■確定測量図
私有地、公有地を問わず隣接する土地との境界点を、所有者の同意を得た上で確定。
そこを起点に測量し、面積を測り図面として表したもの。

不動産売却に必要な測量図は?

そもそも家を売るときに測量図は必要?

面積は不動産の価格を決める重要な要素です。
特に地価の高い都心部では、小さな面積の差異が大きな資産価値の違いにつながりかねません。
土地の売買に当たって、面積に大きな誤差があれば売買価格は信頼のおけないものとなり、買主の同意を得ることは難しくなります。
また、建物の設計を依頼する場合でも、そのもととなるのは正確な土地の面積です。
わずかな土地面積の誤差でも、さまざまな規制に縛られた都市部では、建築設計が大きく変わってくることもあります。
測量機器の進歩によって正確な測量が可能になった今、古い時代の信頼のおけない面積ではなく、新しい技術による測量で正確な面積を知ることは、取引におけるさまざまなリスクを避けるためにも重要です。
また、確定測量を行えば隣地との境界も明らかになり、将来にわたって資産価値を維持していくための大切な資料にもなります。

実測売買と公簿売買

土地の売買契約に当たっては、土地の面積にかかわる2種類の契約があります。

■公簿売買
地積と呼ばれる登記簿上に記載された面積をもとに売買価格を決定する契約です。
契約の後、実測によって面積に差異が生じた場合でも、その差異に基づく金額の精算は行わないとする特約を付す場合が多いです。
売主にとっては、測量の時間、コストがかからず契約できるメリットがあります。
山林などの広大な土地で、測量に費用がかかりすぎる場合などに一般的に行われる取引です。

■実測売買
測量によって得た面積をもとに売買価格を決定する契約です。
とりあえず、登記簿上の面積で契約を行いその後、実測によって生じた面積の差異を、あらかじめ決めておいた単価で精算する場合も実測売買と呼ばれます。

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(写真/PIXTA)

測量が必要な土地とは

■土地の境界が不明
土地の境界問題は、特に都市部の住宅地の場合、隣地とのトラブルとして一番起こりやすい問題です。
フェンスや塀がなく、土地の境界が不明な土地や境界標が見当たらない土地などは、土地家屋調査士による調査で確定測量を実施し、境界を明らかにしておきましょう。

■市街地で土地の評価が高い
地価の高い土地は、登記簿上の面積と実際の面積の差異が、資産価値に大きな差を出します。
測量によって、正確な面積を確認しましょう。

■抵当権の設定
例えば所有する土地の一部に抵当権を設定しようとするとき、抵当権の及ぶ部分を分ける分筆登記が必要となります。
そして、この分筆登記を申請するにあたっては確定測量が必要となります。

測量が不要な土地とは

■新しく分譲された住宅地
近年に分譲された住宅地など、分筆後の正確な地積測量図が法務局に備わっている場合があります。
地積測量図面の閲覧は、管轄する法務局で誰でも行えます。

■地方の広大な土地
地価の低い地方の広大な土地などの場合、測量費用が高くつき、売却価格を考えると費用として過大となり経済的に合理的ではなくなってしまいます。

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(写真/PIXTA)※写真はイメージです。本文とは関係ありません

測量は土地家屋調査士、測量士に依頼する

土地家屋調査士、測量士の違いは

土地の測量技術をもった専門職は、「測量士」と「土地家屋調査士」があります。
測量士は測量と図面作製はできますが、登記業務はできません。
同じような測量技術をもち、登記業務を行うことができる専門職が、土地家屋調査士です。
登記を目的とした測量と境界確定、調査は土地家屋調査士に依頼しましょう。

測量と登記業務
測量士 登記を目的とする測量はできない。
土地家屋調査士 測量と登記業務ができる。

測量費用はどれくらいかかる?

現況測量の費用の目安

現況測量(仮測量)の場合、100m2程度の一般的な整形地(四角い土地)の場合、おおよそ
10万円から20万円の費用がかかります。

確定測量の費用の目安

確定測量は、隣地所有者の数が多くなればなるほど、立ち会ってもらう人数、日にち、費用がかさんできます。境界確認書面の作製、測量図面の作製、登記費用を加えれば100万円程度の費用となる場合もあります。
まずは、土地家屋調査士に見積もりを依頼しましょう。

測定費用が高額になるケース

整形地とは違い複雑な形をした土地の場合、隣地との境界点も多くなります。
土地家屋調査士を通じて、境界確認のための立ち合いを依頼する場合でも、関係する隣地所有者が多くなればなるほど、作業が複雑となり、費用がかさみます。
また、所有地が公有地や水路と接している場合、行政との間で官民の立ち合いが必要となり時間と費用が増えると言えます。
当然、隣地との境界をめぐって争いがある場合なども、その解決のための調査が必要となり、費用負担が大きくなる要因といえます。

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(写真/PIXTA)

確定測量の流れと期間

確定測量の流れ

土地家屋調査士に依頼する
不動産登記にかかわる測量の専門家が土地家屋調査士です。
知り合いに土地家屋調査士が見当たらない場合は、管轄する法務局に相談すれば、紹介を受けることができます。
また不動産会社でも、測量のための土地家屋調査士を紹介してもらえますので相談してみましょう。

資料をそろえる
依頼をする土地家屋調査士が決まったら、まず、手元にある資料を確認しましょう。
土地の権利書(登記済証書)や固定資産税関係書類をそろえてください。
このとき大切なのは所有する土地の地番を知ることです。
住居表示では所有する土地が特定できません。
土地を特定する唯一の番号が地番です。
また所有する土地が、一つの地番だけとは限りません。
複数の地番に家屋が立つ場合もあります。
その場合、すべての地番を確認することが必要となります。

土地家屋調査士が土地を調査し資料を集める
依頼を受けた土地家屋調査士は、法務局で登記簿、公図、地積測量図などの資料を取得します。
必要であれば役所で道路や水路といった公有地との関係において、官民境界明示と呼ばれる書類の有無など、土地境界に関係する資料の収集業務を行います。

仮杭設置、仮測量
資料をもとにした境界を起点に、仮杭を設置し仮測量を行います。そして、隣地所有者への立ち合いの依頼を行います。

境界立ち合い
すべての隣地所有者と依頼主、土地家屋調査士同行の下で、現場で仮に設置した杭による境界点を示しながら、同意を得る作業を行います。
この場合、民間所有地だけではなく、官民境界明示といった手続きに基づいて、道路や里道、水路といった公有地も管轄する役所に立ち合いを求め境界確認します。

確定測量を行う
同意を得た境界点を起点に、そこを座標点とした座標面積計算法によって面積を測り、それをもとに詳細な図面を作製します。

境界確認書を作成する
関係するすべての隣地所有者に、境界点を示した測量図面に押印してもらい境界確認書を作成します。

登記を申請する
出来上がった確定測量図面に境界確認書面を添付し、法務局で登記申請を行います。

確定測量の流れ

確定測量の期間

すべての隣地所有者の立ち合いを必要とするため、隣地所有者の人数によりますが、立ち会い日程の調整や図面作製の時間を含めて1カ月から3カ月の時間が必要とされています。

境界標と境界の種類

境界点に設置される「境界標」とは

確定測量によって、土地の境界が確定していても、土地の上に目に見える印がなければ認識することができません。
そこで、確定した境界点にしるしとして設置されるのが、境界標と呼ばれるものです。
境界標は、コンクリート、金属プレート、プラスティック、木材などさまざまな材料でできており、矢印の示す先、あるいは、線の交差する点が実際の境界点となります。

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(写真/PIXTA)

大切な境界標の維持管理

一度設置された境界標は動かすことができず、壊したり勝手に移動すれば、法に触れる行為となります。
よく見かけるのが、境界標の上にフェンスや塀を設置し、境界標が隠れてしまうケースです。
また車や人の往来によって破損してしまうケースもあります
隠れたり破損してしまっては、境界を改めて確認することができません。
境界標の維持管理は、資産を守る上で、土地所有者の責任といえるでしょう。

筆界と所有権界の違い

隣接する所有権の異なる土地の境目を境界とし、所有権界という概念で表現しています。
同じ境目を示す言葉でもこれを不動産登記法では筆界と表現し、筆界と所有権界は異なるものとされています。
概念的には筆界とは「公法上の境界」と呼ばれ、改正された不動産登記法では登記された一筆の土地の外線で、他の土地に接する線となります。
一方、所有権界は民法上の所有権のおよぶ土地の外線で、この二つは本来一致するものですが、異なるものとする判例があります。
つまり、境界をめぐる争いにおいて、土地が登記されたときその土地の範囲を区画するために決められた「筆界」と異なった線を所有権の範囲と主張する場合、その主張が認められることもあるということです。

■筆界
公法上の境界。土地の区画を示す線。
登記によらなければ、変更することはできない。

■所有権界
私法上の境界。所有権のおよぶ範囲を示す線。
所有者間の合意があれば変更することができる。

官民境界明示とは

所有する土地が隣接するのは、いわゆる民地(民間の所有地)だけでありません。
道路や里道、水路といった公有地と呼ばれる国や行政が所有する土地にも接しています。
確定測量する場合、そういった公有地との境界を確定する作業があります。
この手続きを官民境界明示といい、資格をもった土地家屋調査士が管轄する役所に対して申請を行い、民地での手続きと同じように立ち合いを求めた上で、境界の確認を行い、明示図面と呼ばれる図面を作製し、管轄する行政の承認を得ることが必要となります。

境界が不明な場合、土地の境界で争いがある場合はどうする

筆界確認と筆界確認書(境界確認書)とは

筆界確認とは、確定測量に必要な土地境界点を隣地所有者に確認してもらい、同意をもらうことを示します。
筆界確認書(境界確認書)は隣地所有者に押印してもらうことで、有効な書面となります。

ただ、土地の所有者の認識する土地境界を隣地所有者が認めず、同意が得られない場合も多くあります。
この場合、まず当事者同士で話し合い、それでも解決が見られない場合は、土地家屋調査士が境界を確定するための根拠となる資料を調査します。
具体的には法務局に備わる古い公図(旧公図)や市役所にある古い航空写真など、過去に記録された土地に関するあらゆる資料を探し出し、これらを根拠に境界を推測し、同意を得るために話し合いを進めます。

筆界特定制度を利用しよう

土地家屋調査士の調査や、お隣との話し合いでも、境界をめぐる争いが解決しない場合、利用できる公的な制度が筆界特定制度です。
今までは、土地の境界をめぐる争いは裁判を起こすことでしか解決できませんでしたが、2006年に改正された不動産登記法により導入された制度によって、費用がかからず、迅速に解決できるようになりました。
筆界特定制度とは土地所有者からの申請に基づいて、筆界特定登記官が外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の境界点を特定する制度です。
特定に当たっては実地調査や測量を含むさまざまな調査を行った上で、もともとあった境界を筆界特定登記官が明らかにします。
筆界特定制度を利用することによって、公的な判断として境界が明らかになるため、何年もの時間を要した判決を得ることなく、境界問題を解決できる制度です。

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筆界特定制度の費用と時間

筆界特定制度は土地所有者である申立人の申請によって利用できますが、代理人に依頼した場合、一般的な
市街地の住宅地規模の土地で、手数料+測量費用で数十万の費用がかかり、6カ月から1年の時間が必要です。
ただし、費用は申立人のみが負担します。

筆界特定制度のメリットとデメリット

隣地所有者の協力の有無にかかわらず、土地所有者の申し立てのみで筆界が特定できるのが、筆界特定制度の最大のメリットです。

デメリットとしては、まず、裁判と違い申立人がその費用の全てを負担すること。
また、制度の目的が登記された土地の筆界を特定するもので、土地の所有権の範囲を明らかにするものではないということです。
相手方が所有権を主張するために違う場所にフェンスや杭を設置した場合、それを除去するためには、改めて裁判を起こす必要があるなど、筆界特定制度は法的な効力には限界があります。

■筆界特定制度

<メリット>
・裁判での判決を得ることなく、土地の境界が特定される。
・隣地所有者が協力しない場合でも、立ち合いの義務が生じる。
・裁判に比べて短期間で、土地の境界が特定される。

<デメリット>
・裁判と違って、申立人のみが費用を負担する。
・登記された土地の筆界を特定するもので、結果として、異なった境界線で紛争の相手が筆界とは別に所有権界の範囲を主張する場合もある。

地積更生登記とは

確定測量図面と境界確認書面を法務局に提出し、正確な土地の面積と境界点を地積測量図面として登記することです。
登記そのものは一般的な宅地で費用は10万円程度です。

越境物の問題はどう解決するか

土地をめぐるトラブルで境界問題の次に多いのが、越境物の問題です。
越境物とは土地の境界を越えて、他人の所有する土地にモノがはみ出している状態のことを言います。
具体的には屋根やフェンスなどの工作物から、木の枝や根の場合もあります。
確定測量によって境界線が確定して初めて、この越境が明らかになることもあります。

工作物の場合は、その解消には費用の問題でもめることも多く、裁判を起こし判決を得る必要があることもあります。

木の枝や根が越境している場合でも、その程度と考えるのではなく、枝は虫や落ち葉の問題があります。
根は地中からコンクリートを割って伸びてくることもあり、注意が必要です。

民法では、隣地から越境している木の枝は、所有者である隣人に承諾を得てから切ることを求められていますが、木の根は承諾なしに除去できるとされています。

どちらにせよ越境の状態をそのまま放置すると、のちのちにトラブルの原因となることもあります。
特に売却を考えるとき、買主からその解消を求められる場合もあり、越境物の問題は境界の問題と並んで、土地をめぐる隣地とのトラブルの大きなテーマです。
このようにやっかいな越境問題は、確定測量で境界が確定したのち、しっかり確かめておく必要がありそうです。

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(写真/PIXTA)

【実例紹介】土地の境界に争いがあった場合

【実例1】石積みの擁壁の上か下か?境界の認識が違っていた

Aさんは10年前に両親から都市郊外の住宅地にある住宅を相続で受け継いだものの、今は誰も住まなくなったこの家の売却を考えていました。
そこで、知り合いの不動産会社に相談し、確定測量をすることにしました。
隣人はかつてAさんの幼なじみも住んでいたBさん一家。
Aさんの家は、土地が少し低くなっていてBさんの土地との間には高さ50cmほどの石積み擁壁があります。
Aさんは測量を依頼するのにあたって、境界はその石積みの上と考えていました。
依頼を受けた土地家屋調査士が、Bさんと話し合ってみるとBさんの主張は、擁壁はBさんの祖父が造ったもので、もともとの境界は石の下のラインであるということ。
両者の境界の認識では石の幅に相当する50cmもの違いがありました。
そこでAさんは土地家屋調査士に境界問題の解決を依頼しました。

土地家屋調査士は、まず石積みはいつ誰が造ったのかを知るため市役所などへの調査を開始。
古い地図や航空写真から、もともとは一つだった宅地が切土によって分けられAさんの土地がつくられたことが分かりました。
このときに、Bさんの祖父が造ったのが石積みの擁壁でした。
Bさんの祖父は自宅の敷地内に石積みを施し、その擁壁の下のラインを両家の境界としたのです。
土地家屋調査士が調べ上げた資料と説明によって、納得したAさん。
境界は石積みの擁壁の下のラインということで、境界確定書面に押印してもらうことができました。

【実例2】曲がっていた境界のラインがまっすぐなフェンスに隠れていた。

駅にも近く立て込んだ住宅地の一戸建てに住んでいたCさん。
住み替えを機に売却したいと考え、土地家屋調査士に測量を依頼しました。
その際、隣地との間にはフェンスが立ててあり、境界はこの支柱の下を結ぶ線だと伝えました。

ところが、土地家屋調査士が隣人に確かめてみると、境界はCさんの宅地のほうに曲がっていると主張されました。
隣人がCさんの祖父とその昔話し合った中で、フェンスはまっすぐなほうがいいと言う隣人の言葉のとおり直線に設置したが、本当の境界はフェンスの中心付近では少しCさんの宅地内に入っていると言われました。
つまり、本来の境界はフェンスではなくCさんの宅地内にあるということです。

依頼を受けた土地家屋調査士は、法務局で古い公図などを見つけ、検討。
すると、隣人の証言のとおり、境界線は曲がっていることが分かりました。
また実際にフェンスの中央部分でCさんの宅地に少し入った部分を掘り返してみるとコンクリートの古い境界標が出てきました。
これで実際の境界は、フェンスよりCさんの宅地に少し入った場所にあることが分かったのです。
境界標が出てきたことで納得したCさん。
これで境界確認書面もでき、確定測量は終了しました。

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(写真/PIXTA)※写真はイメージです。

【実例3】筆界特定制度によって解決したお隣との争い

大きな街の市街地のなかにDさんの生まれ育った住宅はありました。
Dさん自身は、もうすでに別の場所で住宅を持ち、住まなくなったこの家を相続で取得していましたが、そろそろ売却したいと考えていました。

しかし、ずっと気になっていたのが、隣人との境界をめぐる争いです。
生前父親が隣人と境界をめぐって争っていたのを記憶しており、代が替わった今もその話をすると隣人に無視され、解決策が見いだせないでいたのです。
不動産会社に相談すると、境界の争いがあれば買主が付きにくいと言われました。
裁判も考えましたが、判決が出るまで2年~3年の時間が必要だということです。
売却はそこまでは待てません。
どうすればいいのかと考え、もう一度不動産会社に相談すると、こちらの申し立てだけで利用できる公的な筆界特定制度があると聞きました。
そこで、申請の代理人として土地家屋調査士を紹介され、この制度を利用した解決を依頼することにしました。

依頼した土地家屋調査士の申請で、法務局から隣人へは「筆界特定の申請がなされた旨」の通知が届きました。
土地の境界の話を持ち出すだけで拒否を示していた隣人も、これで筆界特定に立ち会う義務が生じます。
筆界調査委員による調査や、測量によって、登記された際に定められた元々の筆界が明らかにされ、その旨は登記簿にも記載されることにもなり、これで裁判を経ることなく短時間で、費用も少なくDさんの家の境界問題は解決しました。

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(写真/PIXTA)

まとめ

土地の正確な面積を知ることは、資産価値につながる大変重要なポイントです。
また、土地の境界をめぐる問題は、隣地との土地トラブルの最大の原因です。
測量を依頼すれば費用と時間がかかりますが、境界を確定し正確な面積と境界を認識し、目に見える形で残しておくことは、売却など取引をするしないにかかわらず、大きなメリットがあります。
資産価値を維持し、後々のトラブルに備える意味でも、測量は土地所有者にとって大きなメリットがあると言えそうです。
境界問題や測量に関して、少しでも疑問をもったなら専門家である土地家屋調査士に相談してみましょう。
相談できる土地家屋調査士が思い当たらないときは、まず不動産会社へ相談して土地家屋調査士を紹介してもらいましょう。

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構成・取材・文/コハマジュンイチ
公開日 2020年03月12日
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