不動産相続の手続きと費用。名義変更や相続税の計算、節税方法も解説

不動産相続の手続きと費用。名義変更や相続税の計算、節税方法も解説

いつかは直面する相続。突然のことで呆然としている間にも、相続税の申告期限はやってきます。
そこで、親が元気なうちにこそ、相続の手続きの流れや相続税の計算方法、節税や複数の人で相続する場合のノウハウを知っておきましょう。
相続に詳しい税理士、行政書士の清野直美さんに話を聞きました。

家や土地などの不動産を相続する手続きとダンドリ

親が亡くなったら、葬儀や生命保険の請求手続き、携帯電話や公共料金などの解約や名義変更など、さまざまなことと並行して、10カ月以内に相続税を納付しなければなりません。
1年近く先なら時間的な余裕があるように感じるかもしれませんが、相続する財産に不動産がある場合や、相続人が複数いる場合などは、相続税納付までに決めなければならないこと、話し合いが必要なことが多くあり、実はそうのんびりもしていられません。

いざ相続に直面したときにあわてないためにも、相続発生から相続完了まで、一般的にはどんな流れなのか、いつまでに何をすればいいのかを知っておくと安心です。

下の図は相続発生から相続税の申告・納付までのおおまかな流れ。その後の解説でダンドリごとの内容を詳しく見ていきましょう。

相続が発生したときの手続きの流れと期限

STEP1 相続人や相続財産を確認

相続人の確定

遺された財産を相続する権利があるのは誰なのか、まずは相続人の確定をします。

「亡くなった人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本をとり、相続人の確定をします。
法務局で亡くなった方の戸籍や相続人の住民票などを提出して、相続情報一覧図にして証明してもらう制度ができました。
戸籍謄本等を持ち歩かなくてもこれ一枚で相続人を証明することができます」(清野さん、以下同)

相続権がある法定相続人は?

遺言書を確認

死亡した人(被相続人)が遺言書を遺していないかを確認してください。

「公正証書で作成している場合は公証人役場で調べてくれます。
自筆証書遺言の場合は開封しないで家庭裁判所に持参し検認してもらわなければなりません」

相続にかかわる人を確認し、連絡をとりましょう。

遺産を確認

遺言書の確認と同時に、どのような財産が遺されているのか遺産の確認を行います。

「プラスの財産もマイナスの財産も、全て調べることが必要です。これを見落とすと、後でまた遺産分割のやり直しになるなど面倒なことに。
また、マイナスの財産の方が多い場合には相続を放棄することも視野に入れなければなりません。
不動産については、毎年固定資産税を納めていれば自宅、賃貸物件などについては当然はっきりしていますが、原野、山林なども持っている可能性がありますので、もしも他に不動産を所有していたかもしれないと思われるものについては市町村で名寄せを行って不動産を調べてください」

■相続財産の主な種類

・預貯金、現金
・株式、債権などの有価証券
・生命保険など
・不動産
・ゴルフ会員権など
・美術品、貴金属など換価価値のあるもの
・借金や貸付金

相続放棄

相続した財産がプラスの財産だけとは限りません。
生前の借金など、債務が残る場合もあります。
その場合、(自分のための相続の開始があったことを知ったときから)3カ月以内に相続放棄の申し立てを家庭裁判所に行えば親が遺した借金を返済する必要がなくなります。
ただし、借金以外の財産を相続する権利もなくなるので注意。
また、この手続きをしなかった場合、債務も含めてすべてを相続することになります。

法定相続人全員が相続放棄を行った場合、預貯金や債券、美術品などの遺産はどうなるのでしょう。

引き取り手がいない場合、家庭裁判所に申し立てをすることで、遺産の精算を行う相続財産管理人が選任され、残った財産は最終的には国庫に帰属することになります。

なお、遺産の一部を使ってしまったり、換金してしまったりした場合、相続放棄はできなくなるので注意が必要です。

「相続の放棄は、ほかの相続人に影響を及ぼすことになりますので、慎重に考えましょう」

プラスの財産の範囲内で借金を返済する限定承認

相続放棄の場合、すべての財産の相続を放棄することになりますが、「限定承認」という方法を選んだ場合は、相続する遺産の範囲内で債務を負担することになります。
債務がいくらあるか分からない、債務があることを加味しても相続したい相続財産があるなどの場合に有効な手段です。ただし、相続人全員が合意して共同で申し立てをする必要があります。

故人の準確定申告

「故人が不動産所得があるなど確定申告を毎年している方だった場合や、給与所得者、年金所得者で申告すると還付になる場合などは確定申告をします。
納税額が出る場合には、相続開始から4カ月以内に行います。これを準確定申告といいます。なお、還付の場合は4カ月後でもできます」

STEP2 遺産分割協議で、遺産の分け方を決める

遺書がない場合は相続人で遺産分割協議を行う

遺言があれば遺言書に基づいて遺産の分割を行います。

しかし、遺言書がない場合や、遺言書に記載のない財産がある場合には、相続人で遺産をどう分けるかを決める遺産分割協議を行います。
合意したら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印をします。

「全部の財産を一括で決める必要はないので決まった順番に、取得者に財産を移転することもできます。
名義の変更や解約には各相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書が必要です」

遺産分割でもめそうなときは専門家に相談

相続人だけで遺産の分け方を話し合っても、どう分割していいか分からなかったり、話し合いがまとまらないことがあります。
もめごとに発展した結果、家族なのに疎遠になってしまうことも。
もめそうな場合や、もめた場合は、遺産分割に関する相談窓口のある法律事務所や、相続に詳しい弁護士に相談するのも一つの方法です。

分割協議で求めたときの解決方法

STEP3 相続財産の名義変更

相続登記のための提出書類を取得する

相続財産の名義変更は、遺産分割協議の終了後に行うことができます。
実家の家や土地を相続する場合、土地と建物の所有権移転登記が必要です。
これによって、不動産の名義が亡くなった被相続人から、相続した配偶者や子どもに変更されます。

相続登記の際には、書類の用意が必要になります。
法務局や市町村役場など複数の機関から取り寄せることになるので、早めにそろえておくのがいいでしょう。

必要な書類は状況によって違います。
まず、法定相続人が1名、または法定相続分で相続をする場合は下記の書類が必要です。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・法定相続人の戸籍謄本
・法定相続人の住民票
・相続する不動産の固定資産税評価証明書

遺産分割協議で決めた割合で相続する場合は、上記の書類のほかに、
・法定相続人の印鑑証明書
・遺産分割協議書
が必要になります。

法務局で相続登記を申請する

相続登記には、いつまでに行わなければならない、という期限がありません。
しかし、その不動産を売却したり、担保に入れたりしたい場合には、所有権をもつ人を明確にするため相続登記がされていることが必要になります。
長期間、登記をしないままでいると被相続人の住民票や除籍謄本など相続登記に必要な書類が取れなくなるほか、相続人のなかの誰かが亡くなって次の相続が発生し、権利関係が複雑になるなど、さまざまな問題が出てきます。
スムーズに登記を行うためにも、相続が発生したら速やかに申請を行うのがいいでしょう。

登記は自分で行うこともできますが、例えば「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」は、被相続人が何度も本籍を変更していた場合など、さかのぼって取得する手間がかかります。
自分で行うのは不安、時間がないなどの場合は、司法書士などに依頼して手続きを代行してもらうと安心です。

STEP4 相続税の申告・納付をする

相続税の課税価格を確認

相続税は下の計算式のように遺産の総額から、この基礎控除額をマイナスした価額に対して課税されます。

遺産総額 ― 基礎控除額 = 課税価格

例えば、遺産総額が1億円で基礎控除が4800万円なら、5200万円が課税価格ということになります。
遺産総額が基礎控除額よりも少なければ相続税はかからないことになり、申告の必要はありません。

相続財産の価格が基礎控除額を超えた場合は相続税の申告・納付が必要です。

相続税申告書の作成

相続財産の総額を出し、相続税が算出できたら申告書の作成を行います。
自分で作成することもできますが、ミスや漏れがない申告書をつくるのは慣れていない人とっては大仕事です。
期日を過ぎる心配もありますから、税理士に依頼するのが安心です。
自力で作成するのであれば、分からないことは税務署に相談しながら時間に余裕をもって進めるようにしましょう。

相続税の申告・納付

申告書ができたら、必要書類を添えて被相続人の住所地の税務署に提出します。

不動産の場合は登記事項証明書、固定資産税の評価証明書、実測図などの書類が必要。
そのほか、被相続人と相続人全員の戸籍・除籍謄本、住民票、印鑑証明書なども提出します。
数多くの書類が必要になるので早めの準備が安心です。

■不動産の相続税申告の際に提出する主な書類
身分関係の書類 【被相続人】戸籍・除籍謄本、戸籍の附票、住民票の除票
【相続人全員】戸籍謄本、戸籍の附票、住民票、印鑑証明書、個人番号カードまたは通知カードと運転免許証など身分証明書のコピー
不動産関係 登記事項証明書、固定資産税の評価証明書、実測図など

なお、申告期限を過ぎたり、実際より少ない額で申告したりすると、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります。
また、申告期限内に申告をしても、期限までに納税しなければ利息にあたる延滞税がかかる場合があります。
納税準備が間に合わない場合は、延納(分割払い)なども可能ですので、税務署に相談するといいでしょう。

「遺産分割協議が整っていない場合には、法定相続分で分けたものとして申告することになり、協議が整ったときに申告のやり直しをすることになりますので、早めに遺産分割協議を終えることが理想です」

相続人が複数いる場合、不動産はどう相続するか。

家や建物を複数で相続する場合の注意点

遺産の中に現金のように分けるのが難しい不動産がある場合、複数の相続人で不動産をどう相続すればいいのでしょうか。

ここではいくつかの方法を紹介します。

相続人の一人が不動産をそのまま相続する(現物相続)

シンプルなのは、一つの不動産を一人で相続する方法です。
例えば、相続人が二人兄弟の場合に、兄が実家の建物土地を、弟がそれと同等の価値がある現金を相続するなどです。
このように不動産以外にも遺産があり、相続人全員が遺産分割の方法に合意すればもめごとにもなりにくいでしょう。

現物相続

相続分と同じ価値の現金でもらう(代償分割)

特定の相続人だけが不動産を相続し、残りの相続人に相続分の金銭を渡す方法です。

相続する財産は違いますが、金額的な価値では同じになります。

「遺産となった家に暮らしていた相続人が取得するケースが多いですが、金銭で渡すことができなければ、この方法をとることができません」

代償分割

不動産を売却して金銭で相続する(換価分割)

不動産を売却し、その代金を法定相続で分ける方法です。

「不動産が売却できれば均等にお金が渡ることになりますが、暮らしていた家がなくなります。また、相続人全員に譲渡所得税が課税されることになります」

換価分割

複数人で不動産を共有する(共有相続)

一つの不動産を分けずに複数人で共有する方法です。将来、売却する場合や賃貸に出す場合など、名義人全員の意見が合わなければトラブルのもと。リスクの高い相続方法といえます。

共有相続

不動産相続のトラブルを防ぐためのポイント

登記されていない不動産だった場合、どうすればいいのか

相続した土地や建物が登記されていない未登記物件だった、というケースがあります。
また、まるごと未登記ではなく、増築をした部分をそのままにしている「一部未登記」の物件もあります。

相続した実家を売却することにした場合、スムーズに売買取り引きをするには、きちんと登記がされていること。
相続人全員で遺産分割協議を行って所有権保存登記をし、現在の所有権が誰にあるのかを明確にすることが必要です。

不動産が担保に入っていた!その場合、相続はどうなるのか

不動産が担保に入っている、つまり抵当権が付いている場合は、遺産の中に借金が含まれていると考えていいでしょう。
つまり、抵当権が付いている不動産を相続すると、その抵当権も引き継がれ、借金(マイナスの財産)も負うことになります。

抵当権を消したい場合は、借金を完済すること、そして、抵当権抹消の手続きを行うことになります。

遺言があってもその内容通りに相続できないことがある

「遺言があると遺言内容が優先されるため、相続人が遺産分割の方法を決める必要がありません。
ただし、他の相続人の遺留分を侵害しないような遺言にしなければなりません」

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分のこと。

一人の相続人に遺産が集中しているような不平等な遺言の場合、他の相続人に遺留分を請求されれば遺言どおりに相続することはできなくなります。

相続トラブルを防ぐためには遺言を作成

遺言の中身についてのトラブルは多くあります。
不平等にならず、不動産を共有にすることのないような遺言書を作成することがベスト。
相続が発生したときにトラブルにならないか、税理士や行政書士などの専門家に相談するのがオススメです。

公正証書遺言と自筆証書遺言

では次に、公正証書遺言と自筆証書遺言について解説しましょう。

「公正証書遺言は公証人が本人の意思に基づいて公正証書として作成します。
公証人役場に原本が保管されるので紛失の心配もなく相続が発生した場合スムーズに実行できます」

一方、誰でも気軽に作成することができるのが自筆証書遺言。
2019年1月からは財産目録について内容をパソコンで打つことも認められました。

「2020年7月1日からさらに自筆証書遺言を法務局で保管することができる制度が新設されました。
自筆証書遺言は裁判所で検認すると無効になったり、紛失のリスクがあったりとせっかくの故人の遺志が反映されない危険がありましたが、この制度で法務局に預ける際、形式をチェックしてもらえるので無効になるリスク、紛失のリスクがなくなります。ただ、内容についてはチェックしないので、極端に不平等な遺産分割にならないよう、また自分がなぜそのようにしたいのかを伝えた形で遺言書を作成し、残された家族が争うことがないように気を付けたいものです」

不動産相続にかかる税金と費用。相続税の計算は遺産総額の算出から

相続が発生すると相続税がかかわってきます。

相続税は、遺産の総額から、基礎控除額をマイナスした価額に対して課税されます。
つまり、課税価格を出すために、まず必要なのが遺産総額を課税時期(相続開始時)の時価で評価することです。

現金や預貯金、不動産、株などの有価証券、投資信託、生命保険、美術品や骨董品、貴金属などを評価して遺産総額を出します。
遺産にはさまざまなものが含まれ、それぞれに評価法があるため知識がなければ価格を算出するのは難しい場合が多いでしょう。
相続に詳しい税理士など専門家に相談するのが無難です。

■主な相続財産の評価方法
財産の種類 評価方法
土地 路線価方式:宅地が接する路線価×土地の面積
倍率方式:固定資産税評価額×一定の倍率を ※路線価のない地域の場合
住宅などの建物 固定資産税評価額
預貯金 残高+既経過利息(20.315%源泉控除後の金額)
死亡生命保険 受け取った保険金額―(500万円×法定相続人の人数)

法定相続人の数によって基礎控除が違う

相続税はすべての相続人にかかるわけではありません。
遺産の総額や相続人の人数などによって、相続税がかからない範囲の金額があり、これを相続税の「基礎控除」といいます。

基礎控除は法定相続人(民法で定められた遺産を相続する権利がある人)の人数によって違います。
基礎控除を出す計算式は下記のとおり。

3000万円+(法定相続人の数×600万円)=基礎控除

例えば、夫が死亡し、法定相続人が妻と子ども2人の場合、基礎控除は「3000万円+(3人×600万円)」で4800万円。
法定相続人の人数が多ければ多いほど、基礎控除は大きくなります。

家や土地はいくら?不動産価格の調べ方

土地の場合は、路線価に土地面積をかけて土地価格を計算する「路線価方式」、路線価がない地域の土地は宅地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて土地価格を出す「倍率方式」が使われます。
路線価は、国税庁が酷評する路線価図に掲載されています。
国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」で調べることができます。また、国税局や国税事務所、税務署でも路線価図を見ることができます。

住宅の場合は、被相続人が所有して使用していた住宅は、固定資産税評価額がそのまま相続税を出す際の評価額とされます。

毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

不動産にかかる相続税の計算方法

相続税は下の計算式によって算出されます。

課税価格×税率―控除額=相続税
1. 遺産の総額-基礎控除額=課税遺産総額
2. 課税遺産総額を法定相続分で案分
3. 各法定相続人の法定相続分×税率=算出税額
4. 各法定相続人ごとの算出税額の合計額(相続税の総額という)
※課税遺産総額を法定相続分で相続したと仮定した場合の税額を求めます。
5. 各人ごとの税額=相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計額
※最後に各相続人の納税額を計算します。

税率や控除額は課税価格によって違います。算出する際には下の速算表を使用するといいでしょう。

■相続税の速算表
課税価格 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

例えば、課税価格が4000万円の場合は、
4000万円×20%―200万円=600万円
となります。

例えば課税遺産総額が1億円、法定相続人が子ども2人の場合には
1億円-4200万円=5800万円
5800万円×1/2=2900万円。この金額を上の表に当てはめます。

2900万円×15%-50万円=385万円(算出税額)
385万円×2人=770万円(算出相続税額の総額)

法定相続分通りに相続した場合には
770万円×5000万円÷1億円
つまり各人385万円の相続税になります。

不動産の名義変更には登録免許税がかかる

相続が発生した場合、土地や建物の名義変更、つまり所有権移転登記を行います。
その際にかかるのが登録免許税です。

登録免許税の税額は固定資産税評価額に税率をかけて算出します。
税率は、相続の場合は0.4%なので、下のような計算式になります。

土地と建物の固定資産税評価額×0.4%=登録免許税

なお、2021年3月末までは、被相続人が所有していた土地の所有権移転登記を行っていなかった場合、その土地を相続した人は、被相続人に名義変更するための登録免許税は免除という免税措置があります。

不動産の名義変更には登録免許税がかかる

そのほか、法務大臣が指定する土地のうち、不動産価額が10万円以下の土地にかかる登録免許税にも、2021年3月末までは免税措置がとられています。

不動産の登記に必要な費用

不動産登記は、自分で行う場合の費用は登録免許税と、固定資産評価証明書や登記事項証明書、戸籍謄本などの必要書類の取得費です。

司法書士に依頼する場合は、これらの実費に加えて、司法書士報酬がかかります。
司法書士報酬は、個人の住宅の一般的な相続登記の場合、6万~10万円程度が目安といわれています。
しかし、依頼内容や地域、依頼する司法書士によって金額が違ってきますから、依頼する場合は事前に必ず確認をとるようにしましょう。

土地や建物など不動産の相続で節税の方法は? 土地の評価額を下げられる小規模宅地等の特例

相続する土地の評価を下げることで、相続税が節税できる「小規模宅地等の特例」があります。
この特例の対象となるのは、被相続人が住んでいた宅地のほか、被相続人が営んでいた事業用の宅地、被相続人が所有するアパートなど貸付用の宅地です。
減額される土地の面積や、どれくらい減額されるかは被相続人がその土地をどう使っていたかによって違ってきます。

子どもとの二世帯住宅や同居の場合

被相続人(親)が住んでいた実家の土地を同居していた配偶者が相続してそのまま住み続ける場合や、二世帯住宅や同居で住んでいる子どもなどの親族が相続してそのまま住み続ける場合は、土地の評価額が330m2までは80%減額されます。
例えば、評価額3000万円の土地の場合、特例が適用になり80%減額されることで評価額は600万円ということになります。

事業用の場合

被相続人が営んでいた事業用の土地だった場合、相続人が事業を承継し、そこで事業を営む場合は宅地の400m2までの部分の評価額が80%減額されます。

賃貸住宅の場合

被相続人がアパート賃貸業を営んでいた場合、相続人が貸付け事業を引き続き行うのであれば、宅地の200m2までの部分の評価額が50%減額されます。

■住宅付き土地などに特例が適用される条件と減額面積・割合
宅地の種類 相続人の主な条件 減額面積 減額割合
A 被相続人が住んでいた宅地(特定居住用宅地等) ・配偶者である
・同居の子どもなどの親族で、相続し、申告期間まで住み続ける
330m2まで 80%
B 被相続人が営んでいた事業用の宅地(特定事業用宅地等) ・相続人が、事業を申告期限までに承継し、そこで事業を営む場合 400m2まで 80%
C 被相続人が所有するアパート貸付用の宅地など(貸付事業用宅地等) ・相続人が申告期限まで引き続き貸付け事業を行う場合 200m2まで 50%
2015年1月1日以降の相続に適用。AとBを併用する場合は、それぞれ限度額まで適用可能で合計730m2まで80 %の減額が可能になる。

相続税の配偶者控除を使う

被相続人の配偶者の場合は、基礎控除以外にも、配偶者控除(配偶者の税額軽減制度)によって相続税が軽減されます。これは、配偶者が相続した遺産額が

・1億6000万円
・配偶者の法定相続分

のどちらか大きい金額まで相続税が課税されません。

では、配偶者控除を受けられるのはどのような場合なのでしょう。ポイントは4つです。

戸籍上の配偶者

被相続人が死亡した時点で、法律上の婚姻関係があった人、つまり戸籍上の配偶者であることが必要です。
婚姻期間のルールはないので、例え入籍して3日という場合でも相続税の配偶者控除の対象になります。
内縁関係など事実婚の場合や、離婚した元配偶者は対象外です。

相続財産を意図的に隠していない

申告の際に隠していた相続財産があった場合、その相続財産には配偶者控除を適用することができません。
なお、意図的に財産を隠していた場合には重加算税が課税されることになります。

遺産分割が確定している

配偶者控除を受けるためには相続人全員で遺産の分け方について話し合う遺産分割協議を行い、分け方が確定している必要があります。

もしも、申告期限(相続開始を知った日の翌日から10カ月)までに協議がまとまらなかった場合は、法定相続分で遺産を分けたと仮定し、期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて申告手続きを行います。
申告期限から3年以内に遺産分割ができない場合は、税務署長の承認を得ることで、分割協議がまとまらない事情が解消された日の翌日から4カ月以内に分割された財産が軽減対象になります。

相続税の申告書を提出する

基礎控除で相続税がかからなくなる場合は相続税の申告は不要ですが、配偶者控除の場合はたとえ相続税がゼロになったとしても申告が必要になります。

配偶者控除の申告の際には以下の書類が必要です。

・相続税申告書
・戸籍謄本
・遺言書または遺産分割協議書のコピー
・印鑑証明書(遺産分割協議書のコピーを提出する場合)

おしどり贈与を使って相続財産を減らす

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用住宅を生前贈与する場合2000万円まで贈与税の控除が受けられるという制度。
仮に相続が発生しても持ち戻しの対象にならないため、相続財産を減らすことができます。

配偶者居住権を活用する

2020年4月施行の配偶者居住権。
被相続人が死亡した後も、その配偶者が引き続き同じ持ち家に住み続けられるようになる権利です。

所有権を住む権利とその他の権利に分ける

配偶者居住権は、不動産の所有権を、住む権利とその他の権利に分けて、別々の人がそれぞれの権利を相続することを認める仕組みです。

配偶者居住権を使った場合の例

例えば、上の図を見てみましょう。

配偶者と子ども1人が、被相続人が所有していた2000万円の価値のある家と、2000万円の預貯金を相続することになったとします。
この場合の法定相続分は、配偶者も子どもも2000万円分の遺産です。
家も預貯金もそれぞれ2000万円ですから、分割するのは簡単なように感じます。
しかし、配偶者はCASE1のように家だけを相続すると、現金が手元に残りません。
CASE2のように現金だけを相続して子どもと同居できなかったり、または、家を売却して子どもと均等に分けると、配偶者の住む家がなくなります。

そこで家の所有権を住む権利の「配偶者居住権」と「その他の権利」に分離して相続。
配偶者は、その家については「住む権利だけ」を認められることになり、預貯金も手元に残ることになります。

なお、配偶者居住権は相続発生時にその家に住んでいたことが条件。
また、配偶者居住権の登記が必要です。

売却する場合の取得費加算の特例

相続した不動産を売却する場合、相続税の申告期限から3年以内の売却なら「取得費加算の特例」によって、税負担を軽くすることができます。

不動産を売却する際には、売却(譲渡)価格から売却費用やその不動産の取得費を経費としてマイナスできます。
相続した不動産の場合、この経費に相当する分に売却した土地に対する相続税額を加算できます。
すると、譲渡所得金額が減り、譲渡所得税額と、譲渡所得税額に課税される所得税と住民税が減ることになるのです。

■相続した不動産を売却したときの取得費加算の特例

(売却(譲渡)価格―取得費、売却(譲渡)費用、売却した土地に対する相続税額)×譲渡所得税率=譲渡所得税額
※長期譲渡所得の税率は15.315%、その他住民税5%がかかります。

この「取得費加算の特例」を受けるためには

・相続または遺贈によって取得した人であること
・その財産を取得した人に相続税が課税されていること
・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

という要件を満たすことが必要です。
つまり、相続財産が基礎控除内だったため、相続税がかかっていない人の場合は、取得費加算の特例の対象ではありません。

空き家特例

被相続人が住んでいた不動産を空き家のまま譲渡した場合、一定の要件に当てはまれば譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。

昭和56年5月31日以前に建てられた家屋(マンションは除外)で被相続人が相続開始の直前まで一人で住んでいたものを相続人が取得し、建物を取り壊して相続開始から3年以内に、1億円以下で譲渡した場合など、複雑な要件を満たす必要があります。特例の対象になるかどうかは、最寄りの税務署や税理士などの専門家に相談してみるといいいでしょう。

まとめ

突然直面することも多い相続。
その後は、遺産の分割や登記、相続税の申告など、行わなければならないことがたくさんあります。
しかも、期限があるものも。特に相続財産のなかに不動産があると、必要な手続きやダンドリも増えます。
相続税が発生しそうな場合は節税対策を考えておくことも大切。
いざというときに備えて、情報を整理したり、依頼できる税理士を探しておくのがオススメです。

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構成・取材・文/田方みき
公開日 2020年04月16日
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