【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説/住まいのお金・制度のマニュアル#33

公開日 2023年07月26日
【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説/住まいのお金・制度のマニュアル#33
【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説/住まいのお金・制度のマニュアル#33

質の高い家を買うと当初金利が引き下げられる【フラット35】S

全期間固定型金利の住宅ローン【フラット35】には、借入当初5年または10年の間、金利を引き下げる制度がある。その代表が、質の高い住宅購入や新築に利用できる「【フラット35】S」だ。

このほか、中古住宅を買ってリフォームする場合に利用できる「【フラット35】リノベ」や所定の自治体での住宅購入・新築に利用できる「【フラット35】地域連携型」など、金利引き下げ制度には複数のメニューがある。また、2種類以上のメニューの併用によって「金利引き下げ幅」や「引き下げ期間」を合算でき、最大で当初10年間の金利が0.5%引き下げられる。

「【フラット35】S」は、「省エネルギー性」「耐震性」「耐久性・可変性」「バリアフリー性」に関する性能基準のうち1つ以上について、一定の性能基準を満たす住宅に利用できる。また、「【フラット35】S」の金利引き下げ幅は0.25%で、金利引下げ期間を10年間とする金利Aプランと、5年間とする金利Bプランとがあり、Aプランのほうが条件となる住宅の基準は高くなる。

このほか、「ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅」を新築・購入する際には、当初5年間の金利を0.5%引き下げ、6~10年目を0.25%引き下げる「【フラット35】S(ZEH)」も利用できる。

「【フラット35】S」を利用する場合、【フラット35】の取扱金融機関に確認して申し込む。【フラット35】の金利は金融機関によって金利が異なるので、比較検討することが大切だ。

「【フラット35】S」の適用基準

「【フラット35】S」が利用できる住宅の主な基準は以下のとおり。等級表示されているものは住宅性能表示制度の等級と同じだが、住宅性能評価書を取得する必要はない。なお、中古住宅には特有の基準があり、利用しやすくなっている。

〈金利Bプラン〉(新築住宅の基準)

次の(1)~(5)のうちいずれか1つ以上の基準を満たすこと
(1)断熱等性能等級4かつ、一次エネルギー消費量等級6以上の住宅
(2)断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4または等級5の住宅
(3)耐震等級(躯体構造の倒壊等防止)2以上の住宅
(4)高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
(5)劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(マンションは一定の更新対策が必要)

〈金利Bプラン〉(中古住宅の基準)

次の(1)~(3)のうちいずれか1つ以上の基準を満たすこと
(1)開口部断熱(二重サッシまたは複層ガラス等を使用)
(2)外壁等断熱(【フラット35】を利用して新築・購入した住宅で、断熱構造が新築時から変わっていないものなど)
(3)高齢者等配慮等級2以上の住宅

〈金利Aプラン〉(新築住宅・中古住宅の基準)

次の(1)~(5)のうちいずれか1つ以上の基準を満たすこと
(1)断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅(※)
  〈中古は「断熱等性能等級4以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅」も可〉
(2)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅(中古は同等級2以上の住宅)
(3) 一定基準以上の免振建築物
(4)高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可)
  <中古は同等級3以上の住宅>
(5)長期優良住宅
<中古は劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅も可(共同建て住宅などについては、一定の更新対策が必要)>
※「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」を含む。2021年10月の設計検査申請分より、土砂災害特別警戒区域内の新築住宅については「【フラット35】S」が利用できなくなる

(金利Aプラン)(中古住宅の基準)

次の(1)~(7)のうちいずれか1つ以上の基準を満たすこと
(1) 断熱等性能等級4かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅
(2) 断熱等性能等級5かつ、位置エネルギー消費量等級4以上の住宅(2022年度の改正認定基準に適合した認定低炭素住宅および性能向上計画認定住宅)
(3) 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
(4) 免振建築物
(5) 高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
(6) 長期優良住宅(維持保全計画認定も含む)
(7) 劣化対策等級3かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(マンションについては一体の更新対策が必要)

【フラット35】S(ZEH)省エネ性能が高く太陽光発電装置等の導入住宅に適用 

省エネ効果がより高いZEH水準の住宅を購入・新築する場合、当初5年間の金利が0.5%、6年目~10年目は0.25%引き下げられる。ZEH住宅は「住宅の断熱性能や省エネ性能などの大幅な向上」と「太陽エネルギーなどの導入」により、空調や給湯、照明、換気などの消費エネルギー(一次エネルギー消費量)が正味ゼロまたはマイナスとなる住宅のことで、住宅ローン控除など税制の優遇も受けられる。

また、ZEH水準の「長期優良住宅」を購入する場合、6年目~10年目の金利引き下げ幅が0.25%加算され、「当初10年間の金利が0.5%」引き下げられる。

中古住宅を購入してリフォームするときに使える【フラット35】リノベ

中古住宅の購入と合わせて、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかについて、一定要件を満たすリフォームをする場合、借入当初10年間の金利が「0.25%または0.5%」引き下げられる。不動産会社がリフォームを行った中古住宅を購入する場合にも利用できる。

長く快適に住める住宅の購入・新築が対象【フラット35】維持保全型

長期にわたって快適に住めるよう、劣化しにくく管理しやすい住宅を買う場合、借入当初5年間の金利が0.25%引き下げられる。「長期優良住宅(新築・中古)」「予備認定マンション(新築)」「管理認定マンション(中古)」「安心R住宅・インスペクション実施住宅・既存住宅売買瑕疵保険付保住宅(中古)」が対象。

子育て支援に積極的な自治体での購入・新築に【フラット35】地域連携型

一定要件を満たす住宅購入・新築に対する自治体の財政支援などによって、一定期間の金利を引き下げる制度。次の2種類があり、「【フラット35】地域連携型」を導入している自治体は、【フラット35】のホームページで調べられる。

【フラット35】地域連携型(子育て支援)

子育て世帯が対象。当初10年間の金利が0.25%引き下げられる。

【フラット35】地域連携型(地域活性化)

UIJターン、コンパクトシティ形成、空き家活用、防災・減災、地域産材使用、景観形成など、地域活性化への取り組みに寄与する住宅購入・新築が対象で、当初5年間の金利が0.25%引き下げられる。
利用できる人や住宅の条件は、自治体の地域活性化対策によって異なる。

金利引き下げメニューの併用で、引き下げ金利や期間がアップ

紹介した金利引き下げメニューのうち条件に合うものが複数ある場合、メニューを併用して金利の引き下げ幅や引き下げ期間を合算し、最大で当初10年間の金利を0.5%引き下げられる(※)。

例えば、「1.【フラット35】S<金利プランB>」の条件に合う住宅を、「2.【フラット35】地域連携型(子育て支援)」の自治体で購入する場合、当初5年間の金利引き下げ幅は0.5%、6年目~10年目の金利引き下げ幅は0.25%となる(「1.当初5年間の金利0.25%引き下げ」と「2.当初10年間の金利0.25%引き下げ」を合算)。

一方、上記の1.が「【フラット35】S〈金利プランA〉/当初10年間0.25%引き下げ」の場合は、併用によって当初10年間の金利が0.5%引き下げられるのだ。
※併用できないメニューの組み合わせもある。

住まいのお金・制度のマニュアル
  1. 5-1. 家を買う・購入手続きと費用
  2. 新築住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  3. 中古住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  4. 土地を買って家を建てるときにかかる費用と支払時期を解説
  5. 家のリフォーム・増改築の流れ、かかる費用と支払時期を解説
  6. 5-2. 家を買う予算(購入予算)を決めておこう
  7. マイホームの予算の決め方。住宅資金(現金)と住宅ローンから考えよう
  8. 家が高くて買えないときはどうする?購入予算の見直しポイントを解説
  9. 5-3. 住宅ローン、銀行の選び方・選択方法
  10. 住宅ローンは金利タイプに注意!固定型・固定期間選択型・全期間固定型の特徴
  11. 住宅ローンの種類とは?民間ローン、【フラット35】などの特徴を解説
  12. 融資実行日、決済日など、住宅ローンのチェックポイントを解説
  13. 5-4. 住宅に関する資金計画の立て方
  14. 住宅ローンの資金計画。返済額、金利タイプ、返済期間、住宅資金から考えよう
  15. 3000万の住宅ローンはどう返す? 利息・金利・期間から返済計画を建てよう
  16. 5-5. マイホーム・住宅購入後にかかるお金と節約テクニック
  17. 住宅ローン返済、固定資産税、都市計画税など住宅購入後にかかるお金
  18. 住宅ローンの繰り上げ返済とは。仕組みや事例を解説
  19. 住宅ローン控除のための確定申告とは。申告期間や流れ、必要書類など
  20. 5-6. 家を買う・購入する前に知っておきたい住まい関連の諸制度
  21. 印紙税とは。不動産売買契約や金銭消費貸借契約(ローン契約)時の注意点
  22. 登録免許税とは。課税対象や税率、軽減措置の要件について解説
  23. 不動産取得税とは。税額の計算方法や軽減措置の要件について解説
  24. 固定資産税・都市計画税とは。小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減措置を解説
  25. 住宅購入時の消費税のポイント。課税されるのは建物部分、軽減措置を解説
  26. 住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など
  27. 住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など
  28. 買い替え時に使える、譲渡損失の繰越控除とは。住宅ローン控除との併用も
  29. 長期優良住宅とは。認定基準の概要、住宅ローン控除などの優遇措置を解説
  30. 低炭素住宅とグリーン住宅ポイント制度・次世代住宅ポイント制度とは
  31. リフォームで受けられる減税。リフォーム促進税制、住宅ローン減税など解説
  32. 定期借地権とは。地代・敷金・権利金・解体準備費用などのコストを解説
  33. リフォーム瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  34. 既存住宅売買瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  35. 瑕疵担保責任とは。契約不適合責任との違い、新築・中古それぞれの注意点
  36. 環境性能表示制度とは。評価項目や自治体ごとの独自制度を解説
  37. 住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説
  38. 【フラット35】リノベなど、中古住宅購入+リフォームができる住宅ローン
  39. 【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説
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