「住宅ローンは金利が低いほうがオトク」と考えがち。しかし、金利が低いローンは、返済中に金利や返済額が上がる可能性がある。返済中に金利がどう変わるか「金利タイプ」を見極めて選ぶことが大切だ。
金利の低い住宅ローンは、同じ返済額で多額の借り入れができる。しかし、その多くが「変動型」や「固定期間選択型」など、返済中に金利が変わるタイプ。将来金利が上がったら返済額も増えてしまうのだ。一方、「全期間固定型」のように、金利は高めだが返済終了まで金利が固定されるタイプもある。住宅ローンは金利だけでなく、金利タイプも見極めて選ぶことが大切だ。
金利タイプ | 変動型 | 全期間固定型 | |
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金利例 | 0.375% | 1.48% | |
毎月返済額10万円の場合の借入額 | 3935万円 | 3276万円 | |
5年後、10年後に金利が1%ずつ上がる場合の毎月返済額 | 当初5年間 | 9万9987円 | 9万9984円 |
6年~10年 | 11万5445円 | ||
11年目以降 | 12万9581円 |
「全期間固定型」は、返済中の金利が事前に決められる(固定される)タイプ。変動型などに比べると金利は高めだが、金利が変わらない安心感がメリットだ。返済額も決まっているので将来のライフプランが立てやすく、家を買った後は、子どもの教育費の貯蓄などに集中できる。
全期間固定型のローンは、「【フラット35】」が代表的で、銀行や信用金庫、信用組合、信用農業組合、保険会社など、多くの金融機関が取り扱っている。フラット35の金利は金融機関によって異なるので、比較して選ぼう。なお、「【フラット35】」のほかに、独自の全期間固定型ローンも揃えている銀行等もある。
「変動型」は、民間金融機関の住宅ローンの代表的な金利タイプ。当初の金利は低く、「金利引き下げサービス」によって、当初金利0.5%未満というケースも珍しくない(2022年5月現在)。ただし、金利は半年ごと、返済額は5年に1度見直されるのが一般的(返済額が上がる場合は前回の1.25倍が上限)。つまり、将来金利や返済額が上がる「金利上昇リスク」がある点に注意しよう。
変動型を選んで金利が上がる場合、5年後の返済額アップは前回の1.25倍が限度。つまり、毎月返済額が10万円なら、次は最高12万5000円になる可能性があるのだ。今の市況では、数年内に金利が急に上がる事態は考えにくいともいわれるが、住宅ローン返済は最長35年と長期にわたる。10年、20年後の家計も考えて選択しよう。
「固定期間選択型」は、2年、5年、10年、20年など、金利が固定される期間を選べるタイプ。固定期間中は金利も返済額も変わらず、期間終了後はその時点の金利を見て、改めて固定期間を選べる点がメリットだ(※)。金利は固定期間ごとに決められ、期間が長いものほど高くなる。また、選べる固定期間は金融機関によって異なる。
※期間終了後、固定期間選択型と変動型のいずれかを選択できる商品も多い
「金利引き下げサービス」とは、所定の条件を満たす人に対して、店頭金利(基準金利)よりも低い金利を適用するサービスのこと。「全期間一定引き下げ」と「当初期間引き下げ」がある。このうち「当初期間引き下げ」は、最初の固定期間中の引き下げ幅が特に大きく、その後の引き下げ幅は小さくなるタイプ。つまり、最初の固定期間終了後、適用金利と返済額が上がるケースが多いので注意しよう。
固定期間を選択する上で大事なのは、家族の将来プランをつくり、(1)家庭の収入が上がる時期 (2)支出が増える時期(教育費のピーク時など) (3)支出が減る時期(子どもの独立後など)を把握すること。それをもとに「固定期間が終了したとき、金利や返済額が上がる場合に備えられる時期」を選ぶと安心だ。