申し込みから契約までの流れ
重要事項説明書の注意ポイント

重要事項説明は、「購入する物件」と「売買契約の条件」についての細かい(しかし大切な)事項の説明のことで、売買契約の前に必ず行われる。購入後に後悔しないためにも、きちんと確認していこう。
「重要事項説明書」の読み方
事前に書類のコピーをもらい、読み込んでおこう
重要事項説明では「重要事項説明書」が渡され、宅地建物取引主任者によってその書類内容の説明が行われる。しかし、不動産や法律の専門用語が並ぶため、一度で理解するのは難しいことも。重要事項説明が売買契約の直前になる場合は、必ず事前に書類のコピーを受け取り、細かいところまで読んでおこう。重要事項説明時には、不明点を遠慮なく質問して、納得してから売買契約に進むことが大切だ。
なお、宅地建物取引主任者は、重要事項説明に入る前に主任者証を提示して、自分が有資格者であることを示さなければならない決まりがある。提示がないときは、念のため一声かけて確認させてもらおう。
重要事項説明の各項目チェックポイントを見ていこう
以下に、重要事項説明の各項目と、注意しておきたいポイントをまとめてみた。きちんとチェックしておかないと、後々トラブルになることも多いので、自分の書類をチェックしながら、問題と感じることはないか、意味の分からないことはないか、じっくり確認しておこう。
■対象物件の確認
分類 | 主な内容 | チェックポイントや注意事項 |
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物件について | ●対象となる物件の所在地住所や面積など ●登記簿に記載されている項目 |
●パンフレットと実際の面積などに食い違いがないか ●抵当権が設定されている場合は、抹消される時期を確認し、契約書に明記してもらう ●「仮登記」という設定がある場合も注意。そのままだと物件を所有できなくなる可能性も |
法令上の制限について | ●用途地域や建ぺい率など、各種の法令に基づく制限事項 | ●住宅を建てられない区域になっていないかを確認 ●購入する家の周辺の土地の「用途地域」は何か、その地域にはどんな建物が建てられるのか、具体的に確認 ●(主に一戸建て・土地)その土地に建てられる「建物の高さや面積」などに関する法基準を確認 ●建て替えや増改築の際の制限がないか |
土地と道路の関係について(主に一戸建て・土地) | ●敷地に接する道路の幅と、道路と敷地が接する面の長さ ●私道負担に関する項目 |
●敷地が接する道路の幅が4m未満の場合はセットバックが必要 ●道路と敷地が2m以上接していないと建物は建てられない ●敷地が私道にしか接していない場合、「道路位置指定」を受けていないと建物は建てられない ●私道は敷地にならないので、建ぺい率・容積率の計算には含められない |
インフラの整備について(主に一戸建て・土地) | ●水道・電気・ガスの供給や、排水の施設について | ●排水が公共下水道でない場合、下水をどのように処理するか ●供給施設が未整備の場合は、いつまでに誰が整備し、工事費負担があるか ●負担金がある場合は、何にいくら必要か |
敷地や建物の状態について | ●敷地の形状や、建物の構造・仕様(未完成の場合は、完成予定の内容)についての説明 | ●(一戸建て・土地)道路からの高さ、傾斜の有無、排水施設の状態など ●(建物未完成の新築)パンフレットや図面集を確認し、気になるところがないか ●(中古物件)「付帯設備表」と「物件状況確認書」が渡される。それを見ながら、過去に雨漏りが起きていないかなど、建物の現状について確認 |
共用部分について (マンション) |
●管理形態や委託先、管理費、修繕積立金の説明 ●共用部分の範囲や使用方法 ●専用使用権について |
●管理費、修繕積立金の金額を確認 ●中古マンション契約の場合、売主が管理費や修繕積立金を滞納していないかチェックし、ある場合はどう対応するか確認。また、大規模修繕計画や、管理規約についても見ておきたい ●駐車場などを使用する場合は、使用できる人を決める方法や、金額もチェック |
■契約条件の確認
分類 | 主な内容 | チェックポイント |
---|---|---|
代金以外に必要な金銭について | ●契約時の手付金等 | ●それぞれの目的や、必要な金額を確認 ●手付金等については、保全措置の有無や保全方法などを確認 |
契約解除について | ●手付解除について | ●買主からは手付の放棄、売主からは手付の倍返しで契約を解除できるとする場合が多い |
●契約違反による解除について | ●売主が期日までに建物を引き渡さない、買主が期日までに代金を支払わないなどの場合は、契約解除とともに違約金を請求できる場合が多い ●違約金の金額も規定される(売買代金の2割以内) ●新築マンションの場合、解除したときのオプションの扱いもチェック |
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●ローン特約による解除について | ●利用予定の住宅ローンについて、取扱金融機関名や、借入・返済内容の詳細まできちんと明示されているか確認 ●ローン特約は「予定していた住宅ローンが借りられなくなった場合は、ペナルティなしに契約を解除できる」という特約。特約の記述がない場合、なぜ特約が付けられないか聞いておこう |
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供託や保険加入について | ●供託所などについて ●瑕疵担保責任の履行のための措置について |
●住宅の基本構造部分に瑕疵が見つかった場合に、売主や建築会社が倒産した場合などに備えて供託金の還付や保険金の支払いを受けることができるようにしておくための措置を確認 |
「その他」または「承認事項」など | ●そのほか、購入者が事前に知っておくべき内容が列記される | ●工場や墓地などの周辺の嫌悪施設についてや生活上のルール、判明している設備不備についてなど、内容は多岐にわたる ●例えば、「向いや隣りの空き地に、高い建物が建つ計画はないか」など、気になる事はここで最終確認しておこう |
最終更新日:2021年3月24日