桑(クワ)の意味・解説

桑(クワ)とは、クワ科クワ属の総称で広葉樹の一種。カイコの餌として古来重要な作物であり、また果樹としても利用される。落葉性の高木で、大きいものは15mに達するが、普段見かけるのは数m程度のものが多い。樹皮は灰色を帯びる。葉は薄く、つやのある黄緑色で、縁にはあらい鋸歯がある。大きい木では、葉の形はハート形に近い楕円形だが、若い木では、葉にあらい切れ込みが入る場合がある。
桑の木質は、やや重硬で加工はやや難しく、木肌は緻密で仕上がり面は美しい。用途は、床柱や和家具・楽器・彫刻用材・碁笥(ごけ)などに用いられ、茶道具の材料としては最高級とされ、江戸指物に重用されている。また古くから弦楽器の材料として珍重された。正倉院にはクワ製の楽琵琶や阮咸(げんかん)が保存されており薩摩琵琶や筑前琵琶もクワ製のものが良いとされる。
産地は、北海道~九州までと広域に広がる。ちなみに良材とされるのが、伊豆諸島の御蔵島や三宅島で産出される「島桑」であり、緻密な年輪と美しい木目と粘りのあることで知られる。

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