私がこの街を好きな理由 ~所沢~

著: SUUMOタウン編集部 

地元在住の人に街の魅力を語ってもらうこのシリーズ。今回紹介するのは、都内に通勤しやすく家賃もお手ごろな街、所沢。案内人は、「たわし」をリードにつないで犬のように散歩させている所沢の有名人、「たわしおじさん」。

実はこの「たわしおじさん」は、所沢小学校・所沢中学校・所沢高校と、すべて「所沢」とつく学校を卒業した生粋の所沢人。本当は「所沢大学」に行きたかったが、なかったのでやむなく都内の大学に進学したという変わり……いや、深い所沢愛の持ち主だ。

そんなたわしおじさんの口から語られる所沢の魅力とは?

■所沢ってどんなところ?

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【たわしを連れて、多摩湖畔を散歩するたわしおじさん】

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【シルクハットたわし。たわしは季節によって仕様が変わる】

早速、所沢ってどんな街なんですか?と尋ねると、

「埼玉のソウルフード、山田うどん発祥の地です」

と言うたわしおじさん。

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【所沢市上安松にある山田うどん本店】

カカシが描かれた黄色い看板が目印のあの店……。確かに埼玉ロードサイドのシンボルといっても過言ではないかもしれないが……、山田うどんについて熱く語り出すおじさんを制して、まずはもう少し入門編的なことから教えてください、とお願いする。

「そうですね、所沢といえばやっぱり『西武帝国』だと思います。なんといっても西武鉄道の本社がありますからね。埼玉西武ライオンズの本拠地・西武プリンスドーム(メットライフドーム)や西武園ゆうえんちもありますし、駅ビルももちろん西武です。今はそうでもないですが、ライオンズ黄金期(1980〜90年代)はみんなライオンズファンで、ちょっと年配の方にそのころの話をすると、もうニッコニコしちゃいますね」

駅前に西武鉄道の本社がある所沢駅には、西武池袋線・新宿線の2路線が通り、池袋までは約30分、西武新宿駅までは約40〜50分。西武バスも充実しており、市内はもちろん、大阪・京都方面、羽田・成田への空港連絡線も出ていて、出張や旅行にも強い。さすが帝国。

しかも、23区内に比べると家賃が劇的に安い。ワンルームマンションの家賃相場は、池袋が7.1万円なのに対して、所沢はなんと4.7万円!(SUUMO家賃相場 2017年3月10日現在)ベッドタウンとして人気があるのも、納得。

ちなみに、たわしおじさんも西武線を使って都内まで通勤しているそう。(もちろんたわしも一緒)

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【2012年に改装されてきれいになった所沢駅】

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【西口の「ワルツ所沢」。「西武所沢店」をはじめ、食品街やレストラン街が入る】

「宮崎アニメ世代には『トトロの森』のイメージが強いかもしれませんね。所沢には、映画『となりのトトロ』のモデルになったと言われる狭山丘陵があるのですが、今の時代、これだけたくさんの自然が残っているのは、所沢の魅力の一つだと思いますね。とくに、(狭山丘陵の一部を成す)狭山湖や多摩湖周辺の桜の時期は絶景です」

狭山丘陵とは、武蔵野台地のほぼ中央に位置する東西約11km・南北約4kmの独立した丘陵地で、日本の原風景のような雑木林や里山が残り、近年あまり見られなくなったカタクリやチゴユリなどの草花、オオタカやフクロウなどの動植物も生息している。

1990年には市民運動団体による「トトロのふるさと基金」が設立され、集められた寄付金によって森が買い取られ、景観が維持されているのだそう。都心に近いのに日本の原風景的な自然がすぐそばに残る環境は、所沢の大きな魅力かもしれない。

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【雑木林や畑が広がる武蔵野の景観を残した「所沢カルチャーパーク」。ジブリアニメファンの間では『となりのトトロ』の聖地の一つとされる】

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【春には多摩湖畔の桜、初夏には庭のバラが楽しめるレストラン「ローズグラスガーデン」にて。たわしおじさんのお気に入りの場所の一つ】

■活気あるプロペ通りと所沢の裏原的な仲通り

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【所沢一番の繁華街となっている「プロペ通り」】

所沢の概要を教えてもらったところで、たわしおじさんに駅前を案内してもらうことにした。まずは西口側の「プロペ通り」へ。ここは飲食店や日用品店、娯楽系のチェーン店が並ぶにぎやかなメインストリートだ。

「所沢は日本の航空発祥の地なので、航空にちなんだ名前の場所が多いんです。この『プロペ通り』、日本で初めて飛んだ飛行機『アンリ・ファルマン号』にちなんだ『ファルマン通り』、日本初の飛行場跡地である所沢航空記念公園は有名ですよね」

週末のプロペ通りは活気があり、たわしを引いて歩くたわしおじさんは皆の注目の的に。まず、小さな子どもが「なにこれ!」と食いつき、あっという間に撮影大会。

「僕の肖像権はあってないようなもんなんです。はい、たわし(チーズ)」

と、親切に撮影に応じるおじさん。プロペ通りは、とくに子連れママさんや学生などの若い世代も多くにぎやか。

「所沢には早稲田大学の所沢キャンパスや、日大芸術学部の所沢校舎、防衛医科大学校があるので、学生さんが多いですね。子連れの方が多いのは再開発の影響も大きいと思います。僕が卒業した所沢小学校は、一時期2クラスぐらいまで人数が減っていたんですが、今は周辺にマンションがにょきにょき立っていて、5クラスぐらいまで増えたそうです。東口も現在大規模開発中で、これからものすごいことになるらしいですよ」

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【仲通り2016年に完成したばかりの複合ビル「H-CUBE東町」。カフェやレンタルギャラリーなどが入居している】

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【仲通りの中心的存在、「SANDINISTA! STUDIO」の船戸雄次さん】

駅前からまっすぐプロペ通りを歩いていき、島田印房(老舗のハンコ屋さん)とファミリーマートの角を右手に曲がれば、落ち着いた雰囲気の仲通りに入る。

「この通りは所沢の裏原宿的な場所で、所沢を盛り上げようという濃い若手の人たちが集まってきて、カフェやギャラリー、おもちゃ屋さんや服屋さんなど、小さな店を開いているんです。仲通りはここ1、2年どんどん新しいお店ができていて、『仲通りプロジェクト』という大きな複合施設も誕生する予定です」

そう話しながら、旅先で買い付けた雑貨を売る隠れ家カフェや、ギャラリーやカフェが入るおしゃれな複合施設などを案内してくれる、たわしおじさん。

壁のアートがひときわ目を引くのは、アメリカ・ヨーロッパの古着を扱う「SANDINISTA! STUDIO」。オーナーの船戸雄次さんは、「最近はネットで服を買う人も多いと思いますが、僕は気に入った古着屋に通っては、店の人とコミュニケーションをとりながらあれこれ掘り起こして自分の好きな物を探してきました。そういう場所を、自分の育った街につくりたかった」と、仲通りに店を出した理由を語る。

■ないものは自分たちでつくってしまう所沢っ子精神

「所沢の人って、今までなかったものは自分でつくっちゃおう、魅力がないならつくっていこうっていう意気込みが強いんですね。だから、町おこし的な取り組みや住民主導のイベントなどが無数にあるんです」と、たわしおじさんは所沢っ子の気質を分析する。

「例えば小さなものでは、僕が参加している『所沢ゴミ拾い隊』。所沢をきれいにしようという有志が集まって、第4日曜の朝8時に所沢駅に集合して、ゴミ拾いが終わったらお茶を飲んだりしながらゆるく活動しています。もちろん私だけじゃなくてたわしも一緒に参加しますよ。こびりついた汚れをこすって落とすのに役に立ちますからね。

新しくて大規模なところでは、5月に『ところざわ学生映画祭』というのもあります。この映画祭は、コンペで勝ち抜いた学生たちの映画を、西武デパート(西武所沢店)のもと映画館があった場所で上映するんです。今年で3年目になるんですが、去年と一昨年は満員御礼状態でした。

それから、2015年に始まった『暮らすトコロマーケット』というイベントも注目です。クラフト(手づくり)の作品の販売を中心に、食・農・音楽を融合させたフェスのようなイベントで、航空記念公園で毎年11月に開催していく予定だそうです」

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【「暮らすトコロマーケット」の様子】

とてもここでは処理しきれないほどの大量の情報をうれしそうに語るたわしおじさんの様子を見ると、所沢のみなさんの生き生きした暮らしぶりまで伝わってくるよう。

こういった地元情報をキャッチするには『Facebook所沢会(FB所沢会)』というコミュニティをのぞいてみるのもおすすめ。これは「所沢を元気にする」を目的としたコミュニティで、子育てなどの生活の情報から、ビジネス系、ワイン・写真・文芸・音楽といった趣味系などのさまざまなジャンルの地元情報を発信・共有している。あらゆるジャンルがあるので、きっと誰でも一つは参加してみたくなるなるものが見つかるかもしれない。

■所沢は山田うどんのような街?

最後に、たわしおじさんに、所沢を離れようと思ったことはないのかと聞いてみると、

「うーん、ないですね。会社や旅行とかから所沢に帰ってくると、フッと体が緩むんですよ。これ、ずっと住んでいる僕だけのことかと思っていたら、最近越してきた人も同じことを言うんですね。つまり、所沢って、山田うどんみたいな街なんじゃないかと思うんです。特別におしゃれとかご馳走というわけではないんだけど、なんか落ち着くからつい通ってしまうみたいな。やっぱり住むのに丁度いいんです」

と、また、山田うどんのたとえを出しながら答えてくれた。一緒に所沢の街を歩いてみて、ちょっと分かったようなやっぱり分からないような……。ぜひみなさんも所沢に行って、確かめてみてほしい。

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【取材のために作成してくれたSUUMO所沢うちわとシルクハットたわし】

取材・文/鈴木さや香 撮影/中村宏覚

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