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西川口はふつうに住みやすい街ってみんなに知ってほしい

関東 PICKUP 埼玉県 西川口駅
著: 斎藤 充博 
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埼玉県の西川口駅周辺は、かつて違法風俗がはびこった街として有名である。そんな西川口にぼくが引越したのは、26歳のころ。会社を辞めて、生まれて初めて人生のレールから外れたタイミングだった。
 
新卒で入った企業は、上場している金融業。その中の営業職として入社した。四季報を見ると平均年収は900万円もあり、残業はせいぜい20時まで。休日の出社も無い。なんたるホワイトっぷりだろう。就職氷河期のこのご時世、この条件は「勝ち組」とは言わないまでも「穴場」にうまく入りこめたのではないか……とぼくは思っていた。
 
ところが仕事をしていて徐々に分かってきたことがある。仕事が圧倒的に合わない。仕事なんてそんなに面白いものだと思っていなかったが、ここまで面白くないことが世の中にあるなんて知らなかった。これは完全な誤算である。今思えばめんどくさい新人だが、そのときはそうだったのだ。合わなかった例として、この画像を見て欲しい。
 

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「すべては自分次第。無限の可能性あり!」このテプラ、すごいでしょう。なんだか元気がないぼくに対して、上司が励ましの意味で貼ってくれたものである。完全にホワイトな精神でやってくれたのだが、ぼくはこれを見る度にションボリしてしまった。会社の人たちはぼくを見かねて、終業後に飲みに誘ってくれたり、カラオケに誘ってくれたりした。

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でも、飲みの席ではなんだか仕事しているとき以上に気を遣ってしまう。上の写真は気を遣ってカラオケで盛り上がっている様子である。単に素直になればいいって話なんだけど、そうもいかない雰囲気だ。(このあたりの機微分かりますか?)

草木に肥料をやり過ぎると根腐れする。そんな感じで、ますますションボリしてゆくぼく。ああ、もう完全にかみ合わないな、これ。もうダメだ。かくして、ぼくはその会社に丸4年勤めた後に、指圧の専門学校に通うことになる。どうだ、外れてしまっているでしょう。前置きが長くなってしまったが……そのときにアパートを借りたのが西川口だった。

なぜ西川口に住んだのかというとまず、指圧の専門学校が文京区の後楽園にあったため通学しやすいよう東京の城北部か、埼玉県の南部あたりに住もうと思った。会社を辞めた以上、なんとなく東京都内に住むのはぜいたくというものだろう思い、すると戸田市か川口市あたりが候補にあがり、その中でも西川口は周辺より家賃がワンランク安かったので飛びついた。
 
実際に訪れてみると、駅前にはすすけた建物の中で営業している古いお店がたくさんあり、とても落ち着いた気分になれたのも西川口で住もうと思った理由の一つだ。レールから外れた今の気分では、ピカピカの新興住宅地になど住む気になれない。ピカピカは目の毒である。かくして、知らない街に独りぼっちとなった。
 

そういう経緯で住みはじめた西川口。数ヵ月も経つと、だんだんと街について分かってきた。

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駅前は個人経営の飲食店だらけである。どこも安くてうまい。独りでも問題なく入れる雰囲気だ。
 
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オススメは「異味香(イウイーシャン)」という中華料理店だ。特に一押しは、冬季限定メニューの「カキのチリソース」。
 

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甘めのチリソースがかかっているのだが、カキが持っている海の香りと予想外にあう。初めて食べたときに「うまい!」って叫んでしまったのをよく覚えている。
 

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比較的新しいお店だと「永吉」もいい。
 

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担々麺のお店だ。ここの食べ物は全て香りがいい。開店してすぐに人気店になって、お昼時には行列ができるようになった。
 

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駅から少し歩いたところにあるスーパー「プライス」の安さは異常。ここで野菜を買い込むことで、会社勤めしていたころよりも健康的な生活が送れた。それから、軽食コーナー「ポッポ」で山盛りのフライドポテトをテイクアウトして、ビールのつまみにしたりもした(今回訪れたらポッポはもう無くなっていたけど)。
 

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駅から少し離れたところには、済生会川口総合病院があって、付近には飲食店が意外と充実している。病院スタッフや見舞客の来店を当て込んでいるんだろう。
 

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このあたりのイチオシはパン屋の「デイジィ」。なんと川口市と蕨市に6店舗ある。強力なドミナント戦略である。
 

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パンを買って持ち帰るのもいいんだけど、おすすめは2Fのイートインスペースで食べるモーニング。きちんとした朝ご飯を食べると、充実感がすごい。一日中やる気にあふれてしまう。
 

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大型ショッピングセンター、「アリオ川口」も家から徒歩圏内だった。ここにはシネコンが入っている。まさか自分の家から徒歩10分の所に映画館があるなんて、物件を借りるときには思ってもみなかった。
 
西川口の魅力をたくさん語ろうと思ったのに、ここまでなんか外食とスーパーやショッピングセンターの話だけになってしまった。もう少し言うと、JR京浜東北線が通っているために、交通の便も個人的には良かった。会社を辞めると同時にニフティのデイリーポータルZというサイトでライターを始めたのだが、当時ニフティがあった大森に乗り換え無しで行くことができたので助かった。治安だって別に悪くない(悪いと思い込んでいてすいません)。財布を落としたら駅前の交番にちゃんと届けられていた。
 
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飲み会の帰りに泥酔して路上で寝ていたら介抱されたこともあった。ちょうどこの公園の脇あたりの道だった。情け深い街である。はっきりいって「西川口はふつうに住みやすいところ」なのだ。
 

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西川口駅からずっと南に行くと荒川に出る。最も、もうこのあたりまで来ると、西川口駅より、川口駅の方が近いんだけど……。
 

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もう何にもやることがないときに、荒川の土手で缶コーヒーを飲んだりしていた。埼京線が荒川を越えて行くのが見える。平日の昼間だ。きっと世間の人たちは電車に乗って仕事に行ったりしているんだろうな。それをただ眺めているだけの自分、なかなか悪くないかもしれない。そんなことを考えていた。
 
新卒で入った会社は、すごく良い会社だと思っていたけど、自分には合わなかった。その後住んだ西川口は、勝手に良くないところだと思っていたけれど、すごく住みやすかった。人生のレールから踏み外してしまうのも、悪いことじゃないとぼくは思うのだ。世間がつくった先入観から自由になるチャンスなのではないか。みんなも会社辞めて、西川口に引越してみませんか?いや、メチャクチャ言っていることは理解しているけどさ。ぼくは西川口が最高だってみんなに知ってほしいんだ。

 

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著者:斎藤 充博

斎藤 充博

インターネットが大好きで、ウェブ記事を書くことがどうしてもやめられない指圧師です。「下北沢ふしぎ指圧」を運営中。

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