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幻の梨とガンダムデザイナーを生んだ「稲城」

関東 PICKUP 東京都 稲城駅
著: OKP 

突然ですが、東京都『稲城市』をご存じですか? 多摩地区と呼ばれる東京都市部の南に位置し、府中市、調布市、多摩市、そして神奈川県の川崎市に囲まれた多摩川沿いの街になります。

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市内にはJR南武線と、京王相模原線の2本の路線が走り、新宿まで電車で20〜30分程度の通勤圏。市内は南武線が走る多摩川沿いの平地から、主に多摩ニュータウンとして開発された丘陵部まで広く住宅地が広がっています。丘陵地には今も多くの緑が残され、里山エリアには、タカやチョウゲンポウといった大小の猛禽類やタヌキなどの野生動物も多く暮らしています。

京王線稲城駅の辺りから見渡した稲城の市街地。中央右手に見える大きな建物が稲城市役所、点在する緑はこの後で紹介する梨畑です。そして、写真では見えませんが市役所前の向こうに通っているのが、自転車ファンにはお馴染みの「南多摩尾根幹線」。稲城市の真ん中を東西に横切り、多摩丘陵の尾根を抜けて走る道路になります。

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以前から多摩・武蔵野エリアに長く住んでいた筆者ですが、実は稲城という街について、多摩川を隔てて隣接した府中市に引越してくるまで殆ど知りませんでした。
それが今では、頻繁に市境を越えて訪れる、すっかりお気に入りの街に。今回はそんな稲城の魅力の一端をお伝えしたいと思います。

フルーツタウン稲城 〜 幻の梨「稲城」を知ってますか?

稲城という街は多摩川の支流や用水路が整備されてることもあってか、古くから梨やブドウ、ブルーベリーなど果物を中心とした農業の盛んな地域だったそうです。

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中でも稲城の特産品として名高いのが「梨」。幸水や豊水などの全国的に見かける品種の他に、稲城独自のブランド梨があってその名はズバリ「稲城」です(以下、梨の名称については括弧書きの「稲城」で表記)。

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生産量が少ないこと、その大半が贈答用や地元で消費されてしまうことで、一般の流通には殆ど乗らない「幻の梨」と呼ばれるのがこの「稲城」。筆者もお隣の府中市に越してくるまでその存在を知りませんでしたが、豊かな甘味とシャキシャキとした歯ごたえ、そして驚く位のみずみずしさ、これまで食べてきた梨との違いに驚きました。

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そんな「稲城」を食べるにはどうしたらいいか?それはもうズバリ「稲城を訪れる」に限ります!具体的には県道19号線(鶴川街道)の周辺エリア。電車ならば、京王相模原線の「稲城駅」から「京王よみうりランド駅」にかけて、JR南武線の「稲城長沼駅」から「矢野口駅」辺りにかけての一体が、特に梨を中心とした果樹園地帯です。

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このエリアを歩けば、そこかしこに梨畑がありますし、道路沿いに多くの直販所を見つけることができるはずです。

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「稲城」の値段ですが、3〜4個で1000円台から買えるでしょうか。大玉のものや綺麗な贈答用のものだと、その倍以上の価格になるものもあります。すぐに食べるのなら、「訳あり」や「傷モノ」として安く売られているものも狙い目。「幻の梨」と呼ばれる高級梨を、かなり格安に手に入れることができるかもしれません。筆者が買うのはもっぱらこの「訳あり」品ばかり(笑)。

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直販所で「稲城」を選ぶ際ですが「なるべく大玉のものを選ぶ」のがポイント。大きなものだとソフトボールサイズ大にまで育つ「稲城」。あまりに大きいと大味になりそうなイメージがあるかもしれませんが、「稲城」に関しては大きなものほど美味しい、のが定説。直販所の方にもそう教わったこともありますが、実際に食べてみても大きな「稲城」の方が美味しいことが多いんです。

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買ってきた梨は、冷蔵庫で冷やしてから頂きましょう。いつも食べている梨とはひと味違う「稲城の至宝」をきっと楽しんでいただけることでしょう。

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そのほかに「高尾」というブドウも稲城が誇る特産品のひとつ。巨峰の改良種で、少し小ぶりで楕円形の実が特徴です。甘味が非常に強く、こちらも見かけたらぜひ手にして欲しい、フルーツタウンのもうひとつの顔!?

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梨の時期だけ食べられる「梨ケーキ」

稲城には多摩ニュータウンの中でも比較的新しい街が多く、緑と調和した美しい住宅地が多いエリア。そのせいか、オシャレなケーキ屋が各エリアに点在していて、そのどれもが都心にも負けない位のクオリティを誇っています。

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今回ご紹介したいのが、京王線の稲城駅から近い「ケーキファクトリーホイップ」。生菓子はもちろん、地元稲城のフルーツをふんだんに使ったオリジナルの焼き菓子も数多く並ぶ、地元の人気スイーツ店です。

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この時期は、各種梨のケーキがショーケースに並びます。取れたての新鮮な梨を使っているので、シャキシャキとした爽やかな梨の風味を楽しむことができます。どれも美味しいですが、筆者が一番好きなのは「特製 梨ショート」。

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そして、手土産などにもオススメしたいのが「梨スコーン」。「名産である梨のお菓子を一年通じて提供したい」といったコンセプトから、ドライフルーツにした梨を、ホイップオリジナルの果汁100%の「梨ジュース」で戻して、生地に練り込んでいるのだそう。

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そのほかにも、梨の季節が終わったころには、筆者も毎年楽しみにしている、秋限定のマロンパイ&アップルパイ。すぐ売り切れてしまう人気商品なので、1日2回の焼き上がりの時間を狙って買いに行く位です。発酵バターの香りがたまらない逸品です!

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ガンダムデザイナーが生んだ稲城のゆるキャラ

そんなフルーツタウン稲城のマスコットキャラクター、所謂「ゆるキャラ」ですが、もちろん梨がモチーフになっています。その名も「稲城なしのすけ」。なんというド直球!

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「梨型メカ」といった公式設定で、頭には梨の葉をかたどった2本の角。はて、この角どこかで見たような気がしませんか?なんと、この稲城なしのすけのキャラクターデザインは「機動戦士ガンダム」や「タイムボカンシリーズ」のメカニックデザインで有名な大河原邦男氏と、マルチクリエイターである井上ジェット氏が共同で手掛けたもの。
稲城なしのすけ 稲城市ホームページ

大河原邦男氏が稲城市の出身・在住ということもありこのコラボレーションは実現。そのような経緯もあり、JR稲城長沼駅の高架下に今年4月にオープンした「いなぎ発信基地ペアテラス」には、ガンダムとシャア専用ザクの巨大な像も設置されています。

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このペアテラスは、稲城の観光情報や特産品、稲城グッズの販売、カフェ営業の他に「MECHANICALCITY INAGI」のコンセプトの元、“デザイン”や“ものづくり”にもスポットを当てた、新たな街の魅力を発信する拠点を目指した施設だそうです。

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運営する商工会の方にもお話しを聞くことができたのですが、まだまだ市内外にあまり知られてないこともあり、もっと多くの人に訪れて欲しいそうです。そんなペアテラスには大河原氏がふらっと姿を見せることもあるのだとか。大河原氏による「稲城なしのすけ」の原案デザインや、井上ジェット氏のデザイン展開案も見ることができました。原案を見ると、どことなく「ハロ」の面影もあるのかな?

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稲城に住むってどんな感じ?

こんな稲城大好きの筆者ではありますが、残念ながら稲城市内に住んでいる訳ではありません。そこで、これまで稲城市内のニュータウン2カ所に住み、現在も市境からすぐの川崎市に居を構える3人の子育て中の友人に、稲城の魅力について尋ねてみました。

実際に稲城に住んで良かったことって何でしょう?

「丁度ひとり目の子どもがお腹にいるころから稲城に住んでいたのだけど、向陽台の『子ども家庭支援センター』はありがたかったなあ。小さな子どもを遊ばせるスペースもあって、保護者同士の交流の場にもなったし」
子ども家庭支援センター 稲城市ホームページ

「その後、若葉台の方に引越したのだけど、若葉台駅前の『稲城市立iプラザ』にもこどもエリアがあって、買い物の際によく立ち寄ってたんだよね」

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「子どもたちが大きくなってきてからは、なんといっても自然の豊かさかな。公園や緑地が充実してて、若葉台周辺の公園はほとんど駐車場が無料だったし(現在は最初の1時間まで無料)、とにかく子どもたちと遊ぶ場所にはことかかなかったの」

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「今は川崎市に住んでいるけれど、新百合ヶ丘の方は車が駐めにくかったりして、今でも稲城に行くことが多いくらい(笑)。この辺に住んでる人にも『稲城に行く』って人は多いの。あと、稲城市立中央図書館はキレイでとてもオススメかな。川崎市の住民も利用できるから、今でもよくお世話になってます」

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(※八王子市、府中市、調布市、町田市、日野市、多摩市、川崎市住民は図書館の相互利用が可能)


なるほど、稲城は子育て世代にも非常に魅力的な街のようですね。そんなフルーツタウンで育った子どもたちは、やっぱり稲城の梨が大好物だそう。
そんな彼女がお勧めしてくれた稲城市立中央図書館は、高台の中腹に建てられた 2006年オープンのまだ真新しい図書館。自然光たっぷりの大きな窓から稲城の街並みを眺めることもできる、開放的な空間が魅力的です。府中市民の筆者も、早速利用登録をしてきました(図書館の向こうに見える2つの大きな「H」は多摩川にかかる是政橋。橋の向こうが筆者の住む府中市になります)。

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稲城の梨が楽しめるのは10月ごろまで

今回ご紹介した稲城の梨ですが、9月上旬くらいまでが収穫期の「稲城」だけでなく、10月にかけて「二十世紀」「豊水」「新高」などの品種もまだまだ出てくるようです。市役所やペアテラスに行けば、写真のような稲城の観光案内を貰うこともできますし、「いなぎ農産物直売所マップ」は稲城市のホームページからもダウンロードが可能。

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いなぎ農産物直売所マップ 稲城市ホームページ

この直販所マップを見ていると、梨に続いて柿やキウイフルーツ、ミカンなど、まだまだお楽しみは続きます。そうそう、フルーツではありませんが、そろそろサツマイモも美味しい季節。流石に冬は野菜がメインになりますが、春になればタケノコはもちろん、初夏にはブルーベリーの収穫が始まります。この週末は、ぜひ直販所マップを片手に、こんな東京のフルーツタウンを訪れてみませんか?

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著者:OKP (id:OKP)

OKP

1974年生。神奈川県出身、東京都府中市在住。2015年に音楽出版関係の会社を辞めて、フリーランスの編集者兼主夫へ。アウトドアと音楽、6年前に始めたカメラが趣味。ブログ「I AM A DOG」では、カメラや登山、日々の食事について書いてます。

Twitter:@iamadog_okp