では、今年に入ってから、不動産市場はどうなっていたのだろうか? 今年1月~3月の決算前の時期と、4月以降現在に至るまでに分けて、実際の売れ行きやユーザーの動きについて探ってみた。
■ アドバイスしてくれた人
プロフィル
「住宅情報スタイル」「都心に住む」元編集長。オールアバウト「高級マンション」ガイド、WEBマガジン「家の時間」編集長を務める。94年から始まった首都圏の新築マンションブーム以降、見学したモデルルームの数は、優に1000件を超える。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)。ブログ「良いマンションに住みたい」も必見
プロフィル
長年のマンション販売の経験を生かし、「e住まい探しドットコム」を設立。住宅購入検討者に対してネット上でカウンセリングを行うほか、セミナー講師や住宅サポートサイトでのコラム執筆でも活躍。オールアバウト「マンション生活・管理」のガイドも務める。著書に『プロが教える住宅ローン得する借り方返し方』(週刊住宅新聞社)
“安くなって買えるかも”--2009年1月~3月は市場が動いた時期
モデルルームに客足戻る。価格のギャップがなくなれば、まだまだ「家を買いたい」ニーズはなくならない証かも
決算を前にした、2009年1月~3月、マンションの売れ行きはどうだったのだろうか。「これまで買いたくても買えなかったユーザーが動き、モデルルームは盛況だったようですよ」(坂根さん)
もちろん、価格の見直しに関しても、一部マスコミがあおるような「熾烈な値引き合戦だった」というわけでもなかったようで・・・。「正直、個別性が高いですね。かなりの思い切った価格見直しを行った会社もあれば、ブランド力で勝負し、原則価格を変えない会社もありましたから。同じ会社の物件でも対応は違いました」(坂根さん)
現在は、買い手も売り手も“様子見”をしている状態
では、現時点、不動産マーケットはどうなっているのだろうか。
「少し落ち着いたのではないでしょうか。投資マネーの引き揚げで超高額物件は供給過多のようですが、実需としては動いていると思います。“いい物件があったら買いたい”と思っている人は多いと思いますよ」(坂根さん)。「まだ買いたい価格とギャップがあるようで、ユーザーは、もう少し安くなるのを期待しているのではなでしょうか。しかし確実に買いたい人はいますね」(平賀さん)。--と、ふたりとも“この不景のなかでも潜在的需要は手堅い”と感じているようだ。
では、売り手はどうなのだろうか。「プロであるデベロッパー側も、個別の物件については分かっても、全体のマーケットが今後どうなるか、読みきれないのが事実ではないでしょうか」(平賀さん)。「個別性が高いので市況分析は難しい。苦戦している物件もありますが、価格と価値のバランスがいい物件はやっぱり売れていますよ」(坂根さん)と、複雑なようだ。
今は、ユーザーも不動産会社もマーケットがどうなるのか、ゆっくりと見極めている時期といえそうだ。「といっても、今年前半と同様、充実した住宅税制やローン金利の低位安定、さらに価格の値ごろ感などを総合判定すると、買い手市場であることには変わりありません」(平賀さん)。
ユーザーの見る目が試される今、「ネット」で情報収集を
市況全体はプロでも読みにくいのが実情。ユーザーは、価格と価値のバランスのいい物件かどうか見極める必要がある
市況が読みにくい今、「価格が高い時期に買って、“損した! ”と思いたくない」というのは当然の消費者心理。そのためには、「もっと情報を入手して、見る目を養ったほうがいい」というのはふたりの共通意見。今はマーケットが混沌としているため、価値に見合うだけの価格かどうかを、シビアにみる必要があるからだ。そのツールとして有効なのが「ネット」と、ふたりとも声をそろえる。「今のユーザーの方は情報量が少ないと思いますね。広く検索し相場観を養うにはネットの網羅性は有効です」(坂根さん)。「まずは周辺相場を見たり、物件情報を調べたり、予習が必要。本命物件が絞られれば同じ購入検討者が情報交換する掲示板も便利です」(平賀さん)
また、その価値を判断するうえで、「売ったり貸したりしたときにこの物件はどうか」と、売りやすさや貸しやすさといった市場価値を意識した選択をするというのも賢い方法だ。「特にシングル、ディンクスなら、この先どうなるか分からないことは多いはず。そんなときには資産価値がモノを言うはずです」(平賀さん)。
次回は、さらに秋から来年にかけて、不動産マーケットがどうなるのか予測をしてみたい。

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