2009年3月18日更新

DINKS
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離婚を想定してマンションを買う夫婦はいないものの、この先どうなるか分からないのも夫婦関係。今回は、万が一離婚になったら、購入したマンションはどうなるのか、弁護士の先生に質問してみました。

■ アドバイスしてくれた人

KAI法律事務所 弁護士 奈良恒則さん

プロフィル

弁護士になって以来、労務相談、会社法関係の相談、株主総会指導、企業の再生事件など企業法務のみならず、個人の債務整理・破産、離婚、相続、遺言、遺産分割、賃貸借関係の立ち退き・賃料等のトラブル、労災事故、交通事故、不良建築物件などのトラブルを幅広く扱う
KAI法律事務所ホームページ


年間離婚件数は25万組。最も多いのは「結婚5年未満」

 厚生労働省の調査によると、2007年の日本の離婚件数は約25万組。一日に約680組以上(1時間にすると28組!)が離婚している計算に。メディアでは「年金分割」のニュースで、子どもが独立後の夫婦の「熟年離婚」が話題だが、同居年数別でみると、結婚5年未満が最も多く、全体の3分の1を占めている。
 「離婚」となると、よく耳にするのが「財産分与」。経営者や大株主でない限り、一番の大きな財産は「不動産」になるわけで、やはり気になるのは「離婚したらマンションはどうなるのか」ということ。基本的には夫婦で「分ける」わけだが、簡単に片付かないのが実情。「離婚した場合、やはり一番の問題になるのは不動産。住む場所をどうするのか、という問題は大きいです」と弁護士の奈良恒則さん。今回は、一般的な考え方と具体的な対処法についてアドバイスしてもらった。

■ 2007年離婚件数(同居期間別)

※データ出典:厚生労働省

■ 離婚件数推移


「売却する」か「どちらかが住み続けるか」の2つの選択

 離婚した場合の所有マンションの対処法は大きく分けて2つ。「売却して利益を分ける」「どちらか一方が住み続ける」のどちらかだ。
 前者の場合、現金化することで今後もめる心配は少ない。「とにかく早く離婚してさっぱりしたい」場合には有効だ。しかし、実際は売却しても残債が相殺できないオーバーローンになることも多く、売るに売れない場合も。また、どちらかが住み続ける場合も、名義やローンはどうするのかという問題もある(それに関しては、次回掲載)。

離婚時の財産分与。権利は夫婦で半分ずつが基本だが

 では、まずは売却して得た利益を夫婦で分けるケースについて考えたい。
 法律的には、「婚姻期間中に夫婦が力を合わせて築いた財産は、夫婦共有の財産」と考えられ、財産分与するものは、不動産だけでなく、預貯金、株式、車や家具に至るまでが対象に。「例えば、婚姻中の夫1人の収入で家を購入しても、それは妻の内助の功があってこそ、と考えられ、原則的には夫と妻、2分の1ずつの実質的共有持分を有しているんです」(奈良さん)。つまり、妻が頭金を1円も出していなくてもローンを払っていなくても、妻には2分の1の権利があるというわけ。ただし、例えば、実際は、独身時代に貯めたお金を頭金にした場合はこの限りではなく、実質的共有持分比率が変更になる。「不動産の所有者の登記が夫の単独名義で、しかも婚姻中に夫1人がその収入でローンを負担しても、財産分与では、原則として夫婦各々が1/2の実質的共有持分を有しているので、離婚時に夫が登記名義はオレだし“ローンを払っていたのはオレだけだから、オレのものだ”と言っても、それは通用しないんです」。
 もっとも夫婦が不動産について各々1/2の実質的共有持分を有しているとしても、ローンの残っている不動産を第3者に売却し夫婦が得られる金銭は、売却代金からローンなど諸経費を引いた残額の各々1/2となる。
 ここでは具体的に、「第3者に売却し売却利益が出た場合」に限定し、その利益をどう分けるか、3つのケースを奈良さんに換算してもらった。

■ 3例とも、結婚と同時にマンションを購入。協議離婚した場合。慰謝料なし

POINT

(1)独身時代に貯蓄した頭金はそれぞれの持ち分
(2)ローンは支払った金額ではなく、減った元金で計算。これは夫婦で折半
(3)頭金と減った元金の合計額を全体の100%とし、夫、妻がそれぞれどの程度貢献したか、その割合で売却利益を分ける
※これはあくまでのケーススタディで、各家庭の離婚事情によってはこの限りではないので注意


CASE1 妻が頭金をたくさん出した場合
物件価格は3500万円

妻が結婚前に貯金したお金で頭金1000万円、夫がローンを2500万円。1年後に離婚して売却利益は約400万円。ローン返済額中減った元金は40万円のみ。

夫の取り分は7.7万円 妻の取り分は392.3万円
CASE2 今は妻は専業主婦。途中で妻が退職金で繰り上げ返済
物件価格は3500万円

ぞれぞれが結婚前に貯金したお金で頭金を500万円ずつ、夫がローンを2500万円。3年後、妻は専業主婦に。妻の退職金200万円(ただし婚姻前の退職金相当額は120万円)で繰り上げ返済。
10年後に離婚して、340万円の売却利益。ローン返済額中減った元金は740万円。

夫の取り分は159万円 妻の取り分は181万円
CASE3 頭金もローンも夫1人で支払っている場合
物件価格は4000万円

夫が結婚前に貯金したお金で頭金1000万円、ローンは3000万円 
妻は頭金も妻名義のローンもなし。名義はすべて夫
結婚2年後に離婚して、600万円の売却利益。ローン返済額中減った元金は100万円。

夫の取り分は573万円 妻の取り分は27万円

 独身時代に貯めたお金を頭金にしたり、退職金を繰り上げ返済にまわした額のうち、独身時代に積み上げた分は、それぞれの持ち分になるが、住宅ローンは別。「ローンは、夫1人だけの名義であったとしても、妻の内助の功や、共働きなら妻の収入があったからこそ夫はローンを払っていけたと考えられ、妻にも取り分があります。また支払った額ではなく、減った元金だけで計算するケースが多いですね」
 また、財産分与には、こうした「清算的財産分与」のほかにも、離婚後の生活を助ける「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」という要素もあり、「実際は、離婚理由、夫婦の収入格差、子どもの有無などによって、総合的に判断されることになります」
 ただ、これらはすべて「利益が出た場合」。では、売ってローンが残った場合も、夫婦でそれを折半しなければいけないのだろうか。

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次回、3月25日更新の記事は「売ってもローンが残ったら?」を掲載します。

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