家の中をリフォームする際には廊下も合わせて考えましょう。玄関を入ってすぐ目に留まる廊下は、住まいの第一印象を大きく左右します。また、廊下は安全に歩行ができないと転倒事故にもつながります。見栄えの良さと安全性の両方に配慮した廊下リフォームの方法と費用相場を紹介しましょう。
廊下のリフォーム費用と相場を知る
安全な廊下にリフォームする事例と費用相場
高齢者にとって転倒による骨折は介護が必要になってしまう主原因の一つ。
屋内で転倒する事故も少なくないので、廊下にも転倒事故を防ぐ対策が必要です。
廊下リフォームで可能な対策を紹介しましょう。
廊下で転びにくくするためには、手すりの設置が有効です。
手すりの位置は、よく使う人が伝い歩きしやすい位置に取り付けてもらいましょう。
手すりの設置費用は約5mの長さで設置するとして、約5万~10万円です。
約5mの長さ | 約5万~10万円 |
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なお手すり設置は、介護保険の助成対象になっています。
助成を受けられるのは要介護・要支援を受けている人。
助成額は、かかったリフォーム費用のうち最大額で20万円の9割、18万円です。
収入によっては20万円の8割または7割になる場合もあります。
助成を受けるには、ケアマネジャーに申請理由等を記入してもらう必要があるので、まずはケアマネジャーに相談しましょう。
また、手すり設置リフォームは、バリアフリーリフォームの減税制度の対象となり、所得税の控除および固定資産税の減額措置が受けられます。
バリアフリーリフォームの所得税控除は最大60万円。
対象となる工事費の額などによって控除額は変わります。
また工事費要件があり、工事費が50万円を超えないと減税対象になりません。
手すり設置だけでは工事費要件を満たすことは難しいので、床段差の解消や出入り口の建具の変更など他のバリアフリー工事も一緒に行うようにしましょう。
バリアフリーリフォームの固定資産税の減額は、家屋100m2分まで3分の1が減額されるというものです。
所得税の控除の期限は2023年12月31日、固定資産税減額措置の期限は2024年3月31日です。
廊下から部屋に出入りするとき、ドアの下に段差があるとつまずく原因になります。
大がかりなリフォームをしなくても、段差を解消するスロープを取り付ければつまずきの防止になります。
自分で取り付けができ、工事のいらない製品が通販などでも売られています。
価格は約3000~7000円程度です。
古い一戸建てになると玄関の土間と廊下との段差が大きい例も多いようです。
高齢になると上り下りが大変で、ケガの心配もあります。
土間と廊下に段差を解消するには、「式台」という昔ながらの方法があります。
手前にもう一段設けて段差を小分けにする部材です。
玄関に式台を造作する費用相場は、約5万~8万円(間口約90cm)です。
通常、一戸建ての廊下の幅は78cm(有効幅)が多いようです。
マンションはもう少し広いケースもあります。
車椅子でスムーズに通行したり、介護者が横に並んで歩いたりするには90cm程度の幅がほしいところですが、廊下の幅を広げるのは、ほかの空間に影響するので、小規模工事では難しいと思います。
また、廊下の幅を広げる工事は、構造に関係するので、耐震性を損なわないように行う必要があります。
間取り変更を含む、ある程度大がかりなリフォームとして、リフォーム会社にプランを提案してもらいましょう。
その際にきちんと見積もりをもらい、予算と照らし合わせて検討しましょう。
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廊下の内装をリフォームする事例と費用相場
廊下は玄関から続く、住まいの第一印象を与える場です。
古い廊下の内装は一新して、お客さまを気持ちよく迎えられるようにしましょう。
フローリングの床は、上張りと張り替えの2種類の方法で一新できます。
上張りは既存のフローリングをそのままにして、上から新しいフローリングを重ねて張る方法です。
既存の床材の解体撤去費がかからない分、工事費は安いです。
フローリングの上張り費用は1m2当たり約6000~1万1000円ほど。
上記は複合フローリング使用の場合で、むく材や、複合フローリングでも防音フローリングは費用が上がります。
むく材のフローリングの上張りリフォームは、1m2当たり約9000~1万6000円、防音フローリングの上張りは1m2当たり約1万1000~1万6000円です。
材料 | 上張り費用相場 |
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複合フローリング | 約6000~1万1000円 |
むく材のフローリング | 約9000~1万6000円 |
防音フローリング | 約1万1000~1万6000円 |
フローリングの張り替えリフォームは、既存の床材を撤去した上で、新しいフローリングを施工します。
解体撤去費がかかるので、上張りより工事費は上がりますが、既存の床と同じ高さになること、古くて軋(き)んでいた床材がそっくり新しくなることがメリットです。
その際に下地が傷んでいれば、下地から交換することもできます。
上張りでよいか、張り替えるべきかを軋み具合などからリフォーム会社に判断してもらいましょう。
フローリングの張り替えリフォーム費用は、複合フローリングで1m2当たり約9000~1万4000円ほど。
むく材のフローリングへの張り替えは、1m2当たり約1万2000~1万9000円、防音フローリングへの張り替えは1m2当たり約1万4000~1万9000円となります。
材料 | 張り替え費用相場 |
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複合フローリング | 約9000~1万4000円 |
むく材のフローリング | 約1万2000~1万9000円 |
防音フローリング | 約1万4000~1万9000円 |
カーペットは柔らかく、遮音性の高い素材です。
汚れが目立ってきたら、既存のカーペットをはがして、新しいカーペットに張り替えましょう。
カーペットの張り替え費用は、1m2当たり約1万円~できます。
毛足の長いタイプになるほど費用は高くなります。
1m2当たり | 約1万円~ |
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壁・天井の仕上げで多いのはビニールクロスです。
ビニールクロスの張り替えリフォーム費用相場は、1m2当たり約2200~2400円ほどです。
自然素材の珪藻土や漆喰(しっくい)を用いた塗り壁となると費用は上がります。
塗り壁の費用相場は1m2当たり約6000~8000円です。
塗り壁は調湿効果や消臭効果のある素材ですが、費用が高いので、ほかの空間とのバランスも考慮しながら、壁材を検討しましょう。
ビニールクロス | 約2200~2400円ほど |
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塗り壁(自然素材の珪藻土や漆喰(しっくい)) | 約6000~8000円ほど |
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廊下に照明を設置する事例と費用相場
廊下はシーリングライトだけでなく、間接照明で演出すると雰囲気のある空間になります。
歩行の安全のためにはフットライトの採用も検討しましょう。
ブラケット照明は壁面に取り付ける照明器具です。
電気工事を含め、2セット取り付けて約4万~5万円を見ておきましょう。
2セット取り付け | 約4万~5万円(電気工事含む) |
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センサー付きフットライトは、夜間に廊下を歩くとき、全体を明るくしないで足元だけを照らしてくれる便利な照明です。
2カ所に取り付けるとして電気工事を含めた取り付け費用の一般的な相場は、約4万~5万円です。
2カ所 | 約4万~5万円(電気工事含む) |
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廊下に収納を設ける事例と費用相場
廊下幅を広げるリフォーム時などに、スペースを活用して壁面に本棚など収納を設けるケースも多いようです。
リフォーム事例を費用付きで紹介しましょう。
リフォームで廊下の壁面に本棚を造作する場合、ある程度廊下の幅がないと、狭苦しくなってしまいます。
間取り変更の際に廊下の幅を広げて、壁面を活用するのがよいでしょう。
この事例は、マンションの大規模リフォームの際に、廊下幅を広げて、奥行きの浅い本棚を造作しました。
天井いっぱいの高さにして、スペースを有効活用しています。
- 工事内容:間仕切り壁を移動して本棚を造作
- 種別:マンション・築32年
- 設計・施工:サンリフォーム
玄関ホールから廊下の両側の壁に棚を造作した事例。
本棚を兼ねたディスプレースペースとして活用しています。
棚板は集成材をオイルステインで塗装し、温もりにあふれた空間に来客を招き入れています。
- 工事内容:飾り棚の造作
- 種別:マンション・築33年
- 設計・施工:アートリフォーム
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廊下まわりの建具をリフォームする事例と費用相場
廊下から続く出入口は廊下とコーディネートしてリフォームしましょう。
ドア交換や室内窓で廊下を引き立てている事例を紹介します。
廊下からLDKへの出入口ドアはガラス面を大きく取った開放的なドアに交換。
床のむく材のフローリングと雰囲気がぴったり合っています。
ドアはオリジナル製作したもので、ドアノブは真鍮(しんちゅう)を用いています。
- 工事内容:オリジナルドアの製作、取り付け
- 種別:マンション 築40年
- 設計・施工:SCHOOL BUS
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- 必要な予算目安を整理
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まとめ
- 廊下リフォームは手すり設置を除けば、全体をリフォームする中で廊下も合わせて行うというケースが多いと思われますが、しっかりプラニングして、ほかの空間との調和を図りましょう。
- 安全な廊下にリフォームするには、手すりを設置する、段差をなくす、幅を広げるといった方法があります。
- バリアフリーリフォームには助成金や税金の控除などがあります。リフォームの内容によって費用相場が変わりますので、リフォーム会社とよく相談しましょう。
2021年01月28日公開
2022年10月5日更新