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収益力で測る、東京・湾岸の価値

住み心地と同様に、やっぱり気になる資産価値。
湾岸エリアのここ数年の動向と、今後の可能性を専門家に聞いた。

「都心に住む」2010年12月号掲載

都心に住む 毎月26日発行

電線は地中化され、歩道は幅広い。ユニバーサルデザインの街づくりが進む

不況を物ともせず居住ニーズは旺盛

湾岸エリアは、2000年以降の超高層マンションブームと再開発によって発展・拡大してきた。新興の住宅供給地であるこの地域が、ここ数年の不況下でどのような状況にあったのか、まずは販売現場の声から聞いてみよう。
「リーマンショック後、半年間はほかの都区部エリアと同様に低迷した状況が続きましたが、昨年春ごろから需要が増えはじめ、相場は戻ってきています。湾岸エリアでは、すでにリーマンショック前の状態に戻っており、さらに堅調な状況にあるといえるでしょう」
そう話すのは、三井のリハウス 東京ベイエリア営業センター所長の榎本史隆さんだ。湾岸エリアの中古マンション販売価格は、どの物件をみても新築時よりも高い。特に豊洲の値上がり率が高い。
「現在、豊洲エリアの再開発地区で分譲されている新築マンションの坪単価が280万円ぐらいでしょうか。豊洲2丁目、3丁目の人気のタワーマンションでは、中古でも270万~280万円で動いています。眺望の良い住戸だと坪300万円を超えてくるものもあります。眺望はやはり有利に働く条件ですね」とは三井のリハウス ららぽーと豊洲店店長の坂本亘さん。
居住ニーズが衰えない湾岸エリアの状況の一端が2人の話からうかがえる。

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交通利便性の高さは資産価値の面でも有利

さて、ここからは、マンションの資産価値を測る指標、「新築マンションPER」を基に湾岸エリアの資産価値を検討してみたい。「新築マンションPER」は、対象駅の新築分譲マンションの価格が、月額賃料の何年分に相当するかを算出したデータだ(新築マンション価格÷<月額賃料×12>)。このPERの数値が低いほど、購入物件を賃貸に出した場合に、短期間で購入価格分の金額を回収できる。つまり収益力が高いことを表す。

湾岸エリアは投資価値が高い!
マンションの購入を検討する際には、単純に価格を比較するだけでなく、「収益性」を念頭に置くことで、物件や街のもつポテンシャルを具体的に把握できる。ここで取り上げた湾岸エリアの街はいずれも、東京都区部平均のPER24.67を下回り、収益性は良好だ(※品川では集計期間内に定期借地権付きマンションが販売されたため、参考値とされたい)。
高い賃料が見込めるエリアは一般的に、中古になっても値崩れしにくいが、専有面積が広い物件は、売却したり賃貸にまわしたりするときのリスクが高まることもあるので注意が必要だ。「資産形成を考慮してマンションを選ぶのであれば、コンパクトな物件を選ぶのも一つの手段でしょう」(中山さん)
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まずは、東京カンテイ調べの上の表から新築分譲マンションのm²換算価格を見てほしい。集計期間は2008年1月~2009年12月の2年間だ。
品川では集計期間内に定期借地権付きマンションが販売されたため、極端に価格が低くなっているが、浜松町で7668万円、八丁堀で6325万円、豊洲が6079万円と3駅で6000万円を超える。続いて月島の5824万円と品川シーサイドの5872万円。比較的価格が低いのは、有明テニスの森の5286万円と勝どきの4592万円。都区部平均が5793万円だから、ほとんど同じか、平均を若干下回る価格でマンションが販売されていることが分かる。
一方、中古マンションの70m²換算賃料は、都区部平均が19万5666円。これに対して、勝どき22万8090円、豊洲22万5348円、有明テニスの森24万7065円で、いずれの地点でも20万円を超え、賃料は高い水準にある。
「賃料は中央区や千代田区など事業集積地である超都心部へのアクセス時間の短さとほぼ正比例します。したがって、交通利便性の高い湾岸エリアは概して強気の賃料設定になるのです」と東京カンテイの中山登志朗さん。
そして肝心の新築マンションPERの数値だ。都区部平均PERは24.67。これに対して、勝どき16.78、有明テニスの森17.83、月島19.31のようにPER20以下の地点があるほか、豊洲で22.48、品川シーサイド22.59など、湾岸エリアでは、いずれの駅でも平均値を下回っている。

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出口戦略を考えた効率的マンション購入

「湾岸エリアとの対比でいえば、六本木や千駄ヶ谷など、内陸部の、旧来の住宅地では分譲価格が高い一方で賃料が相対的に低いので、PERが30を超える駅も少なくありません。収益性で考えたときには、湾岸エリアが有利といえます」(中山さん)

先にも触れたように、交通利便性の高さは賃料水準を押し上げる主要因だ。また、湾岸エリアの多くは、大規模な再開発による街づくりがベースにある。再開発ではマンションを建てると同時に、ショッピングセンターなどの商業施設や、病院、学校などの生活装置なども整備されるので、生活利便性が高まる。その環境に惹かれて居住を希望する人々が増える。結果、賃料水準も上昇し、収益率が高くなる傾向にある。
さらに、このエリアでは大規模、タワー型のマンション分譲が一般的。ほとんどが高耐久コンクリートを使った堅牢な高スペック物件である。受付にはコンシェルジュが常駐、充実した共用施設など利便性も高い。湾岸エリアならではの開放的な眺望も資産性を高める一因になる。

「PERの値が低いエリアは、将来的に貸すという選択肢が積極的に検討でき、ライフスタイルの変化に対応した出口戦略が立てやすい。実需と投資の両方の発想をもって、戦略的なマンション購入を考えるのであれば、職住近接で、スペックが高く、居住快適性も高いこのエリアは最も購入に適しているといえます」(中山さん)
現役世代で分譲マンションを購入する場合、多くが転職や転勤、子どもの成長など、5年~10年後にライフステージが変わり、物件の売却や賃貸を検討する局面に直面する。諸事情から一時的に、現時点で所有するマンションを離れることになっても、湾岸エリアのマンションであれば、あえてホールドするのも悪くはないと中山さん。

「売却をせずに賃貸にまわす場合は、賃料収入を得つつ、その収入を住宅ローンの返済に充てることもできます。つまり、実質、ローン返済を自らすることなしに物件の維持・保有ができる。住宅ローンの返済が終わったときに売却をすれば、売却益も得られます」
高層マンションが建てやすい立地条件、眺望の良さを含めて、湾岸エリアのマンション人気はまだまだ高い。 「超都心エリアに30分以内で行ける距離。この立地の良さが将来にわたって変化することはありません。賃料水準の急激な下落は考えにくく、このエリアの収益性は、今後も保たれるのではないでしょうか」(中山さん)

お話を伺ったのは・・・

お話を伺ったのは・・・

東京カンテイ 市場調査部
上席主任研究員
中山登志朗さん

不動産専門のデータバンク、東京カンテイで不動産市況全般の調査・分析を担当。新聞・雑誌・テレビに数多くの原稿・コメントを提供。市況トレンド情報誌『Kantei eye』編集長

三井のリハウス
ららぽーと豊洲店店長
坂本 亘さん

東京東部エリアの店舗で営業を歴任。豊洲を中心とした江東区・中央区湾岸エリアのマンションに精通

三井のリハウス
東京ベイエリア営業センター所長
榎本史隆さん

不動産営業に携わること20年。2010年春より芝浦ベイサイド店(現・東京ベイエリア営業センター)に赴任

お話を伺ったのは・・・ここまで
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取材・文/森 聖加 撮影/橋本裕貴