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あらためて考える生活の価値

「街」が持つ魅力をご紹介。
東京の街のさまざまな表情をご堪能ください。

「都心に住む」2011年4月号掲載

都心に住む 毎月26日発行

歩いて楽しめる「密度」と「振れ幅」

東京といわれて思い浮かぶ街や風景はたくさんあるが、 どれひとつとして似ていない。 その複雑さが何とも人を惹き付ける。

土地の高低差と時間の経過が変化を生む

東京は懐の深い都市だ。歴史も匂いも、心地よさの種類も異なる新旧さまざまな街が何の決まり事もなく混在して、違和感がない。だから歩いていて楽しいと、街歩きをフィールドワークとする松本泰生氏。
「都心の街の面白さは、徒歩のスケールの面白さ。名所旧跡、話題のスポットなどが歩いて巡れる範囲に密集していて、かつ、どこで歩くのをやめても近くで駅を見つけられます。郊外にももちろん名所はありますが、巡るとなると離れていて難しい。都心にはぶらっと出られる気軽さがあります」

変化もまた楽しめる。ひとつには、土地の高低差による視界の変化だ。
「地図ではただ街が延々と広がっているように見えても、実際に歩いてみると起伏があって立体的。いくつもの坂や階段に出合います。坂道を行って目の前の景色が徐々に変わっていくのを楽しんだり、坂上で意外と遠くまで望めることを発見したり、谷地に昔の川の跡を見いだしたり・・・」

もうひとつは時間による街の変化。
「都心の建物は頻繁に建て替わり、街が更新されていきます。街どうしも個性の振れ幅が大きくて、そこも魅力なんでしょう」

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日本橋
日本橋

再開発で変わる中心部

丸の内に続いて日本橋も再開発が進行中。東京の中心部が変わりつつある。「日本橋は江戸期から続く老舗や有名企業も多く、兜町も近くて、経済の中心地を体感することができる街です。表通りは商業系ビルなどが次々に建てられていますが、1本折れると飲食店の並ぶ路地もあり、これらがどう絡み合っていくか興味深いところですね」(松本氏・以下同)

有明
有明

ウォーターフロントのスケール感

工場や造船場などの跡地の再開発で新しい都心の顔となった湾岸。「道が広く、空が抜けて、そのスケール感は徒歩よりむしろ車か自転車のもの。昔からの街にはない、大きなパノラマなどを得られるのが特徴的です。ゆりかもめに乗って眺める街並みは未来的で、80年代から今世紀にかけての都市開発の産物として感慨をもって見てしまいます」

三田
三田

歴史を語れる寺や神社

都心は寺院も意外に多い。「江戸期、諸藩の大名の菩提寺や、寛永寺と増上寺の子院が多く造られました。寺町は谷中が有名ですが、港区三田4丁目にも30余、新宿区若葉周辺にも20余の寺院が集まり、都心と思えない静けさです」。日枝神社、湯島天神など神社も異空間を味わえる。

青葉台
青葉台

昔ながらの住宅地

いわゆる“憧れの住宅地”。堂々とした一戸建てが多く、集合住宅も邸宅感のあるつくりだ。「白金台、青葉台など“台”のつく住宅地は高台で日当たりも良く、地盤の強固な住宅地です。田園調布や成城などは当初、インテリや中堅層向けの郊外住宅地として分譲され、人気を得て、今のような憧れの住宅地になりました」

松本泰生氏
松本泰生氏
Yasuo Matsumoto

早稲田大学客員講師。1966年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。同大学博士課程修了。在学中から東京都心部の斜面地の景観に関するフィールドワークを行い、その一環として階段を訪ね歩き、著書に『東京の階段 都心の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)がある

取材・文/今井早智 撮影/柴田ひろあき
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