2013年度予算案が決定。国土交通省の予算から見る今後の住宅行政は?

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2013年度予算案が決定。国土交通省の予算から見る今後の住宅行政は?

山本 久美子
住宅ジャーナリスト
【今週の住活トピック】
政府が25年度予算案を閣議決定/国土交通省25年度予算より

http://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_000324.html

政府は、2013年度の「税制改正大綱」に続き、2013年度の予算案を決定した。そこで国土交通省の予算から、今後の住宅行政がどうなっていくのかについて、見ていくことにしよう。

重視される住宅や建築物の耐震化・省エネ化

国土交通省の25年度予算は、「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の3分野を重点化している。東日本大震災の復興を加速させるのはもちろんだが、事前防災・減災のための対策を強化している。道路や鉄道、下水道、港湾、堤防等の社会インフラの老朽化対策や各種災害への対策のために、公共事業に投資することがメインではあるが、住宅や建築物の耐震化についても緊急対策としている。

巨大地震が起きる確率が高まるなか、住宅の耐震診断・改修や不特定多数の人が利用する大規模建築物や災害時に避難路となる沿道の建築物などの耐震化を支援する。2012年度補正予算で耐震化への支援が盛り込まれているが、2013年度予算では緊急性を要する建築物の耐震診断や耐震改修への国からの補助を引き上げる。具体的には、耐震診断で通常は国から1/3の補助のところを対象建築物は1/2の補助に、耐震改修で通常は国から11.5%または1/3の補助のところを対象建築物は1/3または2/5の補助に引き上げる(最終的な補助額は、自治体からの補助も加わって自治体ごとに決められる)。また、大都市圏の既設エレベーターの防災対策改修などへの支援や公営住宅の耐震化支援なども盛り込まれている。

■地域における総合的な事前防火・減災活動
今後発生すると想定されている首都直下地震、東海・東南海・南海地震等における地震被害の発生を防止するため、防災・安全交付金を活用し、密集市街地の防災性の向上、住宅・建物等の耐震化等に対し、ハード・ソフト両面から支援。地域における総合的な事前防火・減災活動

※国土交通省の25年度予算概要から抜粋

一方、エネルギー対策だけでなく、既存の住宅や建築物の質の向上を図るために、省エネ化を促進する。そのため、省エネ改修だけでなく、省エネ改修と併せて実施するバリアフリー改修や耐震改修についても支援をする。前提となるのは、外壁などの躯体の省エネ改修で、エネルギー消費量が10%以上(建築物は15%以上)削減されること。改修費用の1/3(上限は住宅50万円、ただしバリアフリーや耐震改修を併せて実施する場合は25万円加算)が補助される。

中古住宅の流通やリフォーム市場の活性化なども

中古住宅流通・リフォーム市場活性化については、「住宅ストック活用・リフォーム推進事業」を創設する。事業内容としては、以下のものが挙げられている。
(1)住宅消費者への相談体制の整備事業
(2)リフォームの担い手支援事業(特に中小工務店等)
(3)住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業
(4)住宅リフォーム市場の環境整備を図る調査研究
(3)は、今後郊外型住宅団地で空き家が増加すると見込まれることから、それらの流通・活用を促進するモデル的な取り組みを支援するもの。(4)は、リフォームによる質の向上を金融機関が査定する担保価値などに反映させる評価方法を確立するような取り組みを支援するもの。

フラット35Sの継続で融資面のメリットも

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する「フラット35」の住宅ローンに、優良な住宅を支援する「フラット35S」という制度がある。返済当初5年間または10年間、フラット35の金利から0.3%引き下げるというもの。現行のものは2013年3月末で終了予定だが、今回予算に組み込まれたため、4月以降も再度フラット35Sが利用できることになる。

ほかにも、空き家の活用や適正管理、除却に関する支援、マンションの管理適正化や再生推進に関する支援、地方都市の都心部を再生させるまちづくりなどへの支援、レインズへの情報一元化など情報ストック整備・提供方法に関する支援、不動産価格指数整備などが予算に盛り込まれている。

また、国土交通省以外にも住宅に関係する予算が盛り込まれている。経済産業省では、「スマートマンション」推進(24年度補正予算)や住宅・建築物のネットゼロエネルギー化(創エネ・蓄エネ・省エネ等で年間の1次エネルギーがゼロになるもの)を推進する設備や建材などの導入を支援する。農林水産省では、国産材などの地域材を活用した木造住宅の建築や木製品の購入などについて、地域の農林水産物などと交換できる「木材利用ポイント」を発行する取り組み(24年度補正予算)を支援する。

以上、予算から見た住宅に関する政策を紹介した。ところで先日、筆者が所属する日本不動産ジャーナリスト会議において、国土交通省の住宅局長に今後の住宅行政について話を伺う機会を得た。人口減少(既に地方圏で減少が進行)や高齢化の進行、世帯構成の変化(単身世帯の増加や未婚率の増加)、空き家の増加、住宅購入層の所得低下など、住宅市場を取り巻く環境が大きく変化している。こうした変化を受けて、耐震化や省エネ化、中古住宅を含む長期優良住宅の普及促進、中古住宅・リフォーム市場の整備、地震時に大規模火災の可能性が高い密集市街地の改善、高齢者向け住宅の供給拡大、マンションの適正な管理と再生、低所得者や高齢者、障害者世帯に賃貸住宅を確保する住宅セーフティネット、空き家対策、建築基準法の見直しなどが、住宅政策の主要課題に挙げられていた。こうした主要課題の多くに24年度補正予算や25年度予算が充てられており、今後さらに具体化していくと思われる。

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