日住協・明海大学主催「液状化対策フォーラム」~「液状化があっても浦安に購入した」という調査結果が

日住協・明海大学主催「液状化対策フォーラム」 ~「液状化があっても浦安に購入した」という調査結果が

冨成 マサキ
究極の「すきま」ライター

東日本大震災で「液状化」という特異な被害を受けた千葉県・浦安市で、「液状化」による被害状況や、その仕組み、今後の対策などをテーマに『液状化対策フォーラム2011』が開催された。目を惹いたのは明海大学による液状化の被害実態調査。なかでも38%の人が「今回のような液状化が起こることが事前に分かっていても浦安で家を買うという判断は変わらなかった」と答えている点だ。

■会場は満席。関心の高さと被害の切実さがうかがえる

今回のフォーラムは日住協(社団法人日本住宅建設産業協会)と明海大学の主催によるもの。10月22日土曜日、まだキャンパス内に液状化の爪跡が残る千葉県浦安市の明海大学で開催された。フォーラム終了後には、液状化の被害にあった個人宅について相談会 も予定されており、階段状の大教室は満席で、あとからきた人のなかには座れない人も出るほどの盛況ぶり(写真)。市民の関心の高さと液状化被害の切実さがうかがわれた。

午後1時から明海大学の不動産学部長・林亜夫教授のあいさつではじまったフォーラムは、まず松崎秀樹浦安市長が、震災当日の液状化をとらえた動画などをまじえながら、最長で36日間下水道がつかえないなどライフラインに大きな被害を受けた浦安市の被害状況を報告。健全財政 をバックに、液状化被害を受けた集合住宅を対象に、ライフライン補修費の3分の1(上限3000万円)を補助する市独自のライフライン復旧補助費(浦安市被害分譲集合住宅ライフライン補修補助金)の創設したことなど、浦安市の液状化被害に対する施策を説明した 。

続いて明海大学不動産学部の中条康彦教授と斎藤広子教授が講演 。さらに中央大学理工学部の國生剛治教授が液状化の仕組みと再発の可能性 について講演した。國生教授は過去の地震の例からいって、今後大きな地震があれば再液状化は起こりうると述べた。
また日住協からは、アンダーピニング工法、耐圧版工法、グラウト注入工法、土台上げ工法の4つの建物の修正工事の手法が紹介され、液状化の状態に合わせた工法の選択が重要ことなどが述べられた。

■居住5年未満は半数が液状化を知っていても買ったと回答

今回のフォーラムでもっとも興味を惹かれたのは、明海大学不動産学部の中条康彦教授と斎藤広子教授の講演だ。これは新浦安地区の戸建て住宅居住者368名を対象に行った液状化の被害実態調査を元にしたものだ。

なかでも「今回の震災を受けて、住宅購入時に『液状化の可能性』の説明が十分であれば、購入時の判断が変わっていたと思いますか」という問いに、38%の人が「今回のような液状化が起こることが事前に分かっていても浦安で家を買うという判断は変わらなかった」と答えている点は興味深い。この問いに対して「変わらない」と答えた人は「変わった」と答えた22%の倍近い。また居住年数別では、5年未満の51.5%が「変わらない」、つまり液状化の可能性について十分に説明されていてもいま住んでいる家を購入したと答えている。

同じ質問に居住年数が5年から9年では36.4%が「変わらない」と答え、同じく10年から19年では35.7%とだんだん割合がさがっていく。だが、いずれも「変わった」(購入しなかった)を大きく上回っている。「変わらない」と答えた理由について、さらに突っ込んだ分析がほしいところだが、残念ながらこの点についてのコメントはなかった。それはともかく、新浦安周辺が住宅地として、いかに人気が高いかが、あらためて浮き彫りになった形だ。

■液状化は下水道にもっとも大きな影響をあたえた

また斎藤教授は埋め立て地にある38の分譲マンションを対象に行ったくわしい被害実態調査の結果も報告した。それによると建物よりも敷地や敷地内の共用施設に被害が多かったことが分かった。またライフラインについては、復旧に要した日数が、下水道(最長50日)、水道(同30日)、ガス(同15日)、電気(同2日)の順に長かったという。下水道が復旧に要した時間は、浦安市が公表している公道部分の下水道の完全回復日より20日ほど長い。斎藤教授は、マンションの敷地内の被害状況がそれぞれ大きく違うため、ライフライン、とくに下水道のの復旧に時間が掛かったマンションがあったのではないかと述べている。

明日起きてもおかしくないといわれている首都圏直下型の地震の際にも、液状化などによる下水道の被害は予想されており、とくにマンションでは被害の長期化に対する備えを、あらためて真剣に考えておく必要がありそうだ。個別相談は、予定よりも多くの方が相談を希望していたようで、液状化についてのメカニズムや対策についての情報に加えて、「取り急ぎ、自分の住まいをどうすればよいのか」という問題に困っている参加者がいまだ多くいるという印象を受けた。

個別相談は、受付開始早々に予定をオーバーする相談者が詰めかけた。液状化のメカニズムやその対策についての情報も興味深かったが、被害の程度の違いはあれ「被害にあった住まいをどうすればいいの」という問題を抱えた人が、まだまだいるという事実をあらためて印象づけたフォーラムだった。

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