覚王山総合1位

人気の名古屋市営地下鉄東山線沿線の中でも、歴史があり洗練された印象の覚王山が、昨年2位から1位に返り咲いた。文化と新しさが共存し、融合する点が支持されており、さらに、名古屋市営地下鉄で名古屋駅まで15分、栄駅まで10分という、ほどよい距離も魅力だ。

覚王山の象徴といえば日泰寺。日本で唯一、タイから寄贈された仏舎利が安置され、その名のとおり日本とタイを結ぶ寺として知られる。名古屋市営地下鉄覚王山駅を出るとすぐ、日泰寺へ続く400mほどの参道がある。毎月21日の弘法縁日には、参道沿いに露店が並び訪れた人を楽しませている。また、日泰寺の東側には「松坂屋」の創業者・伊藤次郎左衛門祐民の別荘だった「揚輝荘（ようきそう）」がある。名古屋市の公共財として一般公開された散策スポットの一つだ。

歴史を感じる一方、新しい感性にも出合える。参道には東海発祥のアメリカンドーナツ店やパティスリーといった人気店が軒を連ねる。おしゃれなボタン専門店や、白い陶器だけを置く瀬戸物店なども個性的で、昔ながらの老舗と違和感なく調和。ほかにも参道の筋を入れば、築50年以上の木造アパートを改築した「覚王山アパート」が現れる。ここにはクリエイターのショップやアトリエが集まり、万華鏡専門店や針金オブジェの店など、ほかでは見つからないアートな雑貨がいっぱい。

毎年、秋に開催される「覚王山参道ミュージアム」は、街に丸ごとアートを仕掛ける住民参加型のイベント。2014年は「覚王山動物園」をテーマに、覚王山商店街の店主や住民が手がけた動物モチーフが風景を彩った。ほかにも参道ではイベントが盛んで、野外パフォーマンスやアートのマーケット、ワークショップなどが行われる季節のごとの祭りも盛り上がる。

日常の買い物に便利なのは、駅徒歩3分の「覚王山フランテ」。高級食材もそろうスーパーで、量り売りのデリや焼きたてパンの店も入居。夜11時までの営業なので、通勤帰りの人にとっても強い味方だ。

では、住環境はどうか？　覚王山一帯は古くからの住宅地で、特に本山にかけて広がる丘陵地は閑静な住宅街として知られる。商業地区から離れ、とても静かな環境が手に入るエリアだ。広小路通の北側の「向陽町」や「振甫町」にはマンションが建つ。南側の「菊坂町」や「観月町」周辺も住宅が多く静かな環境で、椙山女学園大附属高校から幼稚園までが建つ「山添町」周辺では公園もある。さらに近年、広小路通周辺にはタワーマンションが増加。「覚王山」交差点北西角にも、マンションと店舗が入居予定の中規模ビルが建設されている。

家賃は駅から徒歩8分で築8年の3LDKが15万8000円、徒歩1分の新築1LDKが12万8000円など。持ち家の場合は駅から徒歩11分3LDKの一戸建てが4180万円。徒歩10分の新築マンションで4900万～5940万円が相場だ（SUUMO掲載情報より抜粋、2015年2月23日時点）。

相場が高めであることから、覚王山では中古物件を好みにリノベーションするスタイルも増えつつある。中古であれば、立地条件によりこだわることも可能だ。例えば駅から徒歩11分で1974年築5DKの一戸建てが2250万円。駅から徒歩5分、1973年築3LDKのマンションなら2170万円で手に入る（SUUMO掲載情報より抜粋、2015年2月23日時点）。

価値観の合う街に好みの部屋をつくる方法は、覚王山のセンスを支持する層とマッチする。今後もこうしたスタイルが増えていきそうだ。