池袋総合9位

都心の代表的な繁華街でありながら、「住む街」としては長らく人気薄だった池袋。それが前回の住みたい街ランキングでは3位に急上昇。今年もトップ10に入り、人気タウンの仲間入りを果たした。実際、池袋が属する豊島区は、ここ20年で2万人近く人口が増加している。

かつての池袋といえば、同じ東京の副都心に位置づけられる渋谷・新宿に比べてどこか華やかさに欠ける印象だった。街の一角を占める風俗街や2000年代に池袋を根城にしたカラーギャングの存在などもあり、風紀や治安といった面で不安があったのも事実だ。

しかしここ数年、そうしたネガティブなイメージが大きく変わり始めている。まず、池袋駅には2009年オープンの「エチカ池袋」を皮切りに「エソラ池袋」「ルミネ池袋」「WACCA池袋」など、新たな商業施設が相次いで誕生。それぞれ、ファッションブランドやライフスタイル雑貨、美容など、20代～40代の女性やカップルをターゲットにした華やかな店舗ラインナップ・コンセプトを打ち出している。

また、豊島区でも10年前からイメージアップ作戦を展開中だ。そのひとつが、アートやカルチャーを軸としたまちづくり。池袋を拠点にアートイベントを積極的に仕掛け、2007年には演劇やミュージカルの上演、舞台芸術にまつわるワークショップを行う「あうるすぽっと」も開業した。また、サンシャイン60の西側に広がる、通称「乙女ロード」には女性専門のアニメグッズを扱う店舗が集中。サブカルチャーに対する敷居が下がってきたこともあり、“オタ女”のみならず、ライトなアニメファンも訪れている。

こうした街の変化や行政の取り組みが新たな客層を生み出し、多くの人にポジティブな印象を与えているのではないだろうか。もともとJR山手線、東武鉄道、西武鉄道に加え東京メトロの3路線が乗り入れる抜群の利便性と、物価の安さ、生活環境の良さには定評があっただけに、一気に人気が高まったのも納得だ。

一帯では現在、大規模な再開発計画が並行して進み、街の様相はさらに大きく変わろうとしている。まず、2015年3月には東池袋駅直結の「としまエコミューゼタウン」が誕生。豊島区役所の新庁舎と商業施設、超高層マンションが一帯となった施設で、区役所庁舎ゾーンには区民のためのオープンスペースも。さらに、9階には芝生や小川、樹木を配した「豊島の森」があり、住民の憩いの空間となっている。ちなみに、住戸部分は販売前から大きな話題になり、すぐに完売した。

駅周辺のリニューアルも活発だ。池袋駅では鉄道関連施設によって分断された駅前の通行性を上げるべく、線路をまたいで横断できるデッキ広場の整備に着手。また、西武池袋駅も2016年の完成をメドに改装工事が進められ、明るく回遊性の高いエントランスとコンコースに生まれ変わる予定となっている。

では、気になる住宅事情はどうか？　住宅街は池袋駅の南東側に広がる「南池袋（2・3丁目）」、サンシャインシティを取り囲むように広がる「東池袋（1～4丁目）」、池袋駅西側の「池袋（1～4丁目）」など。家賃相場はワンルームマンションで7万8000円、1K・1DKで8万6400円。分譲は池袋駅徒歩8分の池袋3丁目に70m²6580万円の物件が、徒歩9分の東池袋4丁目に86m²1億3550万円の物件があった。中古マンションはひとり暮らし、DINKS向けのワンルームや2DKで1000万円台、2000万円台のものも多い。ファミリータイプは60～70m²で5000万円前後の物件が中心となる。（SUUMO掲載情報より抜粋、2015年2月28日時点）

かつてのイメージを払拭し、居住地としての高いポテンシャルに熱い視線が注がれつつある池袋。再開発も追い風となって、さらに人気が高まるかもしれない。