リフォームっていくらかかるの? ローンも使える? 「見積もり」って難しそう、などなど。
いざリフォームするとなると、お金の疑問がいっぱい。
そこで、これだけ知っておけば大丈夫、という常識をこっそりあなただけに教えましょう。
憧れのリフォーム。ああもしたい、こうもしたいと夢はどんどん膨らみます。でも先立つものはお金。これからの暮らしを考えずにお金を使ってしまって、「ああ失敗!」とならないために、リフォームは計画的に行いましょう。
まず最初にするべきことは、いま無理なく使えるお金がどれだけあるのかを計算してみること。下にそのためのチェック表を用意しました。通帳などから全貯蓄額をチェック。これから何と何にお金がかかるのか、しっかり計算。リフォームをしたらレジャーが楽しめなくなった、とならないように、旅行費用などにちょっと余裕も残しておきましょう。貯蓄額からそれらの出費予定を差し引いたお金が、すなわちあなたがリフォームで使えるお金というわけです。
いくらあるのかな? 自己資金チェック表
まずは使える手持ちのお金のチェックから。貯蓄額を調べて、いくらリフォームに使えるのか計算を。
貯蓄額 | 万円 | |
---|---|---|
うち今後の出費予定(例) | ||
教育費 | 万円 | |
旅行費 | 万円 | |
車の購入 | 万円 | |
貯蓄額 | 万円 | |
そのほか | 万円 | |
計 | 万円 | |
貯蓄額-出費予定= | 万円 (↑リフォームに使えるお金) |
手持ちの資金では希望のリフォームをするには足りないことが分かったら、ローンの利用を検討しましょう。その際大事なことは、月々いくらまでなら無理なく返済できるのかということ。下表は毎月の家計のチェック用。わが家の金額を当てはめてみて、余裕資金がどれだけかを割り出してみましょう。将来のために毎月積み立てているお金の何割をローンの返済にまわせるかがポイント。現在、賃貸住宅に住み、中古住宅を買ってリフォームしようという人は家賃も目安になるでしょう。その返済可能額に応じて、いくら借りられるのかも知っておきましょう。
慎重に計算しよう 毎月いくら支払えるか返済計画をチェック
いくらまでローンの支払いにまわせるのか、家計をチェック。積み立て用のお金がポイント。
月収(夫+妻) | 万円 | |
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うち毎月の出費(例) | ||
食費 | 万円 | |
光熱費・水道代 | 万円 | |
通信費 | 万円 | |
衣服・雑貨費 | 万円 | |
交通費・ガソリン代 | 万円 | |
趣味・娯楽費 | 万円 | |
おこづかい | 万円 | |
教育費 | 万円 | |
保険料 | 万円 | |
住宅などローン | 万円 | |
積み立て | 万円 | |
冠婚葬祭など予備費 | 万円 | |
そのほか | 万円 | |
毎月の出費合計 | 万円 | |
ボーナス(夫+妻) | 万円 | |
★うち出費(例) | ||
★物品購入 | 万円 | |
★旅行・レジャー | 万円 | |
★ローン返済 | 万円 | |
★積み立て | 万円 | |
★そのほか | 万円 | |
出費合計(★の合計) | 万円 | |
貯蓄額-出費予定= | 万円 (↑リフォームに使えるお金) |
融資総額チェック
15年元利均等返済金利3.5%で概算
毎月返済額 | 1万円 | 2万円 | 3万円 | 4万円 | 5万円 |
---|---|---|---|---|---|
融資額 | 139万円 | 279万円 | 419万円 | 559万円 | 699万円 |
もちろん他のローン返済中でもあらたにローンを組むことは可能。しかし、あくまでそれは返済能力いかんにかかっています。初級編 2. ローンも使えることを知っておくべし。のチェック表で、返済額が増えても大丈夫かどうかをよく検討しましょう。
また、金融機関の側でも「収入に占める返済割合の基準」を設けています。例えばある金融機関では、年間の総返済額の割合について、年収400万円~700万円未満で35%以内などと、収入に応じて限度を決めています。他の金融機関でもそれぞれに融資基準があります。現在住宅ローンを返済中の金融機関に相談してみましょう。
返済能力などにもよりますが、住宅ローンで、両方の費用をまかなうことができます。ただ銀行によって、リフォーム分の費用に関する金利などの扱いが異なることがあるので注意しましょう。
利用しやすいのはリフォームローン。有担保と無担保の2種類があり、金利は有担保のほうが低いのですが、諸費用を合わせると総返済額で無担保ローンのほうが安くなるケースもあります。ローンをどのように組み合わせれば有利なのか、金融機関に相談しましょう。
リフォームの費用は分かりにくいといわれます。家によってさまざまに状況が異なるからです。でも、まったく目安がないと自分がどのようなリフォームができるのか見当がつきません。そこで、よく行われているリフォームがどれぐらいの費用でできるのか、その目安を下に挙げました。このほか「SUUMOリフォーム」の施工例をたくさん見たり、完成見学会にも参加するなどして、自分なりに見る目を養っておきましょう。プランを描いたり予算を組む際に参考にします。ただし、これらはあくまで一般的な目安。実際にいくらかかるかを知るためにはリフォーム会社への相談が必要です。
参考にしてください!主なリフォーム費用の目安
工事の内容 | 費用の目安 | 解説 |
---|---|---|
システムキッチンを交換する | 約55万円~ | システムキッチンを位置を変えずに取り替える場合、給排水管もそのまま使えるので、工事費用は約25万円。機器が30万円ぐらいの普及品だったら、費用は約55万円。機器代しだいでアップ。 |
対面式キッチンに変える | 約100万円~ | 壁付けを対面式に変える場合は、給排水管とダクトの移設、さらに床など内装工事も必要。見栄えのよいフラットタイプの機器で約50万円~。内装工事の範囲で工事費用は変わる。 |
システムバスを交換する | 約80万円~ | システムバスの交換は比較的簡単な工事。機器は40万円ぐらいからあり、工事費は約40万円。採用する機器のグレードで全体の費用がアップ。 |
在来浴室をシステムバスにする | 約130万円~ | 在来浴室のリフォームは、土台など木部の交換も必要になることが多く、配管工事などもやりなおしになるので、工事費がかさんで約75万円~。木部の傷み具合にもよる。 |
浴室暖房乾燥機を取り付ける | 約10万円~ | 浴室暖房乾燥機は、既存のバス換気扇を利用して取り付けることができ、工事費は約2~3万円。機器は8万円ぐらいからある。 |
トイレの便器と内装を新しくする | 約40万円~ | トイレの機器代を約20万円として解体から内装一新の工事費が20万円ぐらい。使用する機器のグレード、内装材のグレードで変わる。タイルや調湿素材の使用でアップ。 |
洗面化粧台を新しくする | 約10~30万円 | 洗面化粧台の単体を取り替えるだけなら工事費は3~5万円ぐらい。機器は幅75cmタイプで7万円台から。キャビネットを追加すると高くなる。 |
床を張り替える | 約7万円~(6畳) | 既存の床を剥がして、張り替えるだけなら6畳でフローリングが3万円~、工事費が約4万円。床の下地が傷んでいて、根太などを交換すると高くなる。 |
壁紙を新しくする | 約4~5万円(6畳) | 一般的なビニールクロスを6畳の壁・天井に張って材料費が約1万円。剥がし手間などを含む工事費が約3~4万円。 |
珪藻土塗り壁にする | 約8万円~(6畳) | 珪藻土は、調湿・消臭効果があり、ホルムアルデヒトなど揮発性有機化合物を吸着・分解してくれる塗り壁材。材料費はさほどでもないが、塗り手間代が壁紙の張り手間代よりもかさむ。 |
床暖房を入れる | 約34万円~(6畳) | ガス温水式の床暖房は既存の床に重ねて設置すると安く左の値段。床を解体して設置する場合はもっと広いスペースに設置することが多く、8畳2室で約90万円~。 |
和室をつぶして部屋を広くする | 約25万円~(6畳) | 家族構成の変化などによって使わなくなった和室をつぶして、洋室と一体化する費用。押入れの解体、下がり壁の撤去、内装一新などの費用と含む。 |
押入れをクロゼットに変える | 約17~25万円 | 間口1間程度の押入れをクロゼットとして再生する費用。解体費、扉、収納内部の内装を含む。扉材 のグレードで、費用は変わる。 |
外壁を塗り替える | 約70~100万円 | 高圧洗浄して汚れを落とし、下塗り、上塗りを2回程度する費用。使用する塗料のグレードによっても費用は変わる。延床面積約115m2の一戸建てで。 |
屋根を葺き替える | 約60~100万円 | 屋根面積50m2程度の場合。傷んだ下地の補修を行って、瓦屋根などを化粧ストレートの普及品で葺き替える費用。葺き替えの材料のグレードで費用が変わる。 |
耐震補強する | 約5万円~(半間の壁) | 筋交いや面材、補強金物を使って耐震補強を行う場合の費用。4ヶ所で約20万円~。傷み具合や状況によって工事内容が変わるので、一概にはいえない。 |
基礎を補強する | 約60~90万円(約50m2) | 床下の全面に鉄筋コンクリートを打つ「ベタ基礎」で補強した場合。床を剥がすので、全面リフォームのときなどに行う方法。 |
リフォームした人がどれだけ費用をかけたのかを知っておくことも参考になるでしょう。「SUUMOリフォーム」の調査結果を下に挙げておきます。
一戸建てでは構造や間取りの変更を伴う全面リフォームが多いせいか、約47%の人が1000万円以上をかけてリフォームをしています。中でも1200万円を超える人が最も多いという結果でした。マンションでは、500万円までが多く、300万円以上400万円未満が最多。しかしマンションでも間取り変更を伴う全面リフォームとなると多額になり、1000万円以上かけた人が13%強いました。
リフォームをしたいという漠然とした気持ちがあっても、どんなことをしたいのかがある程度分かっていないと、見積もりの依頼もできません。まず、家族会議を開いて、いまの家のどこが不満なのかをじっくり話し合うことから始めましょう。
参考までに以下にチェックリストを用意しました。当てはまる不満にチェックを入れましょう。ほかにも思い当たることがいっぱいあるかもしれません。それらを書き出してみると、どういう住まいに変えたいのか見えてきます。それから理想の住まい像を描きましょう。予算に合わせて修正するのは後でもできます。
どこがイヤ?いまの家の不満点をチェック
家族全員でよく話し合って、いまの家の当てはまる不満点にチェックをいれましょう。
外装・エクステリア
□屋根材に割れやズレが目立つ
□屋根材が色あせている
□外壁に亀裂や汚れがある
□雨どいがゆがんでいる
□門扉・フェンスが傷んでいる
内装・建具
□歩くと床鳴りがする
□床に傷が目立つ
□クロスの汚れ・傷が目立つ
□建具の立て付けが悪い
□収納スペースが足りない
間取り
□部屋数が足りない
□使わない部屋がある
□日当たりが悪く、暗い
□リビングが狭い
□風通しが悪い
□動線が悪い
□段差が多い
キッチン
□狭くて使いづらい
□暗い
□寒い、湿気が多い
□対面式でないのがイヤ
□機能性に不満
□掃除が大変
浴室
□狭くて窮屈
□汚れやすくてカビが目立つ
□冬、入るとき寒い
□手すりがなくて危険
□シャワーの使い勝手が悪い
□給湯機のパワーが弱い
□追いだき機能がない
洗面室
□洗面ボウルが小さい
□二人で使えない
□暗い
トイレ
□狭くて窮屈
□便器・便座が古い
□手洗い器がない
□和式なので使いづらい
□手すりがない
構造・性能(一戸建て)
□窓が結露する
□断熱性が悪く寒い
□基礎に亀裂がある
□耐震性に不安
□シロアリが発生している
□防犯に不安がある
そのほか
□
□
リフォーム費用は、左図に見られるように、「材料費」+「工事費」で決まります。
材料費とはリフォームに使われる設備と建材、つまりキッチンやバス、配管器具、電気設備、床材、壁紙などの費用のことです。
一方、工事費は手間賃つまり人件費のことです。手間賃はふつう1日一人当たりいくらという計算がなされます。一人が3日かけて行う工事と二人が3日かけて行う工事では、単純計算をすれば、後のほうが2倍の手間賃がかかるということになります。実際にはその職人さんの日当によっても左右されます。
「プラン」とは、どのような工事をどこまで行うのかという計画内容のこと。例えば、キッチンリフォームを機器の交換だけですませるのか、内装も変えるのか、さらにリビング・ダイニングの内装まで変えるのかといったことです。
それによってまず材料の量が違ってきます。材料は「単価×量」で金額が決まり、量が増えると金額も増えます。また工事費(人件費)は工事日数に比例して金額が増えます。日数は工事範囲と手間のかかり方で決まります。材料費はそれほど変わらなくても、壁紙を張るより塗り壁のほうが高いのはそのためです。
プランが同じでも高い材料を使うと費用は上がります。案外、このことに無頓着な人が多いのです。
例えば、床材のフローリングの価格は1m2当たりいくらなどと決められています。単価が5000円違う材料を12畳のリビングに用いるとすると、12畳は約20m2ですから、総額では10万円の違いになります。キッチンやバスなどの設備機器は、商品によって何十万円も違うことがあります。あれが欲しい、これが欲しいと、限りなく要望すると予算オーバーが必至。設備や建材は、1点1点きちんと価格を確認しながら、リストアップすることが大切です。
工事が始まってから追加費用が発生することがあります。見積もり段階では床や壁に隠された木部の傷みがよく分からないからです。土台などが傷んでいれば、交換したり、補強したりしなければなりません。その費用が予想外に高くつくことがあります。見積もりの前に詳細な調査を行ってもらえば、ある程度は費用の追加を防止できます。それでも追加は発生すると思って、資金は少し余裕をもって準備しておいたほうがよいでしょう。
また、工事途中で施主自身が材料を変更したいという場合は、まず費用を聞いてからにしましょう。
設備は機能が増えたり、サイズが大きくなれば当然、費用は上がります。もう一つ案外、気づかれていないのが素材の違い。例えばキッチンの価格は、ワークトップがステンレスか人造大理石かによって、下表のように大きな開きがあります。さらにキッチン収納部の扉材によっても大きく違いが生じます。一番安いランクと一番高いランクの扉では、30万円以上の違いが。かといって、機能に大きな違いはありません。
このように設備機器もキッチンなどは見た目の美しさによっても価格に大きな違いが生じることを覚えておいたほうがよいでしょう。
こんなに変わるんだ… 設備・建材のグレード
グレードの違いで価格は変わる。どこで変わるのか覚えておいて、上手に選びましょう。
「見積もり」とは施主の望むリフォームがいくらでできるのかを計算してもらうこと。そのためには、まず家にきてもらい、現在の状態を調べてもらう必要があります。それが「現場調査」。そのうえでどうしたいのか希望を述べます。それを受けてリフォーム会社は、プランニングし、見積もりを出します。提出書類は右の3種類。1社に依頼するだけでは、比較検討することができません。よいプランなのか、高いのか安いのかも分かりづらいものです。
打ち合わせなどに時間と手間がかかりますが、都合に合わせて2~4社ぐらいに依頼するとよいでしょう。
施主の予算がわからないとリフォーム会社は適切なプランニングができません。打ち合わせのときに、リフォーム会社になるべく正確な予算を伝えましょう。多少なら超えてもよいのか、厳守なのかも言い添えておきます。そうすれば、リフォーム会社のほうでは、その予算に合った材料を選定し、プランを考えてくれます。逆に予算も伝えずに、プランニングを依頼してもリフォーム会社は困りますし、本気でリフォームする気があるのか疑われることもあります。お互いが信頼しながら進めるのが、よいリフォームに到達する道と心得ましょう。
見積もりは、中級編 13. 見積もりは複数の会社からとるべし。で述べたように3種類の書類が同時に提出されるべき。ただ費用が提出されるだけでは、どのようなプランが実現するのかがわからないからです。それをあらわすのが設計図であり、仕上げ表。
また見積書の中身も「工事一式○○円」の羅列のみではダメ。以下に示したように、工事ごとにどこにどのような材料がどれだけ使われるのか、またその単価はいくらで、合計がいくらなのかまでわかる「明細」が付いていることが前提。これらの書類に不備があるようでは、その会社は信頼できない、と思ったほうがよいでしょう。
見積もりは、金額だけを比べてもまるで無意味です。なぜかといえば、その費用でどんなリフォームができるのかを見ていないからです。どんなリフォームなのかは、プランつまり設計図を見て理解します。さらにどんな材料が使われるのかを「仕上げ表」および見積もりの「明細」から読み取ります。
プランはどれだけ自分の要望が満たされているか、かつプラスアルファの魅力的な提案がなされているかをチェックします。材料についてはカタログをもらってどのようなものなのか調べましょう。自分が要望したものが入っているかも要チェック。
見積もりにはシステムキッチンがいくらと表示されています。その金額が他社より安くても、問題はそのシステムキッチンがどんなものかということ。それを知るには、まずカタログで品番を照らし合わせて確認します。しかしそれだけではまだ不十分です。できればショールームで実物を確認しましょう。床材などはサンプルを見せてもらいます。写真で見るのと実物を見るのとでは、印象が異なることもあります。キッチンなどは使い勝手まで、確認しておきましょう。
見積もりの金額が予算を超えていた場合は、コスト調整を行います。どうしても譲れないもの以外の材料のグレードを落とすか、プランの変更で対応します。その際は必ずリフォーム会社に相談しながら行いましょう。同程度のグレードの設備でもメーカーを変えれば、より安く仕入れられる場合があります。また、どの材料ならグレードを落としても仕上がりに影響が少ないかなどのアドバイスもしてもらえます。適切な意見がもらえないようなら、その会社はパスしたほうが無難です。
打ち合わせで決めたことや追加・変更したことはすべて書面で残しておかないと、後々言った言わないのトラブルになりがち。契約までならまだ変更も軽くできますが、工事が始まってから、希望以外の設備が入っていたりすると面倒。変更するために余分なお金がかかることも。
変更の要望などはメールやファックスを使うと履歴や書面が手元に残るので証拠になります。それとともに、決定した事項が必ず見積もりに入っているかどうかを確認することが大切です。
基本的には値引き交渉はあまりお勧めできません。値引きされたように見えても、実は見えないところで工事の手抜きが行われたり、材料のランクを落とされる可能性もないではありません。また、しつこく交渉することで相手の気分を害し、よい仕事をしてもらえない可能性も十分にあります。担当者とある程度うち解けて信頼関係ができた段階で、予算を超えている場合に相談するという心構えがよいでしょう。そういうときはお買い得な設備を紹介してくれたりすることもあります。
「いまならキャンペーン中なので、大幅に値引きします」などというリフォームの広告や勧誘には要注意。そもそも工事費が本来いくらなのかなんて、一般の人にはなかなか分かりません。「値引き」そのものがなされているのかどうかさえ、怪しいもの。また「設備が 3~4割引」という広告もよくみかけます。その根拠となっているのは、メーカーの希望小売価格で、実勢価格ではありません。やはりきちんと複数社から見積もりをとって、信頼のおける会社を選ぶのが結果的にはトクです。
資金計画を立てるときに見過ごせないのが、工事費以外のお金。小規模なリフォームの場合は、工事費だけですむことが多いのですが、大規模なリフォームの場合は、以下のような費用を忘れてはなりません。とくに家具類。空間が新しくなってみると、以前の古い家具ではそぐわないな、と感じることが多いもの。家具類はけっこう高くつくので、初めからお金を用意しておくか、当分は我慢をするのか決断が肝心。ローンや確認申請などの諸費用は、事前にリフォーム会社に聞いておきましょう。
知っておこう!工事以外にかかるお金
工事費ばかりに目を奪われて、それ以外の費用を忘れないように気を付けましょう。
全面リフォームでその必要があるときは、仮住まい先の家賃、2度にわたる引っ越し費用が大きい。荷物が多く、一部をトランクルームに預ける場合は、その費用も事前に確認を。
融資を受けるとローン手数料、保証料、火災保険料などがかかる。有担保の場合は抵当権設定費用も。必要な金額は融資額によって違ってくるので、金融機関の窓口で確認を。
ソファやダイニングテーブル、収納など家具の購入費を用意。間接照明などを増やした場合は、照明器具代が余分にかかる。新しいインテリアにふさわしいカーテンの購入も。
増築の床面積が10m2を超えるとき(防火・準防火地域では面積に関係なく)、役所に建築確認申請が必要。その申請費用がかかる。リフォーム会社が代行してくれるので、代行費用がかかる場合も。
耐震補強や介護のためなどリフォームの目的によっては国や自治体から補助金が出たり、低利で融資が受けられるなどの助成制度が設けられている場合があります(下表参照)。自治体によってどのような助成が受けられるのかが異なりますので、地元の役所に問い合わせてみましょう。また、助成の条件なども制度によって、あるいは自治体によっていろいろなので、その内容を詳しく聞いておく必要があります。
必ず受けられるとは限らないので、工事直前にあわてて調べるのではなく、プランニングしているときによく調べておきましょう。
知らないと損する!主な補助金制度
条件に合えばおトクな制度。実施の有無や内容は自治体で異なるので、事前に十分確認を。
要介護・支援認定を受けている人が、浴室に手すりを付ける、段差解消するなどの改修を行う場合、介護保険制度によって助成される。補助額は上限20万円(うち1割は自己負担)。
介護認定にかかわらず、自治体によっては、高齢者のためのリフォームが助成対象になる場合がある。補助金や利子補給など自治体によって異なるので、地元の役所に確認を。
1981年の新耐震設計基準を満たしていない住宅に対して、自治体が助成を行う場合がある。補助金等は実施している自治体によってさまざま。地元の役所に問い合わせを。
ヒートポンプ式給湯機やガスを使った効率のよい給湯機、発電機などに国の補助金制度がある。また太陽光発電システムの設置に助成制度を設けている自治体もある。
贈与税は年間110万円を超える贈与にかかる。しかし、2023年12月31日までに、1月1日時点の年齢が18歳以上の人が、父母や祖父母などから住宅購入資金やリフォーム資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円まで非課税になる。
旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)で建設された住宅を、現在の耐震基準に適合させるためにリフォームした場合、耐震のための標準的な工事費用相当額(上限250万円)のを10%を控除できるほか、①250万円を超える額の5%を控除でき、また②それ以外の一定の増改築等の費用に要した額(上限250万円)の5%を控除できる。ただし、①と②の合計合計額は1000万円まで。
さらに、固定資産税についても減額措置があり、耐震改修工事費が税込み50万円を超えるなどの条件を満たせば、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額される。
10年以上のローンを利用してリフォームした場合、ローンの年末残高に応じて所得税が控除される「住宅ローン控除」が使える。住宅ローン控除の対象となる借入額の上限は2000万円、控除率は0.7%、控除期間は10年間なので、最大で140万円の所得税が減税される計算だ。控除を受けるには、合計所得金額が2000万円以下、リフォームの日から6カ月以内に住み始めること、リフォームした後の床面積が50m2以上などの条件を満たす必要がある。
この記事は、2022年3月16日現在の情報です
まずは今後の出費予定を洗い出し、希望内容を満たすリフォーム予算を算出
設備の有無や建材のグレードなどによって費用が変わるため、予算と希望内容を調整
手持ち資金で足りない場合は、ローンの返済プランを試算