楽器の音や、映画の音楽や効果音、ダンスの練習のときの音楽は、壁や床などの建物を伝わって、隣や階下の部屋に伝わります。この音の伝達を低減できるのが防音シート。壁やドアに直接張ったり、床に敷いたりして使うことができる建材です。防音シートをどんな場所に使えばいいのかなど使い方のポイントを解説しましょう。
壁やドアに直接張ったり、防音マットと併用して床に敷く防音シート。薄い樹脂製のシートやゴムマットに不織布を張ったものが一般的です。ダンスのステップやピアノのペダルの振動、日曜大工で出る振動を軽減することはできませんが、建物を伝わる音を軽減することができます。
防音シート、遮音シートは、もともとは建物の内部に使われるもの。建材メーカーから販売されており、樹脂製で厚さは1.2mm程度のものが一般的。幅94cm、長さ10mのロール状で売られており、樹脂製のタイプは1ロール2万円前後が標準的な価格ですが、実際には通販などを利用するともっと安価で手に入る場合も多いようです。
防音シートで防げるのは人の話し声やテレビの音、ピアノなど中音域以上の音。重低音や振動音には効果は期待できません。自分の部屋で出そうな音の音域を考えて、防音シートを使うかどうかを判断しましょう。また、もともと遮音効果がある鉄筋コンクリート造の厚い壁の建物の場合、壁や床に防音シートを張っても劇的な遮音効果は得られません。防音シートを使うなら、壁の薄い建物や、木造の建物のほうが効果を得られます。
未加工の防音シートは建材の材料の匂いが強いものもあります。施工後、少しずつ匂いは弱くなっていきますが、気になる方は、防臭加工を施した製品を選ぶといいでしょう。
ダンスの練習など、防音シートでは防ぎにくい足音などが出る場合、グラスウールやウレタンスポンジが素材の吸音材や、ゴム製の防振シートなどを組み合わせるのもひとつの方法です。また、鉄筋コンクリート造の建物は、壁自体の遮音性能は高くても、壁や天井の点検口などから音が伝わる場合があります。隙間部分に防音シートを張ることで、防音効果が得られるので試してみるといいでしょう。
部屋の壁をすべて覆う場合、避けたいのは給気口などの空気の通り道まで過剰にふさいでしまうこと。酸欠や一酸化炭素中毒のリスクがあります。外気を取り入れている箇所は、必ず開けておくようにしてください。