変動から固定に変えるのは金利が上がり始めてからでは遅い?

11年03月30日
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変動から固定に変えるのは金利が上がり始めてからでは遅い?

前回、債券市場について触れました(ローン金利に影響を及ぼす債券市場って、どんな市場?)。
今回は、債券市場の価格変動の特徴から考えられる住宅ローンの金利タイプの選び方についての注意点をまとめたいと思います。

▼住宅ローンの金利タイプとその内容

住宅ローンの金利タイプは大別すると下記の3タイプがあり、それぞれ特徴があります。

○変動金利型
民間住宅ローン利用者の44.3%(※)がこの金利を選択。
優良貸出先に適用される短期の貸出金利に連動するタイプ(短期プライムレート)が主流。
→短期金利に連動。

○全期間固定金利型
民間住宅ローン利用者の24.9%(※) がこの金利を選択。
10年満期の国債の利回りである長期金利の動きにリンクしている。
→長期金利に連動。

○固定金利期間選択型
固定金利期間の短いもの(2年、3年など)は短期金利、長いもの(10年、15年など)は長期金利に連動する傾向がある。


▼短期金利と長期金利の動き方で考える、住宅ローンの金利タイプの変動

短期金利と長期金利から、住宅ローンの変動金利型や全期間固定金利型などがどのように変動するか、考えてみましょう。

○短期金利
変動金利型や固定金利期間選択型(2、3年など)に影響を及ぼす。

○長期金利
全期間固定金利型や固定金利期間選択型(10、15年など)に影響を及ぼす。


そして、ポイントは短期金利よりも長期金利のほうが先に動くということです。
その理由を先行きの金利の予測別にご説明しましょう。


~前提~
市場金利の水準を決めているともいえる債券市場では、日々、債券の売買が行われています。
債券市場の大半を占める固定利付の債券価格の性質としては、市場金利の上昇は債券価格の下落を意味し、市場金利の低下は債券価格の上昇を意味します。
(詳細は前回の記事を参照 ローン金利に影響を及ぼす債券市場って、どんな市場?)

<先行きの金利上昇が予想される場合>
金利の上昇(=債券価格の下落)が予想される

満期の近い短期債よりも満期の遠い長期債のほうが債券価格の下落幅が大きくなる可能性が高い

短期債よりも長期債のほうを先に売っておきたいと思う投資家が増える

長期債が先に売られることによる長期金利の上昇が、短期金利の上昇よりも早くなる

このように、先行きの金利上昇が予想されるときに下記のような動きになる傾向があります。
-短期金利よりも長期金利のほうが先に上昇する
-住宅ローンの場合、変動金利型よりも全期間固定金利型の金利のほうが先に上昇する


<先行きの金利低下が予想される場合>
金利の低下(=債券価格の上昇)が予想される

満期の近い短期債よりも満期の遠い長期債のほうが債券価格の上昇幅が大きくなる可能性が高い

短期債よりも長期債のほうを先に買っておきたいと思う投資家が増える

長期債が先に買われることによる長期金利の下落が、短期金利の下落よりも早くなる

このように、先行きの金利低下が予想されるときに下記のような動きになる傾向があります。
 -短期金利よりも長期金利のほうが先に下落する
 -住宅ローンの場合、変動金利型よりも全期間固定金利型の金利のほうが先に下落する


▼「金利が上がりそうになったら固定金利にしよう」と安易に考えるのは危険?

「借入当初、変動金利を選んだが、金利が上がりそうになったら固定金利タイプに切り替える」ことを検討している人は、要注意です。

理由は「金利が上がりそう」な場合、下記のような状態になっていると考えられるからです。
・変動金利型の適用金利が上がりそうになるということは、短期金利が上昇しそうな雰囲気になっている
・全期間固定金利型などの固定金利タイプの適用金利はすでに高くなってしまっている可能性がある

このように結果的には固定金利への切り替えにより、返済額は大幅にアップしてしまうかもしれません。

よって、理想的なタイミングは
「固定金利型の適用金利が上がる前に変動金利型から固定金利型に切り替えること」
となります。

しかし残念ながら、長期金利が上がる直前のタイミングをうまく捉えようとすること自体が非常に困難だといえます。後になってみれば、あのときが長期金利の上昇の起点だったということは確認できますが、上がり出す前の絶妙なタイミングを事前に察知することはほぼ不可能だといえるでしょう。


▼住宅ローンの金利タイプの変更は慎重に

以上のように、金利の上昇・下落のタイミングは固定金利型と変動金利型では違います。

住宅ローンで変動金利型を利用している人や、これから変動金利型を利用しようと思う人は、「金利が上がりそうになったら固定金利型に変更すればいいや」などと安易な気持ちでいるのではなく、適用金利が上がり始めるころには、長期金利のほうが先に上がっている可能性が高く、固定金利型に変更すると返済額が大幅に増えるかもしれないことを認識しておく必要があるでしょう。


※住宅金融支援機構の調査 平成23年1月のデータより。

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文/菱田雅生 イラスト/杉崎アチャ
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