「本当の良い子とは、勉強ができるだけでなく、コミュニケーション能力、自立心、好奇心などの能力をバランスよく併せ持った子ではないでしょうか」(河名さん)
そういった能力を伸ばすためには、子どもを育てる環境が重要。そのためには、家族が触れ合え、ぬくもりが感じられる、子どもが安心できる空間が大切。「子どもの能力は、環境や人との関わりで変わるので、家族みんなが集まってきたくなる、近所とも触れ合えるような家がいいですね」と松原さん。
今回はコミュニケーション能力、自立心、好奇心の3つを軸にどういった環境がいいのか紹介。子どもの伸ばしたいところ、足りないところ、引き出したいところ、を考えてみよう。
家族と挨拶をしたり、食事をしながら会話をするなかで、人の気持ちやまわりの空気を読む力が育ち、コミュニケーション能力や社会性が育まれる。そのためには家族が触れ合え、愛情を確かめ合える環境が必要だ。
母親の身近で安心できることが人を尊重する能力を養う。料理をしながら子どもの様子が見え、何をして遊んでいるか、声をかけられる間取りがいい。大きな食卓なら、子どもが勉強することができるので、4人家族でも6人用のテーブルがよい。
ここをチェック
・キッチンからのリビングの見通しはいいか
・ダイニングテーブルはゆとりを持って置けるか
父親と子どものスキンシップはお風呂が一番。普段なかなか一緒に過ごす時間がなくても、わいわいお風呂に入ることで、コミュニケーションが深まる。入る前や後に、一緒にお風呂を掃除することでキレイに使うことも身につく。
ここをチェック
・親子一緒に足を伸ばして入れるか
・洗い場の広さは十分か
・掃除道具を入れられる収納はあるか
適度な広さや日当たりのいいリビングには家族が自然に集まってくる。リビング内に階段があると、自分の部屋に行くときに自然に親と顔を合わせ会話しやすい。吹抜けなら、上下階に分かれていても声が聞こえ、安心感が得られる。
ここをチェック
・親子一緒に足を伸ばして入れるか
・洗い場の広さは十分か
・掃除道具を入れられる収納はあるか
親が書斎や個室にこもるのではなく、子どもと一緒に過ごせるオープンなスペースで、本を読んだり仕事をしよう。2階の廊下や階段の踊り場、リビングの一角を利用するのもよい。親が手本となる姿を見せることが大切。親が本を読んでいると、子どもも本好きになりやすい。
ここをチェック
・家族共用の場に本を置けるスペースがあるか
・家族間で過ごせるオープンスペースはあるか
子どもは成長に合わせて自立心が芽生え始める。そんな時期には、「自分でしまう」ことや「お手伝いする」ことも身につけさせよう。料理や整理整頓など、親がサポートできるように家事のしやすい間取りがいい。
子どもは母親が近くにいると安心するし、その働く姿を見て、生活習慣が身についてくる。リビング横の和室やミセスコーナーなどで、アイロンがけをしたり、家計簿をつけていると、興味を持って自分も手伝ってみたくなる。
ここをチェック
・料理をしながら洗濯など、 同時に家事がしやすいか
・家事をしながら子どもの様子が見えるか
子どもと一緒に料理できる広さのあるキッチンだと、お手伝いしやすい。子どもは料理に関心を持つので、野菜を切ったり、洗ったり、お皿を出し入れすることで自立心が自然に身につく。お手伝いをほめることで、自信にもつながる。
ここをチェック
・2人以上で立ってもスペースにゆとりがあるか
・子どもの手の届くところに棚はあるか
・道具類は取り出しやすくなっているか
普段使いのおもちゃは、リビングの一角に整理できる場所をつくり、自分で片付けられるようにする。家族で使う共同スペースをきれいにする習慣が身につく。クリスマスツリーや雛人形なども一緒に片付けることで、収納場所も共用できる。
ここをチェック
・子どもでも開け閉めしやすい収納か
・適材適所に収納はあるか
・子どもが遊ぶ場所に収納はあるか
小学校に慣れたころから、一人になれる空間をつくってあげよう。一人で寝ることや、学校に着ていく服を自分でそろえるなどの習慣や自立心も芽生える。ただし長時間こもりすぎないために、テレビやゲームなどは置かないほうがよい。
ここをチェック
・スイッチは子どもの手の届くところにあるか
・収納の高さは使いやすいか
・子ども用のベッドは置けるか
好奇心や探究心を伸ばすには、マルチで自由な間取りや、日々の変化が感じられる要素が必要。自分でその空間をどう使おうかと考えたり、子どもが興味を持つような音楽や絵画などと身近に触れることも大切。
子どもは秘密基地が大好き。ロフト、屋根裏のような場所は、子どもにとっては大歓迎のスペースだ。どうやって遊ぼうか、何を置こうかなど考えたり、好きなことに夢中になれたりすることで自然に発想力や好奇心が育まれる。
ここをチェック
・ロフトは子どもが上りやすいか
固定化された空間より、使い道がはっきりしていない部屋のほうが、ああしたい、こうしたいという目的意識が生まれる。リビング横の和室や、仕切って2部屋にできる大部屋など可変性のある間取りも子どもの発想を伸ばすことになる。
ここをチェック
・多目的に使える部屋はあるか
・適度な広さはあるか
家の中から外を眺め、天候や四季の変化を身近に感じることができる。花や野菜を育てることで、植物の成長や収穫を体験、探究心も芽生える。小さくても庭があれば昆虫に出会い、命の大切さも理解できるようになる。
ここをチェック
・外の景色は見えるか
・庭はあるか
・日当たりはいいか
子どもの作ったもの、描いた絵などを飾れるスペースがあると、子どもの創作意欲を刺激するだけでなく、家族のコミュニケーションも生まれる。デッドスペースになりがちな壁や階段の踊り場、リビングの一角などを利用すればよい。
ここをチェック
・作品を飾れるスペースはあるか
・モノづくりできる部屋はあるか