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賃貸カスタマイズ&DIY もっと自分らしい賃貸ライフを楽しもう!

入居者プロフィール
  • ●名前:古平 賢志さん(34歳)
  • ●職業:飲食店コンサルティング
物件データ
  • ●所在地:千葉県松戸市松戸
  • ●築年数:築42年
  • ●アクセス:JR/新京成線松戸駅から徒歩5分
  • ●面積:33.3m2
  • ●間取り:2DK
  • ●入居時期:2012年12月頃
間取り
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ずっと望んでいたコミュニティを自分の手で作る
千葉県北西部に位置する、松戸(まつど)。江戸時代は宿場町として、近年は東京近郊のベッドタウンとして発展を遂げてきた都市だ。最近では、芸術家と住民との交流を目指すMAD Cityプロジェクトが契機となり、クリエイターの移住も活発化しているという。
飲食店のコンサルティング業を営む古平賢志さんも、松戸のクリエイティブな取り組みに惹かれたひとり。約3年前、埼玉県の3LDKから松戸の中心部にある「MADマンション」に引越してきた。
MADマンションとは、原状回復義務を排除し入居者による自由な部屋づくりを可能にした賃貸マンション。画家やグラフィックデザイナー、ダンサーなど多彩なジャンルのクリエイターたちが住み、各々の感性やライフスタイルに合わせて自室のDIYカスタマイズを行っている。さらに、MADマンションでは、部屋のひとつをコミュニティスペースとして開放しており、多くの住民同士の交流の場として利用されている。
「松戸にクリエイターが集まってきているというのは、もともとMADマンションに住んでいた友人を通して知っていましたし、MADマンション自体がまさにそうした面白い人たちの拠点みたいな場所でした。以前住んでいた場所では毎日家と職場を往復するだけの生活で、近所との交流もなかったので物足りなさを感じていて。でも、MADマンションだったら新しいコミュニティも作れそうだし、暮らしが楽しくなりそうだなと思ったんです」(古平さん)
思い思いの活動をしている入居者たちに刺激を受けて、古平さんが自身の部屋のテーマに選んだのは"食堂"だった。
【Before】シンプルでとくに不便さは感じないものの、築40年超えの古さを感じるキッチン
【Before】シンプルでとくに不便さは感じないものの、築40年超えの古さを感じるキッチン
【After】カウンターを中心にして立ち飲みができる、食堂風の空間をDIYでつくりあげた
【After】カウンターを中心にして立ち飲みができる、食堂風の空間をDIYでつくりあげた
食と出会い人と出会う唯一無二の部屋
これまでずっと飲食業に携わってきたという古平さんにとって、食は最高の"コミュニケーションツール"。「美味しい料理と空間さえあれば人は自然とつながっていく」という信念をカタチにするための理想の空間を、DIYによって表現したかったと語る。
「食の世界に身を置いてきたなかで、いつしか自然と『食堂をやりたいな』と思うようになったんですよね。あくまで、こういう料理を出したいというよりも、やはりコミュニティを生むための方法のひとつとしてですが。食事ってある意味、強力なコミュニケーションツールだと思うんです。みんなで食卓を囲むことで会話がはずんだり、賑わいが生まれますよね。コミュニティの基盤となる場づくりを考えたときに、食堂のような存在が理想だなと思うようになりました。とはいえ、ビジネスとして頭のなかに描いている食堂をやろうとするとかなり大変なので、まずは自分の部屋でスタートしてみようと。そこで、料理をきっかけに人と人がつながれる空間づくりをテーマに、DIYに挑戦することにしました」
参考にしたのはブルックリンやポートランドの店舗スタイル。雑誌や海外WEBサイトを見ながら、"食堂部屋"のイメージを固めていったという。外注したのはキッチンに置かれたカウンターのみで費用は11万円。DIYでは、廃材や流木などを使用しているため、コストが発生したのはペンキや天井用の金具照明、植木などでトータル3万円から5万円程度とか。
DIYは基本的に一人で実施しており現在も進行中。「生活は空間が完成した時に完了するわけではなく常に変化、進化するもの。それに合わせて必要なものを必要な時にカスタムしたい」という考えのため、長期的にDIYをしていきたいそう。
玄関付近の壁や扉には古平さん作のオリジナルペイントを施して賑やかな雰囲気に。扉の上には棚を設置しカッコいいワインボトルをディスプレイ
玄関付近の壁や扉には古平さん作のオリジナルペイントを施して賑やかな雰囲気に。扉の上には棚を設置しカッコいいワインボトルをディスプレイ
マグネットの棒を金具で壁に留めて包丁を密着。洋食店ではお馴染みのスタイルだそう。左上の
マグネットの棒を金具で壁に留めて包丁を密着。洋食店ではお馴染みのスタイルだそう。左上の"TAKE CARE"の書体もおしゃれ
プライベートとオープン空間を区切らない
いまでは他の入居者が「いい食材が手に入ったから」と立ち寄ったり、古平さんの手料理と会話を楽しむためにふらっと訪ねてくることもあるそう。
あくまでも"自分の部屋"というより"人が集まる場所"として機能させたいと考えている古平さん。生活感が出てしまうプライベートな物はなるべく置かないように気をつけているという。オープンなスペースとしての快適性を追求しているが、気が休まらず疲れてしまうことはないのだろうか?
「疲れるということはないですね。部屋に遊びに来てほしいというよりは、『身近な店に来てください』という気持ちですから。誰かが『ここに鏡あると良いよね』と意見をくれて取り付けたこともありますし、僕がこういう部屋にしていきたいというより、この部屋を訪れてくれる人たちが便利で心地良いと感じる空間にしていきたい。皆の意見を柔軟に吸収していきたいなと思っています。そうやって人が行き来する空間のなかで暮らすことは、僕にとって心地が良いことなんです。むしろ、プライベート空間とオープンスペースのラインを意識しすぎると、逆に疲れてしまうかもしれません」
(Before)12畳あるという広々したシンプルな空間は色々アレンジできそう
(Before)12畳あるという広々したシンプルな空間は色々アレンジできそう
(After)こちらもキッチンと同じくオレンジ色の明かりで落ち着く空間に。おもてなし空間にとことんこだわっているだけあって、ベッドよりもソファスペースを広くとっている
(After)こちらもキッチンと同じくオレンジ色の明かりで落ち着く空間に。おもてなし空間にとことんこだわっているだけあって、ベッドよりもソファスペースを広くとっている
さりげない部屋の小物も会話の仕掛けに
一方、リビングには、訪れた人たちの「遊び」のイメージが広がるようにと、さまざまな仕掛けを用意している。
「皆が集まってくつろいでいるときに、たとえば『今度アウトドア行きたいね』といった話が自然に生まれたらいいなと思って、リビングにはキャンプで使うようなアイテムをディスプレイや、ボルダリングのホールドもDIYで取り付けています。この部屋での会話がきっかけで新しい遊びや、みんなで楽しむためのアイデアが生まれたら嬉しいですね」
ちなみに、去年から開催しているマンション屋上でのビアガーデンイベントも、そうしたつながりから生まれたものだという。「楽しそうな空間にするためにはどうしたらいいのかって頭を働かせることが好き」という古平さん。今は本業である飲食店コンサルタントの仕事以外に、松戸に住む仲間と一緒に「テシゴト」というプロジェクトも展開。「Good music and books coffee stand」というカフェを松戸駅西口にある観光案内所の休みの日に構えるなど、マンションに留まらず街とのコミットも進行中だ。
小さな空間からスタートしたコミュニティの輪は街を巻き込み、どんどん拡大している。DIYによって生まれ変わったこの場所をアジトに、これからもさらなる人の出会いが紡がれていくことだろう。
リビングの柱部分には、実際にのぼれるボルタリングのホールドをDIYで取り付けた。専用シューズも用意しているので、遊びに来た人が気軽にチャレンジできる
リビングの柱部分には、実際にのぼれるボルタリングのホールドをDIYで取り付けた。専用シューズも用意しているので、遊びに来た人が気軽にチャレンジできる
行動力とおもてなし力に溢れる古平さん。今後は松戸の街を盛り上げるため、企業とのコラボも予定している
行動力とおもてなし力に溢れる古平さん。今後は松戸の街を盛り上げるため、企業とのコラボも予定している
不動産会社からのメッセージ
株式会社アンディート 安藤勝信氏

株式会社まちづクリエイティブ
寺田 大祐さん

2つのシンプルな仕掛けが
ワクワクするコミュニティを創出

「MADマンションの転貸を請け負ってから3年ほど経ちますが、当時は20部屋中、11部屋が空室でした。どうやって入居者を探せばいいか思案した結果、クリエイティブな仕事や活動をしている人が住めるよう、少し賃料を低くして原状回復義務をなくして入居者を募集しました。ほかに私たちが仕掛けたことは2つで、『住民のコミュニティスペースに一部屋使用すること』『弊社発信のイベントを開催すること』です。入居者の皆さんはとても活動的なので、当初からコミュニティスペースを積極的に訪れて入居者同士で活発に交流していましたし、ゴミ捨て場を"クリーンデイ"と名付け、DIYでリニューアルするというイベントにも積極的に参加してくれました。いまでは古平さんをはじめとする入居者の皆さんが、それぞれのつながりを持って入居者さん同士でプロジェクトを生みだしたりしています。そういう取り組みのおかげで物件の価値が上がり、賃料は3年前から上がりましたが、現在はすべて満室です。『自分もこんな楽しい生活をしてみたい』『コミュニティに参加したい』という問い合わせが増えています。今後もMAD Cityで、MADマンションと同じような"住むとワクワクする暮らしが待っている住まい"を展開してきたいと考えています。」

取材・文/末吉陽子(やじろべえ) 撮影/飯田照明
取材協力/株式会社まちづクリエイティブ
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