知っ得坪単価レッスン

09年08月19日
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延床面積が狭くなると坪単価は上がる

家の大きさで坪単価は変化する

Lesson3では、延床面積が同じで設備・仕様が異なる場合の坪単価の変化を解説した。次は逆に「設備・仕様が同じで延床面積が違う」場合の坪単価について勉強しよう。坪単価は、「その建物」にかかった1坪当たりの建築費。「坪単価40万円。50坪の家が2000万円」と広告でうたわれていても、その坪単価はあくまでも「50坪」の場合。たとえ同じ形状で、システムキッチンや壁紙などをすべて同じものにしたとしても、床面積が違えば坪単価は違ってくる。そのため、「坪単価40万円の商品なら、30坪の家にすれば本体価格は1200万円」といった計算は成り立たないのだ。

面積を変えても設備費用は変わらない

延床面積が小さくなれば、その分材料費が減って本体価格も減り坪単価は変わらないのではないかと思うかもしれない。しかし実際は、延床面積が小さくなれば坪単価は上がってしまう。その理由は本体価格の2~3割を占める住宅設備費や、家を建てるためにかかる必要経費にある。床面積が減っても、キッチンやバス、トイレといった住宅設備は家の床面積に比例して数が減るわけではない。設置や調整のための費用も延床面積にそれほど左右されない。そのほか、設備機器や建築資材の運搬費や仮設費用、養生費、人件費なども、延床面積と比例して減るわけではないのだ。したがって、家が小さくなるほど「本体価格÷延床面積」で計算する坪単価は上がっていくのだ。逆に家が大きくなるほど坪単価は下がっていく。

延床面積が減ると坪単価は上がる

広告の坪単価は基準の床面積を確認

広告などで使われる「坪単価○万円~」という数字は、まず何坪の家を基準にして出したものなのか、自分が建てる家の床面積とくらべてどうなのかをチェックしたうえで、本体工事費を出す際の目安にしよう。例えば、50坪を基準にした坪単価が40万円だとして、自分が建てる家が約48坪(1世帯住宅の全国平均。月刊ハウジング調べ)だとすると、まったく同じ設備機器、同じ間取りだとしても坪単価は40万円よりも高くなると予想できる。

Check! 小さい家の坪単価が高いのはなぜ?

Check! 小さい家の坪単価が高いのはなぜ?

下の例では延床面積が10坪減ったことで坪単価が5.2万円アップしている。このように同じ設備、同じ仕様、同じ間取りなら小さな家は坪単価が高い。つまり割高になる。これは延床面積が減る分、床材や壁材、建具代などは減っても本体価格の20~30%を占めているキッチンやトイレ、バスなどの設備機器は減らないためだ。

「施工床面積」で計算すると坪単価は安く見える

メーカーによって計算方法が違う

実は、坪単価には算出方法の明確な基準というものがない。一般的には前述のように「本体価格」を「延床面積(坪)」で割ったものが「坪単価」として使われるが、ハウスメーカーによっては「延床面積」ではなく「施工床面積」で「本体価格」を割るといった、違う計算方法を採用しているところもある。このため、複数のハウスメーカーの住宅商品の価格の高い・安いが、坪単価だけでは比較できない。

施工床面積は実際に施工する分の面積

「施工床面積」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれない。もしくは、「延床面積」との違いがよく分からない、という人も多いはず。「延床面積」というのは各階の床面積を合計した面積のことで、玄関ポーチやベランダ、吹抜け部分などの面積は含まれない。一方「施工床面積」というのは実際に施工した部分の面積になるため、延床面積には含まれない部分も面積に加算される。なお、施工した箇所のどこまでを「施工床面積」とするかは各ハウスメーカーによって基準が違う。

施工面積が広ければ坪単価は低くなる

次の例を見てみよう。「延床面積」は37.5坪だが、吹抜けや2階のバルコニーを加えた「施工面積」は43.3坪に増える。本体価格は同じ 1255万円だが、どちらの面積で計算するかによって坪単価に4.4万円の差が出た。5.8坪の差でこれだけの違いがあるということは、リビング全体が吹抜けになっていたり、バルコニーが数箇所にあるプランの場合、延床面積と施工面積の差は下の例よりも大きくなり、坪単価の差がさらに広がることになる。どの計算方法を使うかによって、坪単価が異なるということは、見た目の数字をそのままうのみにはできないということ。例えば広告で「坪単価○万円~」と、かなり低い数字が書かれていた場合、それが施工床面積によって出された坪単価なら、同じ延床面積、同じ設備・仕様でもプラン(吹抜けやバルコニーの有無など)によって坪単価は上下してしまう。また、延床面積を基準にして坪単価を算出しているハウスメーカーとの比較もしにくい。坪単価を見るときは基準にしているのが建築面積なのか施工面積なのかをまずチェックしたうえで、参考材料としよう。

施工面積が広ければ坪単価は低くなる

Check!まったく同じ家を「延床面積」と「施工床面積」で計算してみよう

Check!まったく同じ家を「延床面積」と「施工床面積」で計算してみよう

玄関の吹抜けや2階のバルコニーは、容積率を算出する際に使う「延床面積」には含まれない。しかし「施工面積」には含まれるため、施工面積のほうが大きくなる

地域によっても坪単価は変わる

首都圏・近畿圏の家は狭いから高い?

住宅金融公庫の平成15年度の調査をもとに作成した右の一覧表。これは広告などに記載されている坪単価ではなく、実際に建てられた住宅のデータ。自分が住んでいる地域では、およそいくらくらいの坪単価で家が建てられているのか、という見当がつけられるだろう。右表を見てみると坪単価は首都圏や近畿圏で高く、都道府県別に見ると東京都、神奈川県、大阪府の順に高くなっている。特に、東京都は住宅金融公庫が工事費単価の調査を始めた平成4年度から全国トップを続けている。一方、坪単価が最も低いのは宮崎県で、北海道や東北、南九州も低くなっている。延床面積が小さいほど坪単価は大きくなる、と「Lesson4」で勉強したのを覚えているだろうか。実は、住宅金融公庫の同じ平成15年度の調査で、住宅面積が最も大きいのは佐賀県、最も小さいのは神奈川県。地域別では北海道や東北の住宅面積が大きく、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は小さいという結果が出ている。つまり、住宅面積が大きな県や地域は坪単価が低く、住宅面積が小さい地域は坪単価が高い傾向になっていることが、この調査結果からもうかがえるのだ。

都道府県別
建築工事費単価(円)

都道府県別建築工事費単価

表中のデータは、住宅金融公庫による平成15年度個人住宅規模規格等調査結果をもとに本誌編集室で算出したものです。

首都圏・近畿圏の家は狭いから高い?

人件費や運搬費で変わる場合も

同じハウスメーカーでも、「坪単価○万円~(地域差があります)」といった表示がされている場合がある。同じプランや設備、仕様でも地域によって違うケースがあるのは、人件費や設備機器・資材の運搬費用などに違いがあるためだ。このような地域による差があるかどうか、あるとしたらどう違うのかはハウスメーカーによっても条件が違ってくるので注意。詳しくは各ハウスメーカーに問い合わせよう。

復習:坪40万円は安い?高い?

坪単価は目安 比較はプランの中身で

坪単価についての基本的な知識はこれでしっかり身にちいたはず。坪単価はあくまでも「すでに建っている建物の坪当たりの費用」や「住宅メーカーが算出したその商品のモデルプランの費用」を表すものだ。坪単価がさまざまな要素で変わること、このため、広告に出ている想定価格や想定床面積をもとに計算した坪単価からは自分が建てる家の価格を正確に計算することはできないこと、などが分かったことだろう。また、「坪単価40万円」という数字だけで他社のプランとくらべて「安い」のか「高い」のかは決められないことも理解できたはず。設備のグレードはどうか、間取りはどうなっているか、などプランの中身も検討することが必要だ。坪単価が目安としていちばん役に立つのは、同じメーカーの商品の比較だろう。各ハウスメーカーでは企画型住宅もフリープランの住宅も、標準の設備や仕様を設定した価格帯やデザインの違うシリーズを用意している。同じメーカーであれば、坪単価40万円と70万円では、坪単価40万円のほうが安めの商品だということが分かるだろう。また、床面積が変わることで坪単価が上下することを理解していれば、自分が建てる家は表示されている坪単価よりも高くなりそうか、または安くなりそうか、といった見当はつけられそう。坪単価は正確な費用を出すためのものではなく、目安をつけるための道具として上手に活用したい。

坪単価は目安 比較はプランの中身で

文/田方みき イラストレーション/森越公代 デザイン/秋庭崇(バナナグローブスタジオ)

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