

粋な設えの欄間やガラス障子に、縁側……。ここではゆっくりと時が過ぎる。テーブルはコタツやぐらを再利用

掘りゴタツを囲むリビングは、板戸にガラス戸、天井の梁など、どこか郷愁を感じさせる
11年前に父親から引き継いだ築79年という古民家に暮らすNさん。転勤で戻るまでの8年ほどは手入れができず老朽化が進んでいた。3年前に全体的に修繕して、古民家のもつ、時を経て増してきた味わいが蘇った。「当初は建て替えも視野に入れていましたが、この古材を活かさないのはもったいないと思い直しました。永く継承していきます」と夫。「私は古民家の温かみある雰囲気が好きなんです。こういう木造住宅は現代では贅沢ですよね」と妻。
水まわり設備は全て新しい物に取り替えて快適性を高め、多くの建具や部材は磨きをかけた。「ケヤキの一枚板を使ったリビングの板戸や床の間は、今ではもう手に入らないですね」。一方で、セカンドリビングは床を板張りにするのみで本来の日本建築の美を保ち、回り縁側は断熱性のあるサッシに替えて室内環境を向上させつつ、元の意匠をそのまま活かした。「ここでは、時がゆっくり進みます。何物にも代え難い、くつろぎの一時を過ごしています」
玄関は細格子の引き分け戸を設置して端正な印象に。玄関内は格子から光が入り明るい
79年間の役目を終えた鬼瓦をアプローチに据えて和の風情を。瓦は全て新しく葺き替えた
オールステンレス製キッチンの無機質さが、重厚な風情の板戸と見事に調和している


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