建て替えできない土地に注意 知っておきたい土地の基本 

最終更新日 2024年03月04日
知っておきたい土地の基本 建て替えできない土地に注意!

実家を二世帯住宅に建て替える予定の人、古家付きの土地を買って建て替えようと考えている人は要注意。思うような家が建てられない場合があるのだ。「こんなはずじゃなかった……」と途方に暮れないよう、知っておきたい基礎知識を2回に分けて解説する。

知っておきたい土地のキホン 建て替えできない土地に注意!

更地にすると家が建てられない場合がある

親が所有している実家を建て替えれば土地を買うための費用が不要になる。また、古家付きの土地は更地よりも割安で買えることもある。この、「自分で土地を買って家を建てるよりもおトク!」というメリットだけを見て建物を解体してしまうと、思わぬ落とし穴が! 実は、建て替えができない土地があるのだ。

建て替えができない「再建築不可物件」

たとえ今、家が建っていても、「解体して更地にしてしまうと新たな家を建てられない土地」というものがある。それが「再建築不可物件」だ。もしも、実家の土地が、この再建築不可物件にあたる場合、二世帯住宅に建て替えようと思ってもできないのだ。

また、売り出されている古家付きの土地が再建築不可物件だった場合も同様。周辺の同じ広さの土地よりも安いことが多いというメリットはあるが、新たに家が建てられないので、古家の建て替えが目的であれば、そもそも購入する意味がない。

この「再建築不可物件」になるのは、一体どういう土地なのだろう。いくつかのケースがあるが、多いのは「接道義務」を満たしていない土地だ。

「接道義務」って何?

実は、家を建てるときには建築基準法によるさまざまな制約があり、好きな場所に自由に建てられるわけではない。「接道義務」はその制約のひとつだ。都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として建築基準法で定められた幅員(幅)4m以上の道路に2m以上接した土地でなければならないのだ(一部区域では幅員6m以上が必要)。これは、火災や地震などの災害が起きたときの避難経路、消防車や救急車が通れる経路の確保が目的だ。

接道義務を満たしていない土地に、制約のなかったころに建てられた家がある場合、その家を解体して更地にしても建築基準法上の道路には接道していないため、確認申請の届出ができず、新築は建てられない。

例えば、住宅密集地でよく見られるのが、図1のように土地が道路につながっておらず、ほかの人の土地を通らせてもらって出入りしている家。改築は可能である場合が多いが、一度更地にして新築するということができない。

また、図2のように、道路から奥まっていて、路地状の土地が道路に接している旗竿型の土地。道路に接していても路地状部分の幅が2m未満の場合は、新しく家を建てることができない。路地部分に隣接する土地の一部を買い取る、または借りるなどの方法で、接道義務をクリアすることで建てられる場合もある。

「接道義務」って何?

接している道路の幅が4m未満でも、セットバックで家を建てられることも

道路の幅員は4m以上あることが原則だが、接している道路の幅員(幅)が4m未満の土地はすべて家を建てられない、というわけではない。古くからの住宅地などでは、4mよりも狭い幅の道路が多く存在する。先祖代々受け継がれてきた土地に建っている古い実家を建て替えよう、という場合、接している道路の幅が4m未満のケースは少なくないのだ。

そこで、例外として、建築基準法が施行された日(昭和25年11月23日)、または、その土地が都市計画区域になった時点で、家などの建物が建っていた場合は、「敷地のセットバック」を行うことで、家を建てることができる。このような道路を「2項道路」(法43条2項道路。建築基準法の43条2項から)または、「みなし道路」(法43条2項2号道路)という。

幅4m未満の道路に接していても、セットバックで家を建てられることも
この部分は買入した土地であっても建物が建てられる敷地面積から除外される

「敷地のセットバック」とは、土地が接している道路がこの2項道路の場合、図3のように道路中心線から2mの位置まで後退(セットバック)した線まで建物を建てずに空けておくこと。道路中心線から両側に2mずつ空きができることで、将来、幅員4mの道路になるというわけだ。なお、片側が川や崖になっていて、道路が広げられない場合は、図4のように川や崖側の道路境界線から4mのところまで敷地のセットバックが必要になる。

幅4m未満の道路に接していても、セットバックで家を建てられることも

家を建て替えようとしている土地の前面道路が2項道路の場合、セットバック部分は道路扱いとなるため、家や塀などを新たに建てられないので、利用できる範囲が狭くなる。つまり、建築できる敷地面積が減少する。建築面積については次回詳しく説明をする。

接道を確認するにはどうすればいい?

土地の接道義務にかかわる道路は建築基準法で認められた道路であれば、公道でも私道でもいい。ただし、見た目は道路なのに、建築基準法上は道路とは認められない通路のケースもある。建築基準法上の道路であるかや、公道の幅員は市町村役場、区役所等の担当部署(建築課など)の窓口で調べることができる。自治体によってはホームページで検索できるところもある。早めに役所に問い合わせをしてみるか、建築を依頼する住宅メーカーや工務店が決まっているなら相談してみるといいだろう。

建て替えできない土地を購入するとどんなリスクがある?

建て替えできない土地は、近隣の土地と比較すると割安で販売されているケースがあるため、予算に限りがあると購入を検討する人もいるだろう。しかし、いくつかのリスクがあることを知っておきたい。

リスク1:増改築が難しい

延床面積が変わる増改築を行う場合、自治体へ「建築確認申請」を提出し、建築許可を得る必要がある。建て替えできない土地に建てられた家は、現在の建築基準法のルールに合っていない違法建築なので、建築許可が出る可能性は低く、増改築は難しくなる。

リスク2:リフォーム費用が割高になる

増改築が難しいため、リフォームするとしても土地に道路が接していないとトラックを近くに止められず、リフォームで使う資材の搬入に手間や時間がかかる。その分人件費がアップしてしまい、リフォーム費用が割高になる。

リスク3:災害等で建物が消失したら住む家がなくなる

建て替えできない土地にたつ家が火災や地震などで焼失・倒壊しても、その土地に新しく家を建てることはできないため、住む家はなくなってしまう。新しい家を取得するために建て替えできない土地を売却しようとしても、再建築が困難な土地の売却がスムーズに進むケースは少ない。

リスク4:金融機関から住宅ローンが借りられないことも

先述したように、建て替えできない土地にたつ家は違法建築となるし、たとえ災害で家が焼失したとしても新たに家を建てることはできない。そのため、土地の購入や、現在立っている家のリフォームのために金融機関へ住宅ローンの借り入れを申請しても、断られたり、金利や返済期間などの条件が不利になったりする。

まとめ

更地にすると家が建てられない土地(再建築不可物件)がある

建て替えできない土地は接道義務をクリアすることで建てられる場合がある

建て替えできない土地を購入するとさまざまなリスクがあるため、事前によく検討しよう

再建築OK!次回は家を建てるときの決まりを学ぼう
再建築OK!次回は家を建てるときの決まりを学ぼう

>>次は家の規模やカタチに関わる規制について解説します

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文/田形みき、山南アオ(建て替えできない土地を購入するリスク) イラスト/いぢちひろゆき 監修/SUUMO編集部
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