次にくる住みたい街はここだっ! ~横須賀編~

次にくる住みたい街はここだっ! ~横須賀編~

みなさんは「横須賀」と聞いて何を思い浮かべますか?
米軍基地に自衛隊横須賀基地、スカジャン、カレーやハンバーガーなどのご当地グルメ……。『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』が脳内で再生されたあなたは、アラフィフ世代でしょうか。米軍関係者でにぎわう「どぶ板通り」を思い浮かべた人は、なかなかマニアックですね。
この質問を受けて、読者のみなさんはおそらく何かしらのイメージを思い浮かべられたと思います。それほど知名度の高い横須賀ですが、治安面は比較的良好で、子育て、教育へのサポートも充実しているなどといった、「住みたい街」として高いポテンシャルを秘めていることは、あまり知られていません。
では早速、これまであまり知られていなかった、「住みたい街」としての横須賀の魅力に迫ってみましょう。

独自カルチャーを生み出した横須賀の歴史

街を歩き始める前に、簡単に横須賀の歴史をおさらいしてみましょう。
横須賀といえば、1853年(嘉永6年)のペリー来航。アメリカ海軍軍人ペリーが、鎖国中であった日本に対する開国の交渉のために、アメリカ大統領の親書を持って現れたのでした。翌1854年には神奈川で日米和親条約が締結され、日本の近代化の歴史が幕を開けます。以降、江戸・東京の玄関口となった横須賀には、世界の文化が入ってくるようになりました。
明治に入ると大日本帝国海軍の横須賀鎮守府が置かれ、軍港として発展。第二次世界大戦後、これらの設備はアメリカ軍によって接収され、1952年の「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧安保条約)」によってアメリカ海軍がそのまま利用し、現在に至ります。

冒頭で紹介したようなさまざまな独自のカルチャーが生まれたのも、このような歴史背景ありきなのです。

英語が飛び交う商店街、活気あふれる横須賀の街

では、実際に街を歩いてみましょう。
「横須賀」と名の付く駅には、JR横須賀駅と京急本線の横須賀中央駅がありますが、にぎわいの中心は京急本線の横須賀中央駅から汐入(しおいり)駅にかけて。両駅は、徒歩で15分程度の距離感です。横須賀中央駅前には、「無印良品」や「ユニクロ」、「ABC-MART」などの若者向けアパレルショップや総菜店、カフェ&レストランなどが入る「横須賀モアーズシティ」が、汐入駅前には、「横須賀芸術劇場」や「ショッパーズプラザ」といった文化・商業施設があります。
横須賀中央駅前から米軍基地方面に延びる「三笠ビル商店街」は、鮮魚店や青果店、衣料品店、飲食店など約70店舗が建ち並び、買い出しのお客さんで活気にあふれています。よく、地方のさびれ具合が「駅前シャッター通り」なんて揶揄されることもありますが、この街の商店街はそんな世相もどこ吹く風。歩いているとしょっちゅう英語が聞こえてくるのも横須賀らしいところです。

横須賀モアーズシティ
横須賀中央駅と、駅に隣接する「横須賀モアーズシティ」
三笠ビル商店街
昔ながらのアーケード街「三笠ビル商店街」。青果店や鮮魚店もある

「三笠ビル商店街」を米軍基地方面に抜けてから西(汐入駅方面)に向かうと、横須賀の名所「どぶ板通り」に出ます。昼はアメカジやスカジャンの店、アメリカ雑貨など、独特のセンスあふれるお店がオープンしており、歩いているだけでちょっとワクワク。夜はガラッと雰囲気が変わり、米軍関係者たちがアメリカンスタイルのダイナーやバーで談笑している姿が、華やかな異国情緒を醸し出します。
全体的に横須賀の街には、昔ながらの個人商店が多いのが特徴。街ぶら好きの人は、そのちょっとゆるめでレトロな雰囲気に和んでしまうこと間違いなしでしょう。

どぶ板通り
アメリカンスタイルな店が建ち並ぶ「どぶ板通り」
スカジャンのルーツ
どぶ板通りでスカジャン発見! 戦後、駐留米兵たちが龍や虎などの和風のモチーフをジャケットに刺しゅうしてお土産としたことがスカジャンのルーツ

横須賀は怖くない!

米軍基地があるため治安は大丈夫だろうか、と心配する人もいるかもしれませんが、実際に街に行ってみると、思いのほか安心して歩ける雰囲気に驚きます。
「ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童さんが『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』で歌ったイメージは、一昔前のものなんですよ(笑)。あの歌詞のような、ちょっととんがった色っぽい横須賀のイメージは、1960〜70年代のベトナム戦争のころのものです。当時の横須賀は、横須賀海軍基地から出撃し、命を張って戦って帰還した米兵たちが解放される場所でした。しかし、そんな時代も終わり、80年代になってからは、市と米軍が協力して自主的に見回りをはじめ、治安は飛躍的に向上しました。むしろ今では、横須賀市の犯罪発生件数は、神奈川県でも比較的少ないほどなんです」(横須賀市政策推進部都市イメージ創造発信担当課 奥村浩さん)

『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』の歌詞は、主人公が、横浜から流れて来たある女性を訪ねて、横須賀のスナック(?)を訪ね歩くという内容ですが、この舞台は、横須賀中央駅の西側に広がる「若松マーケット」のあたりでしょうか。こちらは濃厚な昭和の香り漂う飲み屋街で、「サタン」や「笑っちゃいけない店」、「ナイス・ミドル」といった、個性的な名前のスナックがひしめいています。店名のとおり個性派ぞろいのママやマスターから、人生の機微を学ぶのも一興かもしれません。

かつてのとがった雰囲気がほどよく落ち着いた横須賀の街並みからは、どことなく、懐の深さ、人生の味わい深さが感じられた気がします。

※人口20万人以上の県内9市で犯罪発生件数(人口1,000人当たり)が最小。「神奈川県警HP」(平成26年刑法犯市町村別認知件数)より

若松マーケット
「若松マーケット」の入り口。右下の「横須賀ブラジャー」とは、ブランデーをジンジャーエールで割ったこの界隈の名物

通勤の強い味方は京急!

ではここからは、住環境を見ていきましょう。まずは通勤面です。
神奈川県の南西部の三浦半島の中央部に位置する横須賀市の中心部には、品川〜浦賀・三崎口間を結ぶ京浜急行線と、横浜〜久里浜間を結ぶJR横須賀線が通っています。
都内への通勤はちょっとキツそうな気がしますが、横浜までは京急で乗り換えなしの27分、品川までは44分と、意外にも湘南エリアや小田急線沿線の主要駅と比べてほとんど変わりません。

●神奈川県内各駅から横浜・品川駅までの所要時間(乗り換え時間含む)
横須賀中央 海老名 平塚 茅ヶ崎 大和
横浜 27分 26分 31分 25分 19分
品川 44分 49分 49分 44分 43分
※平日13時台のデータを比較

また、2015年12月7日(月)からは、京急の平日ダイヤ改正にともない、「モーニング・ウィング号」の運行がスタート。「モーニング・ウィング号」は、 朝の通勤時間帯に、三浦・横須賀方面から品川駅までノンストップで運行する京急初の上りでの着席保証列車。整理券で座席を確保し、確実に座って通勤できるのです(1人1回300円、1カ月券5500円)。今後、東京オリンピックやリニアで盛り上がる品川駅にアクセスがいいというのはポイントが高いですね。
さらに、2016年の4月から、横浜と横須賀を結ぶ「横浜横須賀道路」の全線(狩場〜馬堀海岸)の料金が、1440円から950円に値下げされることが決まっています。

中古建て売り物件に掘り出し物多数!?

次に、住宅事情や暮らしの利便性はどうでしょうか。
横須賀中央駅から徒歩10〜20分の小川町、日の出町、平成町といった海沿いの平地には、ワンルームからファミリー向けの物件まで、さまざまなタイプのマンションが集中しています。賃貸の場合、家賃相場はワンルームで5万円、2〜3LDKで11.57万円と、県内の物件と比べてもお値打ち感があります(SUUMO・賃貸家賃相場 2015年11月24日現在)。分譲マンションの場合は、新築1〜2LDK で2000万円台ぐらいからあります。
また、一戸建てにこだわりたいという人にオススメなのが、横須賀中央駅南側の上町エリアの中古物件。ここは小高い丘の上に住宅が密集するエリアで、細い坂道の路地で結ばれています。ちょっと坂道が大変ですが、その分物件は破格のお値段! 運が良ければ、横須賀中央駅から徒歩10分程度で1000万円台という掘り出し物件に出合えるかもしれません。バス利用を視野に入れれば、さらにおトクな中古一戸建て物件に出合える可能性も広がります。

小川町のマンション群
小川町のマンション群。ソテツがどことなく異国情緒を醸す

手厚い子育て政策にも注目!

では住み心地はどうなのか。数年前に横須賀に移住し、小川町にマンションを購入した子育てママにお話を伺いました。
「横須賀は、子どもとのんびり暮らせるところがいいですね。野菜や魚介類は新鮮な地物が安く手に入るし、公園が充実していて『ヴェルニー公園』や『うみかぜ公園』などで子どもを思いっきり遊ばせられる。ほかにも、三笠公園の乗船所から行ける猿島や、立石海岸や大楠山など、車で1時間以内で行けるレジャースポットがたくさんあり、身近に自然を感じられます。また、育児支援などが手厚いのも心強いです」

横須賀市は子育て支援に力を入れており、不妊治療への助成や出産施設、小児医療施設、保育施設の拡充に精力的に取り組んでいます。2015年4月1日時点の待機児童は21人で、近隣の市に比べると比較的少数と言えるでしょう。小・中学生までは就学援助制度、高校生には奨学金制度を設けるといった具合に、出産から教育までトータルで手厚いサポートを受けられるのが特長です。

ヴェルニー公園
JR横須賀駅に隣接した「ヴェルニー公園」。軍艦が望め、きれいに手入れされたバラが美しく、観光名所としても人気

生きた英語が学べ、インターナショナルな感覚が身に付く!

また、横須賀市は英語教育も充実しているため、子どもに英語を学ばせたいファミリーはもちろん、英語を身につけたい社会人の方にもオススメ。
「生きた英語に触れられる機会が多い横須賀の地域性を活かし、さまざまな英語教育に取り組んでいます。全国に先駆けて市立の小・中・高全校にネイティブスピーカーを配置し、他の地域にはない英語コミュニケーションを図る事業も多数。さらに、平成27年3月からは、メリーランド州立大学ユニバーシティ・カレッジアジア校が米海軍横須賀基地内で行う英語学習プログラム『ブリッジ・プログラム』がスタートし、横須賀市民が受講できるようになりました。このプログラムは、いわば横須賀市民のための”基地内留学”のようなもの。初回は10代、20代を中心とする38人の市民が受講し、好評をいただいています。平成28年8月開講分の募集説明会や模擬授業体験などを2・3月に予定していますので、横須賀市ホームページでご確認ください」(横須賀市政策推進部国際交流課 安田嘉一さん)

※小学生が英語だけの世界を体験する海外旅行のようなイベント「横須賀イングリッシュワールド」、横須賀市内在住の中高生を対象に開催する3泊4日の英語キャンプ「横須賀イングリッシュキャンプ」など

ブリッジ・プログラム
米海軍横須賀基地内で行う英語学習プログラム「ブリッジ・プログラム」の様子(写真提供:横須賀市)

このほかにも、どぶ板通りや基地内のお店で働きながら英語を身につけるという方法もあります。最近はSkypeを利用したインターネット英会話も流行していますが、商店街やカフェやバーなど、街なかで生きた英語が飛び交う環境で暮らせば、インターナショナルな感覚も必然的に身に付きます。これは、ほかにはない横須賀ならではのメリットですね。

個性的で少し尖ったイメージのあった横須賀ですが、自然、食、子育て、教育と、ファミリーに優しい条件がそろっていたのは意外な一面でした。

神奈川県立横須賀高校出身、現役女子大生が語る横須賀の魅力

このように、知るほどに発見のある横須賀ですが、この街で育った人からリアルな横須賀の魅力を聞いてみたい。そう思った取材班は、市内の高校生・大学生がまちづくり提言を行う「横須賀学生政策コンペ」で優勝した「y.s.plus」のメンバーにお話を伺うことにしました。彼女たちは、今年3月に神奈川県立横須賀高校を卒業し、春から大学に入学したばかりのフレッシュな大学1年生。卒業前に取り組んだコンペで、地域ブランドファッション「ヨコスカネイビーパーカー」を制作、最優秀賞を受賞し、注目を集めました。

「y.s.plus」のみなさん
「y.s.plus」のみなさん。左から村地奈緒さん、平賀桃子さん、下井田春佳さん、八村美璃さん

「ネイビーパーカーをつくったのは、観光のお土産にしようと思ったわけではなく、地元の人に横須賀の良さに気づいてほしかったからです。というのも、大多数の横須賀市民は地元が大好きなんですが、イマイチ自分の街に自信をもてていないと思うんです。大都会の横浜、オシャレな湘南という地域に挟まれて萎縮してしまっている部分もあるし、観光に力を入れている人たちが打ち出した外向けのイメージに対しても”自分たちの知っている横須賀と違う”と、温度差があったりする。私は生まれは横須賀ですが、中1までほかの街に住んでから転校してきたので、素直に横須賀をすてきだな、と思えたんです。じゃあ、どうしたら地元の人に自信をもってもらえるだろうと考えたとき、アメリカのカレッジパーカーみたいな、市のかっこいいパーカーがあったら自然に横須賀を好きって言ってもらえるんじゃないかと思って。パーカーにした理由は、横須賀の名物にネイビーバーガーってあるじゃないですか。バーガー、バーガー……そうだ、パーカーだ!とひらめいたんです。きっかけは、単なるオヤジギャグなんですけど(笑)」

そう元気よく語ってくれたのは、代表の八村美璃さん。ネイビー(Navy)とは一般的に「濃紺」のことを言いますが、本来は海軍という意味。横須賀でネイビーといえばアメリカ海軍なのです。米軍基地は非常に複雑な問題をはらんでいるため、軽々しく扱うのをタブー視する傾向があります。しかし、彼女たちのように、「ネイビー」という言葉を柔軟なセンスでポップに取り込めるのも、ペリー来航以来、新しく異質な文化を受け入れて来た横須賀っ子ならではという気がします。
「私たちは、米軍基地があるのが当たり前の環境で育ってきたので、例えば、電車の中で寝ている外国人を日本語で起こしてあげたりというのが日常の光景です。そういうことは、ほかの地域の人にとっては普通ではないかもしれませんね」(村地奈緒さん)

では、そんな彼女たちが感じる横須賀の魅力とはなんでしょう。
「私は葉山に住んでいて、高校に通い始める前までは横須賀にいいイメージをもっていませんでしたが、通い始めてみて大好きな街になりました。街と軍港と自然が織りなす雰囲気がほかにはない味を出していて、写真に撮るとどこでもサマになる。独特のセンスがある店もたくさんあります。この前、行きつけのお店を写真に撮って友達に送ったら、『超オシャレ!どこ?』って聞かれて、『横須賀〜』と言えて誇らしかった。ドヤ!とばかりに(笑)。今は、この魅力を分かってくれそうな大学の友達を連れて来たいです」(平賀桃子さん)

「人が温かいこと。といっても、よくテレビで見る田舎のおばあちゃんみたいな素朴なイメージとはちょっと違って、どちらかというと下町っ子のような感じ。少年っぽい熱さを失っていないし、独自のスタイルをもっていて、流行に流されない人が横須賀っぽい!」(八村さん)

「都会っていう意味では横浜には負けるけど、横須賀には横須賀の良さがあるから、そこで競おうとは思わない。というかそもそも競ってないです(笑)」(下井田春佳さん)

地元っ子が誇りをもてる街だからこそ、住んでみたくなる

今回、横須賀の街を歩き、地元のみなさんのお話を聞いてみて感じたのは、

  • ◎横須賀の街にも人にも、異文化を柔軟に取り込んできた強さ、しなやかさがある
  • ◎かといって、新しいものが入って来ては古いものが消えて行く都市部特有のせわしなさがないため、独自のカルチャーとスタイルを大切にできている
  • ◎それらが地元愛を育み、人にも影響を与えているということ。

カルチャー、自然、子育て環境、教育と、住みたくなる魅力がたくさんある横須賀ですが、記者がいちばん「住んでみたい!」と思えた要素は、なんといっても、のびのびキラキラした地元っ子がたくさんいて、彼らが街に誇りをもっているという点でした。
ちなみに、横須賀出身・ゆかりの深い有名人には、俳優の窪塚洋介さん、漫画『カイジ』の作者・福本伸行さん、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」の創業者・重松理さん、X JAPANの故・hideさん、小泉純一郎元首相をはじめ、俳優の孝太郎さん、政治家の進次郎さんら小泉ファミリーといった、個性的な面々がそろい踏み。なお、今年5月に、千葉県船橋市の非公認ご当地キャラ「ふなっしー」が、あるご当地クイズ番組で異常に横須賀に詳しい発言をしていたことから、「ふなっしーの中の人は横須賀出身では?」という疑惑が浮上しましたが、真相は闇の中……。ともあれ、自慢したくなる街に住むって、いいですね。

取材・文:鈴木さや香 撮影:中村宏覚
2015年12月22日
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