次にくる住みたい街はここだっ! ~本八幡編~

次にくる住みたい街はここだっ! ~巣鴨編~

突然ですが、みなさんは「ジャガーさん」をご存じでしょうか。知らない人のために説明すると、ジャガーさんは、千葉県民の間で有名なロックスター。逆立てたロングヘアーに白塗りに隈(くま)取りのような化粧、鋲(びょう)だらけのド派手な服装で、断続的に30年にわたって千葉テレビで「ハロージャガー」という冠番組を担当。その反社会的(?)な外見とは裏腹に、地元・千葉への郷土愛にあふれ、千葉の応援ソングを作曲するなど千葉のPRに熱心な方なのです。今回紹介するのは、そんなジャガーさんの地元・市川市の本八幡! と、導入してはみたものの……
「本八幡ってどこ? 何があるの?」(都民)
「地味な街。浦安と船橋というキャラの強い街の間に挟まれて存在感が薄い」(千葉県民)
という具合に、これまで本八幡と言うと、たいてい、都民からも千葉県民からも微妙な反応が返ってくるのでした。しかし! 今、じわじわと本八幡の逆襲が始まっているらしいのです。2016年の「これから人気が出そうな郊外の街ランキング」(リクルート住まいカンパニー調べ)では9位にランクイン。そして昨年、本八幡を擁する市川市の人口はピークを記録しました。今、いったい本八幡で何が起こっているのか!? この目で確かめに行ってきました。

いつの間にか次世代タウンに進化していた北口

JRから都営新宿線への連絡通路
JRから都営新宿線への連絡通路
路線図

新宿駅からJR総武線で40分。小岩を過ぎ、江戸川を渡り、市川駅のひとつ隣にJR本八幡駅はあります。同名の都営新宿線本八幡駅は始発駅でもあり、JRと都営新宿線の駅は地下通路で結ばれています。新宿までの所要時間は都営地下鉄も同じくらい。多少時間はかかれども、いずれも乗り換えなしで新宿に出られるのは魅力的です。
また、JR本八幡駅から徒歩5分程度の場所には京成八幡駅があり、こちらもJR・都営新宿線の駅から地下通路で連結しています。京成線を利用すれば上野へも一本。3路線を利用できるのは、都内へ通勤する人にとって心強い環境ですね。

北口の「パティオ本八幡」
北口の「パティオ本八幡」

3路線が通う街だけあって、駅前はなかなか栄えています。北口駅前周辺は、カフェやミセス向けのラインナップが充実したファッションビル「パティオ本八幡」や、TSUTAYAや居酒屋が入った「八幡ハタビル」という商業施設や銀行、活気のある飲食店が多い八幡一番街商店会があります。こちらの飲食店はチェーン店よりも個人店が多く、落ち着いた大人の街といった印象です。

JR本八幡駅北口から京成八幡駅のほうへ歩いて行くと、ほどなく新築のタワーマンションがにょきにょきとそびえているのが目に入ります。ひとむかし前の本八幡のイメージがある人は、「こんな街だったっけ!?」と、その変貌ぶりに驚くかもしれません。

「もともと本八幡駅北口から京成八幡駅にかけてのエリアは、路地に多くの店舗が集まる賑やかな雰囲気の街でした。しかし、防災面の問題や、店主の高齢化といった課題を乗り越えるべく、段階的に再開発が進められてきました。そして昨夏、地区内最大規模の『ターミナルシティー本八幡』の商業棟が完成し、本八幡駅北口もさらによい街になりました。歩道が広くなり、店舗が整備されて賑わいが生まれ、憩いのスペースもでき、小さなお子さん連れでも安心して歩ける空間に生まれ変わりました」(市川市街づくり推進課)

本八幡北口駅前の再開発の図。C-1・D-1・D-2地区は平成9〜15年に完成、C-2地区は未定。赤で示したA地区が、事業が完了したばかりの「ターミナルシティー本八幡」のエリア
本八幡北口駅前の再開発の図。C-1・D-1・D-2地区は平成9〜15年に完成、C-2地区は未定。赤で示したA地区が、事業が完了したばかりの「ターミナルシティー本八幡」のエリア
「ターミナルシティー本八幡」の住居棟
「ターミナルシティー本八幡」の住居棟
「ターミナルシティー本八幡」の商業棟に入るヤマダ電機。右が京成電鉄本社
「ターミナルシティー本八幡」の商業棟に入るヤマダ電機。右が京成電鉄本社

ターミナルシティー本八幡は、JR本八幡駅と京成八幡駅の間のおよそ1.4haの敷地に、商業棟・業務棟・住宅棟を備えた巨大複合施設。商業棟の1階にはスーパーマーケットのフードスクエアカスミが、2・3階にはヤマダ電機が、地下1階には最先端の設備とシステムを備えたメディカルセンターが入居。業務棟には、2013年に京成電鉄の本社が押上から移転してきました。
地上40階、465戸の住宅棟「グランドターミナルタワー本八幡」は、なんと発売後、すぐに完売したとのこと(2013年に入居開始)。

再開発が完了した北口は、スタイリッシュで機能的な次世代型タウンそのもの。かつてあったという昭和な街並みの面影はほとんどありませんでした。

マツキヨラボのオープン、シャポー本八幡の改装……駅前にも変化が!

再開発地区以外の商業施設にも変化が起こりつつあります。
JR本八幡駅直結のショッピングセンター「シャポー本八幡」は、現在大改装中。2016年7月12日(火)にはレストランモール部分の改修が完了し、第1期リニューアルオープンとなりました。新しくなったレストランモールには、ベビールームや多目的ルームを新設。飲食店への離乳食の持ち込み・温めサービスの実施が開始され、小さなお子さんのいるご家族にとって使い勝手よく生まれ変わりました。
お隣の江戸川区にはないタリーズコーヒーもお目見え。こちらのタリーズでは、店内で地元に密着したイベントなども行う予定で、地域のコミュニティの拠点として期待されます。
第2期オープン部分にはアパレルショップが入居する予定。完成時期は未公開ですが、どんなショップが入るのか、今から楽しみですね。

通勤の人々でにぎわう「シャポー本八幡」
通勤の人々でにぎわう「シャポー本八幡」

JR「西友」「MEGAドン・キホーテ」「ABS卸売センター」といった、激安系スーパーがそろう南口側にも、注目の物件が誕生しました。本社のある松戸に続き、全国2店舗目となる「matsukiyo LAB(マツキヨラボ)」です。マツキヨラボとは、ドラッグストアマツモトキヨシの新しい営業形態。薬剤師・管理栄養士・ビューティスペシャリストといった各分野のエキスパートが、利用者のニーズに応じてアドバイスをしてくれ、自分に合ったサプリやスムージーを手に入れることができます。
全国的な企業が白羽の矢を立てたことからも、本八幡の将来性が期待されますね。

matsukiyo LAB(マツキヨラボ)」と南口のロータリー
matsukiyo LAB(マツキヨラボ)」と南口のロータリー

「駅前の再開発は一段落したとはいえ、まだまだ本八幡のポテンシャルは高いと思います。この秋(平成28年)には、本八幡の中心部に、浦安市と鎌ヶ谷市を結ぶ都市計画道路3・4・18号(浦安鎌ケ谷線)が開通しますし、平成29年度には市川市の中心部に、埼玉県の三郷から湾岸道路を通じて東京都までを結ぶ東京外郭環状道路の開通が控えています。南北の移動にも強くなり、交通ネットワークはさらに強化されます」(市川市街づくり推進課)

本八幡が、たった数年でこれほど目覚ましい発展を遂げ、そのうえまだ発展の余地を残しているとは。今後も本八幡周辺から目が離せません。

実は歴史と文化の街という一面も

一方、京成本八幡駅の北側にある真間(まま)・菅野(すがの)・八幡(やわた)は、マンションが立ち並ぶにぎやかな本八幡駅北口エリアとは打って変わって、閑静な住宅街です。ある江戸川区在住の方は「市川のほうはお屋敷街だから、私たちなんか住めないですよ〜(笑)」と冗談交じりに言っていましたが、歩いてみると、確かに立派な一軒家が建ち並び、上品な雰囲気。

庭掃除をしていた地元の方に声をかけてみると、
「このあたりは歴史と文学の薫りが色濃い、文化人に愛された街なんですよ。文化勲章を受章した昭和の大作家・永井荷風も、ここ、菅野で暮らしました。先生は、しょっちゅうこのへんの道を通って白幡(しらはた)天神社まで散歩して、駅前の大黒屋でカツ丼を食べられていたみたいですね」
と教えてくれました。

この一帯は、環境が良く東京からの交通の便も良いことから、明治時代になると財政界の要人たちが別荘を構えるようになり、お屋敷街としての基礎が築かれました。太平洋戦争が終わると、市川市には被災した都内の人たちが多く移り住んできますが、永井荷風もその一人だったようです。同時代には同じく文化勲章の作家・幸田露伴が、少し後の世代では井上ひさしがこの地に居を構え、執筆に励みました。地元の方が教えてくれた荷風の散歩道には、市川市の木であるクロマツがそびえ、白幡天神社や葛飾八幡宮などの古社もあり、街の風格を感じさせてくれます。

永井荷風の散歩道であったという白幡天神社
永井荷風の散歩道であったという白幡天神社

知る人ぞ知る上質なお店が点在

本八幡には、カフェやお菓子屋さん、食材店など、個人が営む上質なお店もぽつぽつとあります。例えば、夜だけ開店するというちょっと変わった文房具屋さん 「ぷんぷく堂」もその一つ。じつはここ、海外からもお客さんが来るという、有名店。

こぢんまりした店内にはオリジナル文房具や懐かしい昭和の文房具などがズラリ。店長の櫻井有紀さんが選び抜いた質のいい文具たちに囲まれていると、ワクワクしながら文房具店に通った子どものころに戻ったような気持ちになります。最近はそんな街の文房具店と子どもたちの触れ合いもなくなってしまったかと思っていましたが、ぷんぷく堂には大人だけでなく、子ども連れの家族も買い物に来るのだとか。

「人気商品の昭和のころの鉛筆は、6年前からコレクションしていたものでしたが、一人では使い切れないのでお店で販売することにしたんです。大人の方が懐かしい!と喜んでくださる一方、最近の子どものたちにとっては昭和な色や柄が新鮮にうつるようで、『かわいい』と買っていってくれます」
と、櫻井さん。

17時から22時まで開いている文房具店「ぷんぷく堂」。ご主人の櫻井有紀さんは生まれは東京で、結婚を機に本八幡に引越してきたそう。本八幡の落ち着いた住みごごちを気に入っているとのこと
17時から22時まで開いている文房具店「ぷんぷく堂」。ご主人の櫻井有紀さんは生まれは東京で、結婚を機に本八幡に引越してきたそう。本八幡の落ち着いた住みごごちを気に入っているとのこと

地元にこんな温かいお店があると、和みますよね。大資本のチェーン店に駆逐されずに個人店がしっかり息づいているのは、いい街のひとつの基準と言っていいでしょう。

本八幡の魅力まとめ。そして家賃相場は?

最後に、今回取材した本八幡の魅力をまとめてみましょう。

  • 総武線・都営新宿線・京成線の3路線が通り、新宿まで一本
  • 北口の再開発が完了し、防災に強くなり、利便性とにぎわいも増した
  • 2016年秋に浦安鎌ヶ谷線が開通。さらに外環道の開通によって、車利用の交通の便がもっとよくなる
  • マツモトキヨシなど、企業も本八幡の将来性に注目
  • 京成線の北側には閑静な住宅街が広がる
  • 新しいものだけでなく、歴史や文化が息づいている
  • チェーン店だけでなくレベルの高い個人商店もあり、多様性がある

気になる家賃相場は、ワンルームの賃貸で5.8万円。同じ総武線沿線の小岩6.4万円、秋葉原9.2万円と比べると、やはりかなりリーズナブル。家族向けの2LDK/3K/3DKの賃貸物件の相場も、10.4万円とかなりお得です。
再開発地区については、マンションの分譲は一段落してしまったので、新築での購入はほぼ不可能ですが、中古ならまれに売りに出されていることがあるので、マメにチェックしてみてください。むしろ中古マンションはとてもお買い得で、3LDK・駅徒歩20分以内・築十数年の物件が3000万円前後というのが標準的な価格です。
また、お屋敷街である菅野あたりは、意外と古くて小さい中古マンションがちらほらあり、環境と価格を重視したい人は探してみてもいいかもしれません。一例を挙げると、2K・駅徒歩17分・築37年で700万円以下という格安物件もあり!
新築の建売住宅は、3LDK・駅徒歩20分以内で3000万円台〜と、検討しやすい価格帯になっています。(SUUMO家賃相場/2016年6月30日現在)

以上のように、家賃もリーズナブル!「住みたい街ランキング」の上位に食い込んで来る日も近いかもしれません!?

取材・文:鈴木さや香 撮影:中村宏覚
2016年8月31日
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