3年連続1位の座を、今年は惜しくも明け渡した世田谷区。しかし、世代を問わない圧倒的な好感度は健在だ。その人気をけん引する二子玉川をはじめ、三軒茶屋、成城学園といったイメージの良い街が点在していて、ファミリーを中心に幅広い層から支持を得ている。
東京23区で最も多くの人が住んでいる点も、良好な住環境や暮らしの快適さを物語っている。まずは交通事情。都心へのメイン路線となる東急田園都市線に加え、区内各所への生活の足として充実のバスルートが整備されている。区が運営に関わる9路線のコミュニティバスをはじめ、交通弱者をつくらないための施策に行政が積極的に取り組んでいる点も心強い。
自然環境も抜群だ。区域全体に豊富な公園や緑地が整備され、「緑被率(区域に対する緑の多さの割合)」は22.89%。東京23区の平均値を大きく上回る。古くから国分寺崖線の豊かな緑を活かした宅地開発が行われてきたため、現在では約400カ所の公園が整備されているのだ。23区唯一の自然渓谷「等々力渓谷」を中心に整備された「等々力渓谷公園」、スポーツ施設が豊富な「駒沢オリンピック公園」、子どもが自由に創意工夫して遊ぶプレーパークが話題の「羽根木公園」といった広大なものから、小さな広場、緑道まで、身近な場所で自然を感じることができる。
また、再開発による新しいエリアにも注目が集まっている。その筆頭は二子玉川。2015年、長く続いた再開発が完了し、「二子玉川ライズ」がグランドオープン。駅直結の大型ショッピングゾーンに加え、シネマコンプレックス、フィットネスクラブ、スタジオホール、さらには隣接する二子玉川公園も拡張され、まさに自然と都市が調和した新しい街が誕生した。家電やインテリア、本、雑貨と幅広いアイテムを取り扱い、「ライフスタイルを買う家電店」として注目を集める「蔦屋家電」など、話題のショップも数多い。
一方で、1000人以上の待機児童がいる保育園問題など、育児面については大きな課題を抱えている。区は解決をはかるべく取り組みを進めていて、2015年は4月時点で1200人以上の定員増を達成。0歳から2歳児を対象とした「小規模認可保育所」を含め、引き続き施設の調整を進めている。また、民間レベルでも若いママの育児をサポートするネットワークが充実してきているため、今後は官民一体となった育児環境の改善に期待がかかる。
なお、前述のとおり世田谷区の人口は23区最多だが、人口密度は13番目。人の多さに対し、ゆったりした住環境が整備されていることが分かる。まさに、ゆとりある暮らしがかなうエリアといえそうだ。