都心のなかでも、より洗練された都会的なイメージで、根強い人気を誇る港区。東京23区のほぼ中央に位置し、麻布、白金台、高輪、芝、三田といったブランド力のある街が数多く点在している。区民の平均年収は全国1位を誇り、名実ともに「日本一リッチなエリア」といえるだろう。
区全体を見渡すと、虎ノ門や新橋は都内屈指のビジネスタウン、お台場はウォーターフロントの観光・レジャーエリア、さらには国際情緒漂う歓楽街の六本木まで、じつに多様だ。「六本木ヒルズ」、「東京ミッドタウン」、「汐留シオサイト」、「赤坂サカス」、「虎ノ門ヒルズ」といった商業施設も多く、一方で歴史や自然を感じられるスポットも点在している。
例えば、麻布。江戸時代には大名家の武家屋敷が立ち並んでいたエリアだ。そのうち、盛岡南部藩の下屋敷だった場所は現在、「有栖川宮記念公園」として整備されている。都心では希少な約6万7000m2もの緑地、美しい庭園は住民たちの憩いの空間だ。また、高輪地区には「国立科学博物館附属自然教育園」、「東京都庭園美術館」などの自然スポットがあり、開発が進むお台場でも海辺の自然を活かしたまちづくりが行われている。港区では今後も、こうした都市部の利便性と自然が調和した整備を行っていく予定だ。区が取り組む「緑と水の総合計画」では、平成32年度までに公園緑地の総合面積を106haにするとの目標を掲げている。
夫婦や子育て世帯にとっては気になる出産・育児環境については、区のバックアップが心強い。まず、出産に際しては分娩費や入院費用を最大60万円支給。実質、無料での出産が可能となる。また、東京都心の人口密集地帯はどこも慢性的に待機児童の問題を抱えているが、港区は数年前から保育園の定員拡大を進めており、その数は年々減少。今後もさらなる施設の充実をはかっていく予定だ。
再開発に目を向けると、2017年には赤坂に、2019年には虎ノ門に、それぞれ大型複合施設の計画が進められている。特に、国家戦略特別区特定事業として計画が進む「虎ノ門トラストシティ ワールドゲート」は、神谷町駅に近接するエリアに高さ180mものタワーが建つ大規模なもので、上層部にはサービスアパートメントも誕生する予定だ。また、湾岸エリアにおける大規模マンションの建設も続いており、港区への人気を背景にさらなる人口流入が加速しそう。
さらに、2020年には山手線品川駅 ― 田町駅間に新駅を開設する計画もあり、芝浦エリアに新たな玄関口の誕生と、それに伴う発展も期待されている。歴史や自然を守りつつも、今後、その魅力にさらなる磨きがかかりそうだ。