今回の「住みたい街(駅)ランキング」において、上位15位以内に2つの駅が(自由が丘、中目黒)ランクインした目黒区。これは全ての行政市区のなかで最多。人気の街を多く抱えるだけあって、区全体としてもハイセンスでオシャレなイメージが強い。
前述の3つの街以外にも、柿の木坂、碑文谷、八雲といった住宅街はかねてより好感度が高い、名の知れた住宅街。洗練された落ち着いた街並みに加え、犯罪認知件数の少なさ(※平成26年「刑法犯発生件数(警視庁調べ)」は2751件。東京23区で4番目に少ない)が示す治安の良さもあって、とりわけ女性の支持を集めている。男女別のランキングでは女性のほうが上位で、実際の人口割合も30代・40代の女性比率が高いようだ。
そうした目黒区の治安の良さは、行政が取り組んできた施策も大きく影響している。目黒区のまちづくりは独特で、区域を22の「住区」に分類し、各エリアの特色に合わせた行政サービスを行ってきた。それぞれの住区に行政窓口を設けることで、地域密着型のきめの細かいまちづくり・サービスを行う狙いだ。これが地域の連帯感を生むことにもつながっている。実際、各住区には住民会議も組織され、地域活動に住民が積極的に参加。住民同士が固く結ばれるコミュニティは、地域における防犯・防災の基盤となっている。
さらに、教育面では、各住区に小学校の数を上回る数の、区立の学童保育クラブが設けられている。月額8000円で利用でき、共働きの両親にとっては心強い存在だ。また、放課後に家に帰宅せず、ランドセル姿のまま児童館を利用できる「ランドセル来館」制度もあり、育児世帯のサポートを行っている。このほか、区では待機児童解消に向け、保育園定員を5年間で860人増やす対策を進めている。子育て支援にまつわる予算の増額も行っていて、今後はさらなる施策強化に期待がかかる。
区が毎年実施している世論調査によれば、目黒区への定住意向についての質問に対し「定住したい」と答えた住民は95.2%(平成26年度実施「第44回 目黒区世論調査」より)。平成元年以降は、連続して90%を超えているという。それだけ住み心地がよく、行政の取り組みにも満足度が高いのだろう。今後も住民の立場に立ったまちづくりが行われる限り、その人気は長く続いていきそうだ。