時代とともに居心地が変化する住まいのLDK

公開日 2016年03月31日
~会話が弾む、リラックスできる~ 時代とともに居心地が変化する住まいのLDK

時代が変われば住まいも変わる。最近の日本のLDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、くつろいだり、食事や料理をしたりするだけでなく、家族のさまざまな暮らし方を叶える場所に進化してきている。そこで、住まい選びのカギとなる「LDK」の利用の現状と理想の在り方について考えるとともに、現在の家づくりの現場ではどのような提案がされているのかを住宅設計・販売の最前線にいる住宅メーカーの担当者に聞いた。

住まいの居心地を左右するLDK

家族が集まるLDKは住まいの中心

家族の食事や団らんのほか、子どもを遊ばせたり、友人を招いたりするLDKは住まいの中心。長時間過ごす場所だから、その空間は住まい全体の居心地を左右する。モデルルームやモデルハウスや販売中の建売物件を見学するとき、まずはリビングの広さやキッチン、ダイニングとのつながりを確認する人が多いのも、LDKの重要性を無意識に感じているからだろう。

ライフスタイルを考えて居心地のよいLDKを探ろう

広々としたLDKは開放的で気持ちがいいもの。国土交通省が行ったアンケート(※)でも、リビング15畳、ダイニン6畳、キッチン6畳が理想の広さとして最も多くの支持を得ている。家族が集まって快適に過ごすなら、広いLDKはぜひ欲しいところだ。とはいえ、ライフスタイルやLDKの使い方は家族構成や年代、好みによって違ってくる。自分たちにとって居心地がよいLDKは、広さ以外に何が必要かを見極めることが大切だ。

※出典:『住生活に関する国民アンケート~未来の「住まい」を考える』(2010年、国土交通省調べ)

家族の居心地の良さと団らんを実現するLDKの要件

一人でも皆でもそれぞれが心地よい場所を目指して

最近のリビングは、家族の団らんだけでなく、一人ひとりが自由に好きなことができる場所としてのニーズが高まっている。子どもは個室にこもって宿題をするより、また、親も書斎や寝室で仕事や読書をするより、家族の気配を感じられる場所のほうが、安心でき、集中力が生まれるからだ。また、コミュニケーションの機会が増えることで、家族の一体感も育まれる。
家族が集まり、思い思いの過ごし方をする。理想のリビングともいえる空間を実現するには、家族が自然に集まる演出や、適度な距離感を保てる空間の広さが必要だ。

一人でも皆でもそれぞれが心地よい場所を目指して

料理をする、食べる。同じ時間を過ごす家族団らんの場所

今のキッチンは対面式やオープンタイプが主流。キッチンとダイニングがつながっていれば、料理や後片付けをしながらテーブルで過ごす家族とも会話ができる。「料理をつくる」「テーブルに並べる」「味わう」ことを、同じ空間、同じ時間に家族で共有できるから、ダイニングキッチンが家族団らんの場所になる。つまりコミュニケーションを重視すると、LDKの中心はダイニングキッチンといえるのだ。
キッチンとダイニングを一体化することで会話が弾む。仕切るものが何もない空間では、つくり手と食べる人が同じ時間を共有でき食事はより楽しくなる。

同じ時間を過ごす家族団らんの場所

役割の変化と過ごし方の提案が問われるLDK

「食べる」も「寝る」も一室。からダイニングが憧れの時代へ

日本の都市は空襲で多くの住宅を焼失し、戦後、政府により大量の住宅が供給された。しかし、これらの住宅はいわゆる”バラック住宅”で質が低く、「2室+台所+トイレ」という間取りが一般的。当時の人々は2室で寝食・接客のすべてをこなし、独立したリビングという概念は無かった。
大きな変化があらわれたのは1950年代。戦後に増えてきた核家族に対し、どのような住宅を供給するべきかという議論がなされ、食事の部屋と寝る部屋、夫婦と子どもの寝室は分けるべき、という考えからダイニングキッチンが生まれた。ダイニングキッチンを持つ間取りは公団住宅や民間のマンションにも採用され、専用の部屋にダイニングテーブルを置くライフスタイルは、モダンな生活として憧れの対象となった。

住まいの基本が3LDKに。LDKの役割は時代で変化

親と子どもで構成される核家族が急激に増えたのは1960年代から。集合住宅の間取りの基本として3LDKが一般化したのは、1960年代後半から。夫婦と子ども二人という核家族が多かった時代に、子どもに個室を与えられる部屋数だ。同時に、家族の団らんをするリビング、食事をするダイニング、料理をするキッチンという、目的によってスペースを分ける意識が定着した。
3LDKが間取りの主流なのは今も変わらないが、変化しているのはLDKの使い方と、各スペースのつながり方だ。

日本の景気が右肩上がりだった80年代は、ホームパーティーをしたり、すてきなインテリアを飾る「見せる」ためのリビングが登場。バブル崩壊後の1990年代には、安心ややすらぎが重視され、家族の場としてのLDKが求められた。キッチンも、リビングダイニングから隔てられた独立型よりも、会話ができる対面式が好まれるようになった。

2000年代からは、LDKは家族のコミュニケーションの場としての役割が重視されるように。子どものスタディーコーナーや、家族が顔を合わせやすいリビング階段も一般的になった。

今は「どう過ごすか」がLDKのプラン提案のカギに

「最近は、家を持つことだけが目的なのではなく、リビングで何ができるかを考える人が多くなっています」( 豊栄建設・折川さん)。
どんな暮らしをしたいのかは人それぞれ。そのため、分譲一戸建てのプランは多様化するニーズに応えられるように、さまざまな工夫がされている。

「自転車のメンテナンスができる土間や、趣味を楽しめる空間がリビングに欲しいという声も。これまでは一人の空間でしていたことを、家族とのつながりを感じながら楽しみたいという意識があるのかもしれません」(折川さん)。
家族の気配が感じられる場所で思い思いに過ごしたいといった暮らし方へのニーズには、リビングに趣味のスペースを設けたり、セミオープンな個室を設けたりといったプランが提案されている。

リビングとつながるミシンのある空間
写真右に見えるのは、リビングとつながるミシンのある空間。家族の気配を感じながら、趣味や仕事ができるプランだ(写真提供:豊栄建設)

料理も食事も勉強も一緒に。一体感のあるLDKプランが主流に

平日はダイニングキッチンが暮らしの中心という家族も増えている。
「共働きで忙しい世帯が多くなって、料理や洗濯などの家事、子どもの宿題を見たりなど、LDKでは一度に複数のことが同時進行します。そんななかで家族がコミュニケーションをとるには、キッチンとダイニングがつながったプランが適しています」( 北海道セキスイハイム・川西さん)。

対面式やオープンキッチンには、家事をしながら家族と会話ができること以外のメリットもある。
「子どもにとっても、ご飯のしたくを頑張っているママが見えると安心。手伝いたいという気持ちになるなど、お手伝いの習慣も育ちやすいですね」(ホーム企画センター・林さん)
子どもが家族の視線を適度に意識して勉強に集中できるよう、リビングやダイニングにスタディーコーナー、パソコンコーナーを設けるプランも多い。

キッチンに隣接したダイニング
キッチンに隣接したダイニング。窓際にはLAN配線を施したスタディーコーナーが設けられている(写真提供:北海道セキスイハイム)

「小学校中学年から高学年までは、自室よりも家族のいるリビングの一角で勉強するほうが毎日の習慣になりやすく、兄弟姉妹で教え合うことでコミュニケーション能力も育ちます」(川西さん)
ほかにも、大画面のテレビを置きやすいレイアウトや、絵や工作など子どもの作品を飾るコーナーなど、さまざまな工夫が、最近のLDKのプランには盛り込まれている。

キッチン横の家事コーナー
キッチン横の家事コーナー。料理の合間に家計簿つけや調べものなどができ家事の時短につながる。子どものスタディーコーナーにも(写真提供:ホーム企画センター)

実現したい過ごし方に合うLDKを選ぼう

LDKでどう過ごしたいのかを考えたうえで自分たちに合ったプランを探すのが、満足度の高い家選びにつながる。
「キッチンの家事コーナーを見て、その必要性に気がつく方も多い」(林さん)など、必要なのに気がついていないケースも多いという。
間取りは、さまざまなニーズを先まわりしてプランニングしている。プランの工夫や提案を見に行くことで、気づかなかった発見もありそうだ。

お話を伺った人

  • 豊栄建設
    営業企画推進部 課長
    折川典央さん

    宅地建物取引士。お客様との対話から潜在意識の中にある住まいへのニーズを引き出す

  • 北海道セキスイハイム
    ハーモネートタウンプロジェクト
    分譲住宅グループ グループ長 係長
    川西隆裕さん

    地建物取引士、二級建築士。時代で変わる住まいへのニーズに鋭くアンテナを張る

  • ホーム企画センター
    設計部設計課 係長
    林 瞳さん

    二級建築士。自身の母親としての視点を大切にしながら家づくりを提案している

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