買った家の広さや、毎月のローン返済額、出勤時間や帰宅時間、家事や育児の分担など、家を買った共働き世帯のリアルな実態を公開。マンションを選んだ共働き夫婦の暮らしはどんなものなのか、データから見ていこう。
時短勤務などで帰宅時間が早い妻のほうが、家事や育児を請け負う時間は多い。そんななかで夫が担っている家事の筆頭は、平日も休日も「ゴミ出し」。マンションはゴミ収集の時間や曜日を気にせずに出せるゴミステーションがある場合が多いため、忙しい夫でも引き受けやすいようだ。また、次いで夫の家事分担で多いのが、平日は「朝食・夕食の後片付け」。休日は「掃除」が48%もいることが分かった。最近のマンションは食器洗浄乾燥機装備が多く、食器をセットするだけという手軽さから、夫も比較的気軽に家事参加ができている様子だ。
20代~30代の人は住宅ローンの返済や、子どもの教育費、老後資金準備のために今後も働き続けたいという声が多い。また、就職氷河期に苦労して入った会社なので簡単に辞めたくないといった声も目立った。
共働きの夫婦はどんな家を買っているのだろうか?
広さや通勤の所要時間、重視したポイントなどをのぞいてみよう。
汎用性のある3LDK、70㎡以上を購入する人が多数。夫婦のみ世帯や子どもが就学前の世帯は、10年前後での住み替えも視野に入れており、逆に子どもが小学生以上の世帯では長く住み続けるつもりで購入した人が多い。年齢やライフステージで永住意識に差が出ている様子だ。
共働き世帯は各々が忙しく、話し合う時間をつくれないまま家選びを進めてしまっているケースも少なくない。互いの要望など、見学の前後にしっかり話し合う時間をとりたいものだ。
子どもの誕生や入園・入学などが購入のきっかけになっている人が多く、子ども部屋を確保しやすい3LDKを選ぶ人が多い。夫婦のみの世帯も、将来の変化を考えて3LDKを選ぶ傾向が見られる。
平均 72m²
平均 10分
通勤所要時間は夫婦とも平均で40分台という結果に。夫婦どちらの勤務地にもアクセスしやすい中間地点を選ぶ公平派もいれば、保育園の送迎を主に負担する妻の勤務地に近い場所を選ぶ妻優先派、勤務時間が長い夫の負担減を考えて夫の職場寄りを選ぶ夫優先派などいろいろだ。
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5年未満、10年未満を選んだ人の理由は「子どもが増えたら広いところに住み替えたい」というもの。20年以上を選んだ人の理由は「気に入った環境なので長く住み続けたい」「老後も住みやすい環境を選んだから」というものだった。
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夫婦といえども、育った環境が違えば、家に対する考え方は異なるもの。意見の食い違いはあって当然。むしろ、家の購入が互いの認識を新たにしたり、絆を深めるきっかけになるかも。
面と向かってはなかなか聞きにくいお金の話だ。支出の内訳や家計管理について聞いてみた。
家計管理は世帯年収1000万円未満までは夫婦の収入を全額家計口座に集めて管理する人が多かったが、世帯年収1000万円以上では財布はそれぞれが管理し、項目ごとに分担を決めて支出する人が多かった。
住宅ローンの借り方は、世帯年収1000万円以上の世帯では約5人に1人がペアローンを利用。そのうちボーナス時加算を利用しているのは夫が約24%、妻が約17%。金利が低いため、返済期間は夫婦ともに30年以上と長めに借りる人が多いようだ。
平均 4540万円
過去5年間の首都圏新築マンション購入者の平均価格。共働きで平均世帯年収が高い層だが、比較的堅実な買い物をしている。現在は価格上昇局面にあるため、この平均価格よりも若干高めになると考えておいたほうがよさそうだ。
40%の人が購入価格の2割以上を頭金として用意するなど、共働き世帯は堅実派が多い印象。年代別で見ると、20代の平均は価格の2割を切るが、30代は2割超、40代は3割超という結果に。
▶▶ 贈与を受けた人の贈与平均金額:714万円
一般的に年間住居費は税込み年収の25%以内に収めるのが安心といわれる。実際の購入者の平均もその範囲内に収まる22%という結果に。住宅ローンの早期完済、先々の老後資金の準備など貯蓄に15%充てるなど計画的だ。
ペアローンは夫婦それぞれが自分の名義でローンを組む形式。
収入合算は2人の収入を足してローンの審査をするもので、単独の収入で借りるよりも借入額を増やすことができる。
実家やご近所、外部の代行サービスなどをどの程度活用しているか聞いてみた。
実家とはつかず離れずの距離に住み、子どもの病気など緊急時や必要なときだけサポートをお願いするという人が中心。共働き世帯は実家よりも勤務先へのアクセスを優先させ、できるだけ自分たちの力で乗り切ろうとしている人が多いようだ。
贈与の有無と実家との距離には顕著な相関関係は見られず、むしろ贈与を受けなかった人のほうが、同居や親世帯の徒歩圏内に家を買い、夕食のおかずを届けてもらったり、車を実家と共有するなどの協力関係が見られた。
「徒歩圏」「車、電車で1時間以内」は妻の実家のほうが多く、それ以上の距離になると夫の実家と妻の実家が逆転。どちらかというと妻の実家に近いほうを選んでいる人が多いようだ。
<コメント>親世帯の協力を仰いでいるのは?
ここに紹介したのはあくまで共働き世帯の平均データ。どんな家を選ぶか、住宅ローンの組み方も家庭により最適な方法は異なる。夫婦でよく話し合って、納得のいく家選びをしよう。
構成・文/木村寿賀子
立体・イラスト/Ratako
デザイン/taraco design
調査協力/マクロミル
「SUUMO新築マンション 首都圏版」2016年4月12日号掲載