マンションの価格はどう決まるのか。今回は、価格を左右する基本ルールや、「階数」「方角」などの条件によって発生する、住戸のメリット・デメリットを紹介。
“価格の法則”をつかんで自分たちにとってお得で満足度の高い住まいを選ぼう。
法則1:階数
階数が高くなるほど、価格は上がり、階数が低くなるほど、価格は下がる傾向に
法則2:位置
建物の角に位置する角住戸は採光・通風に優れ、数が少ないので価格が高くなる
法則3:方角
一般に、住戸の方角が、南向き→東向き・西向き→北向きの順番に、価格は下がる
法則4:特殊事情
階段やゴミ置き場に近い住戸は価格が低く、専用庭付きなどの住戸の価格は高め
「マンションの各住戸の価格は、『階数』『位置』『方角』『特殊事情』という主に4つの総合点で変動します」(澤地塔一郎さん、以下同)。希望の広さや間取りを決めた上で、この4要素をチェックし、予算内に収まるように優先順位を決めよう。「広さが異なる住戸は、『m2単価』で比較を。単価に大きな差があれば、その理由をモデルルームの担当者に聞いてみましょう」
階数が上になるほど、眺望や採光に優れ、プライバシー度が高まるなどのメリットがあるため、価格も高くなる。また、周囲の建物で窓からの視界が遮られる階と、そうではない階では価格に大きな差が出ることが多い。「モデルルームで模型や配置図を確認しましょう。将来、周囲に高い建物が建つ予定がないか、担当者に聞いてみるのも◎。また、1階を検討する場合は、防犯面について確認を」
希望の階を譲って予算内で南向きを選択
窓から富士山を見たくて、5階以上の住戸を希望したが、予算の都合で断念し3階の住戸を購入。でも、以前の賃貸に比べて、前を遮る建物がないため、開放感があり、南向きで十分部屋は明るい。階段を使って出入りできる階層なので、何かと便利に。
建物の両端にある角住戸は数が少ないので価格は高めだが、窓を3方向にとれるので、採光や通風に優れる。一方、中住戸は窓の数が少なくなるが、「床から天井までの高さのハイサッシや、バルコニー側の開口部の幅が広いワイドスパンの間取りで、窓の面積を大きく取れれば、採光は十分確保できます。また、玄関側の窓も開けて換気するなど、ちょっとした工夫で通風も確保できます」
角住戸よりも眺望や収納を重視
希望の角住戸はすでに売り切れ、仕方なく中側の住戸を購入。住んでみると、思ったより風通しもよくて快適。しかもバルコニーから花火が見えてラッキーでした。一方、角住戸は近隣の建物に遮られて、花火は見えず…。角住戸にこだわらなくて正解。
基本的に、リビングの開口部の方角が、南→東・西→北の順に価格は低くなる。ただし、日当たりが良くない北向きでも、眺望が良ければ価格は下がらない場合も。また、タワーマンションの高層階なら、北向きでも明るい部屋になる。「南向き物件は、リビングと反対側の居室が北向きになるが、東向き物件なら居室は西向きになりバランスよく採光を確保できる。部屋の用途を考えて方位を検討しましょう」
方角・日当たりを譲って駅近という立地を選択
都心で駅から徒歩5分という好立地で選んだ物件は、南向きの住戸が残っておらず、北西向きの住戸を選択。だが、住んでみると、昼間は外で働いているので、日当たりは気にならず。予算内で希望の物件を購入でき、通勤もラクになって、疲労が軽減!
ゴミ置き場やエレベーター、階段、駐車場、集会場といった共用施設、エントランスから近い住戸は、人の気配や音、臭いなどのマイナスイメージをもたれやすく、実害がなくても割安な価格が付けられているケースが多い。気にならない人にとっては、”お得住戸”だ。「一方で、ルーフバルコニーや専用庭付き、メゾネットタイプなど、魅力的で希少価値がある住戸の価格は、高めに設定されます」
マンションの価格は、階数・位置・方角・特殊事情の4つで決まる
物件によってはその条件にこだわらなくても希望が実現する場合もあるため、実際の物件を確認することが重要
模型や配置図を確認し、将来周囲に高い建物が建つ予定がないかなども聞いてみよう
SUUMO新築マンション首都圏版 11/22号から転載