品質×納得価格で選ぶ新築一戸建て

公開日 2010年04月28日
品質×納得価格で選ぶ新築一戸建て

新築一戸建ては”品質”と”価格”の両方で検討すべじ

新築一戸建てを選ぶ際に、購入者はその家が納得のいく物件かどうか、どのように見極めているのだろうか。品質が高いレベルだというだけで購入を決断しているのか、価格が安いというだけで判断しているのか、そのどちらかだけではおそらく十分ではないだろう。予算との兼ね合いに目配りしながら、品質も価格もともに納得できなければ、購入に踏み切れないケースも少なくないはずだ。

とはいえ、どちらも納得できる家を選ぶには、建てられた物件を”見る”だけではやはり不十分だ。購入後も安心・満足できる家選びは、その家がどんな過程を経てつくられ、どのように価格が決められているのかを知ることから始まる。まずは、品質と価格の基本を学ぼう。

一定レベルを保つように基準が定められている
建築確認+完了検査+瑕疵担保保証
イラスト

万が一、住んでから欠陥が見つかっても10年間保証を義務化
新築一戸建ての売主には、住宅の基本構造部分について10年間の瑕疵担保責任が義務づけられている。引き渡し後に構造上の欠陥や雨漏りが発覚した場合、無償で補修したり損害賠償に応じなければならないという責任だ。さらに2009年の新法により、たとえ10年以内に会社が倒産しても保証が受けられるよう、売主に保険加入か保証金の供託が義務づけられた。これにより、住まいの品質に対する安心感が高まったといえる。

新築一戸建ての価格を構成する要素とは?

会社による「どこにどれだけのおカネをかけるか」のスタンスや考え方の違いが、「販売価格」の差異につながる。

人にかかるお金 建物にかかるお金 土地にかかるお金

“品質×納得価格”の新築一戸建て そのからくりとは?

高い品質でありながらも納得価格が設定された物件も少なくないが、それを実現するためには、たくさんの企業努力が隠れていた。

からくりを教えてくれた人
土地の仕入れ編

土地の仕入れ編

決断スピードとタイミングが土地の仕入れのキモ
新築一戸建ての価格決定の大きな部分を占める「土地価格」。いい土地を仕入れる方法にも、からくりがありそうだ。だが、各社とも「安心な住まいを提供するのに、単に土地が”安い”というだけで、質を吟味せずに仕入れることはできない」と口をそろえる。また、「いい土地をスピードとタイミングで、いかに納得のいく(手ごろな)価格で仕入れられるかが重要」とも。そのために日ごろからいい土地情報が入ってくるように工夫し、決断のスピードやタイミングを極めるための努力も、さまざまな形で行われている。

1 一定量を常に買い続ける信用があるから情報が早い

年間一定量の一戸建てを供給し続ける会社は、土地も数多く仕入れる。「買い続けている事実は会社への信用につながります。そのため土地情報もすぐに入ってくるので、いい土地を買い逃すことはありません」(松沢さん)

2 決定権を現場の担当に持たせ「 買い」の決断にスピードを

各社が競う土地の仕入れには、スピードとタイミングが重要となる。「自社で値付けの指標を作成し、現場に判断を任せています。商圏を絞っているので、情報もすぐに入ってくる。担当者はエリアに詳しく、価格交渉も即時に可能なので、条件のいい土地が指標にかなった価格で手に入りやすいのです」(松沢さん)。また、「社内で研修を行い、土地の仕入れのプロを育てる努力をしています。土地を見ただけで区割りまでイメージできる担当者が、各店舗に1人~2人はいる体制です。さらに仕入れのマニュアルをつくっていることで、買い付けにスピード感が生まれます」(三嶌さん)

3 他社が目を向けない土地を安価で仕入れる

土地の区割りにもからくりが隠れているようだ。「複数の住宅が建てられる土地の場合は道路の配置を考え、その土地に何棟建てられるかを計算して購入します。他社から敬遠されるような住棟の配置が難しい土地を、あえて安価で買うのです。配置の難しさは建物の企画力でカバー。全体を見て一戸一戸のプランを考えるので手間がかかりますが、土地の価格を抑えられるので、結果的に低価格で提供できるのです」(長島さん)

設計編

基礎・構造をしっかり設計。採光・通風確保にも注力
各社とも基礎や構造といった家の骨組みとなる部分をしっかりつくるため、独自の工法を採用したり、設計のマニュアル化を進めるといった工夫に取り組んでいる。「構造部分については特に研究に力を入れ、汎用性のある設計仕様にしています。建物の部位ごとに基準を定め、それらを組み合わせることで自由な設計が可能になるのです」(三嶌さん)

さらに入居後の生活に配慮し、各社とも採光と通風の確保に力を注ぐ。「1戸単位で間取りを設計するだけでなく、隣り合う家同士の採光や通風も総合的に考えてプランを作成します」(長島さん)。

1 自社で設計することで人件費やマージンをカット

「全棟がオリジナルの企画ですが、社内に設計士が465名おり、効率よく設計しているのでコストダウンにつながります。他社に構造計算を頼むとコストが高いのですが、社内で全てできるのでこれもコストダウンにつながります」(松沢さん)。また、自社設計には別のメリットもあるようだ。「自社一貫体制で設計ももちろん自前です。そのため中間マージンが発生せず、コストが削減できます」(三嶌さん)

2 間取図をパターン化設計効率をアップ

標準的な間取図を複数用意することで効率化を図り、設計費を抑える取り組みもある。「間取図をパターン化しており、それを基に土地形状や建物の配置、隣戸同士の関係を考え、最終的に一戸一戸プランを作成していきます。設計プロセスが簡略化できるので、コストを抑える効果は大きいですね」(高橋さん)

施工編

施工編

工程のスリム化や部材の仕入れで工夫しながら品質を保ちコスト減
工事の工程のスリム化や仕入れルートの整備、部材の大量発注などで施工のコストを下げると同時に、品質レベルを高めることにも成功している会社が多い。不要な工事の手間を減らし、工程をある程度までマニュアル化することで、大工の技量に頼らずに品質の高い住宅が建てられる仕組みも見られた。さまざまな取り組みは、単にコストインパクトだけを優先したものではなく、品質を一定水準に保つための努力の現れといえるだろう。

1 部材の種類を限定し大量発注で価格ダウン

各社とも「大量発注によるコストダウン効果は大きい」と一致した意見。また「部材や素材の種類を限定することで、大量発注のコスト効果を高めています」(高橋さん)といった合わせ技を使う会社も。「安いというだけで資材や部材は選びません。安定した価格で長期間仕入れられる部材を選ぶからこそ、コスト面でも品質面でも一定以上の住宅が提供できるようになるのです」(三嶌さん)

2 自前のプレカット工場で工程もコストもスリム化

大量に仕入れた木材を、自社のプレカット工場で加工して現場で組み立てる会社も少なくない。「ミリ単位まで管理しているので狂いがありません。現場では組み立てるだけのところまで工場で加工するので、品質も保ちやすく、現場での工期短縮や人件費の削減にもつながります」(松沢さん)。また、自社だけでなく他社の分の木材まで加工するケースも。「他社からのプレカットの依頼を受けることで自社工場をフル回転させ、そこでの利益も含めてコストを下げられるようにしています」(長島さん)

3 独自の部材を使い、強度を高め価格を下げる

独自の研究や調査を基にオリジナル部材をつくる会社もある。「外壁パネルは独自のもので、工程の簡略化にも一役買っています。強度が強いので間取りの自由度を高めやすく、将来のリフォームもしやすい工法が実現しました」(高橋さん)。「自社で研究所を持ち、耐力壁や部材の研究を行っています。そこで生み出されたオリジナル部材を基に、市販の部材で代替することで、品質を高めながら低価格で調達できるのです」(松沢さん)

4 工程をマニュアル化し一定品質を低コストで

施工工程をマニュアル化する会社も多い。品質を一定に保つ一方、「工期を短縮することで一人の大工が多くの現場を担当できるので、1棟の単価を下げられるのです」(高橋さん)というメリットも。「作業が効率よく進むことで大工からの信用も生まれ、私たちも仕事を継続依頼できます。このことは品質確保にもつながります」(三嶌さん)というように、マニュアル化は大工確保にも効果がある。

5 設備・仕様をニーズに合わせて選択

「日々、購入者にアンケートを行い、移り変わる設備や仕様のニーズをキャッチしています。そのなかでも満足してもらえる十分な設備や仕様を盛り込み、企画します」(三嶌さん)といった、選択も重要だ。将来的に手を付けにくい構造部分などに力を入れ、外構など好みでニーズが変わるものは入居後の個人に任せるという考えの会社もある。どちらがいいかは好みで選び分けるのもいいだろう。

イラスト

住宅版エコポイント制度の創設! 対象物件が続々!
話題の住宅エコポイントがもらえる新築住宅は、外壁や窓ガラスを断熱化したり、効率の高い給湯器や太陽光発電設備を設置するなど、一定の省エネ対策を実施していることが条件。エコ商品券などと交換可能なポイントが30万円分付与され、追加工事などに利用することもできる。2009年12月8日以降、今年の12月31日までに着工された住宅が対象だ。住宅エコポイントについてはSUUMOの住宅用語大辞典もチェックしてみよう。
エコポイント対象物件にすることで住宅の品質が上がれば購入者へのメリットも大きいが、建築費アップにつながるのも事実。これに対し、「もともと基準に近い仕様だったため、変更箇所が少なくコストへの影響も小さい」とする会社がある反面、「全体で30万円近いコストアップになるが、大量発注の強みを活かして価格に反映しないようにする」と、価格を抑える会社もある。

物件チェック編

自社で厳しいチェック体制。引き渡し後も責任を負う
施工中や工事完了時などに、住宅性能評価機関など第三者の検査が入るケースは少なくない。一方で、自社のスタッフが現場をチェックする体制を敷いている会社もある。こうした自社の厳しいチェック体制を構築する背景には、いい住宅を届けたいという各社の強い思いがある。「入居後のアフターサービスにも力を入れています。基礎や構造部分には20年の長期保証を導入しており、保証期間後でも不具合があれば何年たっても補修します。中途半端な品質の住宅をつくって販売しても、結果はこちらに戻ってくるだけなので、チェックを緩めることはありません」(松沢さん)

1管理・検査もマニュアル化複数人でチェックする体制

自社で現場の管理や検査を行い、品質を保つ努力をしている会社は少なくない。「点検の有資格者が複数おり、基礎工事から施工後のチェックまで全部で7回の自社チェックを行います」(松沢さん)。「スケジュールや施工状況を、独自のチェックリストを基に統括長や建設部の部長が確認します。建設中もパトロール隊がチェックする体制です」(長島さん)

2 住宅履歴を残し、後からでも施工状況が確認できる

実際にどのように工事されたのかを途中で振り返って確認できるよう、画像や書面で履歴を残す会社も多い。「社内でチェックした過程を、施工状況として履歴を残すようにしています」(高橋さん)。「当社が建てたすべての住宅の履歴を保管・管理しており、リフォーム時などに建物の状況を確認することも可能になっています」(松沢さん)

住宅性能表示制度で国に登録した第三者機関がチェック
住宅性能表示制度とは、国に登録した第三者機関(住宅性能評価機関)が設計と施工それぞれの段階で物件を検査し、性能を評価する制度。国が定めたルールの下に評価を受け、設計段階の設計住宅性能評価書と完成時の建設住宅性能評価書の交付を受けられる。評価書の取得は義務ではないが、同じ基準で性能が比較でき、第三者によるチェックが入る安心感があり、採用している会社が増えてきている。

設計時10分野でしっかりチェック
まずはSUUMOでチェック! 気軽に見学に行って、質問してみよう
新築一戸建ての”品質”と”価格”についてのからくりが理解できたと思う。これからはぜひ、品質と価格の両面を考慮して購入を検討してほしい。SUUMOで気になる物件を見つけたら気軽に現地に足を運び、疑問点を不動産会社に質問してみよう。
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取材・文/大森広司 イラスト/木村吉見
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