ペットと仲よく暮らせる家「へーベルハウス プラスわん・プラスにゃん」を提案している旭化成ホームズ・広報室によると、新築時にペットのことを考えた設計・設備・仕様にしていなかった人の多くが、今の住まいに何らかの不満を抱いているのだそうです。
「不満の多くは、室内飼育で生じる問題を想定していなかったために生じているものです。ペットの”困った行動”を根本的に解決するのは、”トレーニング(しつけ)”によるところが大きいのですが、住まいがその補助的役割を果たすことは十分可能だと考えています」(旭化成ホームズ)。
へーベルハウスが「へーベルハウス プラスわん・プラスにゃん」の商品開発の際に実施したアンケート調査によると、犬や猫と暮らす上で困ることは、食べこぼしや抜け毛による汚れ、爪による床や柱のキズ、動物特有のニオイ。さらに、鳴き声や威嚇など近隣の方々や来訪者への迷惑行動だといいます。まずは、どんなポイントを押さえておけばいいのかを確認しておくことから家づくりの第一歩を始めましょう。
「やみくもに犬や猫用の最新設備を取り付ければ、快適な住まいがつくれるかといえば、答えは「ノー」です。確かに犬や猫にとっては快適かもしれませんが、肝心の飼い主が快適に過ごせなければ意味がありません。困った行動への対策をすることも大切ですが、それ以上にどうすれば、ペットを含めた家族みんなが快適に過ごせるかという視点を忘れないことが重要です」
「つい専用設備や内装材に目がいきがちですが、毎日の散歩動線やお手入れに関わる水まわり位置などの間取りや、室内の臭いがこもらないように、自然換気しやすい窓の位置を検討するといった、設計上の工夫も大切です」と話すのは、愛犬と暮らすこだわりの住まいづくりに力を入れているミサワホームの長谷川恵美さん。建設がスタートしてしまうと、容易に変更がきかないのが間取りなどの設計の根幹部分。設備や仕様は後からでも取り換えがきくのに対し、設計上の変更は大がかりになるため、希望するライフスタイルやペットを含む家族の動線、そして資金面を加味して、納得のいく間取りを完成させましょう。
「設計」と「設備・仕様」の両方から家づくり・リフォームを考えることが成功のコツ。下記に各ポイントをまとめましたので、参考にしてください。
「設計段階でまず意識したいのが、どこまでを犬や猫が自由に行き来していいスペースにするのか、犬や猫が入るのを制限するべきスペースはどこなのか、というエリア区分(ゾーニング)と、それに基づいた動線です」(旭化成ホームズ)
犬であれば、居場所をどこにするのか、散歩など外との出入りはどうするのか。常に適度な距離感を保ち、とかく高いところでリラックスすることを望む猫の場合なら、休息場所をどこに設定するのか、またトイレまでの動線はどうするのか…。こういった点を考え、ペットも飼い主も心地よく過ごせる間取りや空間設計を考えましょう。
「困った対策」「世話のしやすさ」「快適さ(楽しみ方)」を念頭に、どんな設備・仕様にするかは、1.解決したい課題 2.世話のしやすさ 3.飼い主とペットの快適性の3つの視点で考えるといいそう。各カテゴリー別の最新設備・仕様と活用のヒントを紹介します。
もっとも汚れるのが床と壁です。床の場合は、汚れにくい加工を施したものや、仮に汚しても簡単に掃除できる素材のものを使うとGOOD。壁は、腰壁や汚れに強いクロスを。汚れるのは、犬や猫の体高部分です。クロス幅は90cm程度なので、縦ではなく横に貼ると、汚れた部分だけ貼り替えればいいのでメンテナンスも楽です。
タイル
犬の居場所の床をタイル張りにすれば、水洗いも容易で掃除がしやすい。夏場は犬の体を冷やす効果も(ミサワホーム)
タイルカーペット
すべりにくく、毛も目立たないのが特徴。汚れても部分的に洗浄・交換が可能(旭化成ホームズ)
ムク床材(カラマツ)
天然木の床材。汚れやキズも補修で目立ちにくくできるのが特徴(旭化成ホームズ)
ウエストパネル
スリキズやひっかきキズに強い腰壁材。はがしたり、部分交換することも容易(旭化成ホームズ)
鳴き声だけでなく、意外とうるさいのが犬が歩く際、爪と床がぶつかることで生じるカチカチといった足音。鳴き声が外に漏れない工夫をすると同時に、足音対策もしておくと、快適に過ごせます。
騒音カット外壁・開口部
住まい全体の気密性を高め、騒音をカットする外壁と開口部(ミサワホーム)
シャッター
音を伝えやすい開口部にシャッターを設ければ、音漏れを一層、防ぐことが可能(ミサワホーム)
カーペット
ペットの転落防止効果が高いカーペット貼り階段。犬の爪によるカチカチといった音防止効果も(旭化成ホームズ)
来客時など、気になるのがペットの臭い。臭いがこもりやすい天井付近やペットのトイレ回りに換気扇や空気洗浄機をつけるなど、空気環境を整え根本的なニオイ対策を行うものから、消臭効果のある床材、クロス、天井材まであるので、ライフスタイルに合わせてセレクトしましょう。
24時間換気システム
汚れた空気を確実に排気。ニオイがこもらないのが特徴。熱交換式で温度を一定に保ち冷暖房のロスを抑える効果も(ミサワホーム)
消臭クロス
天井付近に溜まりがちな臭いも天井に消臭クロスを使用すれば消臭効果が期待できる(ミサワホーム)
天井換気扇
トイレ回りの集中換気にピッタリの天井換気扇(大和ハウス工業)
自動センサー
天井換気扇と合わせて使いたい自動センサー。ペットが近づくとセンサーで自動的にスイッチオン・オフができて便利(大和ハウス工業)
ネコ専用トイレ
洗面所にネコのトイレを設置すれば、排泄物の処理も簡単、かつ臭いがこもるのを防げる。(旭化成ホームズ)
散歩やグルーミング、ペットが高齢になったときの介護など、シーンごとに世話のしやすさを考えた設備をつけておけば、ケアの負担を大幅に軽減することができます。
また、ペットが高齢になった場合の安全性に配慮しておくことも必要だそう。「ぶつかってもケガをしないよう壁の角が丸くなっている”R出隅”にしたり、フットライトをつけておくことは、視力が低下した高齢ペットはもちろん、家族みんなの安全にも役立ちます」(大和ハウス工業・鈴木氏)
ここでは、ペットの視点で考えられた設備の一部を紹介します。
R出隅
壁の角が丸くなっていることでぶつかってケガする事故を防止(大和ハウス工業)
組みフタ
耐荷重40kg。浴槽の上を有効に使え、楽な姿勢で犬のシャンプーすることができる(大和ハウス工業)
ナイトガイドライト
加齢により視力が低下したペットにもやさしいナイトガイドライト(大和ハウス工業)
ペット対応カウンター
小型犬のシャンプーが可能なスペース(ミサワホーム)
蔵
散歩用品やキャリングケースなど、ペットアイテムを収納するのにも便利(ミサワホーム)
土間
汚れた足のまま直接入ることができるタイル張りの土間(旭化成ホームズ)
マルチガーデンパン・マナーシュート
散歩から帰ってきた犬の足を洗うのに便利なマルチガーデンパンと、汚物処理が簡単にできるマナーシュート(旭化成ホームズ)
犬や猫がゆっくりくつろいだり、楽しく遊んでいる姿は飼い主にとっても嬉しいものです。
覗き穴と踏み台
外を覗き見できる穴と踏み台。穴から庭木が見えれば、犬の好奇心も満足するはず(旭化成ホームズ)
ニャングルジム
1階の掃き出し窓に設置するタイプのニャングルジム。上り下りして遊んだり、日向ぼっこしたりネコも大喜び(旭化成ホームズ)
ペットコーナー
階段下などのデッドスペースをペットコーナーにすれば、ネコもゆっくりくつろげる。(旭化成ホームズ)
べルトウィンドウ
ペットが留守番しているときも換気ができるベルトウィンドウ(旭化成ホームズ)
庭
室内から連続したデッキのある庭なら、足の汚れを気にすることなく自由に過ごすことができる(ミサワホーム)
土間
汚れた足のまま直接入ることができるタイル張りの土間(旭化成ホームズ)
マルチガーデンパン・マナーシュート
散歩から帰ってきた犬の足を洗うのに便利なマルチガーデンパンと、汚物処理が簡単にできるマナーシュート(旭化成ホームズ)