不動産会社にとって一番の繁忙期は、新年度スタートに向けた準備期間である12月~3月。
次いで、企業の人事異動や結婚式が増える9月以降も引越しが多くなり始めるという。
すなわちオフシーズンとは春から夏の終わりにかけての時期。ズバリ、ここが狙い目なのだ!
忙しいオンシーズンは不動産会社の人も、一人のお客ばかりに時間をかけてられないはず。
でも、オフシーズンならゆっくり相談に乗ってくれるうえ、現地見学も同行してくれる会社が多いとか。やはり来店時期によって応対はけっこう変わるもの?
「やはりオンシーズンは一人の営業マンが抱えるお客様が多くなってくるので、どうしてもお客様一人あたりに応対できる時間が短くなってしまう点は否めません。その点、オフシーズンは落ち着いてご案内できるので、お客様のご要望にもお答えしやすいです。担当者だけでなく周りのスタッフもサポートできる体制にありますから、手厚い接客もしやすいと思いますね。繁忙期には現地見学もお客様だけに行っていただく会社も多いかもしれませんが、弊社は、この時期は全てご一緒させていただいています。やはり物件を見ながら説明を受けたほうがお客様も納得しやすいですからね」
航空券やホテルの宿泊費だってオフシーズンは安くなるんだから、家賃や敷金、礼金も安くなって当然? 実際のところどうなの?
「実は、リーマンショック以降じりじりと家賃相場は下がっていて、おそらく今が底値。よって、たとえオフシーズンでも全体の家賃相場がこれ以上下がる可能性は低いと思います。とはいえ、オーナーとしては空室を埋めたいので、オフシーズンは敷金や礼金などの初期費用を軽くしてお客さんを呼び込む物件も目立ちます。あと、いま増えているのはフリーレント。特定期間内に引越せば数週間~数カ月分の家賃をタダにしてくれるというものです。新築や人気物件でもフリーレントを設定している物件が増えていますよ」
部屋探しをする人が少ない分、オフシーズンって家賃交渉のチャンスなのでは?大家さんだって、ちょっとくらい家賃を安くしてでも部屋を借りてほしいはずでしょ?
「確かに、お客様が多く大家さんが強気に出られるオンシーズンに比べれば、交渉がしやすい時期ではありますね。気に入った物件があって、どうしても
家賃がネックなのであれば、不動産会社に相談してみましょう。
代わりに大家さんと交渉してくれるはずです。その際、1000円下げてほしいなら2000円、2000円下げてほしいなら3000円と、値下げ額を高めに要求したほうが交渉しやすかったりします(笑)。ただ、先ほども言いましたように、市況として家賃は下がりにくくなっています。まずは初期費用の安い物件やフリーレントを狙うのが現実的だと思います」
オフシーズンは引越し会社も空いているはず。だとすれば、お値段も少しは勉強してくれるのでは?
「引越し会社はシーズンごとに価格が変わります。やはりオフシーズン、特に7~8月は安いですね。ピークの3月と比べると倍くらいは違うケースもあるんじゃないでしょうか。
また、この時期は安いだけでなく、空いているので自分の引越し希望日に合わせてもらいやすい、料金はそのままでも少し多めにスタッフを派遣してもらえる、といった”特典”も受けられる可能性があります。
さらに、繁忙期のスタッフはたいていアルバイトですが、この時期は社員が来てくれるのもポイントかもしれませんね。一概には言えませんが、社員のほうが荷積みなどの作業も馴れていてスムーズなことが多いですから」
引越すからには後悔しないようしっかり検討したい。オフシーズンならライバルが少ない分、先を越される心配もなくたくさんの物件を見てじっくり比較できそうな気がするんですけど
「これはその通りですね。オンシーズンは物件もすぐ埋まってしまうし、営業担当もよく『無くなってしまいますよ』なんて言ってきますよね。それは意地悪ではなく事実なので(笑)。
その点、オフシーズンなら比較的じっくり検討できますし、担当者と人間関係を築けば『他も検討したいので3日くらいこの物件をキープしておいて』なんてお願いも聞いてくれるかもしれません。担当に対しては隠しごとをせず、できるだけ本音で要望をぶつけましょう。そうすれば相手も親身になって相談に乗ってくれると思いますよ」
オンシーズンにさえ借りられなかった物件って、いわば”余りモノ”ってこと? ということはオフシーズンって不人気な物件しか残ってないんじゃ・・・?
「それはまったくの誤解です。前に住んでいたお客様がたまたまこの時期に退去されたから空いただけであって、不人気だから残っているのではありません。
シーズンにかかわらず、良い物件、悪い物件はありますし、よく『掘り出し物件が少ない』なんて言いますが、安い物件には安いなりの理由があるので”掘り出し物件”という言葉自体もあまり信憑性がないんですよ。
物件の数自体もオフシーズンだから極端に少ないということもありませんし、むしろ落ち着いて自分に合った物件を探すにはいい時期なんじゃないかと思います」