世間に背を向けたネガティブなイメージの「同棲時代」は、40年前の話。好き合った2人が一緒に暮らすことには、経済的、精神的、ついでに人生経験上、たくさんのメリットがある。いまや「恋居」は、恋愛上手、生活上手の2人が選択する共同生活の新スタイルとなった。
恋居とは…
好き合った2人の共同生活を表す『スーモマガジン』の造語。結婚を前提とするかどうかは問わず、同居の良さを重視した。
下図はリクルート調査「ポスト団塊ジュニア考」からのデータ。「結婚前同棲に賛成」の意見が、若い世代ほど増えていることが分かる。夫婦でない男女の同居にめくじらを立てるのは、いまや過去のこと?結婚の意志を問わず「恋居」の現代事情を考えてみたい。
今の若い世代について、「ポスト団塊ジュニア考」の調査を見ると、「家族や恋人、友人などの親密な人間関係を非常に重視する」ようだ。また「消費に関しては堅実で合理的」という傾向もあるそう。家賃や生活費を考えたら一人暮らしよりも二人暮らしのほうが経済的。愛し合う二人にとって「恋居」は自然なスタイルといえるかも。
お金のゆとり
一人暮らしの二人が同居すると、年間約20万円の家賃節約になる(左図)。料理も二人分のほうが無駄がない。光熱費、電話代、交通費も考えたら、節約額はもっと増えるはず。
広さのゆとり
一人では負担できない家賃の物件も、二人分を合わせれば借りられる。一緒の時間を増やすなら1LDK、同居しても個性重視なら2DKにするなど、間取りの選択肢も増える。
心のゆとり
女性の一人暮らしに伴う防犯上の不安感を解消してくれるのも「恋居」のメリット。何よりも、好きな人と一緒に暮らしているという安心感は、何物にも代えがたいだろう。
結婚情報誌『ゼクシィ』の開編集長によれば「最近ではプロポーズ、入籍・結婚、同居という流れのカップルは減っている。まずは同居から始まり、一緒に生活する中で徐々に互いを知り、帰省のタイミングや妊娠をきっかけに結婚するカップルも増えてきている」そうだ。
同誌の「新生活準備調査2009」でも、結婚したカップルのうち「結婚が決まる前から一緒に住んでいる」数が増えているのが分かる。「恋居」が「結婚」を遠のかせることはなさそう。結婚を前提としたカップルにとっても、好条件の物件が見つかるチャンスと結婚のタイミングは必ずしも一致しないのだから、2人にいい物件を借りるには、「恋居」は不可欠ともいえる。
二人で負担できる予算と互いに便利な街を決めたら、新しい生活にふさわしい築浅物件を狙うか、生活にゆとりが持てる広さ重視で探すか。二人で作る「恋居」スタイル次第で決めよう。