自宅を売り出すと、わが家に購入検討者を迎えることになります。内見時の第一印象が、購入意欲に大きな影響を与えるため、家は清潔な状態で保ちましょう。本記事では、内見者を迎える際の心構えや事前にやっておくことを紹介します。
記事の目次
1.不動産売却時の内見の重要性
内見(または内覧)とは、不動産売買にあたって購入検討者が物件の内部を見学することをいいます。
中古住宅の売却時には、特に内見の第一印象が購入意欲に影響します。すでに誰かが住んだことがある中古住宅は、生活様式やメンテナンスの頻度、部屋の傷み具合など、住宅によって状態が異なります。
購入希望者に対して物件の状態を把握してもらうためにも、より慎重に内見の準備を行うことが大切です。
2.売買成約には内見希望者の回転率が重要
中古住宅の売買成約には、内見希望者の回転率が重要です。
まずは不動産会社と媒介契約を結び、内見希望者を集めます。契約後は、早ければその週末にも内見が始まります。
一般的には、10回以内の内見で成約に至るといわれており、内見を逃すと大きな機会損失になりかねません。
事前に内見の予約が入る場合もあれば、当日に内見希望の連絡が来る場合もあります。多くの内見希望者に対応するためには、柔軟なスケジュール調整が必要です。
3.場所別!内見の際の注目ポイント
内見者が、内見の際に注目するポイントを場所別に紹介します。
玄関
玄関は、内見者が最初に見る場所で、家の第一印象を決定づけます。整えられた玄関は良い第一印象を与え、家全体の評価にもつながります。
玄関を清潔に保ち、余計なものは片づけてスッキリとさせることが大切です。靴や傘は散らからないように収納し、不快な臭いが残らないよう注意しましょう。
リビング
リビングは生活空間の中心であり、購入意欲に大きく影響する空間です。
広く清潔な印象を与えるためにも不要な物は減らし、クローゼットも整理しましょう。また、内見時にはカーテンを開けて部屋を明るく見せると、広々とした印象を与えられます。
キッチン
キッチンのシンクやコンロは、汚れがないように徹底的に掃除し、生ごみはしっかりと処理しましょう。油汚れや水垢や臭いには特に注意し、排水口や換気扇など普段見落としがちな箇所もきれいにしておくことが重要です。
浴室
浴室は水まわり特有の汚れやカビが目立ちやすいため、念入りな掃除が大切です。カビや水垢は汚れの種類に対応した住居用洗剤でしっかり落とし、水滴もきれいに拭き取りましょう。お風呂の鏡も、住居用洗剤で汚れを浮かせてからスポンジでこすり、ピカピカに保ちます。
トイレ
内見者が実際にトイレを使用するケースは少ないものの、必ず確認する場所です。汚れたトイレは不衛生な印象を与えてしまうため、トイレ用洗剤を使用して、トイレの本体や壁、床を丁寧に掃除しましょう。
寝室・子ども部屋
寝室や子ども部屋は、整理整頓が重要です。
ベッドでない場合は布団を収納し、リネン類は色を統一して整えると好印象です。おもちゃや生活用品も整理し、雑然としない清潔な印象を保ちましょう。
ベランダ・バルコニー
内見者が、眺望を確認するために窓を開ける場合があります。
洗濯物を干すのは避け、汚れもしっかりと落としておきましょう。ガーデニングをしている場合は道具を整理し、鉢の状態も整えておくと印象が良くなります。
収納
生活用品はできる限り収納し、部屋を整えることがおすすめです。物が多い室内は乱れた印象を与えるため、物を減らすことで好印象を残せます。
また、内見者から収納スペースを見たいという希望があっても対応できるよう、整理整頓を心がけましょう。
窓ガラス
窓ガラスは、手垢や汚れが残らないよう、念入りに磨きましょう。清潔感を保つために、定期的に掃除をしてきれいに保つことが大切です。
場合によってはハウスクリーニングも検討を
家の汚れがひどい場合は、ハウスクリーニングサービスの利用がおすすめです。
特に浴室やトイレ、キッチンなどの水まわりが汚いと、中古感が出てしまいます。しかし、個人では掃除が難しい場所でもあるため、プロに依頼して徹底的にきれいにしてもらうのがよいでしょう。
売却のプロは見た ここが分かれ目!
高く売れた人の成功談
「物が室内にあふれ返っていましたが、売却を機にまとめて破棄。モデルルームのような印象にしたことで、購入者がすぐに現れました」
安く売れた人の失敗談
「水まわりを掃除せず、普段の状態で見てもらった結果、ハウスクリーニング代として50万円程、値引き交渉されました……」
4.内見時には周辺情報のアドバイスはしっかり伝える!
「買い物環境、学校や図書館、公園、交通利便性など、見学客は住んでいる人ならではの情報を聞きたがることが多いです」(河野さん)。家や周辺環境の魅力だけでなく、マイナス面も伝えることが大切です。事前に、家族や不動産会社の担当者と整理しましょう。
また、近隣の施設をまとめた地図などの資料を用意すると、内見者がよりその家での生活をイメージしやすくなります。
売却のプロは見た ここが分かれ目!
高く売れた人の成功談
「スーパーの営業時間や品ぞろえ、児童館のイベントなどを伝えました。特にバス便の利便性を通勤者目線で伝えたら喜ばれました」
安く売れた人の失敗談
「近隣に畑があるのどかな立地ですが、風向き次第で砂埃が舞うことも。『強風だと洗濯物は干せないのでは?』と問われ、気まずいことに。最初から正直に伝えればよかった」
5.売主の人柄も購入の後押しに!
「内見の所要時間は平均10~15分程度ですが、なかには30分以上という人も。積極的に購入を検討する人は、数回、見学に訪れることもあります」(河野さん)。内見者の案内は不動産会社の担当者が主導してくれますが、事前に案内の流れや話すポイントの打ち合わせをしておきましょう。
明るく風通しのよい部屋なら、明るい未来が想像できる!
「ここで生活する具体的なイメージが掴めるようにしましょう」(河野さん)。照明はすべてつけ、カーテンを開け、室内は明るくする。風通しをよくして空気も入れ替えて、エアコンで快適な室温にしておこう。床暖房もポイントが上がる。来客用スリッパも用意しよう。
いい家にいい人が住んでいる!身だしなみや出迎えの人数であなたや家の印象が大きく変わる!
「売主がファミリーなら、見学客は夫婦そろって迎えるとよいですが、どちらか一人だけでも大丈夫です」(河野さん)。1人の場合は、お互い感じている物件の魅力や生活実感を夫婦でまとめておきましょう。見学客が落ち着いて見学できるよう、なるべく子どもやペットは外に連れ出すのがよいでしょう。服装はカジュアルでも良いですが、しっかりとした印象のものを着用するのがおすすめです。
売却のプロは見た ここが分かれ目!
高く売れた人の成功談
「暖色の照明なら落ち着いた雰囲気が演出できるとインテリアの仕事をしている友人から聞き、電球を交換しました。室内の印象を気に入ってもらえたようです」
安く売れた人の失敗談
「子どもがテレビゲームで興奮して、騒々しくなってしまった。夫は挨拶もそこそこに、ベランダでタバコを吸っていて……。いい印象じゃなかったかも」
6.内見で見学者が来た時、話すべきことはこれ!
内見者の案内は不動産会社の担当者が主導してくれますが、必ず一緒に回るのがおすすめです。その際、内見者の質問に的確に答えることが好印象につながります。家や周辺環境の利点(下記参照)は、聞かれなくとも簡潔に伝えると親切です。
その際の注意点として、売りたいがために押し売りのような形でどんどん話しかけることはNGです。
あくまでも、聞かれたことに対して答えることをメインにしましょう。
売却のプロは見た ここが分かれ目!
高く売れた人の成功談
「妻が不在でしたが、キッチンの使い勝手や家事動線のよさなど生活実感を妻から聞いていたので、質問に的確に答えられました」
安く売れた人の失敗談
「いい家なので魅力をアピールしたくて、聞かれてもいないことを延々と話してしまった。後から考えると、かなり押し売りっぽかったかな」
7.内見に関するQ&A
Q.ペットがいる場合はどうすればいいですか?
A.内見者がペットに対して、好印象を持つとは限りません。
自分では気付かない臭いが残っている可能性もあるため、風通しを良くし、臭いを残さないように心がけましょう。また、内見中はペットをどこかに預けるか、散歩に連れて行くなどの工夫をしましょう。
Q.お茶出しなどはしたほうがいいですか?
A.特にお茶出しなどをする必要はありません。ただし、長時間話し合う場合は、お茶出しをすると好印象につながるでしょう。
Q.内見のあとに予定が入っています。内見はどれくらいかかりますか?
A.内見にかかる時間は、30分程が一般的です。
しかし、内見者が購入を前向きに考えている場合、内見時間が長引く可能性があります。そのため、内見の前後は、予定を入れないようにするのがおすすめです。
Q.どうしても内見希望日に合わせられません、どうすればいいですか?
A.不動産会社に鍵を渡すと、代わりに内見をしてもらえます。不動産会社への事前相談が必要です。
Q.なかなか成約につながりません。何が悪いのでしょうか?
A.成約につながらない原因を、不動産会社にヒアリングしましょう。場合によっては、ホームクリーニングやホームステージング(※)などの検討も重要です。
※ホームステージングとは、家具や照明、小物を利用してモデルルームのように部屋を魅力的に演出し、購入希望者を引き付ける物件販売の手法
Q.内見希望者が増えません。何が原因でしょうか?
A.内見希望者が増えない主な原因は、「価格が高い」「物件広告に魅力がない」「物件の魅力が伝わっていない」などが考えられます。
不動産会社のパンフレットを確認し、より自分たちの家の魅力をアピールできるようにしましょう。
まとめ
- この家に住みたい、この人から買いたいと思うと、内見者は前向きに購入を検討する
- 家だけでなく、住む人の印象も購入意欲に影響を与える
- 売主も見られていることを意識して、きちんとしたマナーで対応しよう
イラスト/木村吉見
取材・文/金井直子
取材・文/サクラサクマーケティング株式会社