長く住み続けられる住宅を目指して9項目の基準を設定
長く快適に住み続けられる住宅の普及を目指して、2009年6月に長期優良住宅の認定制度がスタートした。認定を受けた住宅を「認定長期優良住宅」といい、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性など一定基準を満たす必要がある。
2016年4月からは、既存の住宅を増改築する場合にも、長期優良住宅の認定が受けられるようになった。さらに、2022年10月からは、増改築などの建築行為のない既存住宅も認定の対象となっている。
認定長期優良住宅の認定基準の概要は以下のとおり。(< >内は新築住宅の基準例。「等級」は住宅性能表示制度の等級を指す)。
- 劣化対策……通常想定される自然条件・維持管理条件下で、数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること<劣化対策等級(構造躯体等)の等級3など>
- 耐震性……極めてまれに発生する地震に対し、損傷レベルの低減を図ること<耐震等級(倒壊等防止)等級2、または一定基準以上の免震建築物>
- 維持管理・更新の容易性……構造躯体等に影響を与えることなく、配管や設備の維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられていること<維持管理対策等級3(専用配管・マンションの共用配管)など>
- 可変性/マンションのみ……間取り変更の可能な措置が講じられていること<躯体天井高2650mm(2.65m)以上>
- バリアフリー性/マンションの共用部分……共用廊下などに、将来のバリアフリー回収に対応できるスペースが確保されていること<高齢者等配慮対策等級3(共用部分)>
- 省エネルギー性……断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること<断熱等性能等級5かつ、一次エネルギー消費等級6>
- 居住環境……地域における居住環境の維持および向上に配慮されたものであること<地区計画や景観計画、建築協定などに区域内にある場合、その内容と調和を図る>
- 住戸面積……原則として、床面積の合計が一戸建ては75m2以上、マンションは55m2以上。両者とも少なくとも1つの階の床面積が40m2以上(階段部を除く面積)
- 維持保全計画……建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修などに関する計画が策定されていること
住宅ローン控除や【フラット35】Sの金利が優遇される
「認定長期優良住宅」を購入・新築・増改築すると、住宅に関する税制や住宅ローン金利(【フラット35】S)の優遇を受けられる。
例えば、住宅ローン控除の最大控除額は一般住宅の273万円に対して、認定住宅は455万円。182万円も多くなっている。
また、住宅ローンを利用せず認定住宅を購入する場合は、「投資型減税制度(認定住宅新築等特別税額控除)」も利用できる。同制度では最大65万円が所得税から控除される(いずれも2023年12月31日までに入居する場合)。
買うときの登記に必要な登録免許税と不動産取得税、買ってからの固定資産税も軽減される。それぞれの軽減内容は以下のとおりだ。
〈登録免許税〉(2024年3月31日までに取得した人が対象)
- 所有権保存登記の税率:一般住宅0.15%→長期優良住宅0.1%
- 所有権移転登記の税率:一般住宅0.3%→一戸建ての長期優良住宅0.2%、マンションの長期優良住宅0.1%
〈不動産取得税〉(2024年3月31日までに新築された住宅が対象)
- 評価額からの控除額:一般住宅1200万円→長期優良住宅1300万円
〈固定資産税〉(2024年3月31日までに新築された住宅が対象)
- 家屋の税額を2分の1に減額する期間:一戸建ては一般住宅3年間→長期優良住宅5年間、マンションは一般住宅5年間→長期優良住宅7年間
このほか、全期間固定型の住宅ローン【フラット35】の金利引き下げが適用されるメリットがある。長期優良住宅の場合、当初5年間の金利は0.5%、6年目~10年目は0.25%引き下げられる(【フラット35】S〈金利Aプラン〉」と「【フラット35】維持保全型」を併用)。