住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など/住まいのお金・制度のマニュアル#20

最終更新日 2024年02月14日
住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など/住まいのお金・制度のマニュアル#20
住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など/住まいのお金・制度のマニュアル#20

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて家を取得(購入・新築・増改築やリフォーム)すると、10年または13年間、各年の住宅ローン年末残高の一部が「所得税」から控除される制度。控除期間や控除額は、新居への入居時期や物件の種類、所得税額などによって異なる。

「住宅ローン控除額」の計算方法

各年の住宅ローンの控除額は、下のように「住宅ローン年末残高」に一定の「控除率」をかけて計算される。

「各年末ローン残高の限度額」「控除率」「控除期間」は、住宅の種別や性能、入居時期などによって異なる。下表を見て確認しよう。

(1)各年の控除額を計算

  • 各年末のローン残高(上限3000万円)×控除率(0.7%)=1年分の控除額(最大21万円)

※一般的な水準の「新築住宅の購入(建築)」または「不動産会社から一定の増改築等が行われた中古住宅を購入」して、2022年1月1日~2023年12月31日までに入居する場合。

(2)各年の所得税額と控除額を比較

控除額が所得税額を上回る年は「控除額=所得税額」となり、控除しきれない額の一部は、翌年の住民税から減額される。

  • ・「所得税額>控除額」の場合
    →(1)で計算した控除額が所得税から控除される
  • ・「所得税額≦控除額」の場合
    →その年の所得税はゼロとなる。控除しきれなかった額(控除額-所得税額)は、翌年の住民税から控除される(控除額の上限は、課税総所得金額の5%または最高9万7500円の小さいほうとなる)。

住宅ローン控除の控除率・限度額・控除期間

住宅ローン控除額計算の基礎になる「各年の住宅ローン年末残高の限度額」や「控除期間」は、新居への入居時期や購入する物件の種類などによって異なる。ここでは、2022年1月1日~2025年12月31日に取得した新居に入居する場合について紹介しよう。

2024年度の税制改正では、子育て世帯や若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)の新築住宅購入(建築)について、住宅ローン控除の控除額を上乗せする案が検討されている。

一方、2024年7月以降に竣工する新築住宅は、一定の省エネ基準に適合しないと住宅ローン控除が受けられないので注意しよう(2023年中に建築確認を受けた住宅は除く)。

→増改築・リフォームの住宅ローン控除について詳しくはリフォーム減税

住宅ローン控除の控除率・住宅ローン年末残高の限度額・控除期間(2024年1月1日~2025年12月31日に入居する場合)

一定水準を満たす住宅…新築住宅(購入・新築)/一定の増改築をした中古住宅(不動産会社から購入)
入居時期等 住宅種別 限度額 控除率 控除期間
2022年1月1日~2023年12月31日に契約・入居(※1) 認定住宅(※3) 5000万円 0.7% 13年
ZEH水準省エネ住宅 4500万円
省エネ基準適合住宅 4000万円
2024年1月1日~2025年12月31日に入居(※2) 認定住宅(※3) 4500万円 0.7% 13年
ZEH水準省エネ住宅 3500万円
省エネ基準適合住宅 3000万円
一定水準を満たす中古住宅の購入等
入居時期等 住宅種別 限度額 控除率 控除期間
2022年1月1日~2025年12月31日に入居 認定住宅(※3)等 3000万円 0.7% 10年
その他の住宅
入居時期等 住宅種別 限度額 控除率 控除期間
2022年1月1日~2023年12月31日に契約・入居(※1) 新築住宅、一部の中古住宅(※4) 3000万円 0.7% 13年
中古住宅の購入、住宅の増改築等 2000万円 0.7% 10年
2024年1月1日~2025年12月31日に入居(※2) 中古住宅 リフォーム 2000万円 0.7% 10年
新築住宅(2024年6月までに施工※5) 2000万円 0.7% 10年
※1 2021年内の次の期間に契約した場合も含む。「住宅の新築/10月1日以降」「新築住宅などの購入・住宅の増改築等/12月1日以降」。
※2 契約時期は問わない
※3 認定長期優良住宅認定低炭素住宅
※4 不動産会社(宅地建物取引業者)から一定の増改築をした中古住宅を購入する場合
※5 2023年中に建築確認を受けた住宅も対象となる

東日本大震災被災者の住宅ローン控除の特例

2022年度の税制改正により同特例の適用期限も、2025年12月31日の入居まで延長された。

特例の内容は、控除率0.9%、控除期間13年、各年の住宅ローン年末残高の限度額は入居日によって異なり、「2022年1月1日~2023年12月31日までの入居/5000万円」「2024年1月1日~2025年12月31日までの入居/4500万円」となった。

住宅ローン控除の主な要件と手続き

住宅ローン控除は、本人が居住する住宅の新築、購入、工事費が100万円を超える増改築、一定条件を満たす省エネ・バリアフリー改修などに適用される。

ここでは、2022年1月1日~2025年12月31日に取得した住宅に入居する場合の主な要件を紹介。
住宅の面積や購入者の年収、住宅ローンの借入期間などに条件があるのでチェックしておこう。

→増改築・リフォームについて詳しくはリフォーム減税

住宅ローン控除の主な要件

  • 住宅の床面積(登記簿面積)が50m2以上(2023年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅等は「40m2以上」)(※1)
  • 中古住宅は、一定の耐震基準(新耐震基準)に適合している住宅(1982年1月1日以降に建築された住宅は新耐震基準に適合するとみなす)
  • 新築住宅(※2)等は建物の完成(登記簿の建築日付)が2024年7月1日以降の場合、一定の省エネ基準を満たすこと
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること(※3)
  • 社内融資等の場合は利率が0.2%以上のもの
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2000万円以下(住宅の床面積が40m2以上50m2未満の場合は1000万円以下)であること
  • 住宅を取得後6カ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 居住の年の前2年、後3年の計6年間(※4)に、それまで住んでいた住宅の売却等により「3000万円特別控除」や「特定居住用財産の買換え特例」などの適用を受けていないこと

※1 建築確認の時期は2024年12月31日まで延長予定(「令和6年度税制改正大綱」より)。合計所得金額が1000万円を超える年は控除の適用外となる
※2 2023年12月31日までに建築確認を受けている新築住宅は除く
※3 一定条件を満たす省エネ・バリアフリー改修の場合、住宅ローンの返済期間は「5年以上」。控除期間も5年間となる
※4 2020年3月31日以前に住宅を売却した場合は、居住した年とその前後2年ずつの計5年間

住宅ローン控除の手続き

住宅ローン控除の適用を受けるには、入居の翌年の3月15日までに税務署に確定申告をしなければならない。給与所得者の場合、確定申告が必要なのは1年目のみ。2年目以降は勤務先の年末調整で手続きすればOKだ。

→詳しくは住宅ローン控除等を受ける場合の確定申告のやり方は?

なお、控除期間中に転勤で本人が住まなくなった場合、国内での単身赴任で家族がその住宅に居住する場合は、引き続き控除が受けられる。それ以外の転勤の場合は住宅ローン控除が中断されるが、控除期間中に再入居した場合はその年(その年に賃貸に出していた場合はその翌年)から控除を再開できる。

最大50万円もらえる「すまい給付金」

「すまい給付金」は、一定以下の収入の人が住宅ローンを借りて、消費税8%または10%の住宅を購入・新築する場合、最大50万円の現金がもらえる制度(消費税が非課税の中古住宅は対象外となる)。
当制度の適用期間は2014年4月から2021年12月31日までだが、次の期間に購入契約や工事請負契約を結んだ場合、2022年12月31日までの入居でも利用できる。

■2022年中の入居まで制度が適用される契約時期(引き渡しの1年3カ月後まで申請可)

  • 注文住宅の新築/2020年10月1日~2021年9月30日
  • 分譲住宅・中古住宅等の購入/2020年12月1日~2021年11月30日

→詳しくはすまい給付金公式サイト

住まいのお金・制度のマニュアル
  1. 5-1. 家を買う・購入手続きと費用
  2. 新築住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  3. 中古住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  4. 土地を買って家を建てるときにかかる費用と支払時期を解説
  5. 家のリフォーム・増改築の流れ、かかる費用と支払時期を解説
  6. 5-2. 家を買う予算(購入予算)を決めておこう
  7. マイホームの予算の決め方。住宅資金(現金)と住宅ローンから考えよう
  8. 家が高くて買えないときはどうする?購入予算の見直しポイントを解説
  9. 5-3. 住宅ローン、銀行の選び方・選択方法
  10. 住宅ローンは金利タイプに注意!固定型・固定期間選択型・全期間固定型の特徴
  11. 住宅ローンの種類とは?民間ローン、【フラット35】などの特徴を解説
  12. 融資実行日、決済日など、住宅ローンのチェックポイントを解説
  13. 5-4. 住宅に関する資金計画の立て方
  14. 住宅ローンの資金計画。返済額、金利タイプ、返済期間、住宅資金から考えよう
  15. 3000万の住宅ローンはどう返す? 利息・金利・期間から返済計画を建てよう
  16. 5-5. マイホーム・住宅購入後にかかるお金と節約テクニック
  17. 住宅ローン返済、固定資産税、都市計画税など住宅購入後にかかるお金
  18. 住宅ローンの繰り上げ返済とは。仕組みや事例を解説
  19. 住宅ローン控除のための確定申告とは。申告期間や流れ、必要書類など
  20. 5-6. 家を買う・購入する前に知っておきたい住まい関連の諸制度
  21. 印紙税とは。不動産売買契約や金銭消費貸借契約(ローン契約)時の注意点
  22. 登録免許税とは。課税対象や税率、軽減措置の要件について解説
  23. 不動産取得税とは。税額の計算方法や軽減措置の要件について解説
  24. 固定資産税・都市計画税とは。小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減措置を解説
  25. 住宅購入時の消費税のポイント。課税されるのは建物部分、軽減措置を解説
  26. 住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など
  27. 住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など
  28. 買い替え時に使える、譲渡損失の繰越控除とは。住宅ローン控除との併用も
  29. 長期優良住宅とは。認定基準の概要、住宅ローン控除などの優遇措置を解説
  30. 低炭素住宅とグリーン住宅ポイント制度・次世代住宅ポイント制度とは
  31. リフォームで受けられる減税。リフォーム促進税制、住宅ローン減税など解説
  32. 定期借地権とは。地代・敷金・権利金・解体準備費用などのコストを解説
  33. リフォーム瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  34. 既存住宅売買瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  35. 瑕疵担保責任とは。契約不適合責任との違い、新築・中古それぞれの注意点
  36. 環境性能表示制度とは。評価項目や自治体ごとの独自制度を解説
  37. 住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説
  38. 【フラット35】リノベなど、中古住宅購入+リフォームができる住宅ローン
  39. 【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説
新築マンションを探す
中古マンションを探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
注文住宅の会社を探す
土地を探す
カウンターで相談する
リフォーム会社を探す
売却査定する
賃貸物件を探す
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
引越し見積もりをする
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る